1. 本實驗は植付前大島鐵砲百合の7寸球を使用して, 温度處理と開花との關係を硝子室に於て1月末日迄の早期に開花した個體に就て調査したのである。
2. C. 13度位の窖室内に6月下旬入ることは, 發根, 發芽を促進し, 40日以上の場合は其の效明かであるが, 感受性が不整であり, 爲に發芽勢及開花勢が不良である。
3. 球根を一度C27度位の高温場所に置き, 後C13度の窖室に40日間入る時は, 發根, 發芽がよく促進され C零度近く迄の低温にせざるとも, 2ケ月半以内で開花せしめ, 且發芽率及發芽勢, 開花率及開花勢を増すことが出來る。然し窖室内の期間20日以内では其の效顯著でない。
4. C27度の高温を與へ, 後窖室に20日入れ, 更に C0-3度の冷藏庫に20日間入れることに依つて, 發芽勢, 發芽率, 開花勢, 開花率を増進するのみでなく, 一層生育を促進する。
5. 直接C0-3度の場所に入れ. 直ちに高温場所に出すことは效果少なく,少なくも10日以上, 特に20日間C13度位の場所に入れ, 順次高温を與ふる場合に優良な開花を見る.
6. 球根を發根前にC零度近い低温處理をなすよりも, 發根後に於てなす方效果多く, 冷藏前後の極度の温度較差は生育を不良ならしむ。
7. 球根を一度C零度近い環境を與ふることは, 其の適期を選ぶことが重要な點であり, 其の期間に依つて發育開花に影響する.
8. 低温處理に依る影響は, 栽培温度C15度 (F60度) 以上の場合に明かに顯はれ, 其れ以下になると栽培中の温度の影響の方が大となる。
抄録全体を表示