CHEMOTHERAPY
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38 巻, 3 号
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  • 杉浦 朗, 中村 和世, 城野 久美子, 東出 栄治
    1990 年 38 巻 3 号 p. 203-213
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1987~1988年に数ヵ所の施設で分離されたmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 58株ならびに感性S.aums17株 (MSSA) について, 抗菌剤の最小発育阻止濃度 (MIC), ペニシリナーゼ産生性, コアグラーゼ型を調べて菌株の性状を明らかにするとともに, これらの菌株に対する現在病院で常用されている殺菌消毒剤の有効濃度を測定した。
    MRSAに対するメチシリン (DMPPC) のMICは感受性測定時の温度の影響を受け, DMPPCでは72%, CEZでは76%の菌株が, MIC (37℃) 100μg/ml以上の耐性を示した。
    これらのMRSAのコアグラーゼ型はII型が64%, IV型が9%で最近の型別分布の頻度を反映していた。これらの供試菌株に対する塩化ベンザルコニウム (BAC), グルコン酸クロルヘキシジン (CHG), ポビドンヨード (PDI), グルタルアルデヒド (GTA), エタノール (EtOH) の殺菌効力とDMPPC感受性との間に関係は認められず, MRSAに対しても通常のS.aureusの殺菌消毒と同様にそれぞれの殺菌消毒剤の作用特性に応じた使用方法で殺菌可能である。また, S.aureusのコアグラーゼ型と殺菌消毒剤の効力の間にも関係は見出されなかった。BACの殺菌効力を高めるために, 0.01w/v%Na2CO3を併用すると, 30秒作用でBAC O.005w/v%以下.また20v/v%EtOHを併用するとBACO.05w/v%以下ですべて殺菌され, BACの殺菌速度が早い特性とあわせて院内環境および手指などの殺菌消毒に有効な方法である。
  • 施設別・由来別の検討
    代居 敬子, 井上 松久, 橋本 一
    1990 年 38 巻 3 号 p. 214-219
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    11病院から分離されたPseudomonas aeruginosa (緑膿菌) 101株に対する8薬剤のMICを調べた結果imipenemを除く各薬剤に対する薬剤耐性菌が分離され, 施設間でその割合いが異なった。検体別由来菌の耐性菌の割合いは尿>喀痰>膿の順であった。
    各薬剤に対する耐性菌の割合いはceftazidime (21.8%), cefsulodin (31.7%), norfloxacin (19.8%), ciprofloxacin (4.0%), gentamicin (11.9%), であり, gentamicin, ciprofloxacin耐性菌の割合いが少なかった。しかしcefotaximeおよびcefuzonamの緑膿菌に対する抗菌力は弱かった。
    一方, 今回調べた101株の中からimipenem耐性菌は検出されなかった。
  • 高橋 公毅, 菅野 治重, 宮崎 瑞明
    1990 年 38 巻 3 号 p. 220-225
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Imipenem (IPM) +fosfomycin (FOM) の併用効果を臨床材料より分離したmethicillin耐性黄色ブドウ球菌 (FOMのMICは≦64μg/ml) を用い微量液体希釈法により検討した。相乗作用 (FIC index≦0.5) は, 供試菌株17株中14株82.3%に, 不関は3株17.6%に認められた。またIPM+FOMの組み合わせは, 殺菌曲線でも24と48時間目に14株中14株に相乗効果が認められ, methicillin耐性黄色ブドウ球菌感染症に対する臨床的有用性がうかがわれた。
  • 花谷 勇治, 浅越 辰男, 高見 博, 堀江 文俊, 根本 明久, 城戸岡 謙一, 蓮見 直彦, 四方 淳一, 横山 勲, 山田 良成, 斎 ...
    1990 年 38 巻 3 号 p. 226-231
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    直腸癌術後の6例を対象とし, 術後創内滲出液中へのcefmetazole (CMZ) の移行を経日的なちびに経時的に検討した。
    CMZは1回29を1日2回, 静注または60分間点滴静注で投与した。CMZ濃度はbioassayで測定した。
    術後創内滲出液量および滲出液中ヘモグロビン濃度は, 術後1日目より急激に減少したが。アルブミン濃度は術当日を含む術後5日間で大きな変動を認めなかった。
    24時間貯留滲出液中CMZ濃度は, 術後5日間で大きな変動を認めず, 12.7~15.3μg/ml, 平均14.0μg/mlを示した。
    経時的検討では, CMZの滲出液中ピーク濃度は23.0~54.5μg/ml, 平均33.5μg/ml, 投与後10時間までの濃度曲線下面積は112~246μg・h/ml, 平均168μg・h/mlであった。
    静注群と60分間点滴静注群の成績には, 経日的にも経時的にも差を認めなかった。
    時間-濃度曲線の検討では, CMZは緩徐な濃度変化を示し, ピークに達するまでに約3時間を要し, ピーク時間 (ピーク濃度の1/2以上の濃度を維持した時間) は4.95時間であった。また, 12.5μg/ml以上を6.03時間, 6.25μg/ml以上を9.07時間, 3.13μg/ml以上を10.8時間にわたって維持していた。
    以上の結果は, CMZの乳癌術後創内滲出液中移行成績とほぼ同等であると考えられた。
  • 細田 四郎, 安藤 朗, 藤山 佳秀, 広谷 秀一, 井上 徹也, 程原 佳子, 中條 忍, 馬場 忠雄, 立脇 憲一
    1990 年 38 巻 3 号 p. 232-238
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    造血器悪性疾患30症例における41回の発熱のエピソードに対してaztreonam (AZT), piperacllin (PIPC) 併用療法の臨床効果を検討した。
    総合有効率は63.4%で, 薬剤投与前後の末梢血中顆粒球数がともに100/μl以下の重篤な免疫不全状態での有効率は57.1%であった。投与前における血清IgG濃度が900mg/dl以下の症例での有効率は60.0%であった。また本院にて分離されたPseudomonas aerugimsa29株のうち76%がaztreonamに対して感受性を示し (Kirby-Bauer法), この値は他の第三世代セフェム系抗生剤にまさるものであった。今回の検討では明かな副作用および臨床検査値の異常は認めなかった。
    以上よりAZT, PIPC併用療法は造血器悪性疾患に合併する重症感染症に対して有用と考えられた。
  • 真菌菌糸の生育におよぼすtetracyclineとpolymyxin Bとの併用効果について
    難波 宏彰, 黒田 久寅, 大塚 正道
    1990 年 38 巻 3 号 p. 239-248
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ascomycetesに属するCochliobolus miyabeanusの菌糸生育におよほすtetracycline (TC) とpolymyxin B (PLB) の併用効果について検討し, 次の結果を得た。
    (1) 菌糸の生育を50%抑制するのに必要なTCとPLBの濃度 (ED50) は, 各々140μg/mlおよび7.5μg/mlであった。
    (2) TcとPLBを併用した場合, すなわちTC17.5μg/mlとPLB1.0μg/mlの共存下で生育させた場合には, 各々単独添加の場合に比べ菌糸生育の阻害効果は3~8倍増強される。
    (3) TCとPLB共存下での細胞中への14C-TCのとりこみ量を調べたところ, TCの単独の場合に比べてその量は約3倍に増加した。この結果は, PLBが細胞質膜に障害を与えたことを示唆するものである。
    (4) PLBとTCの共存下で生育させた菌糸中のタンパク質について調べたところ, PLBとTCの共存下で生育させた場合が最も少なく, その量は対象群の約1/4量であった。なお, PLBあるいはTC単独添加で生育させた場合にも菌体内タンパク量は少なく無処理の場合の約1/2量であった。
    以上の結果は, PLBが菌糸の細胞質膜を障害し, TCが細胞内へ侵入し易くなったためにタンパク合成が阻害されたことを推定させるものであった。
  • 浅中 美幸, 栗村 敬, 戸谷 治雅, 加藤 敬香
    1990 年 38 巻 3 号 p. 249-255
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    エイズ患者に対する抗エイズ薬の投与は長期にわたるため, 当然のことながら抗エイズ効果が強いこととともに副作用の少ない薬剤が望まれる。そこで今回我々は, すでに国内で医薬品として認められている薬剤の中かち, 比較的毒性が低く長期間投与しうる薬剤58コを選び, 抗エイズ効果の有無をスクリーニングした。その結果, ロラゼパム, ホパンテン酸カルシウム, マレイン酸プロクロルペラジン, 塩酸アマンタジン, ペルフェナジン, ニトラゼパムなどの薬剤に活性が認められた。しかし, ペルフェナジンとニトラゼパムを除いては細胞毒性が見られた。また, 末梢血を用いて同様にスクリーニングをしたところ, ペルフェナジンのみに活性が認められた。
  • 町田 治彦
    1990 年 38 巻 3 号 p. 256-261
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1-β-D-アラビノフラノシル-E-5-(2-プロモビニル) ウラシル (プロバピル) の1型および2型単純ヘルペスウイルス (HSV-1およびHSV-2), 水痘-帯状庖疹ウイルス (VZV) およびヒトサイトメガロウイルスに対する抗ウイルス作用をヒト胎児肺細胞を用いてプラーク減少法により検討した。アシクロビル, プロモビニルデオキシウリジン, イドクスウリジンおよびビダラビン (アラA) を対照薬として用いた。ブロバビルはVZVの5株すべてに射して非常に顕著な抗ウイルス作用を示した。HSV-1の7株すべてに対してもプロパピルの顕著な抗ウイルス活性が確認された。VZVとHSV-1に対する平均ED50値は各々0.4および22μg/mlであった。プロパビルはVZVとHSV-1に対して, 検討した薬剤のうちで最も強い活性を示した。ED50値を基準にすると, プロバビルのVZVに対する活性はアシクロピルの2,000倍以上, ビダラピンの約4,000倍強いことになる。一方, プロパビルのHSV-2に対する活性は弱く, ヒトサイトメガロウイルスに対してはほとんど作用を示さなかった。プロバビルはHSV-1やVZV感染症の化学療法に有効な新規抗ヘルペス剤として, 特に帯状庖疹の治療薬として, その臨床応用が期待される。
  • 1990 年 38 巻 3 号 p. 262-307
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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