岐阜赤十字病院で行っている人間ドックの胃X線検査において, 画像的に
Helicobacter pylori(Hp)の感染の有無を前向きに判定し, その結果をHp抗体の検査結果と対比した。画像的な判定には, ひだの範囲, 走行・太さ, 粘膜面の顆粒像の大小を前庭部と体部のそれぞれについて評価し, これらを総合して画像的な判定を行った。
対象は除菌歴のない143例で, うち77例(53.8%)をX線画像的に感染ありと診断した。一方, 抗体陽性例は47例(32.9%)であった。抗体陽性例は, 全て画像的にも感染ありと診断されており, X線画像の感染診断の感度は100%であった。しかし, 偽陽性が30例となり, 特異度は68.8%, 正診率79.0%であった。
ひだの範囲を感染診断の判断基準から除いて, ひだの走行・太さと粘膜面の顆粒像のみからX線画像的な感染診断を再施行したところ, 43例(30.1%)が感染ありと判断された。その結果, 感度は85.1%に低下したものの, 偽陽性が減少して特異度96.9%, 正診率は93.0%となった。
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