1-アミノアダマンタンを出発物質として種々の方法で (1-アダマンチル) グアニジン (1) および1- (1-アダマンチル) -3-アミノグアニジン (2) の合成を試みた。その結果, (1) は1-アミノアダマンタン, その塩酸塩およびシアナミドを 120℃で加熱することにより, また (2) は1- (1-アダマンチル) -S-メチルイソチオ尿素 (3) ヨウ化水素酸塩と無水ヒドラジンとを無水エタノール中で反応させることによって作ることができた。後者の反応は (3) にヒドラジンが付加後メルカプタンが脱離する機構により進行するものと推定した。
(1) を濃塩酸で処理したところ, 通常のN-アルキル置換グアニジンとは異なり, グアニジン塩酸塩と塩化1-アダマンチルを生じた。他方
t-ブチルグアニジンを同様に処理したところ, グアニジン塩酸塩と塩化
t-ブチルが得られたので, この反応は安定なカルボニウムイオンを形成し易い3級炭素で置換されたグアニジン類に共通した反応であると推論した。
抄録全体を表示