新cephalosporin系注射用抗生剤cefamandole sodium (以下CMDと略す) の複雑性尿路感染症に対する有効性および安全性を客観的に評傭する目的で, cefazolin sodium (以下CEZと略す) を対照薬とした二重盲検法による比較検討を行った。両剤ともに1回1.5gを1日2回5日間one shot静注した。総投与症例数は273例で, うちCMD投与群102例, CEZ投与群100例についてUTI薬効評価基準に従って判定を行い, 以下の結果を得た。
総合臨床効果は, CMD投与群では著効15例 (14.9%), 有効33例 (32.7%), 著効+有効例は48例 (47.5%) であった。CEZ投与群では, 著効18例 (18.0%), 有効25例 (25.0%), 著効+有効例43例 (43.0%) であり, 著効率および有効率には両薬剤群間に有意差は認められなかった。しかしUTI疾患病態第6群 (カテーテル非留置混合感染例) においてCMD投与群は, CEZ投与群より有意に高い有効率と細菌尿効果が認められた (P<0.05)。
自覚的副作用および臨床検査値の異常値発現頻度はCMD投与群が各々7.2%, 4.8%, CEZ投与群が5.3%, 8.1%であり, 両薬剤群間に有意差は認められなかった。これらの副作用は両薬剤群ともいずれも一過性で, 重篤例は1例も認められなかった。以上から, CMDは複雑性尿路感染症に対する治療薬として, CEZと同等か, より有効性の高い, 安全な薬剤と考えられた。
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