園芸学会雑誌
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13 巻, 4 号
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  • VII 後季落果に關する研究
    梶浦 實
    1942 年 13 巻 4 号 p. 281-294
    発行日: 1942年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1) 柿に特有である後季落果と各種條件との關係を明かにし, その落果原因に觸れる目的を以て昭和9年から15年に亙り園藝試驗場に於て實驗を行つた。
    2) 剥皮全摘葉處理を行つた時, 富有は後季落果の時期になると餘程落果し難くなるが, 衣紋はより落果し易い。鉢植を用ひ8月中旬に全摘葉を行ふと衣紋は全果落果した。
    3) 乾濕の變化では早季落果と同樣落果は起らなかつた。遮光の影響は富有には殆ど現はれなかつたが, 衣紋では相當に認められた。唯衣紋でも落果を見なかつた實驗例もあり, 處理後落果が起こる迄の日數も早季落果より著しく長く, 降雨による光線不足が後季落果の直接原因とはなろぬと考へろれる。
    4) 藥害及病害と後季落果の關係は認められなかつた。
    5) 後季落果に於ても果實の小さいものは落果し易く, 落果するものは落果に近づいて肥大が多少鈍る傾向があつた。
    6) 早季落果程の差はないが, 無核果は有核果より落果し易かつた。
    7) 環状剥皮は落果を少なからしめ, 剥皮部の癒合後は著しい落果が起つた。
    8) 横野に於と落果の多い樹程早く紅葉, 落葉する傾向が認められた。
    9) 鉢植を8月中旬に地植して新根を發生せしめた結果, 著しい落果が起つた。
    10) 以上の結果から見て, 後季落果も榮養條件によつて起るものと考へられ, 衣紋の如くこの時期に落果し易い品種は榮養的に遲く迄落果する性質を遺傳的に持つて居るものであらう。
    11) 後季落果に對し最も強い關係を有するのは根の伸長であつて, 夏期の乾燥によつて一時根の發育が停止したものが, 8月中下旬よりの降雨により再び旺盛な發育を行ひ, その爲に根と果實との間に養分競爭が起る, これを主因として降雨による光線不足其他の條件が加はつて, 後季落果が起るものと考へられる。
  • 岩崎 康男, 小松 敏男
    1942 年 13 巻 4 号 p. 295-297
    発行日: 1942年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 1. 南瓜を材料とせる研究
    伊東 秀夫
    1942 年 13 巻 4 号 p. 298-308
    発行日: 1942年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 門田 寅太郎
    1942 年 13 巻 4 号 p. 309-312
    発行日: 1942年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 胡瓜早生北京×立秋のF1採種を目的として花粉の井内冷藏に依る午後の蕾授粉を行ひ實用性を調査した。
    2. 花粉の冷藏方法は雄花の開花前日の朝, 晝, 夕刻及開花當日の朝胴亂に雄花蕾を入れ井内 (C15~16°) に吊し午後1~2時及4~5時に授粉を行つた。
    3. 雄花蕾を夕刻より冷藏し翌午後4~5時授粉する方法が好成績であり普通の蕾授粉は之に殆ど劣らぬ程度であつた。
    4. 開花授粉は如何なる蕾授粉より矢張り優れてゐた。
    5. 雄花を冷藏し翌夕刻蕾授粉を行ふ方法はF1採種作業に於て從來の方法と併用すれば勞力の調節上有利である。
    6. 雌花蕾の花瓣を環状に剪る簡單なる器具を考案し紹介した。
  • 門田 寅太郎
    1942 年 13 巻 4 号 p. 313-320
    発行日: 1942年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 新潟縣農事試驗場園藝部に於て昭和13年暮より14年頭にかけ油菜屬蔬菜に就き積雪軟化栽培を行ひ積雪下に於ける抽薹性の觀察を行つた。
    2. 9月17日に播ぎたるものは早きは10月20日遲きは11月末日に花芽の分化を見た。
    3. 12月下旬より積雪を見, 3尺~5尺の積雪状態に置き2月7日雪を掘り抽薹の長さを調査した。
    4. 雪菜及長岡菜は最も伸長し14糎に及び莖立菜12糎, 葉芥菜10糎であり白莖體菜芭蕉菜御殿場菜之らに次ぎ相當伸長を見せてゐた。
    5. 高菜, 札幌菜, 眞菜, 京菜等は抽薹の催しは全く見られなかつた。
    6. 花芽分化の早晩と雪下の抽薹との間に明瞭な關係を認められない。
    7. 芥菜と高菜が同一染色體數を有しても雪下に於て前者が春播型後者は秋播型の抽薹性を現した。
    8. 雪菜の原種としての長岡菜に就き考察し兩者は雪下の抽薹生理に於ても同樣なる事を認めた。
    9. 長岡菜は B. rapaB. chinensis との交雜種と認められる。
  • 塚本 洋太郎
    1942 年 13 巻 4 号 p. 321-335
    発行日: 1942年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 柿果の脱澁後に起る黒變の防止竝に其の基礎理論の解明を目的として本實驗を行つた。何れも1940年及1941年の兩年に京都帝大農學部園藝教室に於いて行つた實驗である。
    2. 脱澁後3~4日後より黒變が起るが, 其に伴つてオキシダーゼ, パーオキシダーゼの活性が強くなり6~9日後最高となり其後弱化するものである。
    3. 酸化酵素阻害物質を炭酸瓦斯に加えて脱澁したが, 硫化水素, 一酸化窒素, 青酸瓦斯等は有效であ一酸化炭素は無效であつた。但し是等の阻害瓦斯は果肉を果肉を硬化させ, 肉質を惡變させ且つ惡臭又は有毒の爲實用とはなり難い。
    4. エチレンを1/500の濃度とし炭酸瓦斯に混用したものは, 脱澁後黒變を防止し得た。且つ果皮は鮮明な紅色を呈して居り. 硬度も比較的良好であつた。
    5. 硫化水素, 青酸瓦斯, エチレン等に依り黒變を防止し得た果實に於ては明らかに酸化酵素作用の減退を示してゐた。
    6. エチレン處理の果實は對照區に比して特に可溶性ペクチンの含量が大であると言ふ事實は認められなかつた。
    7. 黒變物質は如何なるものであるかは明らかにし得なかつた。鹽基性溶液にのみ可溶で, 他の溶劑には凡て不溶解であつた。
  • 田中 吉温
    1942 年 13 巻 4 号 p. 336-343
    発行日: 1942年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    大根の根部色彩につき全生育期間を2期に分ちて調査した結果, 色彩14類型を區別し得た。此れによつて蒐集品種を夫々分類した。此等の資料は, 將來大根の採種及び育種等に何等かの根據を與へるものではないかと思ふ。
  • 篠原 捨喜
    1942 年 13 巻 4 号 p. 344-348
    発行日: 1942年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 建部 民雄
    1942 年 13 巻 4 号 p. 349-354
    発行日: 1942年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 高砂百合は自家和合植物である。
    2. 雌蕋は本實驗の範圍内では開花前日から開花7日後まで其の受精能力を保有する。
    3. 花粉は室内に放置しても尚15日間位は其の壽命を保持する。
  • 大井上 康, 矢富 良宗
    1942 年 13 巻 4 号 p. 355-356
    発行日: 1942年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    著者等は1936年の1月に東京及び横須賀 (神奈川縣) に於て街路樹プラタナス (Platanus orientalis L.) の葉が街燈に照らされて居る部では, 光源を中心として半徑約1mの範圍の枝が嚴寒にも拘らず尚ほ落葉せずに緑色を保つて居るのを認めたので, 同一樹上より夫々光源に近い部及び其の反對側の遠い部の枝を取つて比較觀察を行なつた。
    其の結果, 有葉枝の長さは無葉枝よりも平均30cm内外長く, 其の先端は尚ほ展葉を續けて居り, 甚だ軟かく, 指頭で摘み切り得る程であり, 既に凍害を受けて黒色を帶びて居た。枝の外面には細綿毛を被り, 柔軟で, 緑色を呈して居たのに反し, 無葉枝では短大, 強剛で黒褐色を呈し, 腋芽も發達が良く著しく大であつた。これと同樣な事實を既に北米合衆國のガーナー及びアラード GARNER and ALLARD(1) (1923) やドイツの MOLISCH (1930) も亦夫々ゆりのき (Liliodendron tulipfera) やポプラ (Populus alba) 等で認めて居る。扨, 著者等は之等, 有葉, 無葉兩者の枝を取り顯微化學的觀察を行なつた所, 有葉枝では皮層部に著しい澱粉の存在を認め, アミノ酸の反應も強かつた。糖も亦少なからず認められた。然るに一方無葉枝では皮部及び射出髓にはデキストリンの存在が多く, 澱粉は極めて僅か認められたに過ぎず, 蛋白が多く, アミノ酸はアスパラギンの状態のものが多く見られ糖は少なかつた。
    以上の事實より見て, 落葉は温度の低下に依るよりも浴光時間の如何に依る光の影響の方が大であるらしく, 然も其の原因としてはドイツの RICHTER が述べ(2)て居るように葉緑同化作用がより旺んに行はれたために榮養が特に可良となつた故に葉の生命が永びいたと考へるのは適切でなく, 寧ろ照明時間の長さが大となつた故に原形質の活動状態に或る種の反應を招き其の事によつて, 例へば或る種のホルモンの如き物質の生成に變化が來ると考ふ可きで, 事實最近 BONNER (1940)(3) は長日處理を行つた植物では葉中のビタミンB1の含量が増大すると云ふ事を報じて居る事は炭水化物の代謝と深い關係のある事を暗示して居り, 此の事は日照時間の變化が細胞の生活機能そのものに直接作用する事によつて第二次的に化學變化が起るものであるべき事を裏書して居ると云へよう。隨つて著者等の觀察した澱粉や糖やアミノ酸等の状態は結果的な現象と見るべく, 其の生化學的變化を以て其の動機と見なす事は正しくはないであらう。だから内部の生化學的變化は落葉しなかつたものと落葉したものとの體内に於ける物質の化學反應が, 休眠枝と活動枝との間に見られるものと等しいと云ふ事に過ぎない。
    尚ほ本實驗に於ては澱粉は沃度沃度加里, 糖はベネディクト氏液, アミノ酸はニンヒドリン及びアスパラギンはアルコールに依つた。
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