日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
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55 巻, 2 号
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巻頭言
総説
  • 永田 浩一, 遠藤 俊吾, 平山 眞章, 金澤 英紀, 高林 健, 安田 貴明, 松本 啓志, 歌野 健一, 松田 尚久, 斎藤 博
    2017 年 55 巻 2 号 p. 175-183
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    大腸がん検査における大腸CT検査の位置づけを本邦のエビデンスから検討した。
    UMIN2097, 6665では全大腸内視鏡検査をゴールドスタンダードとして大腸CT検査の6mm以上の腫瘍性病変に対する精度を評価し, 全大腸内視鏡検査に対し非劣性であることが証明された。UMIN9278では逐次近似応用構成法を活用することで, 実効線量が0.46mSvと従来の25%程度の超低線量撮影でも画質が担保されることが判明した。UMIN8690では腸管の良好な拡張にガス自動注入器は有効であったが, 鎮痙剤の使用は寄与しないことが判明した。
    大腸CT検査は精検法としての十分な精度が示されており, 被ばく線量は十分に低いことから指針に組み込まれるべきで「精密検査を全大腸内視鏡検査で行うことが困難な場合は, 大腸CT検査あるいは, S状結腸内視鏡検査と注腸X線検査の併用法のいずれかを実施する。」と変更することが妥当と考えられた。
原著
  • 中島 寛隆, 工藤 泰
    2017 年 55 巻 2 号 p. 184-190
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    目的:Helicobacter pylori(H. pylori)感染のX線診断では, 活動性胃炎と粘膜萎縮の所見が重要である。本稿の目的は, X線像の粘膜ヒダ性状や分布から胃炎と萎縮を診断する読影法の教育講演によって, H. pylori感染のX線診断精度が向上するかの検証である。
    対象と方法:対象はX線法による胃がん検診に従事する診療放射線技師と医師の計38名(診療放射線技師が31名)である。診断精度の判定にはH. pylori血清抗体価が明らかな胃X線検診画像を用いた。教育講演の前後で, H. pylori 感染の診断精度を比較した。
    結果:講演前の診断成績は感度が76.3%で特異度82.9%, 講演後は感度93.2%で特異度は89.7%といずれも有意に向上した(P<0.05)。
    結論:胃炎と粘膜萎縮の読影法を基にした教育講演によって, 胃X線検診におけるH. pylori感染診断の精度が向上すると考えられた。
  • 尾上 耕治, 山田 浩己, 北村 亨, 宮崎 貴浩, 稲倉 琢也
    2017 年 55 巻 2 号 p. 191-198
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    胃がんリスク評価ABC分類(ABC分類)の精度管理の困難性が指摘されているが具体的報告はほとんどないため, 当施設のABC分類を受診し5年経過した人の検査受診状況を検討した。2010年度に当施設でABC分類を受診し, 5年経過した706(A群:427, B群:202, C群:68, D群:9)名の自施設受診状況と郵送による他施設受診状況を調査した。その結果, 1)アンケート回収率が46%と低かった。2)ABCD各群ともに初年度の内視鏡かX線検査受診率は8~9割ほどあり高かった。しかし, 2年目以降はA群のみならずBCD各群ともに5~6割ほどしか受診していなく, 3年目以降の受診率アップがなかった。以上の結果より, 精度管理の重要性を認め, 3年目くらいに内視鏡検診の受診勧奨を行うことが望ましいと考えた。さらに, 受診勧奨の有効性を評価するために, 無作為化比較試験を開始した。
  • 茂木 文孝, 萩原 廣明
    2017 年 55 巻 2 号 p. 199-207
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    目的:免疫法便潜血検査による大腸がん検診の中間期癌の研究は少ない。中間期癌の特徴を明らかにするために検討を行った。方法:便潜血陰性者で翌年度の検診までに検診外で発見された浸潤癌を中間期癌, 便潜血陽性者で同期間に検診や検診以外で診断された浸潤癌を陽性癌とした。性, 年齢, 検診歴, 病期, 部位, 組織型について両群を比較し, クラスター分析で中間期癌を分類した。陽性癌や中間期癌は検診受診者資料とがん登録資料の照合で把握した。結果:検診受診者27,799名から中間期癌10名と陽性癌69名を認めた。中間期癌は90%が逐年受診者から発見され, 陽性癌と比べて高齢者や女性の比率が高く, 病期は進行し盲腸で高率だった。クラスター分析では, 高齢進行右側結腸型と非高齢直腸型に分けられた。結論:中間期癌は, 性, 年齢, 部位や病期が相互に関連していた。高齢者の右側結腸には便潜血検査では対応困難な発癌が示唆された。
地方会抄録
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