園芸学会雑誌
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7 巻, 1 号
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  • 渡邊 柳藏
    1936 年 7 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 大井上 康
    1936 年 7 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 作物の生育については生長と發育を峻別せねばならぬ, 生長は細胞の量的増大であり發育は歴史的で質的變化を含む量の増大である。
    2. 一つの器官が生れ次で此の器官の生長そのものによる矛盾の發生によつて次の段階に進歩する。それは新しい器官の發生で, これは分化である。分化したものは生長する。しかし其の生長の仕方は外的要素に對する反應強度及量を異にし榮養素については主として前のものと對立的である。
    3. 單純な發育型の作物を見ると幼苗→壯苗→生殖→成熟→死であるようである。
    4. 葡萄と桃とについてもN, P, Kはいづれも同一量に於て施與順序が變ると結果を異にしてくる。
    5. 生殖器官を收穫對象とする葡萄及桃では其が最大に發達し完く成熟するような環境を與へる必要がある。榮養素的に見るとN→P→Kの順に施した場合が最もよいようである。
    6. 然し此處でN→P→Kと記したのはNの重要期に於てP, Kが不要だと云ふのではない相對的過剩を意味するのである。
    7. 然し實驗によると有機Nが體中に充分作られてある時は成熟期にはNは全く不要であり其の存在は發育の反動化即ち若返へりを來し成熟は遲れ糖分は低下する。
    8. 榮養器官と生殖器は後者の發生初期に於ては依存的で, 生長するに從つて拮抗的となる。
    9. 同一の肥料成分配合で何時でも有利な率と云ふものは存在し得ない。或る時期に有利な率は又別の時期には有害であつたり又其の逆もある。
    10. 依つて肥料の配合率は作物の榮養週期と一致させなければならぬ。
    11. 有機質肥料に何か不可解な成分があつたりして果樹や果菜に特效がありその特效が化學肥料では代行されないと考へるのは誤謬である。それは分解の速度に主として關するものである。
    12. 從つて同一の成分量を化學肥料で施しても施肥期と順序とを榮養週期の上から誤りさへしなければ全く同一の或はそれ以上の良肥效を呈せしめる事が出來る。
    13. 發育の順序が, 榮養體→生殖體であるから此の榮養週期N→PKを逆にすると反動化が起り落葉の不完全, 遲延, 果實の成熟遲延又は不成熟, 土用芽,秋芽等の發生等が現象される。
  • 江口 庸雄
    1936 年 7 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 藤村 次郎
    1936 年 7 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1, 砂土, 植砂土, 及び粘土を用ひ, 其2種づつを以て深さ15cm毎の互層を作り, これに栽植せる梨樹を2年後に調査し, 各層間の根の分布を比較した。
    2, 粘土層を有するものは, 砂土及び植砂土のみのものより, 地上部並に地下部の重量は優り, 地上部對地下部の比は大であつた。
    3 深さ30cmまでに根の80%以上を含んでゐたが, 根の分布の最も多い層は, 保水力の大なる土層の位置により, 深さ15cmまでに或はその下層にあつた。深さ30cm以下の深層に於ては, 表層に於けるより根の發達は土質の影響を受けることが著しかつた。
    4, 砂土はその位置の深くなるに從ひ根の分布に不適であり, 植砂土はその位置の深くなるに從ひ根の分布に良好であり, 粘土は根の分布に最も適してゐたがその位置の深くなるに從ひ植砂土に接近された。
    5, 細根の分布状態は根系の分布状態よりも土層の影響を受けることが著しかつた。
    6, 細根は粘土層に最も多かつた。植砂土は砂土に比し, 兩者が粘土と互層をなす場合は大差がなかつたが, 兩者が互層をなす場合は植砂土の方に細根は多かつた。
    7, 細根率は, 砂土と植砂土とのみの場合は粘土層を有するものより大であつて, 植砂土層は砂土層より大であつた。粘土層を有する場合は細砂率は比較的小であるが, 粘土層は砂土層及び植砂土層より大であつた。
    8, 皮部の枯死せる根が少なからずあつた。その歩合は, 砂土及び植砂土には著しく大であつたが, これらが粘土と互層をなす場合には比較的小となり,粘土層内に於ては最も小であつた。
  • 梶浦 實
    1936 年 7 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 筬屋及鹿の爪の2品種を供試し1934及び35の兩年に亙つて授粉小試驗を行つた。
    2. 兩種共不完全ではあるが自家不結實性を有し, 栗の特性から見れば實用的には自家不結實と考へられる。
    3. 栗の不授精果の落果は他の多くの果樹より著しく遲く, 8月下旬にならねば完了しない。
    4. 筬屋に銀寄又は鹿の爪を交配した果實は咸從 (支那栗) を交配したものより1粒の重量が大きい事が認められた。
  • 熊澤 三郎, 西村 周一
    1936 年 7 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 東洋に栽培されてゐる蘿〓類を分布及び生理, 形態より, 1. 生食用種群, 2. 日本蘿〓群, 3. 南支蘿〓群, 4. 支那廿日大根群, 5. 西洋廿日大根群に分類する事を試みたが, 此分類は澱粉の多少及び比重に依つても一部裏書きされる。
    2. 澱粉は第1群最多く, 第4群之に亞ぎ, 第2, 第3, 第5群には少い。各群内の品種間にも差異が認められる。澱粉の多いものは生食に適し, 煮食に用ひられない。
    3. 比重は第1, 第4, 第5群重く, 100以上に達し, 第2, 第3群は輕く98内外で, 水分の多少と逆比例し, 又澱粉の多少と大體一致する。又鬆入りも極敏感に比重に表れるので, 採種用母本鑑定に應用し得る。
    4. 各群の代表的品種の水分, 澱粉, 糖分を分析し, 上記の結果を實證した。水分は第1, 第4群少く, 第2, 第5群が多い。澱粉は第1群は第2群の7倍を示した。第4群は之に亞いで多い。
  • 澤田 英吉
    1936 年 7 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • HIDEO ITO
    1936 年 7 巻 1 号 p. 58-71
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 渥美 樟雄
    1936 年 7 巻 1 号 p. 72-85
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 筆者は本年, 大正13年 (1924年) に採種された種齡12年の白莖體菜種子に就いて二三實驗的觀察を行つた。本丈は其豫報である。
    2. 其の結果, 發芽率は尚40%を示し發芽は極めて緩徐, 且つ不齊なるを認めた。
    3. 發芽の状態を觀察するに, 新種子と異り子葉が先立つて出現して來るのを認めた。
    4. 幼植物に就いて見るに其幼根の悉くが先端に傷害を蒙つて居て正常な生長を行はず, 僅に少數のものが不定根によつて伸長するに過ぎなかつた。
    5. 茲に供用した種子は先天的には異常無く, 保存中に何等人工的處理を加へたものではないから, 幼根の被害は全く長期保存の爲と考へられる。又上記の發芽遲延も, 子葉先出も共に幼根の不完全なるにより惹起せられた如く想像せられる。
  • 松原 茂樹, 飛高 義雄
    1936 年 7 巻 1 号 p. 86-111
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 日本南瓜 (Cucurbita moschata) を用ひ, 播種期を異にして親蔓, 子蔓に於ける雌雄花及兩性花の出現並に雌雄の性比に就て調査した。
    2. 雌花雄花共に性比率及兩性花發現に對しては大體同樣の傾向を有して居るが, 親蔓より子蔓の方が雄花に對する雌花の割合は大きいが, 總出現數は親蔓の方が多い。
    3. 雌花は大體に於て早期播種のもの程多く, 以後次第に減じ, 7月播種のものは最も尠く, 8月には再び増加する。
    4. 雄花は最初尠く, 次第に増加し, 6月播種のもの最高に達し, 以後再び減少する。
    5. 結果率は子蔓の方が良好であるが, 親蔓子蔓共に大體に於て早期播種のもの程良好であるが, 8月播種のものも比較的良好である。
    6. 高温期即ち7月中旬以後9月迄多く兩性花の出現を見, 8月中旬は最も多い。殊に6月15日及び, 7月1日播種のものは兩性花の出現が多い。
    7. 兩性花は, 雌雄蕋共に完全であつて, 結果率は非常に尠なきも, 或程度結實し種子も生成し, 50%以上の發芽率を有す。
  • 安藤 茂市, 門田 寅太郎
    1936 年 7 巻 1 号 p. 112-117
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 新潟縣下の特産地に於ける山百合の個體群に就き其の鱗片の形質と鱗莖の品質及葉の形態との相關を調査し優良にして整一なる系統の選拔を行へり。
    2. 鱗片の形態の相違に依りA, B, C, Dの4階級に分類することを得たり, 而して(A)及び(D)系の階級に於ては其の鱗片と鱗莖の品質及葉の形態間に密接なる相關あるを認めたり。(B)及(C)系は兩者の中間型と見做すべきなり。
    3. (A)系に屬するものは葉は廣葉型, 鱗莖は扁球状にして各片厚肉且つ緊密にして淡黄白色, 品質優良にして最も實用的價値大なるを認めたり。
    4. (A)系を改良1號と稱し將來本系統の増殖を計り一般に普及せしむる事とせり。
  • 高田 邦輔
    1936 年 7 巻 1 号 p. 118-136
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 増田 耕作
    1936 年 7 巻 1 号 p. 137-146
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. ここに設置せる硬度計は組織を壓縮せしめて其の組織に相應せる硬度曲線を出す事が出來た。
    2. 此硬度曲線によりて苹果の硬度並に苹果の性状を測定する事が出來た。
    3. 苹果の組織の温度,乾燥, 氷結, 膨壓等の物理的變化による硬度曲線を知る事が出來た。
  • 被袋材料の種類が果點並に果實内葉緑素の發達に及ぼす影響
    永澤 勝雄
    1936 年 7 巻 1 号 p. 147-167
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 本實驗は被袋材料の種類が和梨果實の果點コルク及果實内葉緑素含有量の發達に及ぼす影響を數量的に調査したものである。
    2. 實驗に採用した品種は, 緑色種として二十世紀, 太白, 菊水, 中間色種として赤穗, 眞鍮, 銹褐色種として長十郎, 早生赤の7品種で, 新聞紙, 〓紙,ハトロン紙及セロファン紙袋を掛け, 6月中旬, 7月中旬の幼果及各品種の成熟期に於て, 果點コルクの大さと果實内葉緑素含有量とを比較測定した。
    3. 果點コルクの發達は被袋材料の種類により影響せられること甚だ顯著であり, 特にセロファン紙袋内果實に於て發達明瞭である。この傾向は銹褐色種及中間色種に於ては顯著であるが, 緑色種に於ては左程闡明に表はれない。
    4. 表皮下一定の深さまでの果肉内葉緑素含有量は, 果實の被袋材料の種類により, 大なる變化を受け, 白色セロファン紙袋内果實は常に多量で, 黒色紙區は最少である。その他の各種袋に於ても比較定量をなし, 肉眼的觀察による果皮の緑色順位と對比して考察するところがあつた。
    5. 果肉内葉緑素含有量をその浸出溶液に就き比色計により測定した緑色順位と肉眼的觀察による果皮の緑色順位とは品種により必ずしも一致しないことは, 果實内葉緑素の發達が, 葉緑素の發達を支配する要因に對し反應する状態が品種により多少異るもののあることを暗示するものとして興味あることである。
    6. 果肉内に於ける葉緑體の各細胞層内の分布状態を組織の横斷切片に就き檢鏡したところによりば, 幼果期に於てはその分布區域大で且各細胞内葉緑素量も亦大であるが, 果實の發育と共に減少する。尚黒色袋内果實に於ては白色區のものに比し著しく葉緑體の分布量が減じてゐるのが認められる。
  • 蛭田 正
    1936 年 7 巻 1 号 p. 168-184
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 東海林 繁治
    1936 年 7 巻 1 号 p. 185-193
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 馬鈴薯の要素缺乏栽培が生産收量に及ぼす影響並に此等各區別毎に生産せる塊莖を種薯に供用せる場合の生産並收量に及ぼす關係に就いて調査せり。
    2. 肥料3要素中何れを缺くも收量を減ずるも就中窒素加里の影響特に大なり。
    3. 或要素の缺乏状態に於て生産せられたるものを種薯となせる場合完全肥よりも無肥料, 無窒素状態の下に生産されたるものは概して良好なる結果を示せり。
  • 矢富 良宗, 伊地知 弘一
    1936 年 7 巻 1 号 p. 194-199
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 果實の成熟度は環状剥皮上部の葉數に略ゝ平行せるを見た。
    2. 枝の成熟度並びに直徑成成長も亦環状剥皮上部の葉數に平行せるを見た。
    3. 癒合組織の形成状態は發育期に於ては環状剥皮上部より著しく生成され着色期以後は剥皮下部より急速に發達せる傾向を認めた。
    4. 此の事は發育の時期に依り又部位に依り支配的生長が變化し, 之が爲同化樹液の移動速度及方向が變化するものと考へられ大井上は以上の如き現象をanaptiperiodism と稱して居る。
  • 野村 滿義
    1936 年 7 巻 1 号 p. 200-204
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 新畸形花, 咲分及花瓣と雄蕋との分化過程に就て調査した。
    2. 新畸形花は花梗の合同であるは勿論なるもの比較的稀有のものである。
    3. 咲分は非メンデル性遺傳をなすは周知の事實なり, 花瓣の色物殊に底部の色は雄蕋の色を支配する。
    4. 花瓣と雄蕋の分化に就ては花瓣は1種, 雄蕋は5種の分化過程を持つ。
    5. 花瓣數と雄蕋數とは相關々係を持つ。
  • 大井上 康
    1936 年 7 巻 1 号 p. 205-206
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    此の實驗から次のやうな事實を認める事が出來るだらう。
    1. 根極性→苗極性への轉化は苗極性→根極性への轉化の場合と全く逆にNの注入が有利でCの注入が不利であるかのやうである。
    2. 不定芽の發生量はN注入の場合に多くC注入の場合に少い。
    3. 不定芽の發生に要する挿根後の時間もN注入のものに於て少くC注入のものに於て多い。
    5. 無機Nの中硝酸はアンモニアとなり後アミノ酸に轉化するものゝ如く結局無機Nを注入しても時間の經過に從つてアミノ酸となるものゝようである。
  • 大井上 康
    1936 年 7 巻 1 号 p. 207-208
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 葡萄の冬眠初期の樣に重い水を吸收させると萠芽が著しく遲くれる。
    2. 重い水を吸收せしめた葡萄の枝は然らざる枝に比しはるかに晩くまで其の體内の貯藏養分中炭水化物及蛋白は小分子化合物に還元しない。
    3. 萠芽後に於ては重水を吸收せしめた葡萄の枝は少くも萠芽後一時生長が旺盛になるように見へる。
  • 遠山 正瑛
    1936 年 7 巻 1 号 p. 209-211
    発行日: 1936年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
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