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山本 博, 古原 清, 志村 秀彦
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
449-453
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
β-lactamaseのinhibitorであるSulbactamと, 強い抗菌力, 広い抗菌スペクトラムを持つ Cefoperazoneとを1: 1に配合した, Sulbactam/Cefoperazone を外科的感染症12例に使用した。
術後腹腔内膿瘍6, 腹部手術創感染4, 直腸切断術後会陰創感染2の12例で, 臨床的には, 著効1, 有効7, やや有効3, 判定不能1の結果を得た。有効率72.7%であった。細菌学的には, 本剤使用前に検出した
S. aureus,
S. epidermidis,
S. faecalis,
E. coli,
E. cloacae,
P. aeruginosa,
P. cepacia,
P. putrefaciens,
C. freundii,
K. oxytoca,
K. pneumoniae,
B. fragilisのうち,
S. aureus 1株,
E. cloacae 1株,
P. putrefaciens 1株を除く全株が除菌された。この事から, 広く強い抗菌力を持つ合剤と言える。
全症例に副作用は見られなかった。臨床検査値では, GOT, GPT両者が正常上限を越えたもの2例, GOTのみ上限を越えたもの2例がみられたが, 本剤との関連が疑われるのは1例のみである。
これらの事から, Sulbactam/Cefoperazoneは外科的感染症に対して有用な, 新しい抗生剤であると考える。
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酒井 茂, 西尾 彰, 熊本 悦明, 長谷川 昌子
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
454-463
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいβ-lactamase阻害剤であるSulbactam (SBT) とCefoperazone (CPZ) の合剤であるSBT/CPZについて, 基礎的・臨床的検討を行った。
1) 抗菌力 (MIC): CPZおよびSBT/CPZ (SBT: CPZ=1: 1) の両者についてMICを測定した。
E. coliおよび
Proteus sp. ではCPZが3.13~6.25μg/ml以上のMICを示した株は, SBTを併用することによりMICの低下が認められた。
K. pneumonias,
S. marcescens,
Enterobacter sp. ではCPZとSBTを併用してもMICの低下は認められなかった。
P. aeruginosaではCPZ単独の方がSBT/CPZよりも低いMICを示した。
2) 臨床成績: 複雑性尿路感染症11例に対し, SBT/CPZを投与し, 72.7%の有効率を得た。2例において, CPZ 2.0g/日, 5日間投与後に, SBT/CPZを投与したが, 1例は有効, 1例は無効という結果であった。β-lactamase産生株に対しては, 7株中4株 (57%) で菌消失をみた。副作用に関しては, 1例においてGOT・GPTの上昇が認められたのみであった。
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原田 忠, 佐藤 貞幹, 宮形 滋, 土田 正義
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
464-468
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Sulbactam/Cefoperazoneの臨床効果を18例の慢性複雑性尿路感染症患者で検討した。
投与方法は1日2g 5日間点滴静注で行った。臨床効果は著効4例 (22%), 有効9例 (50%), 無効5例 (28%) で, 全体の有効率は72%であり, 30株について検討した細菌学的効果は, 消失25株 (83%), 減少2株 (7%), 存続3株 (10%) であった。
また, β-lactamase高度産生株に対しても効果が認められた。副作用としては3例に下痢がみられ. 臨床検査異常はGOT, GPT上昇例が1例に認められた。
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押 正也, 岸 洋一, 新島 端夫, 小林 克己, 西村 洋司, 仁藤 博, 石井 泰憲, 塚田 修
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
469-476
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Cefoperazoneとβ-lactamase inhibitorであるpenicillanic acid sulfoneの配合剤であるsulbactam/cefoperazoneを複雑性尿路感染症42例に投与し, 臨床効果を検討した。投与量は1日1~49で, 5日間投与終了後までに効果を判定した。総合臨床効果は, 著効11例, 有効17例, 無効14例で有効率は66.7%であった。菌消失率は62株中49株79.0%であった。
副作用としては, 自・他覚症状を呈した例はなく, 臨床検査値において1例にGOT.GPTの上昇を認めた。
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小野寺 昭一, 町田 豊平, 鈴木 博雄, 岸本 幸一, 清田 浩
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
477-482
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
β-lactamase阻害剤であるSulbactamと第3世代のCephem剤であるCefoperazoneを1対1に配合したSulbactam/Cefoperazoneを12名の複雑性尿路感染症患者に使用し, 臨床効果について検討した。
対象は, 何れも慢性複雑注膀胱炎症例で, 尿路感染症の基礎疾患としては, 前立腺肥大症5例, 前立腺癌3例, 尿道狭窄が2例でその他膀胱腫瘍, 神経因性膀胱がそれぞれ1例であった。
投与方法は, Sulbactam/Cefoperazone (1: 1) 29を1日1~2回, 点滴あるいはone shot静注で投与し, 投与期間は斜列5日間であった。
その結果, UTI薬効評価基準により効果判定可能な11例の総合臨床効果は, 有効5例, 無効6例で総合有効率は45.5%であった。
また, 主な分離起炎菌に対する細菌学的効果では,
E.coli,
K. Pnemoniae,
Enterobacterなどは除菌されたが,
S. marcescens,
P. aeruginosaに対しては効果が悪く, 細菌学的有効率は62.5%であった。
副作用は, 1例にGOT, GPT, 1例にGOT, GPT, Al-Pの軽度上昇を認めたか, 投与の中止により回復した。その他問題となる副作用は認められなかった。
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岡田 敬司, 川嶋 敏文, 宮北 英司, 西澤 和亮, 村上 泰秀, 木下 英親, 松下 一男, 河村 信夫, 大越 正秋, 柳岡 正範, ...
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
483-493
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
β-lactamase阻害剤Sulbactam (SBT) とCefoperazone (CPZ) を1: 1の比率で配合した配合剤について基礎的, 臨床的検討を行った。
健康成人4名に本剤2gをクロスオーバー法で1時間点滴と2時間点滴により投与し血清中, 尿中濃度を測定した。
血清中SBT, CPZの点滴終了時における濃度は, 1時間点滴の場合それぞれ50.9,104.5μg/mlで各々の半減期は0.97, 2.1時間であった。2時間点滴の場合にはそれぞれ30.9, 72.3μg/ml, 1.022.1時間であった。
SBT, CPZの投与後24時間までの尿中回収率は, 1時間点滴の場合それぞれ86.0, 24.5%, 2時間点滴の場合90.0, 25.2%であった。
複維性尿路感染症例14例に対して本剤を1回191日2回点滴静注または直接静注を行い, UTI薬効評価基準に従って臨床効果を判定したところ有効率は79%であった。また細菌学的には70.0%の消失率であった。
自・他覚的副作用は全例認められず, 臨床検査値でも本剤投与に基因すると思われる異常はみられなかった。
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Sulbactam/Cefoperazoneを用いた基礎的・臨床的検討
兼松 稔, 竹内 敏視, 加藤 直樹, 河田 幸道, 西浦 常雄
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
494-503
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
β-lactamase inhibitorとして新しく開発されたsulbactamと, 静注用cephem系薬剤のひとつであるcefoperazoneとの併用について, 尿路感染症に対するその有用性を検討する目的で, 基礎的ならびに臨床的研究を行った。
1. 当教室保存の標準株に対する抗菌力は,
Streptococcus faecalisを除くグラム陽性球菌および
Pseudomonas aeruginosaを含むグラム陰性桿菌に対しては, cefoperazone自体の抗菌力が優れているため, sulbactamの併用効果は顕著ではなかった。また尿路由来の
Klebsiella pneumoniaeのうち, β-lactamase高度産生菌についても同様に併用効果は著明でなかった。臨床分離株の
Acinetobacterに対してはsulbactam単独で優れた抗菌力を示すことが判明した。
2. 9例の慢性複雑性尿路感染症に対し, cefoperazoneとsulbacpmとを1回1gずつ1日2回, 5日間連続経静脈的投与を行い, 薬剤の治療効果と安全性とを検討した。薬効評価の可能な8例中5例に治療効果を認め、有効率は63%であった。尿路の基礎疾患の重症度を考慮すれば, 優れた治療成績と思われた。
自覚的副作用を認めた症例はなかったが2例にS-GOT・S-GPTの軽度上昇を認めた。これらの症例の治療直前の肝機能と, その後の経過とを考察した結果, 肝障害が疑われる患者に対する本剤の投与は慎重にすべきことが示唆された。
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鈴木 恵三, 名出 頼男, 柳岡 正範, 藤田 民夫, 浅野 晴好, 小川 忠
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
504-513
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しい注射用合成抗菌剤sulbactam/cefoperazoneのヒト前立腺液 (PF) への濃度移行測定と32例の尿路感染症の治療に用い, その有効性, 有用性と安全性に対する評価を行った。
PFへの移行は, 1g one shot静注後でsulbactamが<1.6μg/ml (n=6), cefoperazoneが0.35μg/ml (n=6) の濃度を検出した。
尿路感染症に対する治療は, 慢性複雑性症19例, 慢性単純性症1例, 急性単純性症12例の計32例を対象とした。投与方法は全例点滴静注又は静注によった。1日投与量は1~2gで, 期間は慢性症で概ね5日, 単純性症では3日とした。UTI薬効評価基準による臨床効果判定では, 慢性複雑性症18例中14例が有効 (著効+有効) で、有効率77.8%, 急性単純性症では, 9例中9例, 100%の有刻埣を得た。15例の漫性症の起炎菌のうちβ-lactamase産生菌は17株中8株 (47%) であった。この8株中7株 (87.5%) が本剤の治療で消失または減少した。
安全性に関する検討では, 自覚的副作用として下痢6例とantabuse様作用と思われる1例を経験した。下痢の症例は投与中止後全例が正常に復した。Antabuse様作用は, 無処置で1時間程度で回復した。
臨床検査値の異常は, 確実に本剤によると思われる例はGOT, GPT上昇をみた1例であった。
本剤は尿路感染症に対する新たな有力な注射用抗菌剤である。副作用として下痢に対する配慮と, 外来投与ではantabuse様作用に対する注意が肝要である。
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β-lactamase産生菌に対する協力作用
大川 光央, 中嶋 孝夫, 元井 勇, 島村 正喜, 平野 章治, 久住 治男, 小坂 哲志, 西野 昭夫, 打林 忠雄, 小酒井 望, 小 ...
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
514-525
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
β-lactamase阻害剤であるSulbactam (SBT) とCefoperazoneの1対1の配合剤 (SBT/CPZ) を慢性複雑性尿路感染症患者に使用し, 臨床効果を中心に検討した。投薬方法は, 本配合剤2gを1日2回静注し, 効果の判定はUTI薬効評価基準に準じて, 原則として5日間投薬終了後に行った。32例についての結果は, 著効5例 (15.6%), 有効18例 (56.3%), 無効9例 (28.1%) で有効率は71.9%であった。除外例を含む41例についての副作用の観察では, 4例に軽度な下痢、1例に動悸などが認められた。なお, 本配合剤投薬と関係ありと考えられた臨床検査値の異常変動は認められなかった。尿中分離菌の81株について, paper strip acidometricassayおよびchromogoni ccephalosporin methodによりβ-lactamase産生の有無を検討した。両測定法のいずれかでがβ-lactamase陽性と判定された菌株は44株 (54.3%) で, これら菌株に対するMIC値はCPZあるいはSBT単独よりSBT/CPZで小さくなる傾向が認められた。
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有馬 公伸, 堀内 英輔, 栃木 宏水, 山崎 義久, 多田 茂
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
526-530
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
三重大学医学部附属病院泌尿器科入院中の慢性複雑性尿路感染症患者18例に, Sulbactam/Cefoperazoneを使用し, UTI薬効評価基準 (第2版) に従ってその効果を検討し, 下記の結果を得た。
1) 慢性複雑性尿路感染症各群における有効率は, 単独感染で67%であり, 第1群25%, 第2群0%, 第3群100%, 第4群100%であった。混合感染の有効率は50%で, 第5群50%, 第6群50%であった。全体として, 18例中著効7例 (39%), 有効4例 (22%), 無効7例 (39%) であり, 有効率は61%であった。
2) 分離菌については, 24菌株中17株 (70.8%) に菌の陰性化を認めた。
3) 副作用として, 1例に下痢を認めた。
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水谷 修太郎, 細川 尚三, 梶川 次郎, 西本 直光, 三好 進, 岩尾 典夫, 東本 順三, 塩田 憲三
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
531-537
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
22例の複雑性尿路感染症に対して, 1日2.0gのSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) を, 5日間, 分2 (各500ml溶解, 所要約60分) で点滴静注した結果を報告する。
UTI基準上, 著効13例, 有効6例, そして無効の3例を呈し, 総合有効率は86%を得た。膿尿に対する効果は, 正常化の15例, 改善の4例, そして不変の3例であり, 細菌尿に対する効果は, 消失の18例, 交代の2例, そして不変の2例であった。同定した24菌株中,
E. coliの14株は全て消失し, 他のグラム陰性桿菌の10株でも,
K. pneumoniaeと
C. freundiiの各1株が残存したにすぎない。交代出現したのは,
P. aeruginosaと
S. epidermidisの各1株であった。
E. coliでは明らかに, また他の菌種でもほぼ次の様な傾向が見られた。
(1) β-lactamaseの定性反応で低い活性を呈する細菌15株では, CPZ単独でのMICが全て3.12μg/ml以下であった。
(2) 高β-lactamase活性を呈した細菌9株におけるCPZ単独のMICとSBTとCPZ混合のMICを比較すると, SBTとの混合によって低下したものは2株であった。
(3) 菌種によって差があるものの, 高β-lactamase活性を示す細菌の感染症におけるSBT/CPZの臨床効果が低い。
臨床検査値の異常としては, 投与後にGPTの微増したものか3例, 貧血が1例そして好酸球増多か1例に見られた。
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荒川 創一, 原田 益善, 片岡 陳正, 小田 芳経, 岡田 弘, 梅津 敬一, 藤井 昭男, 守殿 貞夫, 石神 襄次
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
538-548
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Sulbactam/Cefoperazoneに関する基礎および臨床的検討を行い, 以下の知見を得た。
1)
In vitroにおけるSulbactam/Cefoperazoneの抗菌性は,
C. freundiiおよび
Proteus indole (+) の10
8および10
6/ml接種においてCefoperazoneにまさり, 併用効果を認めた。
K. pneumoniae, S.mrcescens, Proteus indole (-),
P. aeruginosaでは10
8/ml接種の場合に併用効果が認められた。
E. coliでは併用効果を認めなかった。
2) 健常男子4名に本剤4g one shot静注を行ったところ, 5分後の血中濃度は, Sulbactam 222μg/ml, Cefoperazone 376μg/mlで, 以後漸減した。12時間までの尿中回収率は, Sulbactam 86.2%, Cefoperazone 25.9%であった。
3) 複雑性尿路感染症31例に対し, 本剤1日2g 2分割5日間投与した。著効2例, 有効16例で総合有効率58%であった。細菌学的には33株中24株73%の消失率であった。自他覚的副作用は1例もなかったが, 2例において一過性の肝機能検査値の異常を認めた。
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赤沢 信幸, 石戸 則孝, 大橋 洋三, 沖宗 正明, 宮田 和豊, 公文 裕巳, 松村 陽右, 大森 弘之, 近藤 淳, 難波 克一, 白 ...
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
549-561
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
SulbactamとCefoperazoneを1:1て配合した薬剤について抗菌力, 腎機能障害時の体内動態および複鞭性尿路感染症に対する治療成績と副作用について検討した。
1) 尿路感染症分離株に対する本剤のMICを測定した。
E. coli, Klebsiella, P. mirabilisに対し強い抗菌力を示し,
P. vulgaris, P. aeruginosaにも良好な成績であったが,
Serratiaではやや劣った抗菌力であった。Cefoperazone単独の抗菌力との比較では,
P. vulgarisに強い併用効果を認めた。
2) 腎障害患者における本剤の体内動態を検討した。SulbactamはCcrの低下に従って血中濃度は高濃度のまま遷延した。尿中回収率はCcrの低下て減少したがその程度には一致しなかった。Cefoperazoneも同様に血中濃度は遷延したが, むしろ肝機能障害時に著しい血中半減期の延長を認めた。尿中回収率は全体に低率であったが, 逆に肝機能障害時には健康成人のそれを上まわる成績であった。
3) 複惟性尿路感染症27例に本剤を投与した。投与量別に, 1日2g投与群 (17例), 1日4g投与群 (10例) に分け臨床効果を検討した。UTI薬効評価基準およびその補遺に従って効果判定した結果有効率は2g投与群て58.8%, 4g投与群て70%と, dose responseを認めた。
細菌学的効果をみると, 2g投与群で17株中15株 (88.2%), 4g投与群で16株中15株 (93.8%) がそれぞれ消失した。
副作用としては自・他覚的には特に認めず, 検査値でGOTの軽度一過性上昇を認めたが, 臨床上問題となるものではなかった。
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安川 明広, 桝 知果夫, 畑地 康助, 中野 博, 仁平 寛巳, 林 睦雄, 大西 喜夫, 森山 浩之
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
562-569
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Cofoperazoneと, β-lactamase阻害剤であるSulbactamとの配合剤について, 臨床的検討と腎機能障害患者での吸収・排泄に関する検討を行った。
臨床成績は, 複雑性尿路感染症18例に使用し, 膿尿に対する有効率は18例中8例 (44%), 細菌学的効果は全分離菌19株中16株 (84%) に消失が見られ, 総合臨床効果は有効率78%であった。
吸収および排泄に関しては, 腎機能障害が高度になるに従って, Cefoperazoneでは血中濃度の半減期の延長および尿中排泄率の低下を認めた。SulbactamはCefoperazoneと比較して中等度の腎機能障害例でも尿中への移行は良好であった。
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藤村 宣夫, 湯浅 健司, 田中 敏博, 小倉 邦博, 黒川 一男
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
570-576
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
半合成cephalosporin剤とβ-lactamase阻害剤の合剤であるSulbactam/Cefoperozoneを徳島大学泌尿器科および関連病院泌尿器科に入院中の複雑性尿路感染症患者に使用してつぎの成績を得た。
1) 臨床効果は44例中, 著効11例, 有効19例, 無効14例で68.2%の有効率を得た。疾患別では, 慢性複雑性膀胱炎63.6%, 慢性複雑性腎孟腎炎72.7%であった。
2) 細菌学的効果は82株中, 消失67株 (81.7%), 存続15株で, 投与後新たに出現した菌は11株みられた。
3) 副作用は全例に何ら認められなかった。
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河野 博巳, 加治 慎一, 百瀬 俊郎, 熊沢 浄一, 中牟田 誠一
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
577-580
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
β-lactamase阻害剤であるSulbactam (以下SBT) とCefoperozone (以下CPZ) の配合剤を, 九州大学泌尿器科入院患者のうち, 慢性複雑性腎孟腎炎2例と慢性複雑性膀胱炎6例に使用した。投与方法はSBTとCPZの配合剤を1回1~2g 1日2回連続5日間点滴静注を行なった。
臨床効果の判定では全症例8例中著効4例, 有効2例, 無効2例となり有効率75%であった。細菌学的には11株中, 消失9株. 減少1株, 不変1株, 交代菌3株であった。
副作用として1例に黄疸がみられ, 臨床検査値でもこの症例は肝機能検査値に異常を認めたが, その他の症例には異常はみられなかった。
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林 健一, 中村 芳文, 野口 正典, 植田 省吾, 江藤 耕作
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
581-588
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
第3世代のセフエム系抗生物質であるCefoperazone (以下CPZと略) とβ-lactamase inhibitorであるSodium sulbactam (以下SBTと略) との配合剤を複雑性尿路感染症に使用し, その有効性, 安全性を検討した。
対象症例は, 久留米大学病院泌尿器科入院患者中, 複雑性尿路感染症を有する26例である。疾患別内訳は, 慢性膀胱炎19例, 慢性腎孟腎炎7例であった。
投与方法はCPZ 500mg, SBT 500mgの合剤1gを朝夕2回 (計1日2g) 5日間静注した。
臨床効果は, 著効7例, 有効11例, 無効8例で, 有効率は69%であった。
細菌学的効果では, 投与前に分離された41株中30株 (73%) が除菌された。
副作用は1例に発疹を認め, 2例にGOT, GPT値の一過性の上昇を認めた他は, 薬剤によると思われる臨床検査値の異常は認められなかった。
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大井 好忠, 小畠 道夫, 後藤 俊弘, 川畠 尚志, 岡元 健一郎, 永田 進一, 陳 英輝, 八木 静男
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
589-605
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
SulbactamとCefoperazoneの1:1の合剤の尿路感染症分離菌 (
E.coli 31株,
K. pneumoniae32株,
P. mirabilis 30株,
P. vulgaris 31株,
Enterobacter 31株,
S. marcescens 30株,
P. aeruginosa 31株) 計216株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を日本化学療法学会標準法で10
8, 10
6/ml接種にて測定し, Cefoperazoneのそれと比較してSulbactamのβ-lactamase inactivatorとしての価値を検討した。
その結果
S. marcescensと
P. aeruginosaに対してはSulbactamのβ-lactamase inactivator としての併用効果は10
8/ml接種では認められなかったが, 他の菌種では10
8/ml接種において1~2段階感受性側への移行が認められた。
慢性複雑陛尿路感染症33例に本合剤を投与した。UTI薬効評価基準 (第2版) により評価し得た31例の臨床効果は総合有効率58.1%であった。単独菌感染の有効率は23例中65.2%, 複数菌感染では8例中37.5%である。カテーテル留置群 (1, 5群) 16例の有効率は37.5%であった。細菌学的効果は除菌率66.7%であった。
自覚的副作用として1例 (3%) に嘔気, 嘔吐がみられ, 本合剤の投薬は中止された。また他の1例 (3%) に下痢が認められたか本剤の中止には至らなかった。臨床検査値異常はGOT, GPTの軽度上昇3例, Al-Pの軽度上昇1例か認められた。
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河田 幸道他
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
606-626
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/09/13
ジャーナル
フリー
β-Lactamase inhibitorであるsulbactam (SBT) をcefoperazone (CPZ) に配合することの臨床的意義を明確にするために, CPZの単独投与例を対照に二重盲検比較を行った。
対象は複雑性尿路感染症で, 1日量としてSBT 1gとCPZ 1gの配合剤を投与するS
2群, SBT 2gとCPZ 2gの配合剤を投与するS
4群, CPZ 2gを単独投与するC
2群の3群について比較した。いずれも1日量を2回に分け, 静注により5日間投与した後にUTI薬効評価基準により臨床効果を判定したが3群の背景因子には全く差を認めなかった。
総合有効率はS
2群68.3%, S
4群79.5%, C
2群55.3%と, S
2, S
4群の有効率がC
2群より有意に高く, またUTI疾患病態群別には, 第1群においてS
4群がS
2, C
2群より, 第4群と第6群ではS
2, S
4群がC
2群よりそれぞれ有意に高い有効率であった。細菌学的効果はS
2群81.6%, S
4群82.3%, C
2群69.6%と, S
2, S
4群の細菌消失率がC
2群より有意に高く, この傾向はとくにβ-lactamase高生産菌において著明であり, また菌種別には
S.marcescensの消失率がS
2, S
4群においてC
2群より有意に高かった。副作用については3群間に差を認めなかった。
以上の成績から, β-lactamase inhibitorであるSBTをCPZに配合することは, 複雑性尿路感染症を治療する上で意義があり, とくにβ-lactamase産生菌に対して有意義であると考えられた。
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松田 静治, 柏倉 高, 国保 健太郎, 平山 博章
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
627-632
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Cefoperazoneとβ-lactamase阻害剤であるSulbactamの1:1の配合剤であるSulbactam/Cefoperazone注射剤について経胎盤移行の検討を行なうほか, 産婦人科領域における臨床応用を試みた。
本剤を産婦16例に1回1.0g静注した場合の臍帯血, 羊水中への移行は比較的スムーズであり, 臍帯血中濃度の上ではCefoperazoneの移行も速く, 一方羊水中へはSulbactamの移行が良行で羊水濃度が高い結果を得, Cefoperazone, Sulbactamそれぞれの薬剤の特徴がみられた。
臨床応用として骨盤内感染症, 尿路感染症7例に1日2.0g (静注, 点滴静注) 4~6日間投与し, 85.7%の有効率を収めたが, Cefoperazone耐性菌に対する効果については症例上評価することはできなかった。
なお副作用として特記すべきものを認めていない。
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張 南薫, 田村 俊郎, 高 義光, 原 豊, 野口 有生, 近藤 秀弥, 村上 基, 福永 完吾, 国井 勝昭
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
633-648
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
β-lactamase inhibitor, SulbactamとCPZの1: 1配合剤SBT/CPZについて産婦人科領域での抗菌力の検討と, 産婦人科的感染症に対する臨床効果, 副作用, 有用性の検討を行ない以下の結果を得た。
産婦人科臨床分離株11種130株に対する抗菌力については, CPZ耐性株が33株 (25.3%) と低頻度で, β-lactamase産生株も34株 (26.2%) と少なかったことから, 全体的にはSBT/CPZとCPZ単独のMIC値には大きな差は認められなかったが, 一部菌種で耐1生株の多かったものでは, SBT/CPZでMICの低下がみられるものが多く, 配合効果が認められた。
臨床成績では産婦人科的感染症11例に対し, 1日1~2g静注または点滴静注し, 10例 (90.9%) に臨床効果を認め, 9例中8例 (88.9%) に細菌学的効果を認めた。副作用は少なかった。
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早崎 源基, 近藤 英明, 伊藤 邦彦, 野田 克已
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
649-665
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
1. 教室保存臨床分離菌株の
E.coliにおいて10
8接種時でCPZのMIC 50μg/ml以上の菌株を130株中28株 (21.5%) 認め, これらの菌株に対してSBT/CPZは著明な抗菌力を示した。
2. 広汎子宮全摘術後の尿路感染症に対してSBT/CPZによる治療の有効率は96.2%であった。CPZ耐性菌による感染症例で83.3%か有効であった。
3. SBT/CPZ 1g 1時間点滴静中時の尿中濃度およびSBT/CPZの尿中濃度比はほぼ12時間にわたって臨床効果が期待できる。
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高瀬 善次郎, 藤原 道久, 中山 雅人, 三好 敏裕, 河本 義之, 白藤 博子
1984 年 32 巻 Supplement4 号 p.
666-674
発行日: 1984/06/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
Sulbactam (SBT)/Cefoperazone (CPZ) 配合剤について, 各種教室保存株に対するMICを日本化学療法学会標準法により検討した。
S.aureusに対してはCPZ単独の抗菌力は, 合剤より1管程度すぐれていた。
E.coliに対してはCPZ単独では, ≦0.025~12.5μg/mlであったが, 合剤では0.1~25μg/mlであり, CPZ単独の方がすぐれている。
Klebsiella,
P.mirabilis,
Smarcescens,
P.aemginosaなどにおいてはCPZ単独および合剤ともほぼ同等であった。
P.vulgarisに対してはCPZ単独で>100μg/mlのMICをしめした株が, 合剤では1285μg/mlより小さいMICをしめした。
次にSBT/CPZ 1g (各500mg含有) を静注した際の胎盤通過性および新生児の残存血中濃度について, SBTは
E.coli603を, CPZは
M.luteus ATCC 9341を検定菌とする薄層カップ法により測定した。また母乳移行についても同様の方法で検討した。
その結果, 母体血清中濃度は, SBTは58分後に17μg/ml, CPZは58分後および1時間5分後に48μg/mlの値でpeakを示した。臍帯血清中濃度は, SBTは47分後および58分後に9.3μg/ml, CPZは2時間11分後および2時間32分後に12μg/mlの値でpeakを示した。羊水中移行はSBT, CPZともに1時間33分後にpeakがあり, おのおの17μg/ml, 11.5μg/mlであった。新生児血中残存濃度は, SBTはいずれの時間帯でも検出されず, CPZは3時間後に2.1μg/mlの値でpeakを示し, 12時間後以降は検出されなかった。母乳中移行はいずれの時間帯にも検出されなかった。
臨床成績は, 腎孟腎炎4例, 子宮旁結台織炎および子宮内感染各1例について検討し, 著効1例, 有効3例, 無効2例で, 有効率4/6 (66.7%) で, 副作用は1例も認めなかった。
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