尿路分離
P.aeruginosa54株のMICを測定し, 27株について
in vitroでのアミノ配糖体薬 (AGs) とβ-lactam剤の併用効果を検討した。また, β-lactamase阻害剤 (Clavulanic acid: CVA. Sulbactam; SBT) を添加した時の抗菌力に及ぼす影響についても検討した。
P. aersrginosa 54株の10
6cells/ml接種時のMICはAGsではGentamicin, β-lactam剤ではCeftazidimeが最も優れMIC
50は各3.13μg/mlであった。
AGs 3剤 (Gentamicin, Amikacin, Micronomicin) とβ-lactam剤8剤 (Piperacillin, Cefoxitin, Latamoxef, Cefoperazone, Cefmenoxime, Ceftizoxime, Ceftazidime, Cefsulodin) を互いに組み合わせた系列を作製し, checkerboard法によりminimum FIC indexを求め併用効果を検討した。各組み合わせにおける平均minimum FIC indexはすべて1.0以下の値を示したが, CefeperazoneとAmikacinの併用効果が最も優れ, 平均minimum FIC indexは0.4567で相乗効果を示した株は19株 (70.4%) であった.Amikacin 3.13μg/mlの併用により全株がCefoperazoneに対し3.13μg/ml以下の感受性側への移行がみられた。振盪培養を用いた細菌増殖曲線における検討ではFIC indexの低いものが発育阻止作用が強く, FIC index値と相関した結果が得られた。
第3世代β-lactam剤6剤 (Ceftazidime, Cefoperazone, Latamoxef, Ceftizexime, Cefmenoxime, Carumonam) にβ-lactamase阻害剤 (CVA, SBT) を1:1で添加しMICの推移を検討した。β-lactam剤単独の場合に比し, 阻害剤添加によりMICが2管以上低下した株はCefbperazoneとCVAの併用で6株 (22.2%) にみられた。MICが2管以上上昇した株はCeftizoximeとCVAの併用で多く認められ15株 (55.6%) であった。またAGsとβ-lactam剤の併用に, さらにCVA, SBTを添加してminimum FIC indexの変動を検討した。GentamicinとCefoperazoneにCVAを加えた場合, AmikacinとCefoperazoneにCVAを併用した場合にはFIC indexの軽度の低下がみられた。しかし, GentamicinとCeftizoximeにCVAを併用した場合, 平均minimum FICindexは0.6410から0.8872となった。2剤併用時には10株 (37.0%) が相乗作用を示したが, CVA添加によりFIC index 0.5以下の株は1株 (3.7%) のみとなった。CeftizoximeとCVAの併用は抗菌活性の低下をきたすことが示唆された。
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