及びp-ジクロルベンゼンをメタノール性カセイソーダで加水分解する反應について實驗を行つた。反應速度は180℃ 附近よりかなりの大さとなり, 反應生成物は常に單純でそのほとんど全部がクロルフェノールである事を知つた。
クロルベンゼン類のアルカリ加水分解についてはモノクロルベンゼンのアルカリ水による加水分解以外は文献は比較的少く, メタノール性カセイソーダ, 又はナトリウムメチラートによる-pジクロルベンゼンの加水分解 (200℃, 25hrでp-クロルフェノールの收率85%, 190-195℃, 40hrで90%), o-ジクロルベンゼンの加水分解 (190-195℃, 10hrでo-クロルフェノールの收率80%), 1, 2, 4-トリクロルベンゼンの加水分解, ヘキサクロルベンゼンの加水分解 (反應温度130-140℃), に關する文献が若干知られるのみである。なおモノクロルベンゼンの時と同樣o-ジクロルベンゼンでも銅イオンが觸媒として働くと云われる。
クロルベンゼン類のアルカリ加水分解はクロルフェノール類の合成法として實際的意義があるのみならず, BHC中のγ 體以外のbenzenehexachlorideのアルカリ分解で容易に得られるトリクロルベンゼンの利用という見地からも重要性が認められる。それ故我々はこれら一連のクロルベンゼン類のアルカリ加水分解を, 特に文献に不足している反應速度の面の知見をうる事に主眼點をおき若干の研究を行つたので報告する次第である。第1報では本研究の實驗方法とジクロルベンゼン類のメタノール性カセイソーダによる加水分解の實驗結果を述べる。
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