有機合成化学協会誌
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27 巻, 7 号
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  • 牧角 徳夫
    1969 年 27 巻 7 号 p. 593-608
    発行日: 1969/07/01
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    1965年Woodward, Hoftmann両氏は軌道関数の対称理論を使って, π電子の関与する熱や光による協奏反応の選択律や立体特異性を見事に説明し, 有機反応機構の領域において多大の注目を引いた。これら数篇の報文の一つに出てくる3, 3-シグマトロピー転位反応というのはビアリル系化合物の熱転位反応で, 環状安定化された遷移状態を通り, σ結合が1, 1の位置から3, 3の位置へ協奏的に移動する反応の総称と考えてよい。この種の反応は古くから知られたClaisen転位やCope転位により代表されるもので, 触媒や溶媒など外的条件にほとんど影響されず, 従来のイオン反応やラジカル反応とは別個に取扱われてきた。
    1X-1-3-3〓 [X] 〓X
    X=C, O, N, S
    これらの反応においては, 反応生成物は出発物質よりも当然熱力学的に安定でなければならず, 反応系における熱力学的安定性や反応機構などの研究をはじめ, 合成化学的にも芳香環へのアルキル基導入反応やアリサイクリック化合物での立体特異的アルキル化反応として広く応用されている。
    近年, 化合物の分離精製, 構造確認法の進歩にともない, この種の反応はvalence isomerizationなど熱力学的研究とともに, 新しい系への拡大などその進展もいちじるしく, また, 複素環化合物への展開もここ数年の問にいちじるしい発展を見つつある。最近の進歩に関する一般的解説はそれぞれ他の総説を参照いただくとして, ここでは著者らの研究と関連のある複素環を対象としたこの分野における最近の研究の発展に限定して述べる。
  • 右田 俊彦
    1969 年 27 巻 7 号 p. 609-621
    発行日: 1969/07/01
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    1961年本誌に同じような標題のもとに、ラジカル反応のうち比較的収率のよい反応をあつめ, その後それらの反応に対する機構論的観察をとりまとめた。また古くから知られた反応までも含めて, 現在まで行なわれた実例がSosnovskyによって集録されている。
    ラジカル反応の合成化学的開発という意義をもつ研究はいまもなお盛んに行なわれているが, ここではその後見出された種々の反応を紹介すると共に, ラジカル反応を合成化学に利用するときの考え方に論点を向けてゆきたいと考えている
    多くのラジカル反応の教科書にみられるように, ラジカルの行なう反応を素反応別にわけると次のようになる。
    1.ラジカル1個の行なう反応
    R・→R'・+M (ラジカルの分解)
    R・→R'・ (ラジカルの転位)
    2.ラジカル間の反応
    R・+R・→R-R (会合反応)
    R・+R・→RH+R (-H) (不均化反応)
    3.ラジカルの酸化・還元
    R・+e→R : 〓
    R・-e→R⊕
    4.不飽和分子への付加
    R・+>C=C<→R-C-C・
    R・+O2→ROO・
    5.飽和分子との置換反応
    R・+X-C-→R-X+・C- (x-ひきぬき反応)
    R・+RLS-S-R, →R-S-R'+R'S・ (メタセシス)
    合成化学的に用いるという観点からこれらの反応を眺めてみよう。
    1.の反応はラジカルは安定分子を放出しつつ他のラジカルに変化し, あるいはより安定なラジカルに転位することがあることを示すもので, 中間に生ずるラジカルについてこの反応の可能性を考える必要がある。そして分解もしくは転位がきわめて収率よくおこるときは, それを利用して合成化学的に用いることもできよう。
    ラジカルに対してきわめて活性な芳香族化合物は過酸化ベンゾイルによってベンゾキシ化することができるが, 一般の芳香族化合物はフェニル化をうける。前者は過酸化物の分解によって生ずるベンゾキシラジカルの反応を, 後者はベンゾキシラジカルの分解で生じたフェニルラジカルの反応を利用した芳香核置換反応である。
    (C6H5COO) 2→2C6H5COO・ArH→ArOOCCC6H5
    C6H5COO・-CO2→C6H5・ArH→ARC6H5
    3, 3-ジクロルプロペンに臭化水素をラジカル的に付加させるとき生成物は1, 2-ジクロル-3-プロムフロパンである。これは臭素原子がオレフィンに付加して生ずるラジカルに次の転位が行なわれたものである。
    Cl2CHCH=CH2 →Br・→Cl2CHCHCH2Br→o
    ClCHCHCLCH2Br→HBrClCH2CHCLCH2Br
    しかし, ラジカルの分解または転位が重要な段階となる合成反応は少ないといってよい。
    2.の反応はラジカル2個が反応して安定分子を形成する反応である。このうち同種のラジカルが会合する反応は, 対称的な構造をもつ化合物の合成に用いられることがある。そのいくつかの例は先に上げた総説の中に集録したのでそれを参照していただきたい。
    不安定な多くのラジカルは溶液中では直ちに溶媒分子と反応するので, 会合が収率よくおこることを期待するためには生じたラジカルが多少とも安定でなくてはならない。クメン中過酸化物を分解させて1, 2-ジメチル-1, 2-ジフェニルブタンをつくる方法などがその典型的な例である。
    Ph-CH (CH3) 2 R・→Ph-C-CH3-CH3→Ph-Me-C-Me-Me-C-Me-Ph
    したがってその適用範囲もそう広いものではない。ラジカルを電解法によって発生させるときは, ラジカルの濃度が電極の近くに高くなるので, このような会合反応が期待できることがある。Kolbeの電解による炭化水素の合成はその例である。
    2CH3COO--e→2CH3COO・→-CO22CH3・→C2H6
    反応3.は炭素ラジカルを金属イオン等によって酸化あるいは還元してカルボニウムイオン, カルバニオンとする反応である。ラジカルは水とは反応しないが, カルボニウムイオンなどは水と容易に反応して相等するアルコールをうることができる。この種の研究は最近主としてKochiによって手広く行なわれている。なお今後の開発が期待される分野である。
    反応4, 5はラジカルの安定分子との反応である。不安定なラジカルは溶液中に発生すると, 直ちに溶液中の安定分子と反応4, 5の形式にしたがって反応する。したがって, 今日までに知られた合成に用いうる適用範囲の広い反応は, 反応4.あるいは5.の組み合せからなる連鎖反応であることは当然のことである。ここでも主してこの種の反応をとりあつかうことにする。
  • 国井 利泰
    1969 年 27 巻 7 号 p. 622-631
    発行日: 1969/07/01
    公開日: 2009/11/13
    ジャーナル フリー
  • 板谷 博
    1969 年 27 巻 7 号 p. 632-641
    発行日: 1969/07/01
    公開日: 2009/11/13
    ジャーナル フリー
  • アセナフテンおよびその誘導体のニトロ化 (第1報)
    三戸口 博三
    1969 年 27 巻 7 号 p. 642-647
    発行日: 1969/07/01
    公開日: 2009/11/13
    ジャーナル フリー
    The nitration method of aromatic compounds using a mixture of metal nitrates and acetic anhydride, commonly called the Menke method, was applied for the synthesis of 5- and 3-nitroacenaphthenes. 5-Nitroacenaphthene was obtained in a yield of ca. 90% even at 30°C, when an amount of metal nitrate equivalent to the acenaphthene dissolved in acetic anhydride was added. However, 3-nitroacenaphthene was formed together with the 5-isomer by the reversed treatment at -10°C in a yield of 18%. Of various metal nitrates tested, cupric and zinc nitrates proved most satisfactory.
  • 石炭酸誘導体のカルボキシル化反応 (第12報)
    大田 弘毅, 平尾 一郎
    1969 年 27 巻 7 号 p. 648-651
    発行日: 1969/07/01
    公開日: 2009/11/13
    ジャーナル フリー
    Carboxylation reactions of sodium phenoxide under carbon dioxide pressure in a liquid state were studied. The effects of the physical and chemical properties of solvents on the yield of hydroxy carboxylic acids and the ratio of p-isomer/o-isomer were clarified.
    On the whole, the yield of the desired product attained by this treatment was poorer than that by the gas-solid state reaction, though the p-isomer/o-isomer ratio remained almost unchanged. However, when water-miscible aprotic polar solvents, such as DMF, DMA, NMP, and HMPA, were used at a temperature below 180°C, the p-isomer/o-isomer ratio was markedly increased. Such effects were not noted with other types of solvents.
  • 佐々木 慎一
    1969 年 27 巻 7 号 p. 652-656
    発行日: 1969/07/01
    公開日: 2009/11/13
    ジャーナル フリー
  • 織方 郁映
    1969 年 27 巻 7 号 p. 657-676
    発行日: 1969/07/01
    公開日: 2009/11/13
    ジャーナル フリー
  • 西村 佐知夫, 端 直明
    1969 年 27 巻 7 号 p. 680-683
    発行日: 1969/07/01
    公開日: 2009/11/13
    ジャーナル フリー
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