Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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30 巻, 2 号
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  • 全天および天安散乱日射
    村井 潔三, 小林 正治, 後藤 良三, 山内 豊太郎
    1979 年 30 巻 2 号 p. 83-91
    発行日: 1979/06/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    グレーティングを用いた複式分光計と積分球を組合せて全天分光日射計を試作し,全天日射と天空散乱日射の分光測定を行った。散乱光の測定の場合には遮光用円板を用いて直射成分をさえぎる。全天日射量から散乱日射量を差引いて直達日射成分を求め,消散係数の波長分布を得る。レーリー大気についての計算値と比較しエーロゾルの効果を求めた。エーロゾルによる全天日射の減少量は消散係数の増加とともに増加することが認められる。散乱日射は,可視および近赤外域ではエーロゾルによる消散係数の増加とともに増加するが,紫外域付近の波長領域ではエーロゾルの増加によって散乱光は減少し,レーリー大気の値よりも小さくなることが認められる。エーロゾルを含む大気による日射の吸収量を求めるために,大気の上端と地表面におけるnet fluxの計算を行った。大気上端に入射する日射量はNASAの測定値を用い,上端から散逸する散乱日射は地上における散乱日射の測定値と混濁大気についての計算値を組合せて推定した。地表面におけるアルベードの値は,先に著者等が行った飛行機による測定によって得た値を用い,これと全天日射の測定値を組合せて地表におけるnet fluxを求めた。大気上端と地表面におけるnet fluxの差引きによって吸収量を波長別に計算した。吸収量は可視および近赤外域では,大気上端への入射量の約20%であるが,大気の混濁度によってかなり変動する。波長約0.45μm以下の短波長領域では著しく大きい吸収量が測定され,50%を超える値が得られている。
  • 外山 芳男
    1979 年 30 巻 2 号 p. 93-109
    発行日: 1979/06/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    現用露点ゾンデの成層圏における水蒸気測定の誤差を調べるため,ゾンデ露(霜)点計の特性を実験により調べた。その結果,約-20℃ の霜点から誤差が顕著に増え初め,霜点が下ると誤差は増す傾向が見られた。この誤差の要因は,露点鏡の冷却・加熱に使用されている自動制御系による強い鏡の冷却・加熱,鏡の冷却過程における露(霜)点の決め方,低霜点における露点鏡面へ輸送される水蒸気量の減少,が互に関連し合った原因から起きている。霜点の低い状態では,鏡面の強い加熱・冷却と,大気から鏡面へ送られる水蒸気量の減少のため鏡面温度変化の振幅が大きくなる。その上,霜生成時のみを検出して霜点を求めることは霜の成長過程のみを利用していることになり,霜の表面と周囲大気の水蒸気圧差のため,鏡面温度は実際の霜点より低くなる。
    実験式を使って成層圏の水蒸気測定の誤差を見積った結果,50mb高度におけるこれ等に原因した誤差は6~7℃であることが推定された。
    これ等の誤差を減らすため,自動比例制御方式の改良型露点ゾンデを試作し,現用露点ゾンデと比較飛場試験を行った。比較結果から,現用露点ゾンデの誤差の推定による見積りは妥当なものであると考えられる。
    現用露点ゾンデの測定誤差を少くし,測定精度を向上させるためさらに改良が必要と考えられる。
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