第8報 (本誌, 9, 報23) の結果に基き3, 5, 3′, 5′-テトラクロル-2, 2′-ジヒドロオキシトリフェニルメタン型化合物に於ける化学構造とそのヒメカツヲブシムシに対する羊毛防虫性との関係を明にする目的で, この型の化合物20余種を夫々2モルの2, 4-ジクロルフェノールを1モルの種々のベンズアルデヒド誘導体と主として硫酸を縮合剤として反応せしめて得, それ等の上記害虫に対する防蝕試験をした結果上記一般式に於いて, 及びそのベンゼン核にC1, -NO
2, -NH
2, -N (CH
3)
2等を含む場合効果低劣であつたが, それにスルホン基を導入すると秀れた防虫性を得るに至つた。これはスルホン基導入により毒性が増大するからではなく, それにより水溶性となり羊毛繊維に対する親和性を持つ様になり繊維内部に一様に滲透吸着されるからであると考えられた。
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