Papers in Meteorology and Geophysics
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42 巻, 1 号
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原著論文
  • 井上 (吉川) 久幸, 松枝 秀和, 緑川 貴, 杉村 行勇
    1991 年 42 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 1991年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     1989年3月7日から3月8日の東京からビアク (インドネッシア) にいたるINSTAC-Iの飛行において、大気試料を採取した。持帰った試料については、先ずメタンと二酸化炭素の濃度を測定し、次に炭素安定同位体比測定のため試料より二酸化炭素を分離した。大気中の二酸化炭素の濃度は、日本及び日本近傍で高く、13°N附近で小さな濃度ピークが観測された。二酸化炭素の濃度と炭素安定同位体比の関係から、日本附近の高濃度と13°N附近の濃度ピークは共に化石燃料の消費か、陸上の植生による二酸化炭素の放出によると考えられた。大気中のメタン濃度は、二酸化炭素濃度と直線的な相関関係があるが、二酸化炭素の1ppmあたりの増加に対するメタン濃度の増加は、ポイントバーロー (71°N) のそれよりも低い事が分かった。
  • 酒巻 史郎, 秋元 肇
    1991 年 42 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 1991年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     1989年3月に実施されたINSTAC-I飛行計画において空気試料21個を採取して8種類の軽炭化水素をFID-ガスクロマトグラフを用いて測定した。その平均濃度は、エタン1.30 ppb、プロパン0.372 ppb、n-ブタン0.175 ppb、iso-ブタン0.075 ppb、n-ペンタン0.139 ppb、iso-ペンタン0.039 ppb、neo-ペンタン0.006 ppb、アセチレン0.179 ppbであった。その分布傾向として熱帯域上空でわずかに増加することが認められたが、南行き飛行時と北行き飛行時とでの濃度の顕著な差はなかった。これらの炭化水素の反応性の総和はメタンの約26%に相当すると推算され、非汚染対流圏の大気化学反応に対する軽炭化水素の寄与は無視することができないと推測された。
  • 近藤 豊, 岩坂 泰信, 岩田 晃, 小川 利紘, 杉村 行勇, 牧野 行雄
    1991 年 42 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 1991年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     1989年3月7日~3月9日までの間に行われた西太平洋上の航空機観測において、一酸化窒素 (NO) 及びオゾンを測定した。観測の緯度範囲は北緯31°Nから1°Sである。高度4.5kmにおけるNOの混合比は30~15°Nの緯度で10~45pptvの間で変化をし、その平均混合比は約20pptvである。南に向けての飛行と北に向けての飛行の間の両方共約20°N付近で45pptvの濃度のNOのピークが測定された。10°Nから赤道にかけてのNOの平均混合比は約10pptvである。オゾン混合比の緯度分布は基本的にはNOと似ており、NOとオゾン共中緯度域では低緯度に比べより大きな源があることを示している。
  • 熱帯太平洋上での観測
    池上 三和子, 岡田 菊夫, 財前 祐二
    1991 年 42 巻 1 号 p. 31-41
    発行日: 1991年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     INSTAC-Iの航空機観測において、日本から赤道まで (0°~34°N) の中部対流圏 (高度4~5km) のエーロゾルの測定を行った。本論文では、特に熱帯域に注目し、半径0.15~5μmの粒子の粒径別個数濃度の緯度変化と、電子顕微鏡による個々の粒子の形態と元素組成について得られた結果を示す。エーロゾルの空間的な分布には、次の2つの大きな特徴がみられた。エーロゾルが低濃度で空間的に一様に分布している領域が認められ、この場合には、広い粒径範囲で硫酸粒子が卓越して存在していることがわかった。一方、粒径によらず濃度が高い領域が対流雲の存在と対応して存在した。この場合には、硫酸粒子に代わり、海塩粒子が卓越し、高濃度をもたらしていることがわかった。対流雲による海塩粒子の鉛直輸送は、熱帯中部対流圏におけるエーロゾル濃度の増加に大きな役割を果たし、中部、上部対流圏で形成される雲の微物理特性に影響を与えるものとして重要と考えられる。
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