Cefotaximeの周産期感染症における有用性を検討する目的で, 産科領域における胎盤通過性および臨床評価を行なった。
胎盤通過性の検討には, 1g 1回静注例で89例, 0.5g 1回静注例15例, 1g 1回筋注例7例, 1g 1回点滴静注例11例が集積された。
1g 1回静注例についてみると, 母体血清中濃度は投与終了後すみやかに最高値に達し, 臍帯血清中濃度は30分から60分にピークに達した。臍帯血清中へは母体血清中濃度の約1/4の移行がみられた。羊水中濃度は投与後約3時間から4時間で最高値に達し, 母体血清中濃度の約1/8の移行がみられた。
新生児の血中残存濃度は, ほとんどみられなかった。新生児の総ピリルビン値については, 本剤投与に起因すると考えられる高値出現例は認められなかった。
臨床的には, 破水例68例, 腎盂腎炎, 産褥熱等の破水以外の症例22例が集積された。破水例全例は有効と判断され, 破水例以外の症例では, 腎盂腎炎1例, 帝王切開後の子宮内感染1例がそれぞれ無効と判定された以外は, いずれも著効ないしは有効と判定された。
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