CHEMOTHERAPY
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28 巻, Supplement1 号
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  • 益吉 真次, 新井 進, 三橋 進
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 1-11
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1) Cefetaximeは, グラム陽性, グラム陰性菌群に対して強い抗菌力を示し, 特にβ-lactam系抗生物質に耐性の細菌にも強い抗菌活性が認められた。
    2) Cefetaximeは, Ampicillin耐性E. coli, S. marcescensおよびGentamicin耐性P. aeruginosaに対して強い抗菌力を示し, これらの細菌に対して交差耐性は認められなかった。
    3) Cefotaximeは, Cefazolin, Cefoxitinより高い殺菌作用を示した。
    4) β-lactam系抗生物質は, 接種菌量の大小によってMIC値, MBC値に変動を受けるが, Cefotaximeも, 接種菌量の減少に伴なって, MIC値, MBC値に低下が認められた。
    5) Cefuroximeと類似の化学構造をもつCefotaximeは, PCaseに対して安定であり, P. vulgarisの産生するCSaseに対しても, 用いた抗生物質申で最も安定であった。
    6) Cefotaximeの生体内抗菌力はCefazolin, Cefotiamよりも優れていた。
  • 小酒井 望, 小栗 豊子
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 12-22
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    私どもは1978年および1979年前半に各種臨床材料から分離したStreptococcus, Haemophilus, Escherichia, Klebsiella, Enterobacter, Citrobacter, Serratia, Proteus, Pserdomonas, Flavobacterium, Achromobacter, Alcaligenes, Comamonas, Bacteroides, Fusobacteriumの各菌属, 合計1,205株について, Cefotaximeの抗菌力をCefazolin (CEZ), Cefoxitin (CFX), Cefuroxime (CXM), Cefamandele (CMD), Cefmetazole (CMZ) などのそれと比較した。
    Cefotaxmeはすべての菌種においてCEZよりも強い抗菌力を示し, 多くの菌種においてCFX, CXM, CMD, CMZよりも強い抗菌力を示した。とくに本剤はS. pneumoniae, S. pyegenes, S. agalactiae, Streptococcus group G, Haemophilus influenzaeに著しく強い抗菌力を示し, E. coli, Klebsiella, C. diversus, P. mirabilis, P. rettgeriに対しても, 他のセファロスポリン剤と比べてかなり強い抗菌力を示した。
  • 五島 瑳智子, 辻 明良, 小川 正俊, 金子 康子, 桑原 章吾
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 23-32
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新cephalosporin剤Cefotaximeのin vitro, in vivo抗菌作用をCefazolin, Cefamandole, Cefuroxime, Cefmetazoleと比較検討し。次の結果を得た。
    Cefotaximeはグラム陽性菌, グラム陰性菌に広い抗菌スペクトルを示し, とくにグラム陰性桿菌のインドール陽性Preteus, Serratia, E. cloacaeに対し抗菌力が強い。P. aeruginosa, P. cepacia, P. maltophilia, A. calcoaceticusに対しても従来のcephalosporin剤より抗菌作用がみとめられた。
    β-lactamase (penicillinase, cephalesporinase) に対してはCefuroximeと同様, 安定であった。マウス実験感染におけるCefotaximeの治療効果はCefazolin耐性のE. coli, P. mirabilis, C. freundii感染におけるCefazolinよりすぐれてした。
  • 村田 加寿美, 江崎 孝行, 甲畑 俊郎, 二宮 敬宇, 鈴木 祥一郎, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 33-41
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-lactamaseに対して安定性のあるセファロスポリン系抗生物質の1つであるCefotaximeについて, Cefazolin (CEZ), Cephalothin (CET), Cefoxitin (CFX), T-1551を比較薬剤として, 嫌気性菌に対する抗菌力をin vitroおよびin vivoで検討した。
    嫌気性グラム陽性菌およびB.fragilis groupを除くグラム陰性菌に対して, Cefotaximeは強い抗菌力を示した。B. fragiiis groupはCefotaximeに対して耐性を示した。
    臨床材料分離株に対する抗菌力では, B.fragilis groupではCFXより劣るがCEZ, CET, T-1551のいずれより若干良い成績であった。
    抗菌力に及ぼす影響では, 接種菌量ではある菌種において影響をうけ, CO2濃度でも影響をうける菌種があった。
    CefotaximeのB. fragilisに対する殺菌効果では, 1/2 MICで12時間, 1 MICで16時間の経過で再び菌数の増加を認めた。
    Cefotaximeに対する自然耐性変異株は, F. necrophorumでは認められたが, Ps.anaerobiusでは認められなかった。
    CefotaximeのMBCとMICをbroth dilution methodにより検討した。B. fragilis, B. disiasonisでは一管の差を見るのみであった。
    B. fragilis 15株を用いてβ-lactamase活性を測定した。CefotaximeはCEZ, CETよりB. fragilisの産生するβ-lactamaseに安定であった。
    薬剤含有培地における継代培養による耐性の上昇では, B. fragilisのCefotaximeに対する耐性上昇パターンはCEZと変わらなかった。
    F. necrophorumによるマウス皮下膿瘍に対してCefotaximeはCEZに比し若干良い成績であった。
  • 西野 武志, 大槻 雅子, 宮川 行正, 谷野 輝雄
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 42-64
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用cephalsporin系抗生物質Cefotaximeの細菌学的評価を既知抗生物質Cefazolin, Cefrnetazoleと比較検討した。
    Cefotaximeの抗菌スペクトラムはCefazolin, Cefmetazoleと同様で, グラム陽性菌, 陰性菌に幅広く有効であり, 特にグラム陽性菌ではStreptoceccus pyogenes, Streptococcus neumoniae, グラム陰性菌ではindole陽性のProteus菌を含むEnterobacteriaceae科の菌種にCefazolin, Cefmetazoleよりも非常に小さいMIC値を示しグラム陽性菌およびグラム陰性陸での有効性が認められた。また, Pseudomonas aeruginosaにも抗菌力を示した。Escherichia coli, Klebsiella Pneumoniae, Serratia marcescms, Pseudomonas aeruginosaに対してCefotaximeは殺菌作用を有しており, 前の3者に対してはCefazolinあるいはCefmetazoleより優れており, 後者に対してはCarbenicillinとほぽ同等の効果であった。Enterobacteriaceae科のCefazolin感性菌, 耐性菌を用いたマウス実験的感染症に対してもCefotaximeはCefazolin, Cefmetazeleに比べ優れた治療効果を示し, Pserdomonas aeruginosaに対する治療効果はCarbenicillinとほぼ同程度であった。
    以上, invitroにおけるCefotaximeの優れた効果をinvivoにおいても認めることができた。
  • 荒谷 春恵, 建石 英樹, 祢宜田 純子, 山中 康光
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 65-72
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephalosporin系抗生物質であるCefotaximeの体内動態 (血中濃度とその半減期, 体内分布, 尿中排泄およびタンパク結合) を検討した。Cefotaximeは20mg/kgをウサギおよびラットに静注および筋注した。
    1) 生物学的半減期は, 血中濃度でウサギでは30.39分 (i.m.), 9.19分 (i.v,), ラットでは41.50分 (i.m.), 9.25分 (i.v.) および筋肉 (注射部位) 濃度では24.40分であった。
    2) 臓器内には, 15分 (筋注時, 最高血中濃度をしめす) では筋肉 (注射部位)=血清>腎臓>肺臓>十二指腸>肝臓>筋肉>脳>脾臓の順であった。
    3) 尿中濃度はウサギで, 0~30分で最高値1.09mg/ml (i.m.), 1.667mg/ml (i.v.) であった。総排泄率は, ウサギ (6時間) で33.96%(i.m), 33.86%(i.v,) およびラット (24時間) で59.92%(i.m.), 59.41%(i.v.) であった。
    4) ヒト血漿, ウシ血漿, イヌ血漿, ウサギ血清, ラット血清およびマウス血清に対する結合率を遠心限外戸過法および平衡透析法で測定した。ヒト血漿とは70.13%(遠心限外炉過法), 61.31%(平衡透析法) 結合した。そのうち, 大部分は可逆性結合であった。
    アルブミンとの結合定数は0.9049であった。
  • 臨床分離株感受性ならびに家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行
    小林 裕, 森川 嘉郎, 春田 恒和, 藤原 徹
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 73-80
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新cephalosporin剤Cefotaximeは, 抗菌域が広く, グラム陰性桿菌に対してとくに強力な抗菌方を尿し, β-lactamaseに対する安定性がすぐれ, しかも毒性も低いといわれる。これらの特質は, 化膿性髄膜炎治療剤としての適格条件の一半を満たすものであり, もし必要な髄液中濃度が得られるならば, 本髭の治療に対する有用性が期待される。耐性菌の増加も加わり適切な本症治療剤が不足している今日その包含する意義は大きいので, 本剤の臨床分離株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定するとともに, 家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行を検討した。
    S. aureusに対する本剤のMICはCefazolinより1~2管高かつたが, グラム陰性桿菌に対する抗1菌力は本剤の方がはるかにすぐれ, Paeruginosaでも接種菌量106/mlで6, 3~50μg/mlのMICであった。Cefazolin耐性E. coliに対しても本剤のMICは0.8μg/ml以下であり, またK. oxytocaにおける成績からも, 本剤がβ-lactamaseに安定であることがうかがわれた。
    黄色ブドウ球菌性髄膜炎家兎に本剤100mg/kgを1回one shot静注し, その血中, 髄液中濃度測定埴から本剤のpharmacokineticsを検討すると, 髄液中濃度ピークは30分にあり, 平均6.09±1.85μg/ml, 2時間30分までの髄液中濃度曲線下面積 (AUC) は404min・μg/ml, AUC髄液血清比百分率は12.4%.髄液中濃度半減時間 (T1/2) は47.6分, T1/2髄液血清比は1.63で既報のPenicillin G, Carbenicillinの成績よりすぐれ, Ampicillinにほぼ匹敵するものと考えられた。
    以上の成績は, 本剤が人の化膿性髄膜炎の治療においても十分な効果を発揮する可能性を示唆するに足るものであり, 臨床試用のための強力な基礎となると考えられる。
  • 葛西 洋一, 中西 昌美, 沢田 康夫, 中村 孝, 橋本 仰久雄, 三上 二郎, 戸次 英一, 平沢 貞子, 阿部 弘, 笠井 一弘, 重 ...
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 81-88
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    急性虫垂炎26例, 胆石症10例, 腹壁瘻孔および痔瘻3例, 急性乳腺炎2例, その他3例の計44例の患者に, Cefotaximeを静注し採取した各種臓器内のCefotaximeの量を測定した。さらに, 採取時の末梢血を参考とした。
    急性虫垂炎において, 虫垂内濃度はバラッキが多いが, カタール性にて低く, 炎症程度に比例して濃度が高くなる傾向を認めた。
    胆石症においては, A胆汁は経時的に上昇し, 28分後に55.7μg/mlを示すものもあり, 20分値28.5μg/mlの例では, 43分後に39.0μg/mlに上昇しており, ほぼ1時間までは上昇していくものと考えられる。一方B胆汁はこれよりかなり遅れて上昇するが, 高値のものは5.06~8.45μg/mlとなっでいた。さらに, 胆嚢壁の濃度は炎症状態に比例して高値を示し, 症例によっては, B胆汁よりもかなり高い値に達していた。
    急性乳腺炎の膿汁内濃度は, 10分後で1.1~8.45μg/mlを示した。これは正常乳汁の値に比して高値であった。
    痔瘻手術時に経時的に摘出した炎症組織内濃度は, 5分後に4.8μg/gであったが, 15分後には0.9μg/gであった。腹壁瘻孔では, 3分後に9.6μg/g, 15分後に5.1μg/gを示した。従ってCefotaximeは, 炎症組織にきわめて早く移行する薬剤といえる。
  • 笠井 一弘, 新井 進, 宮本 政樹, 坂口 孝
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 89-97
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefotaximeのin vitro抗菌活性におよぼす諸因子についての基礎的検討を行うと同時に, 培地, ヒト血清, 尿, 胆汁およびウサギ肝臓ホモジネート中での安定性, 血清蛋白との結合率について検討した。
    1, 標準菌18株に対するCefotaximeのMICは低く, 強い抗菌活性がみとめられた。とくにその作用はグラム陰性菌で顕著であり, またグラム陽性菌では, S. aureusを除きCefazolin (CEZ) とほぼ同等の抗菌活性を示していた。
    2, CefataximeのMICは接種菌量により影響を受けたが, 培地の種類, pH, 馬血清添加によってはほとんど影響されなかった。
    3. 試験管内における耐性獲得はCEZに比ペCefotaximeでは比較的徐々であったが, 15代継代後のMICはE. coliの場合16倍, S. aureusの場合には8倍であった。
    4. 液体培地中で4℃ に保存したとき, Cefotaximeの抗菌活性は7日間安定であった。
    5. ヒト血清, 尿, 胆汁およびウサギ肝ホモジネート中におけるCefetaximeの抗菌活性は, 凍結保存したとき7日間安定であった。
    6. Cefotaximeの血清蛋白結合率は, イヌ<ヒト<ラット<ウサギの順であり, ヒトの場合60%とCEZの92.5%に比ペて低かった。
  • 森岡 浩, 林 昌亮
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 98-108
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephalosporin系抗生物質であるCefotaximeのマウス, ラット, ウサギにおける急性毒性ならびに, ラットに1カ月間静脈内投与したときの亜急性毒性について検討した。
    6週齢のラット, マウスではそのLD50値は静脈内投与時最も小さく, 以下腹腔内, 皮下, 経口投与の順に大きかった。幼若動物 (生後1週齢のラット, マウス) を用いた皮下投与時の急性毒性は, 6週齢の動物の場合に較べやや強く, またウサギにおける静脈内投与時の急性毒性は, ラット, マウスの場合に較べ強くみられた。しかしながら, いずれの投与経路でも, マウス, ラット, ウサギにおいて性差は認められなかった。
    Cefotaxime投与後, 投与経路に無関係に既知のcephalosporin系薬剤の場合と同様の一般症状の変化がみられたにすぎなかった。
    亜急性毒性実験では, 連続投与しうる最大量である1,000mg/kg/day投与群のほとんどの例で軽度から中等度の盲腸の拡大が認められ, 病理組織学的検索においても出血あるいは炎症性の細胞浸潤がみられた。500, 125mg/kg/day適用動物の一部にも, 軽度ながら同様の変化が認められた。
    その他, 投与部位の出血および炎症性変化に起因したと思われる軽度の変化が血液検査および病理組織学的検索時に認あられた。
  • 桜井 真夫, 北川 寛, 田中 幸子, 小峰 勇, 藤本 和巳
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 109-115
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. ウサギ皮内注射時および結膜嚢内注入時, およびウサギ, ラット筋肉内注射時のCefotaximeの局所耐薬性について検討した。
    2. 本剤の3~25%溶液をウサギ皮内に注射した時, 注射局所に, 薬液濃度に応じた炎症性変化が認められたが, その回復は速やかであった。
    3. 本剤の10~40%溶液をウサギ眼粘膜に注入しても, 局所に何等異常はみられなかった。
    4. ウサギとラットに25%Tおよび40% Cefotaxime溶液を1回, およびラットに25% Cefotaxime溶液を1日1回7日間反復筋肉内注射した時, 注射局所に急性筋炎と筋線維の変性, 壊死が観察されたが, その変化はCefazolin投与時と同程度かやや軽度であり, Cephalothin, Cephaloridineに比ペて明らかに弱く, その回復はCefazolinと同様であり, Cephalothin Cephaloridineより速やかであった。
    5. ラットに, 0.5%リドカイン液に溶解したCefotaximeを, 1回および1日1回7日間反復筋肉内注射した時, 注射局所の炎症性変化と変性壊死は, 本剤を生理食塩液に溶解注射した場合とほぼ同程度であったが, その回復は1回および反復注射時のいずれも, 0.5%リドカイン溶解群でわずかに遅延する傾向がみられた。
  • 重栖 幹夫, 富樫 修, 藤本 和巳
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 116-121
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ウサギにCefotaximeを静脈内投与 (20mg/kg) し, 高速液体クロマトグラフィー法またはbioassay法により, Cefotaximeの薬動力学的検討を行なった。
    Cefotaximeは, 半減期57.4分で血漿中から消失した。血漿中には母化合物以外にdesacetyl体 (RU 628) も検出されたが, その濃度は, 母化合物に比べるとはるかに低濃度であった。このRU628を瀞脈内に投与した時の血漿中半減期は約11分で, 母化合物に比べるとその消失速度は著しく大きかった。
    Cefotaximeは組織へ良好に移行し, 腎では最も高い濃度に, 肺, 心でも他の臓器に比して高濃度に検出された。しかし, 脳への移行はきわめて少なかった。
    体外への排泄は, 主として泌尿器系を介して行なわれ, 投与量の約75%が, 投与後6時間以内に尿中にCefotaxime: およびRU 628として回収された。胆汁中へは, 投与後6時間以内に, 投与量のわずか0.24%が, CefotaximeおよびRU628として回収されたにすぎなかった。尿中へ排泄されたCefotaximeとRU 628の量的比率は, 約1: 3.3とRU 628の方が大きく, 胆汁中にはCefotaximeとRU 628はほぼ同量排泄された。
  • 田中 幸子, 北川 寛, 小峰 勇, 桜井 真夫, 藤本 和巳
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 122-128
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    CefotaximeをFCAと共にウサギおよびモルモットに投与し, モルモットのActive systemic anaphylaxis, PCAおよびウサギのArthus反応により本剤の単独投与時の抗原性を検討したが, 抗原性は認められなかった。
    さらに, Cefotaxime-蛋白結合物をFCAと共にウサギに投与し, その抗原性および交差反応性をPCA, 定量沈降反応, 定量沈降ハプテン阻止反応により検討した。Cefetaxime-蛋白結合物に対して, Cefazolin, Benzylpenicillinの場合と同様にPCA抗体, 沈降抗体が産生された。PCA, 定量沈降反応, 定量沈降ハプテン阻止反応において, 3薬物ともにhomologousな系に比較してheterologousな系の反応性は低く, さらにCefotaxime抗原抗体系の定量沈降ハプテン阻止反応において, Cephaloridine, Cephalothinの阻止能も非常に弱かった。
    また試験管内直接クームス試験でのCefotaximeのクームス陽性化の強さは, Cefazolinと同程度でBenzylpenicillin, Cephaloridineより弱かった。
  • 笠井 一弘, 新井 進, 宮本 政樹, 坂口 孝
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 129-132
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    in vitroのモデル実験系において, 経時的に薬剤の濃度を変化させ, できるだけ生体内血中濃度推移に近似した条件下で, E. coliK. pneumoniaeに対するCefotaxime (CTX) とCefazolin (CEZ) の殺菌作用を比較検討した。
    1.1回投与モデル実験: 培養液がAntibiotic medium 3のとき, E. coliに対しては, Cefotaxime, CEZのいずれも菌の生育を完全に阻止したが, K. pneumoniaeでは, E. coliの場合に比べその殺菌効果は両薬剤とも劣り, 薬物を不活化することにより, 菌の増殖がみられた。培養液がConseraの場合, Cefotaximeの両菌種に対する殺菌効果は, いずれもCEZに比べ強く, CEZの殺菌効果が培養開始後5時間から9時間の間で消失したのに対し, Cefotaximeの作用はひきつづき9時間後も持続しており培養液中にβ-lactamaseを添加することによりCefotaximeを不活化した後, はじめてこれらの菌の増殖がみとめられた。
    2. Conseraを用いた2回反復投与モデル実験: Consera中のE. coliおよびK. pneumoniaeに対し, Cefotaximeを2回反復処理したところ, これらの菌の生育は完全に阻止され, β-lactamase処理によりCefotaximeを不活化させた後においても, 再増殖は全くみられなかった。
  • 笠弁 一弘, 新井 進, 宮本 政樹, 坂口 孝
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 133-135
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ヒトの常用量に近いCefotaximeの20-80mg/kg/dayを7日間連続ラットの尾静脈に投与し, 糞便菌叢への影響を検索した。
    Enterobacteriaceae菌数が, いずれの投与群でも投与1日後に減少した。しかし, その後の変化は, 少なく, 投与中止により増加した。また同時に検索したStaphorlococci, Streptococci, Clostridia, Bacteroidaceaeおよび, Lactobacilli菌数への影響は少なかった。一方, 対照薬物としてCefazolinを用い同様の実験を行ったが, この場合EnterobacteriaceaeおよびStaphylococci菌数の減少が認められた。
  • 笠井 一弘, 新井 進, 瀬下 美恵子, 宮本 政樹, 坂口 孝
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 136-138
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ラット皮下無菌炎症pouch内にEscherichia coli Ec-14, Staphyloeoccus aureus FDA 209 Pを感染させた後, Cefotaxime, Cefazolin (CEZ) の20mg/kg, 40mg/kgをそれぞれ6時間間隔で2回静脈内に投与し, 浸出液中の生菌数により両薬剤の治療効果を比較した。
    CefotaximeのE. coli感染に対する治療効果はCEZに比べ優れていた。すなわちCefotaximeit 20mg/kg投与群においても菌の増殖を抑制したのに対し, CEZでは初回投与後殺菌効果を示したが, 2回目投与以後は20mg/kg, 40mg/kg投与群とも生菌数が増加し。いずれも2回投与による効果は得られなかった。S. aureus感染に対する2回投与の結果Cefotaxime 20mg/kgではCEZに比べ効果が低かったが, 40mg/kg投与では両薬剤とも同等の治療効果が認められた。
  • 加藤 康道, 斎藤 玲, 石川 清文, 上村 裕樹, 小田柿 栄之輔, 松宮 英視, 佐藤 清, 富沢 磨須美, 中山 一郎, 木下 与四男
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 139-147
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-lactamase耐性新合成cephalosporin剤であるCefotaximeについて, 基礎的, 臨床的に2, 3の検討を加え以下の結論を得た。
    1) P. aerugrnosaの臨床分離株200株の感受性試験を化学療法学会標準法を用いて行った。106cells/ml接種では25μg/ml以下で83%の株が発育を阻止された。
    2) 著明な腎肝機能障害のない患者9例について, 各種投与法, 投与量により吸収および排泄を調べた。血中濃度は500mg筋注例で1時間値10数μg/ml, 血中半減期は1.2~0.7時間, 192時間点滴例では, 点滴終了時42~36μg/ml, 血中半減期は2~1.2時間, 1g one shot静注では30分値50μg/ml, 血中半減期は2~1.3時間であった。尿中排泄量は投与量の30~40%前後で他の報告に比べ低い成績であった。
    3) 呼吸器感染症6例, 尿路感染症16例, その他4例の臨床効果は著効~有効16例, 軽快5例, 不変2例, 不明3例であった。症例のほとんどが高齢者で, 基礎疾患を有していた。副作用, 臨床検査値異常は, 1例に発熱がみられた。さらに1例にGOTの軽度上昇がまた2例にRBCの軽度減少が認められたが, 原疾患のためと考えられた。
  • 長浜 文雄, 安田 真也, 中林 武仁, 小六 哲司, 斎藤 考久, 藤本 俊
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 148-153
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    種々の重症肺疾患に合併した肺感染症9症例にCefotaxime 1回15.2~58.0mg/kgを点滴またはone shot静注で7~20日間, 総使用量16~80gを使用し, その使用適応の適切でなかったと考えられた2例を除いた7症例では85.6%の高い有効率を認めた。細菌学的にはK. pneumoniae消失4, 減少1, その他H. influenxae, E. coliおよびP. mirabilisの消失をみた。また臨床検査所見他, 自他覚的副作用は1例も見られず, 本剤使用前の肝機能障害所見が本剤使用中に改善された症例もみられた。
  • 三国 主税, 相川 啓子, 吉田 弘喜
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 154-159
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephalosporin系抗生物質であるCefotaximeを血液疾患に併発した二次感染症例に使用し, その臨床効果を検討した。
    基礎疾患の内訳は急性白血病5例, 慢性骨髄性白血病2例, 慢性リンパ性白血病1例, 悪性リンパ腫4例, マクログロブリネミァ1例, 大腸癌1例であり, 二次感染症は, 肺炎5例, 敗血症2例, 腸炎または腹膜炎2例, 腹壁膿瘍1例, 肛門周囲膿癌1例, 咽頭口内炎2例, 膀胱炎1例, 計14例である。
    投与方法は1日1.5~8.0gを2~4回に分割し, 1回60~90分間で点滴静注した。投与期間は3~29日間で総使用量は6.0~10.5gであった。
    併用抗生剤はSulbencillin (SBPC), Carbenicillin (CBPC), Tobramicin (TOB), Gentamicin (GM) などで本剤単独投与6例中, 著効2例, 有効2例, やや有効1例, 無効1例であり, 併用例8例中では著効1例, 有効4例, 無効1例, 判定保留2例であった。
    起炎菌別ではE. coli, K. pneumoniaeに対して有効であった。P. aeruginosa 3例については気管支肺炎の1例は有効, CBPC, GM併用の敗血症1例は無効, SBPC, TOB併用の肺炎1例は有効であった。
    副作用としては, 少数例にトランスアミナーゼ, Al-Paseの軽度上昇がみられた。
  • 天野 克彦, 肥田 敏比古, 臼井 康雄, 菅原 俊郎, 大島 俊克, 木村 武, 川名 林治, 牧野 正人, 吉田 武志, 吉田 司, 田 ...
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 160-165
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefotaximeの最近の各種臨床株に対する抗菌力を測定するとともに, 呼吸器・尿路感染症24例に使用した。
    1) 臨床分離株のS. aureus 208株, E. coli 179株, K. pneumoniae 135株, Preteus spp. 199株, S. marcescens 94株, P. aeruginesa 97株に対するMICを測定したところ, P. aeruginosa以外には, 強い抗菌力を示した。
    2) 本研究対象者から分離された菌株についても強い抗菌力を示した。
    3) 呼吸器感染症16例では, 著効4例, 有効11例, やや有効1例であり, 尿路感染症8例では著1例, 有効5例, 無効2例であった。
    4) 副作用は1例に一過性のGOT上昇が, 他の1例にGOT, GPT, Al-Pの上昇が認められた。
  • 荒井 澄夫, 西岡 きよ, 小西 一樹, 坂本 正寛, 丹野 恭夫, 照喜名 重一, 本田 一陽, 多田 正人, 大場 奈奈子, 滝島 任
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 166-173
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephalosporin系抗生物質であるCefotaximeについて抗菌力および臨床使用から次の成績を得た。
    1) 抗菌力
    呼吸器感染症患者の喀疾から分離された菌株についてMICを測定し, H. influenzae, Klebsiella, Serratiaに対し強い抗菌力を示すとともにE. coli, Enterobacter, P. aeruginesalこ対しても, 多くの菌株に対し低いMICを示した。
    2) 臨床成績
    呼吸器感染症12例では著効2例, 有効7例, やや有効2例および判定不能1例であり, その他の感染症6例では著効1例, 有効4例, 無効1例であった。
    副作用としてGOT, GPTの一過性の上昇が1例に認められた。
  • 渡辺 彰, 青沼 清一, 富樫 秀生, 佐々木 昌子, 大泉 耕太郎, 今野 淳
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 174-185
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephalosporin系抗生物質であるCefotaximeに関して抗菌力および呼吸器感染症に対する臨床効果を検討した。
    Staphylococcus aureusに対するMICのピークは1.56μg/mlにありSulbenieillin (SBPC) より5段階優れているがCefazolin (CEZ) より2段階劣る。Escherichia coliに対するMICのピークは0.05μg/mlにありCEZ, SBPC, Dibekacin (DKB), Amikacin (AMK) のいずれの薬剤よりもはるかに優れた抗菌力を示した。Klebsgella pneumoniaeに対するMICのピークは0.025μg/mlあるいはそれ以下にあり, 検討した29株中27株までが0.39μg/ml およびそれ以下で発育を阻止された。Enterobacter cloacae 7株中6株が本剤の0.39μg/mlおよびそれ以下の濃度で発育を阻止された。Pseudomonasa Aeruginosaに対するMICのピークは25μg/mlにあり, AMKより3段階劣るがSBPCより4段階以上優れている。
    Acinetobacter calcoaceticusに対するMICの分布はPseudomonas aeruginosaの場合とほほ同じである。
    呼吸器感染症8例においてCefotaximeの臨床効果を検討した。1日量2~4gの投与で著効1例, 有効6例, 無効1例という結果が得られた。臨床効果判定を保留した3例を含めた11例に本剤を投与し, 2例で一過性のGOT, GPT上昇がみられ, うち1例ではdrug feverと白血球数減少および血小板数減少を伴ない, いずれも投与終了後には正常化した。
  • 岡山 謙一, 相馬 隆, 安達 正則, 河合 美枝子, 今高 国夫, 藤井 俊宥, 滝塚 久志, 中野 昌人, 勝 正孝, 能登谷 隆, 竹 ...
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 186-193
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    各種感染症20例 (尿路感染症13例, 肺感染症2例, 胆道感染症1例, 蜂巣織炎1例, 髄膜炎3例) にCefotaximeを1日1~6g, 7~33日間に合計14~112gを点滴投与し, その臨床効果を検討した。その結果, 20例中15例75%が有効, 2例10%がやや有効, 無効0, 判定保留3例15%であった。疾患別にみると, 尿路感染症ではE. coli, Enterobacter, S. faecalis, P. mirabilisを検出したが, 全例有効であった。肺感染症2例では1例有効, 1例やや有効であった。胆道感染症1例はやや有効, 蜂巣織炎1例は有効, 髄膜炎3例は判定を保留した。
    皮内反応は全例陰性であった。肺炎の症例においてGOT, GPTの上昇, 髄膜炎の2例において他の抗生物質と併用中GPTの上昇をみた。その他には造血機能, 腎機能等は全例異常を認めなかった。
  • 真下 啓明, 国井 乙彦, 深谷 一太, 大和 邦雄, 里見 信子, 笠井 一弘, 重栖 幹夫
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 194-217
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン系抗生物質Cefotaximeについて第1相試験を担当し, 種々の方法で延べ32名に投与しその安全性を確認した。
    本剤は臨床分離各種グラム陰性桿菌に対しひろくすぐれた抗菌力を示したが緑膿菌に対してはやや劣るようであった。
    本剤を筋注, 静注, 点滴瀞注したさいの血中濃度, 尿中排泄をバイオアッセイと高速液体クロマトグラフィーにより測定した。両者の測定値はよく一致した。また尿中の代謝物を後者の方法を用いて分離定量することができた。薄層クロマトグラフィに続くバイオオートグラフィーでは感度の面から分離確認不能であった。
    臨床的には2例に使用した。腎盂腎炎1例では有効, 肺炎+肋膜炎例は無効であった。副作用はみとめられなかった。
  • 上田 泰, 松本 文夫, 斎藤 篤, 嶋田 甚五郎, 大森 雅久, 柴 孝也, 山路 武久, 井原 裕宣, 北条 敏夫, 宮原 正
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 218-227
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephalosporin剤であるCefotaximeについて抗菌力, 吸収・排泄, 臨床効果などを検討し, 以下の成績を得た。
    CefotaximeのEscherichia coli, indole陽性Proteus属, Proteus mirabilis, Ktebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacaeなどに対する抗菌力はCefotiamより1~4段階, Cephalothin, Cephaloridine, Cefazolinなどより4~8段階すぐれ, Serratia marcescensに対しても比較的よい抗菌力を示した。一方Pseudomonas aeruginosaに対する抗菌力はGentamicin, Cefsulodinより2段階程度劣るものの, Carbenicillinより1段階程度すぐれたものであった。
    健康成人に本剤500mgおよび1,000mgを静注した際の血中濃度は5分後にそれぞれ46.2μg/ml, 69.3μg/mlに達した。以後前者で51.50分, 後者で48.07分の血中半減期 (β-phase) をもって減少し, 6時間後にはそれぞれ0.055および0.126μg/mlとなった。6時間までの尿中回収率は500mg使用で63.49%, 1,000mg使用で67.44%であつた。
    敗血症1例, 細菌性肺炎2例, 横隔膜下膿瘍1例, 胆のう炎1例, 尿路感染症8例の計13例にCefotaximeを1日1.0~4.0g, 1~21日間使用した。10例中8例に菌消失がみられ, 臨床的には10例中6例が有効であつた。
    副作用として1例に発疹と視力障害, 他の1例に筋注時の注射部位痛および静注時の悪心がみられたが, 2例とも本剤中止後比較的すみやかに改善した。本剤使用によると思われる臨床検査値の異常変動は認められなかった。
  • 清水 喜八郎, 熊田 徹平, 奥住 捷子
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 228-236
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新セファロスポリン系抗生物質であるCefotaximeの基礎的, 臨床的検討をおこなった。抗菌力については, 本剤の, E. coli, Klebsiella, Enterobacter, Serratiaに対するMICは, Cefazolinよりすぐれており, とくに106/ml接種時に, その傾向がはっきりと認められたが, P. aeruginosaに対しては上記の菌群に比して, やや劣る成績がえられた。しかしCefazolinよりはすぐれていた。
    吸収, 排泄についてはCefotaximeの血中濃度, 尿中排泄を3例の健康成人に1g静脈内投与をおこない, 平均値 (3例) で投与後30分で28μg/ml, 1時間14.4μg/ml, 2時間4.8μg/ml, 4時間1.2μg/ml, 6時間0.17μg/mlであった。尿中よりのrecoveryは6時間までで約70%であった。
    probenecid併用時は, 非併用時に比して本剤の尿中排泄が抑制された。
    臨床成績については, 慢性膀胱炎6例, 肺炎1例, 亜急性細菌性心内膜炎1例, 計8例に使用し全例有効であった。投与量は1日2g 6例, 4g 2例であつた。副作用としては1例にgranulocytopeniaを認めたが, 薬剤の投与の中止により改善した。
  • 小林 芳夫, 小沢 幸雄, 山上 恵一, 富岡 一, 内田 博, 安藤 泰彦
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 237-242
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されだcephalosporin系抗生剤であるCefotaximeの基礎的臨床的検討を行つた。
    CefotaximeはCefazolin, Cefotiam, CefrnetazoleのいずれよりもEscherichia coli, Klebsiella pneumoniaeに対する抗菌力は優れ, またEnterabacter cloacae, Serratia marcescensにこ対しても優れた抗菌力を示した。しかもPseudomonas aaruginosaに対してもTicarcillinに匹敵する抗菌力を有し, 本剤とDibekacinとの併用効果がTicarcillinとDibekacinの併用効果より優れている株が多数認められた。
    臨床的検討でも, 5例の尿路感染症中4例, 2例の不明熱患者中1例に有効で臨床面への期待をつながせた。
  • 中川 圭一, 渡辺 健太郎, 福井 洸, 小山 優, 中沢 浩亮, 横沢 光博
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 243-252
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephalosporin, Cefotaxime (HR 756, CTX) につき臨床分離の各種グラム陰性桿菌に対する抗菌力を検討し, 2例の患者につき本剤投与後の血中濃度, 喀痰内濃度を測定し16例の各種感染症に本剤を投与したので, それらの成績についてのべる。
    1) Cefotaxime (CTX) のグラム陰性桿菌に対する抗菌力をCefazolin, Cefmetazole, Cefuroxime, Piperacillinと比較したところEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacae, Serratia marcescensに対しては他の抗生剤に比しはるかにすぐれた感受性を示し, Haemophilus influenzaeに対してはAmpicillin, Cefuroxime, Cefamandoleに比し抜群の抗菌力を示した。Pseudomonas aeruginesaに対してはPiperacillin, T-1551, Cefsulodin, Gentamicinよりも劣り, Carbenicillinより若干すぐれた感受性を示した。
    2) 2例の患者にそれぞれ2g静注と2g点滴でCTXを投与した際の血中濃度および喀痰内濃度を測定した。血清中濃度は2g静注例では30分後78μg/ml, 8時間後0.36μg/ml, 2g点滴例では点滴終了時の2時間後で90.0μg/ml, 6時間後で4.0μg/mlを示し, 喀痰内濃度のpeakは両例とも≦0.1μg/mlであつた。
    3) 臨床治験例は呼吸器感染症 (RTI) 10例, 尿路感染症 (UTI) 3例, 胆道感染症 (BTI) 3例の計16例である。肺炎5例中有効1例, 無効4例であったが, 無効例4例中3例は67歳以上で全身状態不良のもの, Streptococcas faecalisが起炎菌と思われるものがあり, 他の無効の1例はウィルス感染症の可能性があった。慢性気道感染症4例に対しては著効1例, やや有効1例, 無効2例であったが, 無効の1例は, Psordomonas aeruginosaにこよる気管支拡張症で他の無効例はアレルギ一性の気管支炎であった。また重症の急性気管支炎の1例には著効を呈した。UTIのうち2例は著効, 1例はやや有効, BTI 3例はすべて有効であった。
    副作用としては臨床的にも投与前後の諸検査においても異常をみとめなかった。
    呼吸器感染症に対するCTXの有効率は低かったが, 本剤は有用性のある新しいcephalosporinである。
  • 山岡 澄夫, 山根 至二, 真下 啓明, 渡辺 誠
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 253-256
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    急性胆嚢炎の症例にCefotaxime 2gを点滴静注し, その後の血中濃度の推移と, 12時間毎18回連統投与後の血中濃度の推移を比較検討した。その生物学的半減期は, 初回時1.09時間, 最継時は1.33時間と延長し, 最終時の血中濃度は全体的に高かった。この投与期間中に肝および腎機能の悪化はみられなかった。
    臨床治験として肺炎2例, 腎孟炎2例, 肝膿癌1例, 胆道炎2例の計7例に施行した。Cefotaximeの1日投与量は2~69, 投与期間は9~20日間で, 全例とも1回1~29を5%ブドウ糖液250mlに溶解し, 1時間で点滴静注した。結果は臨床的有効5例, 無効2例, 細菌学的有効3例, 無効2例, 不明2例であった。副作用として発疹を1例, 軽度のGOT, GPT上昇を1例に認めた
  • 谷本 普一, 中田 紘一郎, 守永 真一, 立花 昭生, 岡野 弘, 滝沢 正子
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 257-261
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephalosporin系抗生物質Cefetaximeを種々の呼吸器感染症に使用し, その臨床効果を検討した。
    急性肺炎1例, 気道感染症9例計10例に本剤1日2~4gを1日2回, 点滴静注で投与した。
    臨床効果は著効2例, 有効4例, 無効2例, 判定不能2例であり, 有効率は75%であった。起炎菌はH. influenzae 3例, P. aeruginosa 1例, A. zylasoxidans 1例であり, 細菌学的にはH. influenzae3例中2例が消失, P. aeruginosa, A. xylosoxidans各1例は存続であった。
    副作用は発熱および発疹が各1例に認められた。臨床検査異常としてはAl-pの一過性上昇, 好酸球増多が各1例にみられたが, いずれも投与終了ないし中止により正常化している。
  • 島田 馨, 稲松 孝思, 佐藤 京子
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 262-265
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    cefotaximeのBacteroides fragilisに対する抗菌力をsub species levelで検討した。MIC値は接種菌量の影響をうけ, 106CFUと108CFUでB. fragilis ss. fragilisで約8倍, B. fragilis ss. thetaiotaomicronでは約2倍の差がみられた。B. fragilis ss. fragilis 28株のMIC50は106CFUで3.1μg/ml, 108CFUで25μg/mlであり, ss. thetaiotaomicron12株のそれはそれぞれ25μg/ml, 50μg/mlであった。B. fragilis ss. vulgatus 5株のMICは106CFUで0.8~25μg/ml, 106CFUで0.8~100μg/mlに分布していた。
    老年者の呼吸器感染3例, 尿路感染1例, Serratia敗血症1例に使用し, 呼吸器感染1例で著効, 呼吸器感染2例と尿路感染1例で有効, Serratia敗血症1例はやや有効であった。副作用は認められなかった。
  • 可部 順三郎, 石橋 弘義, 渡辺 哲造, 藤永 淳枝, 鈴木 英子, 東谷 満智子
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 266-273
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ドイツヘキスト社とフランスルセル社で共同開発された新しいセファロスポリン系抗生物質Cefotaximeを呼吸器感染症4例に投与した。投与量は1日2.0~4.0gで, 2~4回に分割し, 8~11日間使用した。
    対象となった呼吸器感染症の内訳は, 急性肺炎2例, 慢性肺炎1例, 慢性気管支炎1例で, 起炎菌はStreptococcus pneumoniae, Klebsiella, Haemophilus influenzaeであった。本剤投与後これらの菌はすべて消失したが, 1例に菌交代がみられ, 臨床的効果は著効1例, 有効1例, やや有効1例, 無効1例であった。
    主体菌であるHaemophilus influenzaeは消失したが, 臨床的に無効であった1例について, 本剤その他の抗生物質の血中, 喀痰中薬物動態を検討し, その原因について考察した。
    副作用は経験しなかった。
    Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzaeのほかKlebsiella, Enterobacter, Serratia, Proteusなどに強い抗菌力を有し, Pseudomonasも感受性を示す本剤は, 近年の呼吸器感染症の起炎菌がこれらの菌でしめられている場合が多いことを考えると, 呼吸器感染症全般にわたって優れた効黒を期待できる。
  • 進藤 邦彦, 伊藤 章, 福島 孝吉, 神永 陽一郎
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 274-280
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefotaximeを臨床的に内科領域感染症に用いて, 次の結論が得られた。
    1) 臨床分離株については, E. coli, KlebsiellaともCefazolinに比しはるかにすぐれた感受性を示した。
    2) 臨床的には呼吸器感染症6例, 尿路感染症3例, 不明熱2例, SBE 1例, 胆道感染症1例, 計13例に用いて著効1例, 有効5例で, 有効率46.2%であった。
    3) 副作用として, 特記すべきものはなく, 臨床検査値の異常は1例にGOT, GPTの軽度上昇がみられた。
    以上の結果からCefotaximeは重篤な副作用もなく内科領域感染症に有効な化学療法剤になり得ると思われる。
  • 松岡 康夫, 大関 一郎, 東 冬彦, 入交 昭一郎, 藤森 一平
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 281-285
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    尿路呼吸器, 胆道感染症12例に対しCefotaximeを投与し, 有効9例, やや有効2例, 無効1例, 有効率75%の成績を得た。疾患別にみると急性腎盂腎炎の5例中4例, 肺炎の4例中2例, 胆嚢炎の3例全例に有効であった。原因菌別に臨床効果をみると, E. coliに対しては3例全例に有効, S. faecalis, S. viridans, K. pneumoniae各1例に有効であった。副作用は12例中, 発疹, 手足のシビレ感を各1例に認めたが, いずれも軽微で投与中止後すみやかに改善している。また本剤投与中に軽度の肝機能障害を認めたものが1例あったが, 投与中止後まもなく改善した。
  • 武田 元, 庭山 昌俊, 岩永 守登, 蒲沢 知子, 田中 容, 和田 光一
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 286-292
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    私共はCefotaximeの家兎における腎毒性と臨床効果について検討した。
    まず, 家兎における腎毒性については, 1) Cefotaxime 500 mg/kg/日静注群, 2) Cefotaxime 500mg/kg/日静注とSisomicin 50mg/kg/日筋注の併用群, 3) Sisomicin50 mg/kg/日筋注群の3群に分け, 各群3羽の家兎に10日間連日注射を行い, 尿所見, 血清クレアチニン, 腎組織像について比較検討した。
    1群では, 蛋白尿, 血尿の出現をみず, 血清クレアチニンの上昇も認めなかった。腎組織像では, 1羽の家兎に近位尿細管上皮細胞の空胞化と腫大を認めたにすぎなかった。2群では, 蛋白尿, 血尿はほとんどみられず, 血清クレアチニンの上昇も認めなかった。しかし, 腎組織像では, 近位尿細管上皮細胞の空胞化が目立ち, 稀に壊死がみられた。3群では, 蛋白尿, 血尿はみられず, 血清クレアチニンの上昇もなかった。腎組織像でも障害はほとんどみられなかった。
    この成績より, Cefotoximeの腎毒性は少なくともCephaloridineよりも低く, また, Sisomicinの併用により腎障害の増強することが明らかとなった。
    臨床効果の検討では, 気道感染症13例, 腎盂腎炎3例, 胆道感染症1例, 蜂窩織炎1例にCefotaximeを投与し, 17例に有効, 1例に無効で, 有効率94%の好成績を得た。副作用として, GOT, GPTの軽度上昇を示した1例を認めたに過ぎなかった。
  • 薄田 芳丸, 関根 理, 青木 信樹, 清水 武昭, 若林 伸人, 林 静一, 渡辺 京子, 重栖 幹夫, 笠井 一弘
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 293-303
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1) 種々の腎機能低下患者10名 (クレアチニン・クリアランスが0~77ml/min/1.48m2) にCefotaxime 1,000mgを1回静注し, 24時間後まで経時的に採血, 採尿し, 生物学的方法ならびに高速液体クロマトグラフィを用いて薬剤濃度を測定した。腎機能低下が高度になるにしたがいCefotaximeの血中濃度はより高い濃度が持続し, 半減期は延長し, Desacetylcefotaximeの血中濃度も長時間高い濃度が持続した。
    CefotaximeとDesacetylcefotaximeの血中濃度は血液透析により低下した。
    Cefotaximeの尿中排泄は腎機能低下が高度になるにしたがい長時間続いたが, 排泄重は減少した。Desacetylcefotaximeの尿中排泄は腎機能低下が高度になると長時間にわたる排泄が続き, 排泄量も多くなったが, クレアチニン・クリアランス20ml/min/1.48m2以下の高度低下になると24時間以内では排泄されきれず, 排泄量は減少した。
    2) 呼吸器感染症11例, 尿路感染症2例にCefotaximeを1日1.5~4.0g, 4~20日間, 総量にして6~609を使用した。3例は本剤の適応でないと考えられたので効果判定から除外し, 残り10例の治療効果は著効4例, 有効5例, 無効1例であった。本剤によると考えられる重大な副作用はみとめられなかった。
  • 鈴木 慶稔, 山作 房之輔
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 304-307
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新半合成セファロスポリン剤であるCefotaximeを水原郷病院入院の患者11名に用い, 臨床効果を検討した。
    結果は, 胆のう炎の2例は起炎菌不明であるが, 1例は1日を3g筋注で使用し有効, 2例目ははじめ1日3gの筋注, 少し軽快してからは1日2gに減量したが, 著効であった。
    呼吸器感染症2例のうち1例は慢性腸閉表を伴なっていたが, 1日2gの使用で有効であった。肺化膿症の1例は入院当初BacteroidesE. coliが証明され, Clindamycin+Dibekacinにより治療を開始したが, 2週間後にはP.morganiiKl-bsiellaに菌交代したため, 本剤1日2gの使用に変更したが有効であった。
    尿路感染症は7例あるが, その内訳は無症候性細菌尿が2例, 急性腎孟腎炎が5例あり, そのうち基礎疾患を有するものは6例あった。結果は有効5例, やや有効1例, 無効1例であった。
    以上11例を総合すると, 著効1例, 有効8例, やや有効1例, 無効1例で有効率は82%であった。
    筋注時の疹痛についても検討したが, 1回, 1g, 1日3回筋注を42日間使用した例でも強い疹痛を訴えないままに投与を完了できた。また, 副作用については検査した範囲内で, 血液・肝・腎ともに異常を認めたものはなかった。
  • 金沢 裕
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 308-314
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetaximeを尿路感染症4例, 敗血症2例, 呼吸器感染症3例, 胆道感染症1例の計10例に投与し著効6例, 有効3例, 一時的有効1例の結果を得た。また, 本剤投与による副作用と思われる臨床症状は観察されず, また臨床検査所見上においても明らかに本剤によると思われる異常所見はみられなかった。
  • 大山 馨, 金木 美智子, 清水 隆作, 松田 正毅
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 315-323
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい半合成セファロスポリン系抗生物質Cefetaximeについて基礎的臨床的検討を行ったので, その結果を報告する。
    臨床材料から分離したS. aureus, S. faecalis, E. coli, Citrobacter, Klebsiella, Enterobacter, Serratia, Proteus, およびP. aeruginosa計179株について, Cefotaximeの抗菌力をCefazolin, CephalothinおよびCephaloridineのそれと比較したところ, 本剤はE. coli, Klebsiella, Enterobacter, Serratia, Proteus, CitrobacterおよびPseudomonasに対して, Cefazolin, CephalotihnおよびCephaloridineのいずれよりも強い抗菌力を示した。
    本剤の投与は呼吸器感染症15例, 胆道感染症1例, 尿路感染症5例の計21例に行った。
    その結果, 呼吸器感染症では15例中11例 (73.3%), 胆道感染症1例および尿路感染症5例には, 全例有効以上の成績を得た。副作用および検査値異常は21例中3例にみられ, 1例には発疹, 1例にはエオジン細胞の増多, 1例にはエオジン細胞の増多とGOT, GPTおよびAl-Pの上昇がみられた。しかし副作用のため本剤の投与を中止したものはなく, いずれも投与終了後正常の状態に戻った。
  • 山本 俊幸, 加藤 政仁, 永坂 博彦, 森 幸三, 武内 俊彦, 北浦 三郎, 南条 邦夫, 加藤 錠一
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 324-327
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症5例, 不明熱2例, 胆道感染症1例の中等症以上の内科的感染症計8例にCefotaximeを使用した結果, 著効1例, 有効4例, 無効1例, 判定不能2例の成績を得た。症例が少なく結諭を出し得ないが中等症ないし申等症以上の症例に対して臨床効果が期待出来る藁剤であると考える。また, 副作用は1例に一過性の発熱を認め, 臨床検査値の異常では2例に好酸球増多がみられた。
  • 澤田 博義, 小川 一也, 内田 三千彦, 山本 孝吉, 小西 博, 上田 孝典, 中村 徹, 内野 治人, 矢切 良穂, 杉本 智惟子, ...
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 328-334
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    一般感染症患者12例, 感染症を合併した血液癌患者8例, 計20症例にCefotaximeを投与し著効6例, 有効7例, やや有効3例, 無効2例, 効果判定不能2例の結果を得た。
    副作用としては肝機能異常 (GOT, GPT値の上昇) をみた症例1例以外見るべきものはない。
    本剤は血液癌に併発する感染症を含む一般感染症に有用と思われる。
  • 大久保 滉, 岡本 緩子, 右馬 文彦, 上田 良弘, 前原 敬悟, 内田 英男, 牛田 伸一, 氷室 実, 牧野 純子
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 335-348
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新cephalosporin系抗生剤の一つとしてヘキスト社とルセル社によって開発されたCefotaximeは従来のcephalosporin剤よりすぐれたin vitroの成績を示し, 臨床的にも高い有効性を示す抗生剤とされている。
    今回われわれは本剤について基礎的, 臨床的に検討した結果, これらを裏付けることができる成績を得, 今後期待される抗生剤の一つと考えられたので, それら実験成績を報告する。Staphylococcus aureusのMICは0.2~6.2μg/mlでCarbenicillinより優れているがCephalothinやCefazolinより劣る株が多い。Escherichia coliおよびKlebsiellaに対してはCefamandole, CefazolinおよびCephalothinよりすぐれ, Pseudomonas aeruginosaには100μg/ml以上の耐性株はない。一方, Serratiaに対してはさらによい感受性をみとめた。
    臨床的に基礎疾患をもつ症例10例をはじめとして計13例に本剤を使用した。効果判定可能なもの10例中8例に有効で, また本剤投与後, 諸検査成績その他に副作用と思われるものは下痢が1例に認められたのみであり, そのほかに異常はみられなかった。
  • 三木 文雄, 久保 研二, 河野 雅和, 高松 健次
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 349-357
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (CTX) について, 基礎的検討を加えるとともに, 内科系感染症に投与し, 治療効果と副作用について検討を行なった。低接種菌量における臨床分離菌のCTXに対する感受性分布のピークは, S. aureusでは1.56μg/mlに, E. coli, Klebsiella, P. mirabilis, P. vulgarisではいずれも0.1μg/ml以下に, P. aeruginesaでは12.5μg/mlに認められ, S. aureusに対するCTXの抗菌力はcefazolin (CEZ) より劣るが, グラム陰性桿菌に対するCTXの抗菌力はCEZよりかなり強いことが認められた。
    CTX 2gを2時間を要して点滴静注した場合の血清中CTX濃度は, 点滴終了直後100μg/ml, 1時間後18μg/ml, 2時間後6.2μg/ml, 4時間後0.7μg/mlを示し, 6時間後にはtraceとなる。尿中へはきわめて速やかに排泄され, 点滴終了時迄に投与量の51.9%が, 点滴終了6時間後迄に78.7%が尿中に回収された。
    敗血症2例, 肺化膿症1例, 腎孟腎炎2例計5例にCTX1日4~6gを投与した。E. coliによる腎孟腎炎では有効, E.coliによる敗血症では効果が認められたが副作用 (赤血球・顆粒白血球減少) のため投与中止後, 症状は再燃した。他の3例では無効の成績を得た。造血障害の1例以外には特に副作用を認めなかった。
  • 辻本 兵博, 清水 賢一
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 358-365
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-iactamaseに対して安定な新しいcephalosporin系注射剤Cefotaximeを9例の入院息者に使用した。
    その内訳は, 細菌性肺炎6例, マイコプラズマ肺炎1例, 膿胸1例, 肝膿瘍1例であった。患者は18~83歳までの男子4名, 女子5名で, そのうち6名は慢性気管支炎, 気管支拡張症, 肺のう胞症およびウッ血性心不全の基礎疾患を有する重症難治症例である。
    薬剤は2~4gを1日2回に分けて点滴静注 (1例のみ筋注と併用) し, 総投与量28~140g, 投与期間は7~35日であった臨床効果は著効2例, 有効3例, やや有効3例, 無効1例で55.6%の有効率を得た。
    細菌学的には, 起炎菌と考えられる7例中, 肺炎のS. pneumoniae+H. influenzae1例, H. influenzae2例, P. aeruginosa 1例の計4例が消失し, P. aeruginosa 1例, β-Streptecoccus+Pepto-streptococcus1例, 肝膿瘍のE. coli+K. pneumoniae+P. vulgaris1例が不変であった。
    全例とも本剤によると思われる副作用は認められなかった。
  • 柴田 弘俊, 植田 高彰, 田窪 孝行, 中村 博行, 園田 隆, 正岡 徹
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 366-369
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    われわれはCefotaximeを造血器悪性膿に合併した重症感染症14例に使用し, 臨床効果を解熱, 起炎菌の消失などより判定し著効2例, 有効3例, やや有効2例, 無効4例, 効果判定不能3例の成績であり, 有効率は63.6%であった。
  • 副島 林造, 田野 吉彦, 二木 芳人, 松島 敏春, 繁治 健一, 矢木 晋
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 370-378
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用cephalosporin剤であるCefotaximeについて基磯的・臨床的検討を行なった。患者分離グラム陰性桿菌に対するCefotaximeのMICのピーク値は, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabitisではいずれも0.1μg/ml以下, Serratia marcescensでは1.56μg/mlでありCefazolin, T-1551に比し極めて優れた抗菌力を示した。しかしPserdemonas neruginosaでは200μg/ml以下の濃度で発育阻止されたものは38%にすぎなかった。
    肺炎桿菌肺炎マウスの治療実験では, Cefotaxime 1日120mg/kg治療群はCefazolin 300mg/kg治療群に比しはるかに優れた治療効果を示した。
    本剤1.Ogを2時間かけて点滴静注後の最高血中濃度は22.0~25.5μg/ml (平均23.2μg/ml) であり, 6時間までの尿中排泄率は38~62%であった。
    5例について喀痰中濃度を測定した結果, 1例で0.16~0.40μg/mlの濃度が得られたが, 他はすべて0.16μg/ml以下と低値であった。
    2例について測定した胸水中濃度はそれぞれ4.5, 5.5μg/mlであった。
    呼吸器感染症患者14例, 横隔膜下膿瘍1例計15例に, 本剤1回1g, 1日2回点滴静注により2~19日間使用して臨床効果を検討した結果, 効果判定の可能であった14例では, 有効7例, やや有効4例, 無効3例であった。全例に副作用や臨床検査値の異常を呈するものは認められず, 有用性の高い薬剤であると考えられた。
  • 栗村 統, 佐々木 英夫, 玉木 和江, 村井 知也, 野崎 公敏, 松木 暁, 土井 秀之, 矢口 博美, 横田 和子, 下中 秋子, 森 ...
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 379-386
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    gram陽性菌に対するCefetaximeのMICはin vitroでCefazolin, Cefuroximeに比してやや劣り, Cefmetazoleとほぼ同じであった。gram陰性菌に対して, Cefotaximeは一般に強い抗菌力を示し, Haemophilus, Proteus, Klebsiella, ShigellaおよびSalmonellaにきわめて強い抗菌力を有し, Enterobacter, CitrobacterおよびSerratiaにも強い抗菌力がみられた。
    臨床例では, 呼吸器感染症4例中有効3例であった。尿路感染症8例中著効3例有効1例であった。無効の4例は, 前立腺肥大に合併した複雑性尿路感染症であった。
    化膿性髄膜炎, 亜急性細菌性心内膜炎, およびS. typhiのhealthy carrierそれぞれ1例は著効であり, 不明熱1例は有効であった。
    副作用は慢性汎細気管支炎例でCefotaxime投与中に呼吸困難を訴え, 投与を中止せざるを得なかった以外の例では認められなかった。
  • 滝下 佳寛, 田村 正和, 仁井 昌彦, 香西 勝人, 後東 俊博, 螺良 英郎
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 387-390
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたセファロスポリン系抗生物質であるCefotaximeの臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1) 9名の患者に延べ12回Cefotaximeを使用し, 皮下膿瘍の1例は著効, 尿路感染症の6例中3例が著効で3例が無効, 呼吸器感染症の5例では2例が有効で3例が無効であった。したがって計12例中6例に著効ないし有効であった。なお症例の大半は何らかの基礎疾患を有していた。
    2) 副作用はHodgkin氏病を有する皮下膿瘍の1例で血清GOTおよびGPT値の上昇がみられた。GOT値は使用中に正常域となり, GPT値は使用中止後に次第に正常域となった。その他の症例においては検索し得た範囲では副作用はみられなかった。
    3) 以上のことよりCefotaximeは感染症, とくにE. coliおよびH. influenzaeなどによる感染症に対して有効な抗生物質であるといえる。
  • 沢江 義郎, 柳瀬 敏幸, 岡田 薫, 滝井 昌英
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 391-405
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたcephalosporin系抗生物質であるCefotaximeについて, 基礎的, 臨床的検討を行った。
    Cefotaximeの臨床分離菌に対するMICでは, 接種菌量が108cells/mlのとき12.5μg/ml以下の占める割合が, S. aureus 94%, S. epidermidis 100%, S. faecalis 38%, E. coli 91% K. pneumoniae55%, Proteus sp. 33%, Citrobacter sp. 50%, Enterobacter sp., S. marcescens, P. aeruginosa0%で, グラム陽性球菌ではCefazolin, Ceftezoleにやや劣ったが, グラム陰性桿菌ではむしろ優っていた。106cells/mlのときは, グラム陰性桿菌のほとんどが1.56μg/ml以下であり, とくにE. coli, K. pnettmoniaeなど大部分が0.20μg/ml以下であった。
    Cefotaxime1gを筋注したときの血中濃度は, bioassay法では30分後に44.4μg/mlのピークがあり, 半減期は63分であった。1時間点滴したときは点滴総了時に61.5μg/mlのピークとなり, その後は急速に減少し, 半減期は51分であった。HPLC法ではCefotaximeとそのdeacetyl体とが分けて測定されたが, Cefotaxime値はbioassay値よりもやや低値であった。注射後6時間までの尿中回収率は55~65%で, deacetyl体も早期から排泄された。
    急性気管支炎2例, 膀胱炎1例, 敗血症の合併を疑われた急性白血病, 再生不良性貧血の4例の計7例に, Cefotaxime1日1~6g, 3~15日間使用し, 有効3例, やや有効1例, 無効3例であった。細菌学的にはHaemophilus, E. coliは除菌できたが, S. faecalis, P. aeruginosaには効果がなかった。
    また, 明らかにCefotaximeに起因すると思われる副作用は認められなかった。
  • 中富 昌夫, 那須 勝, 斎藤 厚, 堤 恒雄, 広田 正毅, 泉川 欣一, 岩崎 博圓, 重野 芳輝, 朝長 昭光, 田中 光, 仲宗根 ...
    1980 年 28 巻 Supplement1 号 p. 406-435
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefetaximeの標準株22株に対するMICはグラム陽性菌ではCefazolin, Cefamandole, Cefotiam, Cefmetazoleと同等で, グラム陰性菌にはより優れていた。臨床株950株については, S. aureus, S. epidermidisでは上記4剤より劣ったが, グラム陰性のE. coli, Peincenstans, P. rettgeri, P. mirabilis, E. aerogenes, E. doacize, C. freundii, K. agrogenes, S. marcescensなどでは4剤より極めて勝る抗菌力を示し, またP. vulgaris, P. morganiiの106cells/ml接種ではCefmetazoleが優れていたが, 106cells/ml接種では本剤が最も優れていた。P. aeruginosaに対しても12.5~50mg/mlのMICを示し, H. influenzaeに対するMICは0.05μg/ml以下であった。
    1.0g点滴後の血中ピーク値は点滴終了時に52~67μg/mlで, 2.0g投与の場合も92~127μg/mlを示した。1.0g注射後の尿中回収率は57.3%であった。
    1.0g点滴後の喀痰内移行は, H. influenzaeによる慢性気管支炎で, 注射後2~3時間目に0.07μg/mlを示し, 108~109/ml検出されていた本菌は6時間目以降除菌された。P. maltophilia107~108/ml検出された症例では0.04μg/mlが移行したが, 本菌は消失しなかった。2.0g点滴時の喀痰内移行は0.2μg/mlであった。
    呼吸器感染症26例と尿路感染症3例に本剤1日2~4g, 6~18日間投与したときの有効率は81.8%であった。
    副作用としては, 点滴後早期に悪寒・発熱を一過性に発現した6例と発疹3例および軽度のS-GOT, S-GPT値の上昇1例であった。
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