日本作物学会紀事
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83 巻 , 1 号
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研究論文
栽培
  • 鎌田 英一郎, 池尻 明彦, 高橋 肇, 前岡 庸介, 内山 亜希, 金子 和彦, 中司 祐典, 金岡 夏美, 荒木 英樹, 丹野 研一
    2014 年 83 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/27
    ジャーナル フリー
    山口県において裸麦の収量および登熟生理に及ぼす穂肥窒素による後期重点施肥の影響を調査した.2010/2011年と2011/2012年に基肥-分げつ肥-穂肥を組み合わせた5水準の窒素施肥処理(g m-2),4-2-2区,4-2-4区,4-2-6区,6-2-2区,6-2-4区を設け,収量と収量構成要素,個体群成長速度(CGR),穂および葉面積指数(S&LAI),純同化率(NAR)といった成長パラメータ,子実,穂,葉身,茎といった植物器官の窒素含有量を測定した.収量は,両年次とも総窒素施肥量が12 g m-2と多く後期重点施肥方法の4-2-6区で穂数が多く,全重が重かったことから,最も多かった.ただし,総窒素施肥量10 g m-2では4-2-4区が6-2-2区よりも少なく,必ずしも後期重点施肥の効果があるとは言えなかった.CGRも,4-2-6区でS&LAIが高く,NARが高かったことから,最も高かった.全植物器官の総窒素含有量は,両年次とも4-2-6区で穂揃期にすでに多く,登熟期間における地中からの吸収量も4-2-6区で最も多かった.総窒素施肥量10 g m-2の4-2-4区と6-2-2区は,総窒素施肥量 8 g m-2の4-2-2区よりも登熟前期でNARが低かったためにCGRが低かった.葉の含有窒素は,登熟前期に子実へと再転流していた.登熟後期のCGRとNARは,4-2-4区と6-2-2区で最も高かった.
  • 磯部 勝孝, 荻島 恵梨, 佐藤 竜司, 杉山 光, 肥後 昌男, 鳥越 洋一
    2014 年 83 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/27
    ジャーナル フリー
    発芽におけるキノアの耐塩性の品種間差と初期生育における耐塩性の作物間差を明らかにした.3タイプ13品種のキノア種子を0 mMから1000 mMの塩化ナトリウム溶液下で,発芽時の耐塩性を比較した.その結果,キノアの発芽率には品種間差が認められ,供試した中ではCICA-127が発芽における耐塩性が強いことが明らかになった.キノアとナタネ,ダイコン,コマツナを塩化ナトリウムを施用した土壌を充填したポットで育成し,出芽や初期生育量から耐塩性の作物間差を調査した.その結果,キノアは塩化ナトリウムの施用量の増加に伴う出芽率の低下が他の作物より小さく,初期生育は塩化ナトリウムを施用することにより促進された.これらのことから,出芽や初期生育時のキノアの耐塩性はナタネやダイコン,コマツナに比べて高いことが明らかになった.
  • 南雲 俊之, 金澤 裕美, 大井 友紀子, 久保 田恭子
    2014 年 83 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/27
    ジャーナル フリー
    レンゲ (Astragalus sinicus L.) は水田稲作で伝統的に使われてきた緑肥作物である.我われは成熟期レンゲの水稲への窒素供給能を評価し,開花期レンゲとの違いを考察した.湿田に成熟期レンゲを鋤き込み,栽培試験を実施するとともに,インキュベート実験を行った.その結果は,開花期レンゲと比べて,成熟期レンゲは水稲生育初期に窒素供給が少なく,基肥代替効果は小さいことを示した.これは穂数の減少をもたらし,総籾数の減少を招いた.一方,成熟期レンゲの窒素無機化が継続するという特徴は追肥の省略を期待させたが,その窒素供給能は十分でなかった.それでもなお,成熟期レンゲを使った水稲は,化学肥料なしに450 g m-2以上の収量を与えた.湿田で多量施用する条件で,成熟期レンゲは潜在的に利用価値があると推察される.
  • 島崎 由美, 渡邊 好昭, 松山 宏美, 平沢 正
    2014 年 83 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/27
    ジャーナル フリー
    窒素追肥時期がコムギ品種 「ユメシホウ」 の収量並びに子実タンパク質含有率に及ぼす影響を明らかにするため,2008/2009年と2009/2010年の2作期にわたって茎立期から登熟後期の間に,1~2週間間隔で窒素を追肥し,収量,子実タンパク質含有率および開花期から成熟期までの乾物重と窒素蓄積量の増加を無追肥区と比較した.収量は,節間伸長期の開花前16日以前の追肥と登熟中期の開花後20日前後の追肥により増加する傾向がみられた.開花期前後の追肥では,1穂粒数が減少し,収量は増加しなかった.子実タンパク質含有率は,開花期以降の追肥によってのみ増加した.節間伸長期の追肥によって子実タンパク質含有率が高まらなかったのは,無追肥区に比べて穂の窒素蓄積量は増加したものの,開花前蓄積乾物量と開花後同化乾物量が多くなることによって穂の総乾物蓄積量も窒素蓄積量と同程度に増加したためであった.一方,開花期以降の追肥では,無追肥区に比べて開花後同化乾物量よりも開花後の同化窒素量が大きく増加したため子実タンパク質含有率が高くなった.
作物生理・細胞工学
  • 哈 布日, 津田 誠, 平井 儀彦
    2014 年 83 巻 1 号 p. 32-38
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/27
    ジャーナル フリー
    塩ストレスと同時に水ストレスが作物生産を低下させることが増えると指摘されているので,塩濃度と量が異なる土壌においてイネの水利用と乾物生産および根成長の関係を明らかにした.容量の異なるポットに1~10 kgの土壌を入れ,各土壌1 kgあたり1gと2 gの塩化ナトリウム (NaCl) を入れた溶液を土壌重の50%加える2区およびNaClを加えない区を設けた.耐塩性品種IR4595-4-1-13と普通品種日本晴を移植して,その後給水しなかった.葉身の伸長停止で成長が止まったものとし,その日のイネの乾物重とNa+含有率および土壌残存水分量を測定した.地上部と根の乾物重は土壌の量が多いほど大きく,土壌NaCl濃度が増えるほど低下した.地上部乾物重は,地上部Na+含有率の増加にしたがい低下した.土壌残存水分量は土壌の量とNaCl濃度が高いほど多かったため,蒸発散量は土壌NaCl添加によって低下した.そして地上部乾物重は蒸発散量に比例的に大となった.土壌残存水分含有率はNaCl無添加土壌では根が十分に成長して低い値であったが,塩濃度が高く量が多い土壌では根の成長が小さく土壌残存水分含有率は高かった.以上から塩土壌においてもイネの乾物生産は蒸発散量に比例的に大となると同時に蒸発散量の低下はイネ根の成長阻害によって利用できる土壌水分量が減少するためであると考えられた.
研究・技術ノート
  • 渡邉 大治
    2014 年 83 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/01/27
    ジャーナル フリー
    佐世保市を中心とした長崎県北部中山間地水田において特異的に発生する水稲上位葉縁枯(以下「水稲葉枯症」と称する)の実態調査とその要因について検討した.1.「水稲葉枯症」が発生する中山間地は,平坦地に比べて日射量が20%程度少なかった.2.発症株は健全株と比べて地上部/地下部の乾物重比(以下「T/R比」と称する)が高い傾向にあった.3.慣行栽培より移植時期を遅くすることにより発症程度を軽減することができた.4.発症前には梅雨明け前後の低気圧接近に伴う局地的な乾燥風が吹き始め,梅雨明け以降も乾燥風は継続し中山間地と平坦地との気温差,湿度差が拡大しやすかった.梅雨期間の日照不足に起因する地上部と地下部の生育バランスの悪化および中山間地特有の乾燥風による茎葉の蒸散作用の促進が新しく展開した葉の水分欠乏を引き起こし,「水稲葉枯症」をもたらすことが示唆された.
日本作物学会シンポジウム紀事
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