CHEMOTHERAPY
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30 巻, 7 号
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  • 臼渕 勇, 佐藤 達資, 工藤 一
    1982 年 30 巻 7 号 p. 719-723
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    単細胞移植によってつくられた弘前肉腫の1系について, 腫瘍細胞の1×107個をラット腹腔内に移植し, 移植48時間後より全く無効量の1μg/kgのMitomycinC (MMC) を連日腹腔内に投与した。移植動物の腫瘍死前にこの腫瘍細胞の1×107個を次のラット腹腔内へと移植し, これに対して移植48時間後より1μg/kgのMMCを連日投与するということを引続いてのラットにおいて反復して行なった。このような間欠投与の過程で, 当初から63回, 111日においては本来有効量の100μg/kgのMMCの連日5日間投与に対する耐性化は確認できなかったが, これに移植直後より1μg/kgのMMCを投与するという連日投与を追加した場合には25回, 25日で耐性化した。原系は当初より88回, 160日においても耐性化は確認されなかったが, これに連日投与を追加した場合には9回, 9日で耐性化した。当初より間欠投与のみを続けた原系は109回, 190日において連日投与に切換えることなく耐性化した。このことは耐性化の過程が漸進的に進行したものであることを示したものと思われる
    このように耐性化した弘前肉腫にはこのあとも間欠投与を続け, 当初より120回, 208日で投薬を中止した。このあと6か月の休薬後に単細胞移植によって樹立された20系の弘前肉腫についての耐性試験を行なったところ, すべてが100μg/kgのMMCに対して完全に耐性であった。
    以上の成績は弘前肉腫が全く無効量の1μg/kgのMMCの間欠投与というselectionの全く考えられない薬剤と長期間接触している間に, 殆んどすべての腫瘍細胞が本来有効量の100μg/kgのMMCに対して漸進的に耐性化したことを示すものと思われる。
  • 石神 襄次
    1982 年 30 巻 7 号 p. 724-747
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefmenoxime (CMX, SCE-1365) の慢性複雑性尿路感染症に対する有用性を客観的に評価するため二重盲検法により, CMXとCefotiam (CTM) との群間比較試験を行ない下記の結果を得た。
    1) 全症例を一括した総合臨床効果および有用性判定においてCMX群はCTM群に比べ有意に優れていた (P<0.001)。
    また, CMX群の膿尿の改善率および細菌尿の改善率は, CTM群に比較して有意に高値を示したP<0.05,(P<0.001)。
    2) 層別解析の結果, ほとんどの層においてCMX群はCTM群より優れていた。特に単独感染でカテーテル留置群 (第1群) での総合臨床効果, 膿尿および細菌尿の改善率をみるとCMX群は有意にCTM群より優れていた (それぞれP<0.05, P<0.001およびP<0.01)。
    また, 混合感染でカテーテル非留置群 (第6群) での総合臨床効果および細菌尿の改善率もCMX群が有意にCTM群より優れていた (それぞれP<0.01, P<0.001)。
    3) 細菌学的効果の検討ではSerratiaの菌消失率において有意にCMX群がCTM群より高値を示した (P<0.05)。また, E. coliおよびグラム陰性桿菌全体での菌消失率においてCMX群がCTM群より優れる傾向を示した (P<0.1)。
    4) 副作用はCMX群119例中1例 (0.8%), CTM群121例中1例 (0.8%) に認められ, 臨床検査値の異常発現例はCMX群9例, CTM群8例に認められたが, 特に重篤なものはなく, いずれも投与終了後治癒または正常値に復していた。
    以上, CefmenoximeはCefotiamとの対比において, 臨床的にも従来難治性といわれていたSerratia感染症にまで有効であり, 慢性複雑性尿路感染症に対する抗生剤としてきわめて有用性の高い薬剤と考えられた。
  • 黒澤 菜穂子, 大和田 栄治, 伊藤 圭二
    1982 年 30 巻 7 号 p. 748-754
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体抗生物質による耳毒性の軽減物質開発を目的とし, カナマイシン (KM) 誘発難聴に対する数種併用薬物の影響をプライエル耳介反射試験を用いて観察した。
    モルモットにKM (200mg/kg s.c.) を連日投与し, 投与開始後約2週間で難聴を誘発させた。抗結核薬としてよく併用されるイソニアジドおよびパラアミノサリチル酸はKM耳毒性を増加させた。
    臨床上, KM耳毒性を軽減するために用いられているパンテチンおよびコンドロイチン硫酸は, 著者らの実験において, 耳毒性軽減効果を示さなかった。
    また, アミノ糖である2-グルコサミンおよびN-アセチル-2-グルコサミンの併用は, KMの耳毒性を増強した。
    さらに数種の糖類について検討したところ, グルコースおよびマルトースにKM難聴発現を遅延する傾向が認められ, 特にマルトースにおいて著しかった。
    以上の結果から, マルトースの併用によりKM耳毒性を軽減しうる可能性が示唆された。
  • 渡辺 誠, 三橋 慎一, 石川 道雄, 山岡 澄夫, 真下 啓明
    1982 年 30 巻 7 号 p. 755-759
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    トブラマイシンの血中濃度モニタリングを当院入院患者延べ29例について, 測定法にEMIT法とHPLC法を用いて行なった。
    全症例のうち60mg筋注群 (n=8) では最大血中濃度が全例有効血中濃度といわれる4μg/ml以下であったが, 60mg点滴群 (n;14) では, ほとんどの症例が有効血中濃度を超え, 腎機能低下者では連投により中毒域に達した。また90mg筋注群 (n=4) では3例が有効域に達したが5μg/mlを超えた例は認められなかった。このことより本剤の投与量は投与経路により決定される必要を認め, さらに点滴による投与は今後本剤の投与経路として有効であると考えられた。また血中濃度モニタリングにより, 積極的に投与法を調節した例は3例, 副作用予防の手段として濃度測定を行なった例は1例で, 他は血中濃度の確認のみ行なったが, 測定法については早く測定値を知る必要からEMIT法を多用した。
    今回, トブラマイシン投与時に血中濃度モニタリングを行なうことにより, 従来投与が困難であった高齢者, 腎機能低下者, 乳児などにおいて積極的な使用が可能であった。
  • 佐々木 昌子, 大泉 耕太郎, 青沼 清一, 渡辺 彰, 大沼 菊夫, 今野 淳
    1982 年 30 巻 7 号 p. 760-769
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1980年7月~9月迄の3か月間の本院痰中検出グラム陰性桿菌およびS. aureusに対する9薬剤 (ABPC, PIPC, SBPC, CEZ, CMZ, GM, DKB, AMK, MINO) のMICをMIC 2000 System (Dynatech Lab. Inc.) を使用し, 菌分離24時間以内に測定した。さらに同株を半流動普通寒天中に保存し2~3か月後に同様な方法でMICを測定し新鮮株のMICと比較した。
    1) 対象となった痰中検出菌の総数は269株 (149例) であり, K.pneumoniae 83株 (48例), Enterobacter 67株 (40例), P.aeruginosa 28株 (9例), E.coli 18株 (9例), K.oxytoca 17株 (13例), S.marcescens 15株 (10例), S. aureus 15株 (7例) であった。
    2) 新鮮分離株の薬剤感受性は9薬剤において, 通常報告でみられるMICと比べ高かつた。MIC70でみるとPCsでは臨床有効濃度内にMICがあるのは, S.marcescensに対するPIPC, S. aureusに対するsBPcのみであり, 他はすべて≧100μg/mlであった。CEPsのS.aureusに対する感受性は3.13~6.25μg/mlと良好であったが, Klebsiella, E. coli, S. marcescens (CMZのみ) ではMIC10が12.5~50と比較的高い値を示していた。AGsにおいては, 一部の菌に対し, GMが3.13~6.25μg/mlのMIC70を示したが, 他はほぼすべて≧12.5μg/mlと耐性であった。
    3) 保存株と新鮮株の薬剤感受性をMIC70で比較すると, EnterobacleriaceaeおよびP. aeruginosaにおいてはPIPC, GM, DKB, AMKでは保存後のMICが数段階低下し, 保存株と新鮮株の間の変動幅が大きかった。これら薬剤の保存株で示されたMIC70は化療新薬シンポジウムでの発表とほぼ一致していた。S. aureusではPCsとAGsにおける新鮮株, 保存株間のMICの変動が大きかった。しかしCEPsでは保存菌株のMICと新鮮株のMICの変動は少なかった。
    4) 半流動培地菌株保存及び-80℃薬剤保存によるMICの変動は一段階までであった。
  • 緑膿菌に対するCefsulodinとAminoglycosideの併用に関する基礎的・臨床的研究
    青沼 清一, 大沼 菊夫, 渡辺 彰, 佐々木 昌子, 大泉 耕太郎, 今野 淳, 林 泉, 岡本 宏明
    1982 年 30 巻 7 号 p. 770-775
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    Dynatech MIC 2000を用いた液体培地希釈法により臨床分離緑膿菌45株に対するCefsulodin (CFS) とDibekacin (DKB) とのin vitro併用効果を検討した。
    1) CFS単独のMICおよびMBCはともに6.25μg/mlにピークを有していた。
    2) DKB単独のMICおよびMBCはともに0.78μg/mlにピークを有していた。
    3) CFSとDKBの併用効果をMICおよびMBCについてみると, 相乗作用 (FIC index, FBC index≦0.5) はともに45株中30株 (66.7%) に認められた。
    4) 相乗, 部分的相乗, 相加作用を含む併用効果を示した43株 (MIC), 42株 (MBC) について, CFS単独のMIC, MBcが6.25μg/ml以下と12.5μg/ml以上のグループに分けて平均FIC index, 平均FBC indexを比較すると, 12.5μg/ml以上のグループの方がいずれも小さい値を示し, 臨床的合目的性が認められた。
    5) DKB添加によるCFSのMICおよびMBCが1.56μg/ml以下となる株数の変化をみると, 単独ではそれぞれ4株 (8.9%), 3株 (6.7%) であったのが, 0.1μg/mlのDKB存在下では20株 (44.4%), 12株 (26.7%) となり, 0.39μg/mlのDKB存在下では33株 (73.3%), 30株 (66.7%) と増加した。
    慢性気道感染症患者の緑膿菌による急性増悪5例に, CFSとDKBまたはTobramycin (TOB) を併用投与し, 全例に有効の成績を得た。細菌学的にも全例で喀痰中緑膿菌は消失し, 菌交代現象もみられなかった。副作用として, 好酸球増多, GPTの軽度上昇, GOTおよびGPTの軽度上昇をそれぞれ1例ずつ認めた。
  • 肺炎桿菌に対する殺菌効果を含めて
    青沼 清一, 大沼 菊夫, 渡辺 彰, 佐々木 昌子, 大泉 耕太郎, 今野 淳
    1982 年 30 巻 7 号 p. 776-780
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Dynatech MIC 2000を用いた液体培地希釈法により臨床分離のS.aureus, K.pneumoniae, E.coli, S.marcescens, E.cloacaeに対するPiperacillin (PIPC) とDibekacin (DKB) のin vitro併用効果を検討した。いずれの菌種においても強い併用効果を示し, 相乗作用はそれぞれ40%, 70%, 36.8%, 55%, 47.1%に認められた。また, 0.39μg/mlのDKB併用によりPIPCのMICが1.56μg/ml以下となる株は, それぞれ95%, 95%, 68.4%, 80%, 76.5%であり, 呼吸器感染症に対する臨床的有用性がうかがわれた。
    K.pneumoniae PCI 602に対するPIPCとDKBの殺菌作用は, 併用時に著しく増強され, 薬剤作用4時間後の生菌数は初めの4×107 cells/mlから, 1/8 MICのPIPCと1/4 MICのDKBの併用では2×104 cells/mlに, 1/8 MICのPIPCと1/2MICのDKBの併用では6×102 cells/mlにまで減少し。
  • FosfomycinとDibekacinの各種病原細菌に対するin vitro併用効果および呼吸器感染症に対する臨床的検討
    青沼 清一, 大沼 菊夫, 渡辺 彰, 佐々木 昌子, 大泉 耕太郎, 今野 淳
    1982 年 30 巻 7 号 p. 781-785
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    Fosfomycin (FOM) とDibekacin (DKB) の併用効果を臨床材料より分離されたS.aureus, E.coli, K.pneumoniae, E.cloacae, S.marcescens, P.aeruginosa 各20株について検討した。FOM単独のMICのピークは, それぞれ12.5μg/ml, 1.56μg/ml, 50μg/ml, 100μg/ml, 3.13μg/ml, 12.5μg/mlにあり, DKB単独のMICのピークは, それぞれ≦0.05μg/ml, 0.1μg/ml, 0.1μg/ml, 0.2~0.39μg/ml, 0.2μg/mlにあった。グラム陰性桿菌5菌種において, FOMとDKBは優れたin vitro併用効果を示したが, S.aureusについてはDKBのMICが≦0.05μg/mlを示す株が75%もみられ, 併用効果の判定には適さなかった。
    主に基礎疾患を有する呼吸器感染症16例にFOM単独投与 (5例) またはFOMと他の抗生物質を併用投与 (11例) して臨床効果を検討した。単独投与5例中, 著効1例, 有効2例, やや有効1例, 無効1例の成績を得, また併用投与11例中, 著効2例, 有効6例, やや有効1例, 無効2例の成績を得た。消化器症状および発疹などの副作用はなく, 臨床検査値の異常化として, GOT軽度上昇が1例, GPT軽度上昇が2例, GOTおよびGPTの軽度上昇が1例, 血清カリウム低下が1例, BUN軽度上昇が1例, 血清カリウム低下およびBUN軽度上昇が2例にみられた。
  • 酒井 克治他
    1982 年 30 巻 7 号 p. 786-805
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    術後感染症に対するCefmenoxime (CMX, SCE-1365) の有用性を客観的に評価するため, Cefotiam (CTM) を対照薬として二重盲検比較試験を行ない以下の結果を得た。
    1. 術後創感染 (試験A) での臨床効果は, CMX群92.3%(48/52), CTM群73.6%(39/53) の有効率でCMX群が有意に優れていた。
    一方, 術後腹膜炎・死腔感染 (試験B) の有効率はCMX群78.7%(37/47), CTM群73.6%(42/57) で両剤間に差を認めなかった。
    2. 最終全般的改善度の改善率は, 試験AでCMX群76.9%, CTM群71.7%, 試験BではCMX群76.6%, CTM群71.9%であり, CMX群の改善率が高かったが, 有意差は認められなかった。
    3. 全般的改善度を経日的にみた場合, 試験Aでの3日後, 5日後でCMX群の著明改善率が高く, CMXの効果発現がCTMに比べ, より速やかであった。
    4. 各症状の残存率の推移をみると, 試験AではCMX群が, 排膿, 発熱白血球数の項で消失がより早く, また試験Bでは腹部所見でCTM群の方がより早かったが, いずれも有意の差は認められなかった。
    5. 副作用ではCMX群1例 (0.9%), CTM群4例 (3.3%) ですべて発疹であった。また臨床検査値異常化例ではCMX群4例 (3.5%), CTM群5例 (4.1%) でいずれも肝機能の異常であり, 副作用の種類, 発現頻度および臨床検査値異常化の内容, 頻度とも両薬剤群間に差はみられなかった。
    以上の結果, CMXは試験Aにおいて臨床効果がCTMより有意に優れ, 試験Bにおいても臨床効果に差は認められなかったが, 有意に優れた症状所見が認められたこと, また副作用については同等であったことから, 術後感染症に対する治療薬としてCMXは明らかに有用性の高い薬剤であると結論される。
  • 山田 規恵, 磯野 美登利, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1982 年 30 巻 7 号 p. 806-811
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    昭和54年12月より56年1月に行なわれた泌尿器科領域における化学療法剤薬効評価のための二重盲検試験4群 (CMX vs, CEZ, LMOX vs. SBPC, CTX vs.CEZ, およびAM-715vs.PPA) 由来のPseudomonas aeruginosa301株の血清型別を行なった。
    G型 (14.6%), B型 (13.3%), E型 (11.6%) およびF型 (10.6%) が多く分離され, その他I型, A型, H型, M型, C型, K型, D型も分離された。また型別不能が全体の29.8%に認められた。これら血清型の分布は, 投薬前後の分離株の間で, 単一菌感染由来と複数菌感染由来の間で, また4群の二重盲検試験由来別で, 特に異ならなかった。しかし参加施設別にみると, 血清型の偏りが認められた。
    投薬の前後ともにP.aeruginosaが分離された77例中, 分離前後のP.aeruginosaの血清型が異なったものが17例に認められた。これらの多くの症例において, 投薬前後の分離株の薬剤感受, 性にも変化が認められた。
  • 1982 年 30 巻 7 号 p. 812-849
    発行日: 1982/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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