園芸学会雑誌
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21 巻, 2 号
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  • 熊澤 三郎, 西村 周一
    1952 年 21 巻 2 号 p. 65-72
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    本邦, 東亞地區並に米國より蒐集した64の品種及び系統について1948年より1951年まで4ケ年にわたつて諸形質を調査し品種分類を行つた。從來の研究では大粒, 小粒, 又は匐性, 立性等の形質を基本として Spanishtype (小粒立性種) と Virginia type (大粒匐性種) とに大別しているが, この Spanis btype 中には葉形, 葉色, 枝の長さ, アントキアン色素の分布, 殼の形状等において不連續である Valencia, Tennessee Red, 飽託等の品種群が包含されており, 又 Southeast Runner のような小粒匐性種はこの何れの type にもあてはまらない。
    Valencia 並にその類似品種は上記の數形質において Spanish type の品種と不連續であるばかりでなく, 交配試驗の結果 Spanish type と Virginia type との Cross origin らしく思われるので Valencia type として獨立させた。又 Southeast Runner type は前記3 type とは別個に取扱つて Spanish type, Valencia type, Virginia type 及び Southeast Runner type の4つに分類することによつて供試品種を合理的に各 type に所屬させることが出來る。
  • 建部 民雄
    1952 年 21 巻 2 号 p. 73-75
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) 泉州平型大玉葱より得た, 雄性不稔個體に於ける花粉退化め機構を明らかにせんとして, 細胞學的研究を施行した。
    (2) 雄性不稔個體の花粉母細胞の成熟分裂は, 小胞子の分離頃迄は全く正常であつた。然し花粉粒の核分裂はみられなかつた。
    (3) 葯のタペート細胞は, 四分子期の終から小胞子の分離する頃に異常を起し始め, 遂にタペート細胞の周邊は壞れ内容物が流出融合して, periplasmodium を形成する。
    (4) periplasmodiumは, 最大の發育に達した後に於て退化を始める。periplasmodium が退化すれば, 小胞子も最後に破壞されて, 胞室も縮まり, 退化した小胞子の殘骸が凝縮して殘存するに至る。
  • 川廷 謹造, 土屋 敏夫
    1952 年 21 巻 2 号 p. 76-80
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 本實驗は馬鈴薯の老化機構を研究する手段として室内に於て短期間に老化に伴う現象を觀察する方法を見出すために行つた。
    2. 暗室中に種薯を靜置することにより, 又暗室中で種々の處理を行うことにより老化に伴う諸現象を容易に且短期間に觀察し得ることが明かになつた。
    3. 老化に伴う顯著な現象として芽の伸長度の低下及び芽の先端枯死, 並びに水分を與えた場合は小塊莖の早期形成というような點が觀察され, これ等は種薯に存在する生長素量と關連している如く推定された。
    4. 本實驗に示された如き方法は老化の指標の一つにされる莖數及び極性等と併せて又上記のような現象と共に短期間に觀察することが出來るので老化機構の研究上有利ではないかと考える。
  • 生育に伴うすの發現經過について
    萩屋 薫
    1952 年 21 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) すいりの生理機構を明かにするため二十日大根を用い肥大生長に伴うすの發現經過を調査した。
    (2) すの發現は肥大した大根に於て通導組織に遠い部分の木部柔組織の大形細胞に先ず糖の消失が見られ, ついでそのあたりの細胞に破生的及び離生的に生じた組織空洞が發現し, それが次第に擴大されてすとなる。すは木部柔組織に限られてあらわれる特徴を持つている。
    (3) 根身内の可溶性物質の含量を中心部, 周縁部, 中間部について調査したるに, 一般にすの入つた部分の柔組織は他の部分に比してそれが低くなつており, 又全般的にすの甚しいものほどその含量が低下している事が認められた。
    (4) すは葉長•葉數•根重•根徑等が急激に増加しT/R 率は低下し, のちこれ等が略一定に落付いて來た前後に發現し, 又この時期には柔組織の細胞の大さやその數が最大點に達し, 可溶性物質の含量は最低を示す。然してすは發現し始めると短期間に或限度まで急速に進行するがそれ以後はあまり増加しない。
    (5) すの甚しいものは大體根重•根徑が大なる個體に多く, T/R 率が大なるものはすの發現が少い。又すの入つたものは柔組織細胞の數や大さが大きい。
    (6) すの發現の第一歩は當該部柔組織細胞の老化にあると考えられ, それは主として根の肥大に伴う急激な細胞の生長によりその内容物の含度が低下し, 加うるに通導組織からの養分補給に支障を來たし一種の饑餓状態になるためと考えられる。
  • 千野 知長, 大野 俊雄, 鈴木 惠三, 杉村 順司
    1952 年 21 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 葡萄甲州三尺エビ症樹に對し硼酸撒布の効果とその機構を究明するために行つた。開花前2囘の硼酸末 (H3BO3) 0.3% (石灰半量) 液撒布は, cap 不離脱率, 結實率, 收量及び1房平均重量に於て夫々2倍以上の顯著な効果を示し, 且つ花粉發芽率を増進させる傾向がある。
    2. 硼酸撒布により1果粒中の平均種子數及び不完全種子含有率を高める傾向がある。葉の chlorosis の斑點は全部消滅せず, 新梢の生育に特別の異常を認めなかつたが, 果梗維管束の著しい發達を促した。
    3. 本試驗に於ては cap 不離脱率, 葉の chlorosis 斑點の多少, 新梢の長さと結實率との夫々の間の相關々係は認められなかつた。
    4. 硼酸撒布効果の機構に於ては, boron は直接葉面及び花穗より吸收された事實を認めた。斯くして花粉の發芽と花粉管の生長に對する刺戟, 花器組織の細胞分裂機能と, 子房の受精能力の促進により結實, 收量等に顯著な効果があつたものと思考する。
  • 幾竹 正實
    1952 年 21 巻 2 号 p. 93-96
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. The mother plants of edible burdock for seed growing should be selected from the plants grown up to a certain size, as the small ones have little flowering probabilities.
    2. The plot sown in June 5th shows the best flowering possibility, while many non-flowering plants are seen in earlier and later sowing.
    3. There are two types of the plants at flowering time, i, e, the dwarf and the tall. Majority of larger plants becomes to the dwarf type and smaller ones to the tall type. Further investigations are required to answer the question whether this is due to physiological factors or genetical one.
    4. In Kyushu edible burdock blooms during July, and flowers opened before July 20th brings good seeds. Later blooming ones might bring a bad result due to high temperature.
    5. The tall type plants have better set percentage and produce better seeds in quality than the dwarf type.
  • 4倍性ストックにおける八重咲株出現の樣式とその利用性
    齋藤 清
    1952 年 21 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) さきにコルヒチン處理によつて創成された Non-Branching 系の同質4倍體ストックの後代は八重咲率が著しく低く經濟的品種として利用することはなお不可能であるが, 八重咲性其他の遺傳現象の究明材料としては絶好のものであるといえよう。
    (2) 一重咲性と八重咲性は主として1對の遺傳子S-sの作用によつて發現され, 一重咲性が優性である。2倍體一重咲はSsという構成をもつている故に, それを原として得られた4倍體はSSssで, その次代植物としてSSSs, SSss, Ssssの3型の一重咲株およびssss型の八重咲株が期待される。
    (3) SSSs株は生育おそく葉が直線的で細く次代植物はすべて一重咲となる。SSss株は葉縁に僅かに鋸齒状の切込みを現わし攻代に2~16%程度の八重咲株を生ずる。Ssss株は生育良好で葉縁の切込みが顯著に現われ, 小花に過剩の花瓣を發生して Semi-double になる場合ぶ多く, 更にその傾向が一層強くなれば莖葉は全くSsss株の特徴を維持しているが, 花序は完全八重咲花となつてssss型と相違なきものとなつている。この現象は1個の優性S因子が3個の劣性sss因子に對してしばしばその優位性を壓倒される場合におこるものと思われる。完全な雌蕋を具えた一重咲Ssss株も一般に稔性が低く次代に23~28%程度の八重咲株を生ずる。
    (4) Ssss型と推定される八重咲株はssss型のそれに比べて濃緑の葉を多くもち整が丈夫で花着きも密になり, 切花としては一層すぐれている。
    (5) ssss型は雌雄蕋を缺く完全八重咲株であつて葉緑の度が淡く葉幅著しく廣く鋸齒が深く入つている。葉數が少なく花穗の花着きが疎らであるが, 各小花は著しく多瓣で大きい。
    (6) 集團的にみればSSss型の株が最も多く更に稔性の高いものぶあるので, 放任採種の場合は八重咲率は5%前後になつてしまう。この八重咲率を引上げるためには形態上からSsss株だけを選出して, これらのみの種子を毎年繼續してとつて行かなければならない。
    (7) 4x (Ssss)×2x (Ss) という交配組合せで3倍體を作成するならば八重咲率を50%に上げることがでぎようが, ストックの特性として3倍性種子の獲得は極めて困難である。
    (8) 僅かな機會によつて得られた3倍體は比較的稔實度が高く, しかもその次代は殆んどすべてが稔性ある4倍體となつた。この現象は3倍體雜種を經て新しい4倍體を作成しうる育種上の1つの例を示すものである。
  • 永井 喬, 柴本 一好
    1952 年 21 巻 2 号 p. 104-106
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) 伊那地方の赤石山系山麓地帯, 及び木曾山系の天龍岸寄りの一部に, 野生桃の生育地があり, 何れも群落状に生育している。
    (2) 生育地は標高700~1000米の, 人里離れた高地で, 礫の多い傾斜地である。
    (3) 全部有毛, 白肉桃で, 大部分が離核又は半離核であるが, 稀に粘核のものもある。
    (4) 果形は一定していないが, 一般に小果で種子も亦小さいものが多いが, 果形, 核の大さ等から凡そ4系統に大別出來る。
    (5) 小果であり, 肉質も不良で生食用としての價値は極めて低い。
    (6) 熟期は早生桃が6月中~下旬, 中生桃9月下~10月上旬, 晩熟桃10月中~11月上旬頃である。
    (7) 花は一般に大形で, 桃色のものが多いが, 中には極淡い桃色 (白色に近い), 濃紅色のものもある。
    (8) 砧木的價値については, 系統別に現在, 調査中である。
  • I. 土壤水分が砧木の生育に及ぼす影響
    定盛 昌助, 村上 兵衞
    1952 年 21 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    此の試驗は土壤水分に對するりんご砧木の性質を知る一助として行われ, 土壤中の水分量が砧木の生育に及ぼす影響を調査し, その實驗結果より, これまでりんごの砧木についていわれていることに少しく考察を加えて見た。
    (1) 此の實驗ではどの砧木も乾士重の40~60%(容水量の60~90%) が適濕範園でその間では水分が多い程生育がよく, 根の呼吸がひどく害されぬかぎり水分が多い程生育がよい樣に思われた。しかし乾土重の60%では根と葉に多少過濕の害が現れ, りんごは乾燥側に, みつばかいどう, えぞのこりんご, まるばかいどうは濕潤側に適濕がある樣に思われた。
    (2) 乾土重の30%(容水量の44%) 以下ではどの砧木も生育が惡いが, 生長の停止, 被害の多少より, みつばかいどうは避乾植物的傾向を示し, まるばかいどうは比較的に耐乾性強く, りんごとえぞのこりんごは耐乾性が弱い傾向を示した。
    (3) 乾土重の70% (容水量の108%) ではどの砧木も生育が非常に惡く, 被害と生長の停止より見た場合まるばかいどうは耐濕性強く, みつばかいどうは生長を鋭敏に停止するが枯死せず被害の少い點で耐濕性だ強かつた。
    りんごとえぞのこりんごは耐濕性が弱かつた。
    この實驗結果はこれまで云われていることと大體一致しいてる樣であつたが, 實際の圃場に於ては此の實驗で示された砧木の性質より根群の形態の方が耐乾, 耐濕性に重要な關係を持つている樣に思われる。
  • 須佐 寅三郎, 青葉 高, 石塚 昭吾, 安部 修一
    1952 年 21 巻 2 号 p. 113-116
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) 水田地帯に栽植された果樹及び緑肥作物に就いて, 地下水位の根の生育に及ぼす影響を明かにする爲昭和24, 25兩年2, 3の實驗を行つた。
    (2) 水田に圍まれた果樹園の地下水位は, 水田の湛水, 落水に依り著しく變化する。
    (3) 本試驗の範圍内では葡萄は比較的耐水性強く, 次で三葉海棠,丸葉海棠, 豆柿の順に弱く, 又ヘヤリーベッチ及びレッドクロバーは比較的強く, 馬鈴薯は極めて弱かつた。
    (4) 植付約半年後掘上調査の結果では, 地下水位地表下35cm區が根重, 細根數, 地上部の生長, 葉重等最も大なる傾向が見られたが, 前記作物の根長は地下水位に依り略決定され, 從つて地下水位, 地表下75cm區は根長最も長く, 又20cm區の生育は極めて貧弱であつた。又根部の生育阻害個體は地上部の發育も強く抑制された爲TR率も各區間に明な差が認められなかつた。
    (5) 從つて永年作物たる果樹を水田地帯に植付ける際は水田湛水時の地下水位を考慮し, 適當の設備を行つた後植栽する必要がある。
  • 菜豆の發芽に及ぼすビタミンB1の影響
    飯島 隆志
    1952 年 21 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 菜豆, 大根, 玉蜀黍の種子について, 100p.p.m. から0.0000001p.p.m.までの間に10段階のB1添加區を作り發芽試驗を行つて無添加區と比較した結果, B1添加ほ之らの種子の發芽を促進し, 又菜豆の古種子の發芽率を高める事が認められた。その最適濃度は0.01p.p.m.及びその附近であつた。又B1添加の方法は浸種によつたがその場合の浸種間の長短と濃度との間には大した相異は認められなかつた。
    猶この方法で行つた場合幼芽幼根の生育に及ぼすBの影響は比較的發芽初期に大である事ぶ認められた。
    2. B1添加の發芽促進機構を明かにするために先ず菜豆種子の發芽過程に於ける子葉及び幼芽幼根の結合型, 遊離型, 總B1を調査した結果, 暗室内では明かに乾物重の減少に略平行してB1は濃度及び1粒當りの含有量共に減少し, 浴光せしめると著しく増加する事が認められた。又發芽の進むにつれてBの形態は遊離型から結合型に移行する事が認められた。猶浴光により急増するB1の形態は結合型であつた。
    3. 1951, 1950, 1949, 1948年度産の菜豆の種子について發芽力とB1との關係を求めて見たが, 發芽力の少い古種子程遊離型, 結合型B1共に濃度, 及び1粒當りの含有量が減じていた。しかし全然發芽力のない種子にも或程度含有しその限界線は明かでなかつた。
    4. B1を添加すると子葉内のB1は著しくその濃度を増加する。而してそのB1の形態は最初は主に遊離型であるが發芽の進行と共に結合型に移行して行く事が認められた。又呼吸量もB1添加區の方が大であつた。
  • 舟本 久義, 増田 繁
    1952 年 21 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 1952年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    蔬菜に於けるN肥料分施に關する影響を明かにする爲に, 夏蒔甘藍, 秋蒔大根を實驗材料として, N肥料の施肥法を全量元肥, 2囘分施, 5囘分施及び10囘分施の種類に分け, これに對する影響を調査した。
    1. 甘藍では, 生育中期に於ける葉數, 葉面積及びN養分含量には, 各處理間に Significant な差が認められなかつた。又收穫期に於ける地上部生體重及び地下部重量については, 5囘分施區及び2囘分施區と他區との間に Significant な差が認められ, 葉球重については, 5囘分施區と他區との間に Significant な差が認められた。
    2. 大根では, 生育中期に於ける葉面積及びN養分含量については, 全量元肥區と他區との間に Significant な差が認められた。又收穫期に於ける總生體重, 根重及びN養分含量については, 5囘分施區と他區との間に Significant な差が認められ, 徑葉重については, 5囘分施區及び2囘分施區と他區との間に Significant な差が認められた。又根身長及び根徑 (最大部) については夫々各處理間に Significant な差が認められなかつた。
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