日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
18 巻 , 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
論文
  • 孫 光宇, 鬼丸 貞友
    2018 年 18 巻 5 号 p. 5_1-5_11
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/30
    ジャーナル フリー

    モニタリングによる建物の健全性評価の重要性が高まっている一方で,建物の地震による損傷の要因として,特に長時間・長周期地震動変形の繰り返しがもたらす累積損傷が注目されている.現在,部材の累積損傷に関する設計クライテリアは既に提案されているが,本研究では地震後建物継続利用問題に着目し,地震時モニタリングで観測した建物応答の時刻歴データから,精度よく速やかに損傷状況を推測する方法を提案し,立体骨組モデルと等価せん断モデルを用いて,その有効性を示す.

  • 原田 智也, 佐竹 健治, 古村 孝志, 室谷 智子
    2018 年 18 巻 5 号 p. 5_12-5_32
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/30
    ジャーナル フリー

    1945年1月13日に発生した三河地震(M6.8)直後に東京大学地震研究所により行われたアンケート調査資料を再検討し,詳細な震度分布を推定した.再検討では,震度が評価できない25回答を除いた149地点での回答を使用し,各地点における被害や人々の体感などの項目に対応する複数の震度報告値から,各地の震度代表値を算出した.その際,アンケートの震度報告値が大きくなる場合に顕著となる平均震度の頭打ちの問題が回避され,かつ中央気象台1)による同地震の震度分布との対応が最も良い,震度報告値の上位3個の平均震度を震度代表値として採用した.震度分布について以下の特徴が明らかとなった;(1)三河地震の震源域に位置する愛知県形原町では,IK 10~11という最大震度であった,(2)三河地震の震源域から愛知県北西部,岐阜県南西部にかけてIK 6~9という大きな震度が推定され,濃尾平野による揺れの増幅の可能性がある,(3)静岡県西部ではIK 6~7の比較的大きな震度であったが,三重県の大部分の地域の震度は中央気象台1)の震度より小さかった,(4)滋賀県と福井県においては,1944年東南海地震でIK 7~9の大きな震度が推定されたが,三河地震による震度はIK 3~7程度と小さかった.(5)アンケート調査の回答には,中井・武村2)により気象庁震度6強~7の震度が推定された深刻な被害地域からのものがないことから,アンケート調査自体の実施が困難であっと推察された.(6)約1ヶ月前の1944年東南海地震による強い揺れの経験や,三河地震の発生が東南海地震の余震活動がまだ活発な時期の真夜中であったことから,アンケート回答者が地震時の状況を正確に把握することが困難であり,岐阜県,三重県,静岡県のアンケート震度が過小に評価された可能性がある.

  • 上林 宏敏, 大堀 道広, 川辺 秀憲, 釜江 克宏, 山田 浩二, 宮腰 研, 岩田 知孝, 関口 春子, 浅野 公之
    2018 年 18 巻 5 号 p. 5_33-5_56
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/30
    ジャーナル フリー

    和歌山平野における反射法探査と重力探査情報から,基盤岩上面深度とP波速度の空間分布を推定した.次に,同平野と似た堆積環境である大阪平野・京都盆地における既存の深層ボーリングデータから導出した物性値(P波速度,S波速度及び密度)間の関係式を用いて,主に菖蒲谷層からなる堆積層のS波速度及び密度の分布を推定した.さらに,既存の浅層ボーリングデータに基づき沖積層厚さ分布を推定した.これら3つの推定結果を統合して和歌山平野の3次元地下構造モデルを構築し,単点微動観測によるH/Vスペクトルのピーク周期を用いてモデルの検証を行った.中央構造線断層帯(MTL)の五条谷区間と根来区間を対象に設定した震源断層モデルと構築した3次元地下構造モデルを用いて,ハイブリッド法による広帯域の強震動予測を行った.その結果,特に強い揺れとなる領域は,破壊開始点(西側と東側に設定)によりMTLに沿って移動するものの,何れのケースにおいてもMTLの地表トレースから1~2km程度南側の平野内に現れた.

  • 佐藤 智美
    2018 年 18 巻 5 号 p. 5_57-5_77
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/30
    ジャーナル フリー

    日本の地殻内地震の強震記録から,fling stepを伴う永久変位Dpと,速度波形の周期2~10秒の長周期パルスを抽出し,Dpが最大となる水平方向成分について,既往の予測式や熊本地震との比較からその特徴を分析した.その結果,Mw6.6~7.0の4地震の長周期パルスの周期は約3秒でMw依存性は小さかったが,既往の予測式と同程度であった.Dpは,既往のDpの予測式(Kamai et al., 2014)で使用されている地震モーメントM0と断層面積Sの関係(Wells and Coppersmith, 1994)の代わりに,日本の地殻内地震に対する地殻変動データに基づく断層モデルを用いて本研究で試算したM0-S関係を用いると,Sが小さく,平均すべり量Dが大きくなり,予測精度が向上する.

  • 青木 繁, 栗田 勝実, 野村 幸一
    2018 年 18 巻 5 号 p. 5_78-5_87
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/30
    ジャーナル フリー

    地震時における一般木造住宅の振動を低減することは,住宅の倒壊を防ぐために重要なことである.そのために,住宅に減衰力を付加する目的でダンパが開発されてきた.しかしながら,これらのダンパは水平1方向の振動に対してのみ有効であった.本論文では,2階建て住宅に注目し,一般住宅の振動低減のための種々の形状をした振動体をもつオイルダンパを提案している.振動体の形状は,加工性のよい直方体および円筒,3次元の振動に有効な球体とした.オイルダンパの本体を建物の基礎に固定し,振動体と1階部天井を連結棒で連結した.まず,ダンパを取付けた2階建て住宅のモデルを用いた実験で,1次および2次の振動モードを含む1階天井および2階天井の共振曲線を測定した.ダンパを取付けない場合と比較して,どの形状のダンパに対しても共振曲線のピークが低減されることが明らかになった.次に,数値シミュレーションによってダンパの有効性を検討した.住宅モデルを2自由度系でモデル化し,実地震波を入力として1階天井および2階天井の応答を計算した.どのダンパを用いた場合も最大応答および応答のRMSが低減されることが明らかになった.

  • 福岡 伸太郎, 源栄 正人, 王 欣
    2018 年 18 巻 5 号 p. 5_88-5_107
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/30
    ジャーナル フリー

    本論文では,常時微動観測に基づき,原因については不明であるが,東北地方太平洋沖地震によって短辺方向に向けて大きく傾斜した,短辺方向が1スパンの塔状比の大きい片廊下型杭基礎高層建築物の振動特性を抽出し,損傷度評価及び杭頭被害との関連性を検討した.はじめに,観測記録から上部構造の振動特性に関する分析,スウェイ効果の検討を行った.また,観測記録から確認された,短辺方向における低振動数領域での卓越した上下動の振動特性の把握,杭頭被害との関連性を検討する為,地盤・杭基礎・建物を簡略化し,水平・上下・回転の自由度を考慮した水平・上下・回転連成剛体モデルを構築した.解析結果から,観測記録と同様の振動特性が示された.併せて,損傷被害との関連性を提示し,基礎杭頭部での顕著な剛性低下を示した.

報告
ノート
feedback
Top