フェナントラキノンを直接臭素化すると, 3-ブロム体と3, 6-ジブロム体が主生成物として得られ, 2-, 4-, 2, 5-, 2, 7-系のプロム誘導体の生成は認められない。ニトロ化の場合とは全く趣を異にしている。モノブロム化を均一に行うことはややむずかしいが, 80% H2SO4を溶媒とする方法ではば目的を達した。ジブロム化はニトロベンゼン溶媒で簡単にいくが, トリブロム化はきわめて困難である。2-, 4-, 2, 5-, 2, 7-系のブロム体はそれぞれ対応するアミノ体のジアゾ化-Sandmeyer法で合成し, 一応それらの純品を得たが, この分離精製は簡単でなく, 収率もわるい。
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