日本消化器がん検診学会雑誌
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50 巻, 4 号
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巻頭言
会長講演
  • 乾 和郎
    2012 年 50 巻 4 号 p. 409-414
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/15
    ジャーナル フリー
    膵・胆道がん検診の問題は, 発見率が低く進行がんが多いことである。USによる2次検査を行ってきた経験から, 膵・胆道がん早期診断の現状を検討した。年間平均22,950名が受診する施設で1989年9月~2009年1月の間に超音波検査を行った4,045名のうち, 診断した悪性腫瘍は39例(1.0%)で, 膵がん10例(0.24%), 胆嚢がん6例(0.15%), 胆管がん2例(0.05%), 肝細胞がん7例(0.17%)などであった。胆嚢がん6例中5例(83%)が切除できており, 2例は腺腫内がんであった。胆管がんは2例に過ぎずこのうち1例(50%)が切除できた。膵がんは10例中5例(50%)が切除できたに過ぎなかった。膵がんのハイリスクとして膵管内乳頭粘液性腫瘍が注目されており, 厳重な経過観察により早期診断できる可能性がある。今後は精検受診率の向上と同時に1次検診施設と2次検査施設との密接な連携が重要である。
特別講演
原著
  • 鯵坂 秀之, 小山 文誉, 魚谷 知佳
    2012 年 50 巻 4 号 p. 421-428
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/15
    ジャーナル フリー
    2003年4月から2010年3月までにPG法による胃がん職域検診を受診した7,101例を対象とした。受診回数は, 3,061例1回, 3,212例2回, 368例3回, 190例4回, 78例5回, 85例6回, 100例7回, 7例8回であった。初回の陽性率は15.7%(1,118/7,101)で, 初回陽性も2回目以降陰性化したのは24.6%(のべ213/867), 初回陰性も2回目以降陽性化したのは3.6%(のべ181/5,039)であった。さらに, 3回以上受診した828例中78例(9.4%)は2回以上判定が変化し, 4回変化したものも4例あった。のべ13,005回のPG法によるがん発見は4例(がん発見率0.031%)で, いずれも同時併用胃X線検査では異常を指摘しえない症例であった。職域検診にPG法を導入することで, 胃X線検査で検出されない胃がんを発見できたが, 同一個人でも年度ごとにゆらぐ判定と低いがん発見率が問題であった。
  • 後藤 裕夫, 高橋 裕司, 松下 知路
    2012 年 50 巻 4 号 p. 429-439
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/15
    ジャーナル フリー
    岐阜赤十字病院で行っている人間ドックの胃X線検査において, 画像的にHelicobacter pylori(Hp)の感染の有無を前向きに判定し, その結果をHp抗体の検査結果と対比した。画像的な判定には, ひだの範囲, 走行・太さ, 粘膜面の顆粒像の大小を前庭部と体部のそれぞれについて評価し, これらを総合して画像的な判定を行った。
    対象は除菌歴のない143例で, うち77例(53.8%)をX線画像的に感染ありと診断した。一方, 抗体陽性例は47例(32.9%)であった。抗体陽性例は, 全て画像的にも感染ありと診断されており, X線画像の感染診断の感度は100%であった。しかし, 偽陽性が30例となり, 特異度は68.8%, 正診率79.0%であった。
    ひだの範囲を感染診断の判断基準から除いて, ひだの走行・太さと粘膜面の顆粒像のみからX線画像的な感染診断を再施行したところ, 43例(30.1%)が感染ありと判断された。その結果, 感度は85.1%に低下したものの, 偽陽性が減少して特異度96.9%, 正診率は93.0%となった。
  • 平岡 佐規子, 加藤 順
    2012 年 50 巻 4 号 p. 440-445
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/15
    ジャーナル フリー
    2005年から2008年の間に免疫学的便潜血陽性を理由に大腸内視鏡を施行した初回検査例4,242例において, 生活習慣因子(飲酒歴, 喫煙歴, 肥満)と大腸腫瘍に関連があるかを, 男女別, 年齢層別も含め検討した。その結果, 対象全体の解析では, Advanced neoplasiaの危険因子として飲酒歴, 喫煙歴が有意であった。性別の解析での男性群, 年齢層別の解析での60歳未満の群で, 飲酒歴, 喫煙歴がAdvenced neoplasiaの危険因子となった。女性では, 大腸癌の危険因子としてBMI≧25が有意であった。便潜血陽性症例においても, 飲酒歴, 喫煙歴, 肥満は大腸腫瘍の危険因子であり, さらに, 大腸腫瘍と生活習慣因子の関連は性差, 年齢層で差があることが示唆された。
症例報告
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