家政学雑誌
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33 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • でんぷん-脂肪酸メチル複合体の生成
    肥後 温子, 島崎 通夫, 野口 駿
    1982 年 33 巻 6 号 p. 297-303
    発行日: 1982/06/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    でんぷんに脂肪酸メチルと水を加えた系をマイクロ波加熱すると, 伝熱加熱に比べて脂質の抽出率が著しく低下した.同時に, マイクロ波加熱におけるヨード呈色値の低下が大きいことや, 脂質の酸化が抑制されていること, この区分の脂質が含水溶媒によって抽出され, その組成がらせん複合体の組成と類似していることから, マイクロ波加熱によってでんぷん-脂肪酸メチル複合体量が増加するものと推定した.
    この結果は, マイクロ波の非伝熱的な効果を示すものと考えられる.
  • 多量のマヨネーズソース作製とマヨネーズソース油脂の性状の変化
    木村 友子, 小川 安子
    1982 年 33 巻 6 号 p. 304-312
    発行日: 1982/06/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    学生の集団給食実習において多量炊事に利用する目的で, 超音波照射による多量のマヨネーズソース調製法と一般に集団実習用機・器として使用されている電気攪拌器によるマヨネーズソース調製法とを比較し, そのマヨネーズソースの硬さ・粘稠度・温度・安定度を測定し, あわせて官能検査を行い耐実用性を検討した.また超音波照射のマヨネーズソース油脂についてPOV・IV・TBA値・AVを測定し油脂の性状の変化を調べ, 市販品のマヨネーズソース油脂も同様に測定し比較検討し次の結果を得た.
    1) 超音波照射法は, 調製原料の油脂・酢など冷蔵器内で冷やしたものを用い, 超音波照射前に約1/3量の油脂と食塩・胡椒・辛子・酢を混合し最後に卵黄を入れ, 超音波照射を10~25分間行う.照射中に残りの油脂を一度に約1/3量ずつ2回に追加し, この間油脂の浮上を防ぐため装置付属の金網を用いて毎分12回の速度で上下させ混和し, また品温は30℃以下に保ち調製すると, 乳化はきわめて安定なマヨネーズソースが確実にできた.
    2) 電気攪拌法は, 乳化状態がよく比較的硬いが初期の油脂添加に注意し少量ずつ, また細かな流れとして滴下しないと慣れない学生など分離をまねき失敗することがありうる.また滴下中に油脂が飛び散りやすい.
    3) 官能検査の結果は超音波10~25分間照射のマヨネーズはソースとして好まれ, 舌ざわりの滑らかさなど, やや優れていたが, 総合して電気攪拌法のマヨネーズソースと有意差は認められなかった.
    4) マヨネーズソースの油脂の性状変化は, 超音波照射法も市販品もともにPOV・TBA値・AVなど経時変化はきわめて僅少であったが, 自分で作る場合は新鮮味を貴ぶので, 可及的すみやかに供食することが望ましい.また超音波照射法によってとくに油脂の酸化が促進されなかった.
  • 和田 淑子, 倉賀野 妙子, 長谷川 美幸
    1982 年 33 巻 6 号 p. 313-320
    発行日: 1982/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    クッキーのショートネスと材料配合比の関係を統一的にとらえるため, Schcfiéの3成分系の単純格子計画法を用いて検討した.
    バター, 砂糖, 卵の水準の最大値は60, 55, 45g, 最小値は30, 25, 15gとした.小麦粉は全材料に対して40, 45, 50%とした.
    クッキーのショートネスを示す特性値として, ショートメーターによる破壊力, レオロメーターによる硬さ, もろさの測定と, 吸水率の測定を行った.
    1) ショートメーターの破壊力とレオロメーターのプランジャー速度3サイクルでの硬さ, もろさの間には, かなりよい相関が得られた.
    2) バターが多いクッキーはやわらかく, 砕けやすく, もろくなり, 砂糖, 卵が多いと硬くて, もろさに欠けるクッキーとなる.
    3) クッキーの口どけに関与する吸水率は, 砂糖の多いものが良好で, 卵の多いものが最も悪い.バターは油脂であるにもかかわらず吸水率を悪くしない.
    4) クッキーの破壊力, 硬さ, もろさと材料配合比の問には, 二次および三次の推定式が得られ, それぞれ推定曲線で示すことができた.本実験の範囲内でおのおのの測定値より材料配合比の推定, あるいは材料配合比よりおのおのの特性値を推定することが可能であると考える.
  • 立屋敷 かおる, 李 鍾順, 寺元 芳子
    1982 年 33 巻 6 号 p. 321-325
    発行日: 1982/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The characteristics of pasting and gelation of acorn starch was studied with a view to elucidate the cooking quality of the starch. The comparison of the results with those of other starches (mung bean, arrowroot, and chestnut) gave the following findings :
    1. Starch granules of acorn and chestnut swelled gradually with heating, and those of mung bean and arrowroot swelled rapidly.
    2. The profile of the amylogram of acorn starch was somewhat similar to that of chestnut except for the set-back curves. The set-back curves of amylograms showed that the viscosity of the chestnut starch paste decreased with time while those of others increased.
    3. Iodine affinity of a starch was in the order, mung bean>acorn>chestnut>arrowroot.
    4. In textural measurements of starch gels, mung bean has the largest values of hardness and gumminess. Acorn has the second largest values.
    5. Sensory tests showed no significant difference between mung bean starch gel and acorn starch gel with respect to preference.
  • 江澤 郁子, 菅原 園, 山下 亀次郎
    1982 年 33 巻 6 号 p. 326-328
    発行日: 1982/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病ラットを用い, 食物繊維 (ファイバー) の骨代謝に及ぼす影響を検討した.
    動物は, 体重約200gのウイスター系雄ラットを用い, ストレプトゾトシン投与により糖尿病ラットを作成し, これを2群に分け, 一方にコントロール食 (ファイバー無添加) を, もう一方にファイバー食 (ファイバー10%添加) を与え, 50日間飼育した.
    その結果,
    1) 体重増加は, ファイバー食群がコントロール食群に比し, 有意な高値を示した.
    2) 血清グルコース, カルシウム, リンおよびたん白質濃度では, 両群の間に差が認められなかった.
    3) 大腿骨カルシウム含量, およびカルシウム : リン比において, ファイバー食群が著しい改善効果を示した.
    4) 以上の結果は, 食餌中ファイバーが, 糖尿病ラットにおける飼料効率および骨石灰化に効果的であることを示唆するものと思われる.
  • 生産地によるヤマノイモの粘度
    田附 きつ
    1982 年 33 巻 6 号 p. 329-336
    発行日: 1982/06/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    Rheological properties of the samples of forma Tsukune (spherical Tsukune-imo which is one of cultivors belonging to Yama-no-imo) obtained from nine districts were measured by a rotational concentric cylinder viscometer at 30°C, 20°C and 15°C. The samples were prepared by both the mixer treatment method (MTM) and the grater treatment method (GTM).
    Every sample showed pseudo-plastic property having a yield value and was approximately represented by the power-law equation :τDn and ηaDn-1. An apparent viscosity μ and power n of GTM samples were respectively higher than those of MTM samples, and the former showed remarkable Weissenberg effect. The four rheological factors, μ' (ηa at D=1), n, τc (Casson yield value) and U (apparent activation energy) were compared among nine sorts of samples.
  • 二軸方向に引張られたくつ下編地の歪みとラン伝播速度の関係
    豊間 和子, 加藤 素子, 田中 道一
    1982 年 33 巻 6 号 p. 337-345
    発行日: 1982/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    In previous papers, we studied the velocity and distance of run propagation in various stocking fabrics, and the snagging force to run.
    In the present paper, we studied the relationship between the tensile strain of biaxially elongated stocking fabric and the velocity of run propagation.
    The resultant strain caused by the maximum longitudinal and lateral strains which could be given to each stocking fabric was largest in the multi-type, smallest in the para-run and non-run, and medium in the pitch non-run stockings. According to the results of experiments using a stroboscopic flash, the run velocities propagated across the stocking fabrics mentioned above were of the same order of magnitude as the strain.
  • 渡部 由美, 垣本 充
    1982 年 33 巻 6 号 p. 346-350
    発行日: 1982/06/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    小学校5, 6年生の女子児童を対象に, Y-G性格検査によって分類された5群の性格特性について, 甘味, 酸味, 塩味, 苦味の味覚識別検査を試験紙法を用いて行った.その結果, 情緒不安定群に, 酸味, 苦味の正解率が低い傾向にあった.また, 積極安定群は苦味の識別が消極不安定群に比べて5%の危険率で有意にすぐれていた.
    味覚識別検査の正解者と誤答者の間で有意差のあった性格特性因子は, 苦味において, 劣等感, 社会的外向, 一般的活動性, 支配性の4因子であった.
    嗜好意欲尺度を用いた食品嗜好調査の結果より, 酸味正解者は酸味誤答者より果物, 甘いものを好み, 苦味正解者は苦味誤答者より肉類, 野菜類, 塩からいもの, すっぱいものを好む傾向があった.
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