1. メロン“Ear1's Favourite”系品種を木箱栽培し,1株当り窒素6, 12, 18g;燐酸5, 10, 18g(カリ10g一定)のそれぞれ3水準におけるfactorial combinationにより9処理区を設け,さらに当地方の標準慣行施用区を加え,これら肥料処理が植物体の生育,果実の品質ならびに植物体各部の養分吸収量におよぼす影響について調査した。
2. 植物体の生育は燐酸の施用量に,比例して旺盛となり,葉,茎の乾物重,果重は増加し,果実の品質もすぐれていた。一方窒素は燐酸とほぼ逆な関係があつた。
3. 植物体各部の窒素吸収量は明らかに窒素の施用量と比例して増加した。部分別の窒素吸収量は果肉が最も多く,以下葉,種子,茎,根の順序であつた。
4. 植物体各部の燐酸吸収量は明らかに燐酸の施用量に比例して増加した。部分別の燐酸吸収量は果肉が最も多く,以下葉,種子,茎,根の順序であつた。
5. 全植物体のカリ吸収量は窒素の施用量が増加するにつれて減少し,燐酸の施用量に比例して増加した。部分別のカリ吸収量は果肉が最も多く,葉,茎がこれにつぎ,根,種子はきわめて少なかつた。
6. 葉,茎,果肉および全植物体の石灰吸収量は明らかに窒素の施用量が増加するにつれて減少した。また部分別の石灰吸収量は葉が最も多く,以下果肉,茎,種子,根の順序であつた。
7. 葉および全植物体のマグネシウム吸収量は明らかに窒素の施用量の増加につれて減少した。部分別のマグネシウム吸収量は果肉が最も多く,以下葉,茎,種子,根の順序であつた。
8. 本実験結果から植物体の生育,果実の品質および養分吸収量などから考慮して,最適の組合わせは窒素12g,燐酸18g区および標準慣行区で,前者の1株当りの5要素吸収量はN6.2g, P
2O
52.0g, K
2O9.7g, CaO4.6g, MgO1.1g,後者のそれはN5.5g, P
2O
52.2g, K
2O6.7g, CaO7.5g, MgO2.6gであつた。
9. 果実の品質と養分吸収量とは密接な関係があるものと思われる。
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