エチレンシアンヒドリン法とアセチレン法 (本法) とによって合成した各精製アクリルニトリルの近紫外部吸収スペクトルを測定した結果, 両者の物理恒数 (沸点, 屈折率) がよく一致しているにも拘わらず, その吸収スペクトルは相互に著しい相違を示した。即ち比吸光では本法の試料に於いてのみ, 230~280mμの波長領域, 及び320mμに極大吸収を有する事が明らかになった。尚, 320mμに於いて吸收極大を示す物質としてメチルピニルケトンが推定せられるが230~280mμの節囲に吸収を示す微量不純物質については確認出来なかった。
次に水溶液の吸収スペクトルに於いてはエチレンシアンヒドリン法の試料に於いてのみ240~242mμに吸収極大を示し, 各波長に於いて測定した分子吸光係数は一定せず, 濃度の減少と共に増大した。
即ち, 直接法で得た本アクリルニトリル中には, 除去し難い副反応生成物が猛微量共存する事が明らかとなったがこれらの各成分の詳細に就いては更に検討中である。
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