1-チオアロファン酸S-メチルエステル (1) の構造に着目し, このもののビウレット化試剤としての反応性を検討した。まずシアナミドジチオ炭酸ジメチルエステルの酸加水分解により (1) を収得し, その構造を明らかにするとともに, この加水分解反応に関する従来の報告が誤りであることを確かめた。予期されたように, (1) は活性で脂肪族アミン類と室温で反応して高収率にビウレット類を生成する。しかし, アニリンとは反応しにくく, ジオキサン中での加熱反応では1-チオ-4-フェニルアロファン酸S-メチルエステルを生成した。 (1) と遊離グアニジンとの反応では低収率ながらグアニルビウレットが得られ, またシアナミドナトリウム塩との反応ではシアノビウレットナトリウム塩が得られた。以上より (1) はビウレット化試剤として有用であるとの結論を得た。
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