直腸癌術後の6例を対象とし, 術後創内滲出液中へのcefmetazole (CMZ) の移行を経日的なちびに経時的に検討した。
CMZは1回29を1日2回, 静注または60分間点滴静注で投与した。CMZ濃度はbioassayで測定した。
術後創内滲出液量および滲出液中ヘモグロビン濃度は, 術後1日目より急激に減少したが。アルブミン濃度は術当日を含む術後5日間で大きな変動を認めなかった。
24時間貯留滲出液中CMZ濃度は, 術後5日間で大きな変動を認めず, 12.7~15.3μg/ml, 平均14.0μg/mlを示した。
経時的検討では, CMZの滲出液中ピーク濃度は23.0~54.5μg/ml, 平均33.5μg/ml, 投与後10時間までの濃度曲線下面積は112~246μg・h/ml, 平均168μg・h/mlであった。
静注群と60分間点滴静注群の成績には, 経日的にも経時的にも差を認めなかった。
時間-濃度曲線の検討では, CMZは緩徐な濃度変化を示し, ピークに達するまでに約3時間を要し, ピーク時間 (ピーク濃度の1/2以上の濃度を維持した時間) は4.95時間であった。また, 12.5μg/ml以上を6.03時間, 6.25μg/ml以上を9.07時間, 3.13μg/ml以上を10.8時間にわたって維持していた。
以上の結果は, CMZの乳癌術後創内滲出液中移行成績とほぼ同等であると考えられた。
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