現用露点ゾンデの成層圏における水蒸気測定の誤差を調べるため,ゾンデ露(霜)点計の特性を実験により調べた。その結果,約-20℃ の霜点から誤差が顕著に増え初め,霜点が下ると誤差は増す傾向が見られた。この誤差の要因は,露点鏡の冷却・加熱に使用されている自動制御系による強い鏡の冷却・加熱,鏡の冷却過程における露(霜)点の決め方,低霜点における露点鏡面へ輸送される水蒸気量の減少,が互に関連し合った原因から起きている。霜点の低い状態では,鏡面の強い加熱・冷却と,大気から鏡面へ送られる水蒸気量の減少のため鏡面温度変化の振幅が大きくなる。その上,霜生成時のみを検出して霜点を求めることは霜の成長過程のみを利用していることになり,霜の表面と周囲大気の水蒸気圧差のため,鏡面温度は実際の霜点より低くなる。
実験式を使って成層圏の水蒸気測定の誤差を見積った結果,50mb高度におけるこれ等に原因した誤差は6~7℃であることが推定された。
これ等の誤差を減らすため,自動比例制御方式の改良型露点ゾンデを試作し,現用露点ゾンデと比較飛場試験を行った。比較結果から,現用露点ゾンデの誤差の推定による見積りは妥当なものであると考えられる。
現用露点ゾンデの測定誤差を少くし,測定精度を向上させるためさらに改良が必要と考えられる。
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