水とアセチレンの反應は水銀を觸媒として常堅下で行われアセトアルデヒドが得られるがその他の金屬としてカドミウム盛等は高温で氣相反應にてアセトアルデヒドを與えている。又加壓下の反應では苛性アルカリを用いて反應させた例はあるが主として樹脂状のものが得られたにすぎない。我々は加壓下で種々の金屬監を用いて水とアセチレンとの反應を試みた所適當な條件では樹脂状物の生成をさけて多量の高級不飽和アルデヒドが得られる重を見出した。即ち加壓下アセチレンと水とを反應せしめて吸収アセチレンに對して粗生成油状物40~45%樹脂状物27%~9%の重量%収率を得た。粗生成油状物中約50%は粗ヘキカヂエナールであつた。此の方法はアセトアルデヒド及びクロトンアルデヒドとをピペリヂンの存在下に縮合せしめて高級不飽和アルデヒドを得る方法より収率は優れて居る。缺點としては反應速度の小なる事が挙げられる。高級不飽和アルデヒドの製造を目的とする反應には酷酸亜鉛,酷酸カドミウムの如き弱いアルドール化の觸媒が樹脂の生成を少くして高級不飽和アルデヒドを生じた。又高級不飽和アルデヒドは周知の如く非常に熱及び觸媒に封して反應性に富む不安定な物質であるので本反應の條件の如く150~170℃の温度では樹脂化しやすくこれを速かに冷所に取出すか或は本實験の如く生成物を溶解して觸媒との接觸を斷つか觸媒を溶解しにくく且水に不溶の溶剤を用いることによつて生成物の樹脂化を防ぐことが出來る。
抄録全体を表示