Papers in Meteorology and Geophysics
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18 巻, 1 号
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  • 市村 市太郎, 藤原 美幸
    1967 年 18 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1967/08/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    レーダーに受信される反射強度は,雲中に存在する降水粒子を媒介にしている。従って,降水粒子の種類,大きさ,および粒度分布の状態がわかれば,レーダーエコーの反射強度をより定量的に論ずることが出来る。それには実際に飛行機を使って雲中の降水粒子を観測する必要がある。そのためにふさわしい感部の基礎実験を行って,それを使って得た2,3の結果をのべる。実際の観測は人工降雨実験の中でおこなわれた。結論としては,
    1)連続記録装置としてはアルミ箔(厚さ10μ位)が最も適していることを確めた。
    2)小粗の検出限界は液相粒子と固相粒子によって違うが,前者は直径100μ,後者は直径60~80μ まで検出される。
    3)ヴィルガの存在しない積雲でも,かなりの(検出可能な)降水粒子の存在する場合がある。
    しかも,より大粒の粒子は下層よりむしろ上層に多くみられた。
    4)-15°C以下の比較的弱い積雲中にも,雲頂附近に直径最大1mm位の霰状と思われる降水粒子が14中に約10個位の濃度で存在することもあった。
    5)冬季の積雲からのヴィルガは2,3個ないし数個からなる多粒構造の粒子が多い。
  • -異常地震活動域の種々の特性-
    山川 宜男
    1967 年 18 巻 1 号 p. 15-26
    発行日: 1967/08/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    異常地震活動域,特に余震域の種々の特性を調査した。その結果,たとえば1943年9月10日の鳥取地震の様に,常時地震活動度の低い地域で起った地震では,その余震域は宇津・関の公式から期待されるものより小さいが,余震回数の減小は非常に長期間,改良大森公式によく適合すること,一方1961年1月16日の茨城県沖地震の様に,常時地震活動度の高い地域で起った地震では,その余震域は,宇津・関の公式から期待されるものより大きく,余震回数の減小は,改良大森公式にごく短期間しか適合しないか,または,最初から余りよく適合しないこと等がわかった。なお1964年6月16日の新潟地震の様に常時地震活動度がそれほど高くも,低くもない地域に起った地震では,余震域は丁度宇津・関の公式から期待される程度の大きさであり,また余震回数の減少は,かなりの期間,改良大森公式に適合することもわかった。
    更にまた余震エネルギーは,余震域全体に等密に分布していず,余震域の一部に密集しており,かつこの密集域は,本震の近傍または,本震を含む線上近傍に相当すること,また本震による地殻の上下変動のデーターがあるときは,このエネルギーの密集域または密集線はそれぞれ,本震による地殻上昇域または,上昇および下降域の境界線にあたること等がわかった。なおこのエネルギーの集中性は,群発地震域においても認められる。
  • 土屋 巖
    1967 年 18 巻 1 号 p. 27-76
    発行日: 1967/08/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    偏西風の蛇行現象とその気候学的意義とを解析的に明らかにすることを考えた。蛇行の幅が増大した場合にはブロッキング現象の発生することが多いが,この現象は冬季の寒波(日本及び北米東部など)と初夏の梅雨と密接な関係を示すことが,事例解析及び統計的吟味から認められた。とくに従来の梅雨論で重視されたオホーツク海高気圧の存在は,活発な梅雨活動にとって必しも必要な条件とは言えないことが示された、すなわち,梅雨活動を高めるのは日本海から太平洋に抜ける上層寒冷低気圧であって,このような現象は典型的なブロッキング循環に見られる。温暖高気圧としてのオホーツク海藏気圧はこの場合に存在しやすいのであるが,その位置によってはオホーツク海域がむしろ低圧となる場合もある。
    なお,寒波の半球的な分布と洪積世大陸氷河の分布との類似性から,氷河時代に関する気候変動の機構を論ずることができるが,これに関連してミランコビッチ(1930)の変動論が再認識される必要のあることが認められた。
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