1982年から1999年までのNCEP/NCAR再解析データ、外向き長波放射量 (OLR) および海面水温 (SST) データを用いて、赤道でのモンスーンによる季節サイクルとインド洋での双極子モードとの関係を調べた。
赤道インド洋の西側では半年周期が卓越するが、東インド洋では年周期が顕著であり、この位相差のため季節サイクルの中で秋に西高東低のSSTコントラストが生み出される。年々変動偏差としてみられる双極子モードは、このSSTコントラストがさらに強化されたものとして理解出来る。また、双極子モードの終焉は気候学的に赤道インド洋全域で2月から3月にかけて対流活動が抑制される事と関係している。
ENSOに伴う反転したウオーカー循環のインド洋への影響は季節によって異なり、夏に出現する場合に効果的に気候学的な西 (東) インド洋での西風を弱 (強) め、大気海洋相互作用を通して引き続く秋に西高東低のSSTコントラストが形成されるものと考えられる。
このように双極子モードの季節位相固定性の理解においては、モンスーンとENSOの季節による結合過程の違いが重要である。
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