この原稿を書くに当たって,これまでに掲載された随想を読ませていただいた。内容的にはさまざまであったが,すべて格調高いものであった。そのため,本稿も格調高く書くべきかと迷ったが,「随想」の意味に甘え,私が最近考えていることを書くこととする。
1.はじめに
アーク放電は気体放電において大電流が維持された際に起こる現象である。アーク放電で生成されるプラズマの高温状態を積極的に利用した産業機器や,プラズマを瞬時に消滅させて電流を遮断する遮断器などの電力機器で活用されている。前者の産業応用に関しては,電気学会誌140巻
1.はじめに
現在,高電圧電力機器においてSF6ガスは電気絶縁ガスやアーク消弧ガスとして用いられている。一方で,SF6ガスの地球温暖化係数(GWP100)は25,200(1)と非常に高く,使用量の削減が求められている。使用量削減の方法としては,(A)SF6代替ガスの使用(2)(3)や(B)高電圧電力
1.はじめに
真空遮断器の電流遮断部である真空インタラプタ内では,電流遮断時に真空アークが発生する。真空アークの挙動は電極の損耗量や電流遮断性能の成否に直結するため,真空インタラプタの開発においてもプラズマシミュレーションが活用されつつある(1)(2)。真空インタラプタは通常
1.はじめに
ガス遮断器は,電力系統に配置される超大型のブレーカーであり,負荷電流の切替や,系統故障時の過電流を迅速に遮断する機能を持つ。特に,系統故障に対しては,あらゆる故障を想定した多数の電流遮断性能が要求される。小型で高性能なガス遮断器の開発を目指し,多角的な視点
1.はじめに
受配電系統の短絡事故で発生する気中アーク放電は,高温・高圧力・高輝度のプラズマ現象である。
受配電機器の一つである遮断器や開閉器(コンタクタ)においては,遮断・開閉動作で接点間に発生するアークを制御し,迅速に電流遮断を達成する必要がある。特に低圧
1.はじめに
2020年10月の「2050年カーボンニュートラル宣言」に基づいて制定された「カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2020年12月制定,2021年6月改定)」では,カーボンニュートラルを実現するためのエネルギー政策およびエネルギー需給の絵姿が示された(1)。2030年に
1.はじめに
私たちの身の回りにある素材や製品をつくる生産設備を「プラント」と呼ぶ。プラント内にはさまざまなプロセス(工程)が存在し,多くのプロセスで自動制御が取り入れられているが,なかには制御の複雑性から,熟練運転員の手動介入に頼っているものも多く,人手不足や技術伝承な
1.はじめに
現代は,SNSの発達に伴いより多くの人と,通信ネットワークの発展により遠くの人と,コミュニケーションを取ることが容易になった。しかし,これらを用いたコミュニケーションに違和感を覚える人もいるのではないだろうか。リアルの友達とネットの友達では接し方が異なった
1.はじめに
電力用通信標準化委員会及び,カーボンニュートラル実現に向けた需要家電力資源の柔軟性の活用検討調査専門委員会では,JEC-TR-59001及び,JEC-TR-59002を改正したので,その概要を紹介する。
2.JEC-TR-59001改正の経緯および改正点