地震被害軽減に向けて既存鉄筋コンクリート建物の耐震診断,改修が進められている中で低強度コンクリートの問題が明らかとなり,これを受けてJCI中国支部では2006年に特別研究委員会を立ち上げ,コンクリート圧縮強度が13.5N/mm
2を下回る強度を持つ低強度コンクリート部材および骨組の力学的特性の解明とそれら部材および種々の工法により骨組補強を行った場合の耐震性能を明らかにすることを目的として組織的な研究を行ってきた。その成果は本誌の2010年7月号解説「低強度コンクリート建物の耐震補強の可能性」と題して報告している。その後も上記特別委員会では低強度コンクリート建物に関する研究を継続し,昨年,2006年以降の研究成果を総括し,報告書を作成した。本解説はその報告書をもとに前解説で指摘した課題と低強度コンクリート建物の診断・改修に関する考え方について述べるものである。
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