Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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43 巻, 4 号
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原著論文
  • 金久 博忠
    1992 年 43 巻 4 号 p. 123-132
    発行日: 1992年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     1987年と1990年にVerkleyは、大気ブロッキング現象のモデルの一つとして球面上のモドンを構成した (以下、87モドン及び90モドンと言う)。これら二つのモドンは球面上の順圧渦位方程式の厳密解として独立に提出された。この報告では、87モドンに含まれている助変数κ2が零に近づく時、87モドンは連続的に90モドンヘ変化する事が示される。ここで助変数κ2は、モドン内部領域に於ける-dQ/の値であり、Qは渦位、Ψは流線関数である。
     定常解の安定性を調べるのにアーノルド不変量が有用である事は良く知られている。アーノルド不変量は87モドンに対しては存在するが、90モドンに対しては定義されない。しかし、90モドンが87モドンのκ2→0の極限である事により、十分小さなκ2に対する97モドンのアーノルド不変量を使って、90モドンの安定性を調べる事が可能となる事が示される。
  • Janusz W. Krzyscin
    1992 年 43 巻 4 号 p. 133-164
    発行日: 1992年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     北極域、北半球温帯域、熱帯域の3つの帯域、および全球に関して、地上測定によるオゾン全量値、ならびに北極域、北半球温帯域の対流圏と成層圏のオゾン量を、長期変動 (トレンド) と短期変動 (QBO、ENSO、それに長周期の太陽活動に関連したもの) の検出を目的として解析した。大気オゾンの人為的変動を明らかにするために、各種の多重回帰モデル (トレンド、年々の準周期的変動、また連続相関に関する) について調べた。
     1970年から1990年の期間の各季節に対し、北半球の中高緯度帯、熱帯域、さらに全球について、明らかなオゾン全量の下降トレンドが見られた。オゾン消失の割合は、熱帯外の地域では季節に依存し、緯度が高くなるにつれ増加している。
     中高緯度帯の層毎の平均オゾンのトレンドは、高度により一様ではない。すなわち対流圏オゾンは増加を示し、成層圏オゾンは減少を示している。北半球の熱帯域外のオゾン全量についての負のトレンドは下部成層圏 (16-24km層) でのオゾン破壊によって起こされていることが示された。
     QBO、ENSO、そして太陽活動に関係した自然要因のオゾンの年々変動の緯度変化を論じた。オゾン全量の自然変動の大きさは、QBO (東風と西風)、ENSO (warmとcold) の位相、およびQBO、ENSO、そして長周期太陽活動の強さの両者に依存している可能性が見いだされた。大気力学の長期変動が大気オゾンのトレンドに影響を与えていることの可能性については、わずかであることがわかった。
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