1, 砂土, 植砂土, 及び粘土を用ひ, 其2種づつを以て深さ15cm毎の互層を作り, これに栽植せる梨樹を2年後に調査し, 各層間の根の分布を比較した。
2, 粘土層を有するものは, 砂土及び植砂土のみのものより, 地上部並に地下部の重量は優り, 地上部對地下部の比は大であつた。
3 深さ30cmまでに根の80%以上を含んでゐたが, 根の分布の最も多い層は, 保水力の大なる土層の位置により, 深さ15cmまでに或はその下層にあつた。深さ30cm以下の深層に於ては, 表層に於けるより根の發達は土質の影響を受けることが著しかつた。
4, 砂土はその位置の深くなるに從ひ根の分布に不適であり, 植砂土はその位置の深くなるに從ひ根の分布に良好であり, 粘土は根の分布に最も適してゐたがその位置の深くなるに從ひ植砂土に接近された。
5, 細根の分布状態は根系の分布状態よりも土層の影響を受けることが著しかつた。
6, 細根は粘土層に最も多かつた。植砂土は砂土に比し, 兩者が粘土と互層をなす場合は大差がなかつたが, 兩者が互層をなす場合は植砂土の方に細根は多かつた。
7, 細根率は, 砂土と植砂土とのみの場合は粘土層を有するものより大であつて, 植砂土層は砂土層より大であつた。粘土層を有する場合は細砂率は比較的小であるが, 粘土層は砂土層及び植砂土層より大であつた。
8, 皮部の枯死せる根が少なからずあつた。その歩合は, 砂土及び植砂土には著しく大であつたが, これらが粘土と互層をなす場合には比較的小となり,粘土層内に於ては最も小であつた。
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