異常地震活動域,特に余震域の種々の特性を調査した。その結果,たとえば1943年9月10日の鳥取地震の様に,常時地震活動度の低い地域で起った地震では,その余震域は宇津・関の公式から期待されるものより小さいが,余震回数の減小は非常に長期間,改良大森公式によく適合すること,一方1961年1月16日の茨城県沖地震の様に,常時地震活動度の高い地域で起った地震では,その余震域は,宇津・関の公式から期待されるものより大きく,余震回数の減小は,改良大森公式にごく短期間しか適合しないか,または,最初から余りよく適合しないこと等がわかった。なお1964年6月16日の新潟地震の様に常時地震活動度がそれほど高くも,低くもない地域に起った地震では,余震域は丁度宇津・関の公式から期待される程度の大きさであり,また余震回数の減少は,かなりの期間,改良大森公式に適合することもわかった。
更にまた余震エネルギーは,余震域全体に等密に分布していず,余震域の一部に密集しており,かつこの密集域は,本震の近傍または,本震を含む線上近傍に相当すること,また本震による地殻の上下変動のデーターがあるときは,このエネルギーの密集域または密集線はそれぞれ,本震による地殻上昇域または,上昇および下降域の境界線にあたること等がわかった。なおこのエネルギーの集中性は,群発地震域においても認められる。
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