CHEMOTHERAPY
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34 巻, 11 号
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  • Disk法によるβ-lactamaseの判定と薬剤感受性について
    水野 全裕
    1986 年 34 巻 11 号 p. 1101-1110
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    尿路感染症由来菌のβ-lactamase検出をchromogenic diskであるNitrocefin disk, pHdiskであるPenicillin GdiskおよびCefazolin diskの3種diskで行ない, 各種β-lactam系抗生物質に対する薬剤感受性との関係について検討した。
    1) 3種diskの検出感度を比較すると, Nitrocefindiskの感度が最も高く, Penicillin G diskとCefazolin diskの感度はほぼ同程度であった。
    2) 個々の菌株のβ-lactamase産生性を, 3種diskの判定結果に基づいて5群ないし3群に分け, 各種薬剤のE. coli, P. aeruginosa, Serratiaに対するMIC分布との相関性について検討した。菌種および薬剤によっては, pHdiskの基質特異性を反映して5群間のMIC分布に差を認めるものの, 全般的には以下の3群判定のほうがMIC分布とより明確な相関性を示した。
    3) 3群判定は, 3種diskともに陰性の株をnegative, Nitrocefin diskのみ陽性の株をlow, Nitrocefin diskが陽性でpH diskの少なくとも一方が陽性の株をhighとした。
    4) 3群判定に基づいて, 岡山大学附属病院における最近の尿路感染症由来菌766株のβ-lactamase産生性を検討したところ, 78.2%がβ-lactamase産生株 (high31.5%, low46.7%) であり, 現在の尿路感染症起炎菌の大多数はβ-lactamase産生株と考えられた。
    5) 3群判定の結果と通常の1濃度diskによる各種薬剤の感受性率との間にもK. pneumoniaeを除く菌種において明らかな相関性を認めた。
    以上の成績より, β-lactamase産生性のdisk法による判定法は簡便かつ迅速であるのみならず, β-lactamase産生量を反映して薬剤感受性との相関を認めることから, 日常の尿路感染症治療に有用な検査法であると考えられた。
  • 宮崎 弘和, 村田 健次郎, 能塚 隆之, 古澤 元之助, 久保 博昭, 朝長 文弥, 村瀬 勢津子
    1986 年 34 巻 11 号 p. 1111-1115
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    螢光偏光免疫測定法 (FPIA法) によるヒト血中ネチルマイシン (NTL) 濃度測定を検討し, 次の結果を得た。
    1) FPIA法によるNTL測定の同時再現性はC. V.=7%以下であった。
    2) FPIA法によるNTL測定では, 一度作成した検量線は少なくとも16週間安定であった。
    3) FPIA法によるNTL測定の回収率は99.0~104.3%であった。
    4) FPIA法によるNTL測定の希釈直線性は良好な結果であった。
    5) FPIA法によるNTL測定ではヘモグロビン400mg/dl, ビリルビン20mg/dlまで測定値に影響は認められなかった。
    6) FPIA法 (Y) とBioassay (BA; X1), High performance liquid chromatography (HPLC;X2) の測定値間には, Y=0.783 X1+0.581, r=0.904, Y=0.949 X2-0.168, r=0.987の良好な相関性が認められたが, BA法はFPIA法に比べ約20%高値を示す傾向が認められた。
    以上より, FPIA法による血中NTL測定は臨床上有用であると考えられる。
  • 方法論を中心として
    池田 滋, 岩村 正嗣, 西村 清志, 荒川 孝, 石橋 晃
    1986 年 34 巻 11 号 p. 1116-1119
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    化学療法剤の前立腺への移行を検討する方法として, 現在主として摘出前立腺組織濃度を測定する方法と, マッサージにより得られた前立腺液内濃度を測定する方法がとられている。しかし前立腺組織内における詳細な移行分布に対する検討はまだ充分にはなされていない。そこで今回凍結ミクロオートラジオグラフィー法を用いて, 実験的に前立腺組織内分布を検討した。
    今回, 14C-CMZを用い, ラットの前立腺組織内分布を検討したところ, 結合織および間質部に特異的に高い分布がみられる一方, 濾胞内への分布は比較的少なかった。本結果はCMZの物理化学的性状が大きく関与しているように思われた。また本法は濾胞, 間質, 結合織など性質の異なる組織における薬剤分布が客観的にかつ直接把握ができるため前立腺組織の体内動態, ひいては細菌性前立腺炎における薬剤選択の検討法の一つとしてきわめて有用な手段となり得ると思われる。
  • 寺田 秀夫, 本村 茂樹, 速水 一雄, 高橋 悟, 綾部 晃久, 尺 次郎, 木崎 昌弘, 金山 正明, 赤塚 祝子, 伊藤 章, 丸田 ...
    1986 年 34 巻 11 号 p. 1120-1128
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    血液疾患に合併した難治感染症74例に対して, Cefmenoxime (CMX) を中心とする併用療法の有用性を検討した。全体の有効率は54.4%, 敗血症またはその疑いの症例の有効率は52.9%であった。基礎疾患別の有効率は, 急性白血病で56.6%であった。顆粒球数別では, 50l/μl以上の症例の有効率が57.1%, 500/μl以下の例が54.5%で, とくに宿主防禦力の著しく低下している100/μl以下の症例でも52.2%の優れた有効率が得られた。CMX単独投与群と併用群の有効率を比較すると, CMX単独群66.7%, 併用群47, 4%であった。細菌学的効果における菌消失率は62.5%であり, E. coli 2例, Serratia 1例において菌陰性化がみられた。副作用は3例に認められたが, 重篤なものはなかった。総合的にみた有用率は58.7%で, 本療法が血液疾患合併感染症の治療に有用であると思われた。
  • 経時的喀痰中濃度解析を中心として
    前野 秀夫, 稲富 恵子, 吉良 枝郎
    1986 年 34 巻 11 号 p. 1129-1136
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    気道感染を併発した14例の慢性呼吸器疾患の患者 (DPB9例, CB2例, BE, IIP, PSS各1例) に8時, 12時, 18時の3回各Norfloxacin (NFLX) 200mgを投与し臨床効果を判定すると同時に, 7時から23時まで1時間毎に採痰した全量について喀痰量, 喀痰比重, 喀痰中NFLX濃度を測定した。臨床効果を判定できた12例中有効は4例 (33.3%), やや有効は7例 (58.3%), 無効は1例 (8.4%) であった。14例での平均1日喀痰量は54ml, 平均痰比重は0.93であった。喀痰量の日内変動をみると10時から14時の間に喀出ピークが認められ, 1日量の47.6%がこの時間帯に喀出された。喀痰比重の日内変動は殆ど認められず, いずれの喀痰も0.9~1.0の間に位置した。喀痰中NFLX濃度は午前中は低く, 午後高く, 投与回数が増すに従って高値を示す傾向が認められた。DPB群での喀痰中NFLX濃度のピークは16時から17時の間で0.32μg/ml, 非DPB群でのピークは20時から21時の間で0.33μg/mlであった。DPBの患者を二次的気管支細気管支拡張を伴う群と伴わない群に分けて検討すると, 拡張病変を伴う群では伴わない群に比べて午前中の喀痰中濃度が明らかに低く, 進展した症例での抗菌剤の移行の遅さが示唆された。
    計13例のP. aeruginosa株でのMICの検索結果では, NFLXによる80%累積発育阻止濃度は0.39μg/mlであった。
  • 宮本 慎一, 田宮 高宏, 高塚 慶次
    1986 年 34 巻 11 号 p. 1137-1140
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cinoxacinを用いて, 女子の急性単純性膀胱炎患者に対するsingle dose therapyの有用性を検討した。Cinoxacinによる治療は, A;800mg single dose, B;1,600mg single dose, C;400mg1日2回を3日間投与, D;400mg1日2回を7日間投与の4群とした。検討した症例はA;19例, B;20例, C;16例, D;17例である。効果の判定は治療開始3日目に, 再発の検討は休薬後7日目に行なった。
    細菌尿の消失率は, A;84%, B;100%, C+D;100%であり, Aの消失率はBおよびC+Dのそれよりも低かった。膿尿の消失率は, A;84%, B;80%, C+D;88%であった。総合臨床効果は, A;90%, B;100%, C+D;100%であった。膿尿, 総合臨床効果とも各治療群間に有意差はなかった。
    有効例のうち, 休薬7日目までに再発した症例は, A;0例, B;3例, C;4例, D;1例であった。副作用は1,600mg single dose群で1例に皮膚発疹がみられた。
    Single dose therapyは女子の急性単純性膀胱炎の治療として有用であることを述べた。
  • 今川 章夫, 山本 明, 川西 泰夫, 田中 敏博, 沼田 明, 湯浅 誠
    1986 年 34 巻 11 号 p. 1141-1149
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された半合成セフェム剤L-105を, 基礎に尿路性器悪性腫瘍をもつ複雑性尿路感染症患者10例に使用し, 臨床的有効性と安全性を検討した。投与方法は1回1g1日2回計2gを14日間点滴静注した。結果は以下のごとくである。
    1) UTI薬効評価基準による有効率は5日後50%(n=4), 14日後50%(n=10) であった。
    2) 臨床症状と膿尿による臨床的効果は5日後で, 有効70%, 無効30%, 14日後は著効30%, 有効60%, 無効10%であった。
    3) 14日間のL-105の投与による自他覚的副作用, 臨床検査値異常は認められなかった。
    以上よりL-105は基礎に尿路性器悪性腫瘍をもつ宿主の複雑性尿路感染症にも有効で, 安全に使用できる抗生物質であると考えられた。
  • 今野 淳他
    1986 年 34 巻 11 号 p. 1150-1183
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    細菌性気管支炎に対する新経口用cephalosporin系抗生物質ceflxime (CFIX) とcefaclor (CCL) の有効性, 安全性および有用性について二重盲検法により比較検討を行なった。CFIXは1日200mg, CCLは1日750mgを7日間投与した結果, 以下の成績を得た。
    1) 小委員会判定による臨床効果は, CFIX群90例で76.7%, CCL群102例で78.4%の有効率であり, 両群問に有意の差を認めなかった。病型別の臨床効果でも, 急性型および慢性型のいずれにおいても両群間に有意の差を認めなかった。
    2) 主治医判定による臨床効果は, 小委員会判定と同様に両群間に有意の差を認めなかった。
    3) 小委員会判定による細菌学的効果 (菌消失率) は, CFIX群69.4%, CCL群66.7%であり, 両群間に有意の差を認めないが, 個々の菌種中H.infiuenzaeに対してCFIX群が優れる傾向を認めた。
    4) 副作用および臨床検査値異常の発現率において, 両群間に有意の差を認めなかった。
    5) 小委員会判定による有用性はCFIX群で78.8%, CCL群で77.4%の有用率であり, 両群間に有意の差を認めなかった。病型別にみても両群間に有意の差を認めなかった。また, 主治医判定による有用性でも両群間に有意の差を認めなかった。
    以上の成績より, 細菌性気管支炎の治療において, CFIXは1日200mg (分2) 投与でCCL1日750mg (分3) 投与と同様に高い臨床的有用性の得られる薬剤であることが確認された。
  • 今野 淳他
    1986 年 34 巻 11 号 p. 1184-1218
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セフェム剤cefixime (CFIX) の細菌性肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を検討する目的で, amoxicillin (AMPC) を対照として二重盲検比較試験を実施した。
    細菌性肺炎の症状・所見の明確な16歳以上の患者を対象とし, CFIXは1回200mg, 1日2回, AMPCは1回500mg1日4回を14日間経口投与して臨床効果, 細菌学的効果, 安全性, 有用性を検討した。
    CFIX群108例, AMPC群114例の計222例中, プロトコールに基づいて違反例を除外し, 有効性の解析は172例, 安全性の解析は208例, 有用性の解析は170例について実施した。なお, 有効性および有用性の解析は細菌性肺炎・肺化膿症症例と, これにマイガラズマ肺炎 (MP肺炎)・原発膿型肺炎 (PAP) 症例を加えた全症例の双方について実施し, 以下の成績を得た。
    1) AMPCに対する起炎菌の感受性分布において, AMPC群の方がCFIX群よりも有意に感受性が低かった以外, 他の背景因子に関して両群間に有意差は認められなかった。
    2) 臨床効果 (著効と有効を合わせた有効率) は細菌性肺炎・肺化膿症ではCFIX群73.5%, AMPC群78.6%, 全症例ではCFIX群70.7%, AMPC群73.3%で, いずれも両群間に有意差を認めなかった。
    3) 喀痰の4日目, 15日目改善度において, CFIX群の方がAMPC群より有意に優れていた。
    4) 細菌学的効果はCFIX群20例, AMPC群21例について解析され, 起炎菌消失率は, CFIX群100%, AMPC群81.0%であった。
    5) 安全性に関して, 副作用発現率はCFIX群2.0%, AMPC群6.4%, 断検査値異常の出現率はCFIX群17.2%, AMPC群241%であり, いずれも両群間に有意差は認められなかった。
    6) 臨床効果と安全性を勘案した有用性に関し, 有用率は, 細菌性肺炎・肺化膿症ではCFIX群72.1%, AMPC群77.9%, 全症例ではCFIX群69.5%, AMPC群72.7%であり, いずれも両群間に有意差は認められなかった。
    以上より, 細菌性肺炎の治療において, CFIXは1日400mg (分2) 投与でAMPC1日2,000mg (分4) 投与と同様に有用性の高い抗菌剤と考えられる。
  • 1986 年 34 巻 11 号 p. 1219-1225
    発行日: 1986/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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