われわれは一連の研究として, 液体アンモニア中, 種々の有機化合物と硫化水素ナトリウムの反応を行ない, 求核置換反応, 酸化還元反応, 付加反応が容易に起こることを知ったので, 塩化アンモニウムの存在下, 芳香族カルボニル化合物と硫化水素ナトリウムの反応に拡張した。
ベンズアルデヒド (1) と硫化水素ナトリウムおよび塩化アンモニウムを液体アンモニア中, 100℃, 2時間加熱し, チオベンズアミドとベンジルジスルフィドをそれぞれ21%および68%の収率で得た。
また, 4-アニスアルデヒド (2) および4-ジメチルアミノベンズアルデヒド (3) との反応から相当するチオベンズアミドおよびベンジルジスルフィドを得た。
一方, 4-オキシベンズアルデヒド (4) との反応からは4-オキシチオベンズアミド, 4, 4'-ジオキシベンジルスルフィドおよび4-オキシベンズアミジン・2水和物を得た。
ベンゾフェノン (5) との反応からは主として, ジベンズヒドリルジスルフィドを得た。
ベンジル (6) およびベンゾイン (7) との反応からは, イオウ含有化合物は得られず, 縮合生成物および還元生成物のみを生成した。
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