CHEMOTHERAPY
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29 巻, 11 号
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  • 伊藤 隆司, 須藤 守夫, 田村 昌士, 吉田 泰二, 吉田 司, 矢追 博美, 板東 武志, 佐藤 悦郎, 中村 良雄
    1981 年 29 巻 11 号 p. 1193-1200
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症18例にCephacetrlle (CEC) を静注, 点滴静注, 静注と点滴静注にて, 1日投与量2~4g, 投与期間7~47日投与し, 以下の結果を得た。
    1) 肺炎16例, 肺化膿症2例の18例において, 臨床効果は著効4例 (22.2%), 有効11例 (61.1%), やや有効3例 (16.7%) で有効率は83.3%であった。
    細菌学的効果は菌消失8例 (80%), 不変1例 (12.5%), 菌交代1例 (12.5%) で菌消失率は80%であった。
    総合的効果は著効4例 (22.2%), 有効11例 (61.1%), やや有効3例 (16.7%) で有効率は83.3%であった。
    2) 副作用は3例に発疹がみられたが, いずれも5日以内に消失した。臨床検査値の異常所見としてはGPT上昇2例, GOT・GPT上昇2例が認められた。
  • 桜井 実他
    1981 年 29 巻 11 号 p. 1201-1216
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    33例の骨・関節化膿性疾患に対し, Ceftizoxime (CZX, FK749) を原則的に1回1gを250ないし500mlの液に溶解し, 1日2回それぞれ約1時間かけて点滴静注で投与を行ない, その効果を検討した。
    急性症状を示した23例および慢性経過をたどった10例合計33例中, 著効・有効と判定されたものは29例で, 87.9%の有効率を得た。とくに急性と慢性炎症症状との間に効果の違いは認められなかった。
    外科的処置を行なった15例および非処置例18例について, 有効性の差異を求めてみたが, とくに有意の差は認められなかった。
    細菌学的な検索から, グラム陰性菌のE.coli, Proteus, Serratia, Enterbacterに対して, ≦0.025~0.78μg/mlのきわめて低いMICを示しよその臨床的有効性が大いに期待された。グラム陽性菌に対しては, CEZ, CTMよりやや高いMICを示すが, 臨床的には効果をそこなわない程度の低いMICである。
    投与期間は7日から52日間 (平均16日閥) で, 箸明な副作用は認め得なかった。Drug fever, 肝機能障宮, 白血球減少など, 抗生物質一般の副作用については, 本剤についても同様に注意を払うべきものと思われた。
  • 信貴 康孝, 高乗 仁, 若杉 真美子, 西田 実
    1981 年 29 巻 11 号 p. 1217-1222
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン誘導体・ceftizoxime (FK749) およびその立体異性体, FR14060 (ceftizoximeの7位のmethoxyimino基がanti体である) の抗菌活性, ペニシリン結合蛋白 (PBP) 親和性, 外膜透過性およびβ-ラクタマーゼに対する安定性をEscherichia coliおよびEnterobacter cloacaeを試験菌として比較した。ceftizoximeはFR14060より強い抗菌活性をもつが, 両者の外膜透過性およびセファロスポリナーゼ型のβ-ラクタマーゼに対する安定性においては, 明らかな差はみられなかった。しかし, 両化合物はPBPに対する親和性およびペニシリナーゼ型β-ラクタマーゼに対する安定性に著しく相違がみられた。PBP 1aおよび1bsに対する [14C]-ペニシリンGの結合を50%阻害するのに必要なceftizoximeの濃度は, E, cloacaeおよびE.coli両菌種において3.2~1.0μg/ml以下であった。一方, これらのPBPsに対して同様な効果を得るために必要なFR 14060の濃度はceftizoximeの10倍以上であった。ペニシリナーゼ型β-ラクタマーゼはceftizoximeよりFR 14060を速やかに分解するが, 前者のKm値が大きいために両薬剤の抗菌性はペニシリナーゼの存在に影響されなかった。これらの結果からceftizoximeとFR 14060の抗菌活性の差異は, 主にPBPの1bsの関与する細菌細胞壁の架橋反応の阻害効果の差異に由来すると考えられる。
  • Apalcillin 1日4gとCarbenicillin 1日4gの比較
    塩田 憲三他
    1981 年 29 巻 11 号 p. 1223-1277
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症に対するApalicillin (APPC) とCarbenicillin (CBPC) の治療効果ならびに両薬剤の副作用の客観的な比較検討を目的として, 全国30施設において, 急性および慢性呼吸器感染症患者187例にAPPCあるいはCBPCそれぞれ1回2gずつ, 1日2回, 原則として14日間点滴静注を行ない, 治療効果, 副作用, 有用性の両薬剤群間での比較をwell controlled studyにより実施した結果, 以下の成績を得た.
    1) 投薬187例中, プロトコール不適合例を除外した159例 (APPC投与79例, CBPC投与80例) の患者背景因子では, APPC投与群に軽症例が, CBPC投与群に重症例が多く, また, 高体温症例がAPPC投与群に多く, 重症度および体温について両薬剤群間に推計学的に有意の偏りが認められた。
    2) APPC投与79例とCBPC投与80例の臨床効果は, 著効4例: 4例, 有効62例: 40例, やや有効8例: 19例, 無効4例: 16例, 判定不能1例: 1例, 有効率83.5%: 55.0%で, 両群間に有意差 (P<0.001) が認められた。
    肺炎および肺化膿症症例66例に対する臨床効果については, 両薬剤群間に有意差は認められないが, 慢性気道感染症とその急性増悪の症例93例に対する臨床効果については, 両群間に有意差 (APPC>CBPC) が認められた。
    対象患者を重症度で層別して, 両薬剤の有効性を比較すると, 重症例では有意差が認められないが, 中等症および軽症の症例ではともに有意差 (APPC>CBPC) が認められた。
    3) 細菌学的効果については, 両薬剤群問に有意差を認めなかった。
    4) 慢性気道感染症とその急性増悪症例において, APPC投与群の発熱, 喀痰量, 赤沈値の治療に伴う改善が, CBPC投与群よりすぐれていた。
    5) 副作用出現例はAPPC投与群93例中8例, CBPC投与群89例中9例で有意差はなく, 臨床検査値異常はAPPC投与群92例中12例に対してCBPC投与群89例中21例で, とくにBUN上昇がAPPC投与群0, CBPC投与群6例と, 有意差が認められた。
    6) 臨床効果と副作用・臨床検査値異常を基に判定した有用性についても, 両薬剤群間に有意差 (APPC>CBPC) が認められた。
    以上の成績から, 慢性呼吸器感染症およびその急性増悪に対して, APPC1日4gはCBPC1日4gよりすぐれた治療効果を挙げ得るものと考えられる。
  • 志甫 理
    1981 年 29 巻 11 号 p. 1278-1286
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ペニシリンおよびセファロスポリンのβ-lactam系抗生物質の投与により何らかのアレルギー様症状を示した患者血清について間接血球凝集反応試験 (Passive hemagglutination test; PHA test) とそのhapten阻止試験 (Passive hemagglutination inhibition test; PHI test) を用いて薬剤に対する抗体の検出を試みた。
    1) PHAおよびPHItestによってアレルギー患者血清中にペニシリンおよびセファロスポリンに対する抗体を検出し得た。2) アレルギー患者血清が最も高いPHI抗体価を示した薬剤はアレルギー様症状を引き起こした薬剤と比較的よく一致した。3) 皮内反応陰性でアレルギー様症状を示した患者血清においても, ペニシリンおよびセファロスポリンに対する抗体を検出し得た。4) ペニシリンに対する抗体価の高い患者血清の抗原特異性を検討した結果, 6位側鎖とだけ反応する患者血清と6位側鎖およびpenam骨格の双方と反応する血清が認められた。
  • 土井 達朗
    1981 年 29 巻 11 号 p. 1287-1303
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    検討方法を統一したwell controlled studyより得た急性単純性膀胱炎256例, 複雑性尿路感染症450例の成績から, 原因菌の薬剤感受性の臨床的意義を検討し, 以下の結論を得た。
    1. 投与前の原因菌が消失した場合には菌交代が認められても, 細菌学的効果の検討においては, 消失として扱って差支えない。
    2. 急性単純性膀胱炎に対するAmpicillin (以上ABPC) 1g, 0.5g, 0.2g投与群, および, 複雑性尿路感染症に対するCarbenicillin (以下CBPC), Carindacillin (以下CIPC), Pipemidic acid (以下PPA) 投与群のいずれにおいても, 薬剤感受性と細菌学的効果との間に有意の関係が認められた。
    3. 臨床効果から推定される臨床有効濃度: CEL (薬剤感受性の上で臨床効果の分れる境界濃度) は, 急性単純性膀胱炎に対するABPC1g, 0.5g, 0.2g投与群ではそれぞれ209μg/ml, 241μg/ml, 50μg/ml, 複雑性尿路感染症に対するCBPC, PPA, CIPC投与群ではそれぞれ439μg/ml, 79μg/ml, 21.8μg/mlとなった。それぞれの投与群でCELで選別した感性群と耐性群との間には細菌消失率に関して有意差が認められた。さらに投与量を変えて臨床効果を検討した単純性尿路感染症では, 各投与群の耐性群の間で明かなdose responseが認められた。
    4. 複雑性尿路感染症のいずれの宿主側背景因子においても, 薬剤感受性に応じた細菌学的効果が得られた。
    5. P. aeruginosaは感性でも存続しやすく, indole positive Proteusは耐性でも消失しやすい傾向にあった。
    6. 尿中濃度はCELの重要な因子と考えられたが, 両者の相関関係については, 今回の検討では明かな結論は得られなかった。
    7. CELは原因菌と薬剤と宿主の3者の相互関係を表わしているので, 薬剤感受性と臨床効果の関係を検討する上で, より合理的な指標になると思われた。
  • 西野 武志, 尾花 芳樹, 五十川 葉子, 古志 智子, 谷野 輝雄
    1981 年 29 巻 11 号 p. 1304-1317
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された局所投与用皮膚真菌症治療薬Tolciclateについて, Tolnaftate, Clotrimazoleを比較薬物として真菌学的研究を行った結果, 次のような成績が得られた。
    1) Tolciclateは子のう菌, 不完全菌類に対して良好な抗菌力を示し, 子のう菌類に対して, Tolnaftateよりも優れ, Clotrimazoleとほぼ同等であった。また不完全菌類に対してTolnaftateと同等であり, Clotrimazoleより優れていた。
    2) 臨床分離T. mentagrophytes, T. interdigitaleに対して, Tolciclateは他の2薬物よりも優れていたが, T. rubrumに対してはTohaftateより劣り, Clotrimazoleより優れていた。またTolnaftateとの間に相関関係は認められたが, Clotrimazoleとの間に相関性は認められなかった。
    3) 抗菌力に及ぼす諸因子の影響では, 培地pH, 馬血清添加, 接種菌量により影響を受けたが, 培養時間では影響されなかった。
    4) 試験管内耐性獲得試験では, 3薬物ともに耐性の上昇は認められなかった。
    5) 生菌数に及ぼす影響では, 3薬物ともに, A. niger, T. mentagrophytesに対して殺菌的に作用した。
    6) 抗菌作用機序の検討では, カリウムイオンの漏出を認めたが, 直接的な細胞膜作用を有するものではなかった。
    7) 形態変化については, 作用濃度により, 膨化胞子や異常分芽後, 菌糸体を伸ばしていく像が観察できた。
  • Gentamicin感受性からみた4種薬剤の抗菌力と臨床効果
    坂 義人, 河田 幸道, 西浦 常雄
    1981 年 29 巻 11 号 p. 1318-1325
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    UTI薬効評価基準に準じて検討方法を統一し, 複雑性尿路感染症に対するGentamicin (GM), Tobramcin (TOB), Amikacin (AMK) およびKW-1062の薬効が検討された症例について, 薬剤感受性と臨床効果との関係を検討した。この際, とくにGM耐性菌に対する臨床効果という面から検討を加えた。
    1. 尿路感染菌に対する各剤の抗菌力は全体としてみるとほぼ同様であった。
    2. GM耐性菌は最近増加傾向にある。
    3. GM感受性と臨床効果はよく相関した。
    4. GM以外の3剤もGM感受性に比例して臨床効果が得られ, とくにKW-1062では有意の相関がみられたが, いずれの薬剤もGM耐性菌に40%以上という良い総合有効率が得られていた。
    5. GM以外のそれぞれの薬剤の抗菌力とその臨床効果との関係は, KW4062では有意に比例していたが, TOBとAMKでは有意差は得られなかった。
    6. 今回の検討では, amlnoglycoside系薬剤の感性・耐性の境界は, 慣例に従って6.25μg/ml (106cells/ml) 以上を耐性として検討したが, 薬剤によっては, 耐性側でも比較的良い臨床効果が得られたということから, 臨床的な境界値はより耐性側に存在するものと考えられた。
  • 感性, 耐性の境界に関する臨床的考察
    坂 義人, 河田 幸道, 西浦 常雄
    1981 年 29 巻 11 号 p. 1326-1332
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    尿路感染症のwell controlled study 312症例の成績をもとにして, それらの臨床効果から臨床的な感性, 耐性の境界について検討を加えた。
    1. 任意の薬剤濃度を境界として設定し, 感染菌のMIC値がそれより低いものを感性群, 高いものを耐性群とし, 両群の総合有効率を比較し, 両群間に有意差の認められる境界を検索した。有意差 (X2検定) の認められる境界には幅があることが多く (critzcal range), 大まかな値として, GM (40mg) 投与群では1.56~12.5μg/ml, GM (60mg) 投与群では1.56~25μg/ml, TOB投与群では1.56~25μg/ml, KW-1062投与群では3.13~12.5μg/ml, AMK投与群12.5~25μg/mlであったが, AMKでは有意差はえられなかった。
    2. 感染菌のMIC値によって, 症例を群別し, それぞれのMIC値における臨床効果を検討したが, 症例数によるパラツキをなるべく少なくするために, 1段階上下のMIC値の症例も加えて総合有効率を算出した。このようにしてえられた成績より少なくとも総合有効率が50%を超える成績をうるための境界値は, GM投与群 (40mg, 60mg) では, 3.13~6.25μg/ml, TOB投与群では6.25~12.5μg/ml, AMK投与群で25~50μg/mlおよびKW-1062投与群では6.25~22.5μg/mlであったが, Kw-1062では12.5μg/ml以上の領域でも50%前後の総合有効率が維持されていた。
    以上の成績は, 臨床的な感性, 耐性の境界が固定したものではないという実態を明らかにしたものである。
  • 1981 年 29 巻 11 号 p. 1333-1341
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 29 巻 11 号 p. 1342-1344
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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