新しい経口用セフェム剤cefixime (CFIX) の細菌性肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を検討する目的で, amoxicillin (AMPC) を対照として二重盲検比較試験を実施した。
細菌性肺炎の症状・所見の明確な16歳以上の患者を対象とし, CFIXは1回200mg, 1日2回, AMPCは1回500mg1日4回を14日間経口投与して臨床効果, 細菌学的効果, 安全性, 有用性を検討した。
CFIX群108例, AMPC群114例の計222例中, プロトコールに基づいて違反例を除外し, 有効性の解析は172例, 安全性の解析は208例, 有用性の解析は170例について実施した。なお, 有効性および有用性の解析は細菌性肺炎・肺化膿症症例と, これにマイガラズマ肺炎 (MP肺炎)・原発膿型肺炎 (PAP) 症例を加えた全症例の双方について実施し, 以下の成績を得た。
1) AMPCに対する起炎菌の感受性分布において, AMPC群の方がCFIX群よりも有意に感受性が低かった以外, 他の背景因子に関して両群間に有意差は認められなかった。
2) 臨床効果 (著効と有効を合わせた有効率) は細菌性肺炎・肺化膿症ではCFIX群73.5%, AMPC群78.6%, 全症例ではCFIX群70.7%, AMPC群73.3%で, いずれも両群間に有意差を認めなかった。
3) 喀痰の4日目, 15日目改善度において, CFIX群の方がAMPC群より有意に優れていた。
4) 細菌学的効果はCFIX群20例, AMPC群21例について解析され, 起炎菌消失率は, CFIX群100%, AMPC群81.0%であった。
5) 安全性に関して, 副作用発現率はCFIX群2.0%, AMPC群6.4%, 断検査値異常の出現率はCFIX群17.2%, AMPC群241%であり, いずれも両群間に有意差は認められなかった。
6) 臨床効果と安全性を勘案した有用性に関し, 有用率は, 細菌性肺炎・肺化膿症ではCFIX群72.1%, AMPC群77.9%, 全症例ではCFIX群69.5%, AMPC群72.7%であり, いずれも両群間に有意差は認められなかった。
以上より, 細菌性肺炎の治療において, CFIXは1日400mg (分2) 投与でAMPC1日2,000mg (分4) 投与と同様に有用性の高い抗菌剤と考えられる。
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