家政学雑誌
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25 巻, 8 号
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  • 稲垣 長典
    1974 年 25 巻 8 号 p. 575-579
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    アメリカ家政学会第65回年次大会は, 1974年6月24日より28日にわたってロスアンゼルス市のコンベンションセンターで開催された.筆者は, 久し振りに本大会に出席した.1970年オハイオ州クリーブランド市で開催された第61回年次大会に参加して4年振りであった.1970年の大会の時は丁度コーネル大学が学部名をHuman Ecologyと改名した年であったので, その当時のアメリカの空気を知るのが1つの目的であった.本年はそれから4年経過して, その改名問題がアメリカ全土にどれ位浸透したかを知るのも, 今回の出席目的の1つでもあった.
  • 小林 雅美, 岡内 成子, 中沢 文子, 野口 駿
    1974 年 25 巻 8 号 p. 580-583
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    With 14 kinds of deep-sea fishes found off the coast of Tosa and also around the Kii Channel from 600 to 1000 m in depth, the fatty acid composition of those oil constituents was investigated by means of gas chromatography.
    There is no specific component detected even though their unusual environment (less light, higher pressure, etc.) and an analogous composition is experimentally observed among those fishes examined. The average composition is found to be 20-30% of C18 : 1, 15-20% of C16 : 0, several percent of each of C16 : 1, C20 : 1, C18 : 0, C22 : 6, C24 : 3ω6, C14 : 0, and C22 : 1 acids, respectively, suggesting a similarity in composition to those of the familiar fishes living in colder area rather than fishes in a warmer area.
  • ヒラタケ子実体のステリンの分布について
    山崎 雅永
    1974 年 25 巻 8 号 p. 584-588
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    著者はヒラタケの子実体におけるステリンの分布状態を明らかにするために, 組織化学的に研究を行なった.そして, その結果はつぎのとおりであった.
    1) ヒラタケの子実体において, 菌柄は外皮膜と内部組織からなり, 菌傘は外皮膜, 内部組織およびひだから構成されている.これらの組織はそれぞれ特徴のある細胞からできている.
    2) ステリンはごく若い子実体においては菌柄の下部に最も多くて上部ほど少なく, 菌傘ではひだと外皮膜にわずかに含まれるにすぎない.しかし, 子実体が成長するにしたがって, 菌柄では下部につづいて中部や上部の内部組織 (髄部) に多く含まれ, 菌傘においてはひだ・外皮膜および髄部において含有量が増大する.
    3) ステリンは成熟した子実体においては, 菌柄の下部と中部および上部の粗縫な髄部に菌傘ではひだ・外皮膜および髄部に多く含まれる.
  • 煮物調理によるいも類のテクスチャーの変化
    渋谷 歌子, 本間 伸夫, 塩崎 啓子, 石原 和夫
    1974 年 25 巻 8 号 p. 589-595
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    煮物調理におけるいも類 (じゃがいも47年, 48年産さつまいも, 長いも, 里いも) のテクスチャーに及ぼす調味料の種類 (食塩, 砂糖, 酢酸), 調味時期 (最初から調味, および湯煮後調味), 加熱時間 (0, 5, 10, 15, 20分) の影響についてレオロメーターを用いて検討し下記の結果を得た.
    1) レオロメーターカーブでは付着性, 脆さは示されない.硬さ, 弾力性, 凝集性を求めた結果弾力性, 凝集性はその測定値に変動が大きいのに対し, 硬さは変動が小さいので, その平均値について検討を加えた.加熱による影響の仕方はいもの種類により異なり, さつまいもは軟化しやすく, じゃがいも (47年) は軟化しにくい傾向にある.また調味料が硬さに及ぼす影響の仕方はいもの種類により異なるが, 酢酸の影響が最も大きくどのいもにおいても硬く他の調味料との問に大きな差を示している.官能テストの結果もほぼ同じ傾向を示した.
    2) 各種調味料の添加時期を変えてじゃがいもの硬さに及ぼす影響をみると高い有意性を示し, 調味料では酢酸が最も硬く砂糖が最も柔かくなるのは1) の結果と同じ傾向であった.調味時期は湯煮後調味が最初から調味より柔かくなり, どの調味料の場合も同一であった.
    3) 単独調味と併用調味がじゃがいもの硬さに及ぼす影響を比較すると, 単独調味料の影響は1) 2) の結果と同じ傾向を示したが, 食塩, 砂糖, 酢酸の三調味料を併用する場合には, 砂糖は他の調味料に影響を与えず, 食塩は酢酸の効果を弱め酢酸は単独より併用の場合の方が柔かい傾向を示した.以上のことから併用により相加的または相乗的に硬くなることは認められなかった.
  • 村田 安代, 池上 茂了, 松元 文子
    1974 年 25 巻 8 号 p. 596-603
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) ごま豆腐としておおむね好ましいテクスチャーを得るには適度に加熱しながら撹拌することが必要であり, 特に撹拌は舌ざわりのなめらかさに影響を与えるようであった.
    2) ごまの添加量が多くなると風味は増すが, テクスチャーはなめらかさを減じる傾向がみられたが, 一方ではごまの諸成分がテクスチャーの好ましさに貢献しているようであった.
    3) 家庭的操作によるごま豆腐のゾルやゲルの測定値にバラツキがみられ, この種の調理では製品の不均質は免れ難いようである.
    4) アミログラムの結果より, くず懸濁液にあたりごまを添加すると, 92.5℃15分後の粘度はごま濃度が増すほど増加し, 25℃に冷却後の粘度は逆に減少する傾向がみられた.また恒温時間の延長は粘度低下を示した.
  • 各種砂糖の示差熱分析および上ザラの加熱分解生成物の検討
    吉松 藤子, 古川 英子
    1974 年 25 巻 8 号 p. 604-609
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    数種の市販砂糖についてDTAを用いて加熱による変化を研究し次の結果を得た.
    1) 純度の高い砂糖は90℃付近で最初の変化を示し, 170℃前後で分解の始まる顕著な吸熱カーブを示す.この温度は砂糖が加熱により融解し褐色になる点で, 吸熱ピークをすぎた190℃から黒変する.
    2) 不純物を含む砂糖は付着水や不純物の影響で純度の高いものより吸熱カーブの起点温度が低い.
    3) 無水ブドウ糖は純度の高い砂糖と似たカーブを示すがピーク起点温度が142℃で純度の高いショ糖より低い.含水結晶ブドウ糖はピーク起点温度70°, 120°, 148℃の吸熱カーブに大きな特色があり, 70℃のとき脱水が起り, これによって低温で変化が起るとと考えられる.
    4) 数種の単糖類並びに少糖類のDTAを測定した結果, ほぼそれぞれmpに対応したmainpeakが現われた.この結果は砂糖類ブドウ糖類とも共通したものでこのピークの温度差は糖の種類の違いであると考えられる.
    5) TLCと定性反応の結果
    上ザラを200℃に加熱した際の分解生成物をTLCにかけた結果7種類のスポットが認められた.そのうちサッカロース, グルコース, フラクトースは確認されたが, 後の4スポットは今後ガスクロマトグラフィ等により検討したいと思う.
    以上の実験によってわかるように加熱温度のわずかな相異により加熱糖類の物理的な性状が異なるので, その性質を利用することは調理上大切なことである.さらに今後DTAによる変化を熱天秤により重量変化を測定し考察を深めたいと思う.
  • 紫根染について
    近藤 憲子, 柏木 希介
    1974 年 25 巻 8 号 p. 610-614
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Shikon, root of Murasaki plant, is well known as one of the earliest natural dyes, but it seems that its wide-spread use has largely been limited due mainly to the two inherent difficulties involved in dyeing.
    First the Shikonin dyes in root, responsible for its purple color exhibition, are originally water-insoluble, since they are in the form of ester, while many other vegetable dyes are often found as aglycon accompanying some solubility. Secondly the purple color of Shikon often fades rather quickly.
    We have shown that the first problem can be conveniently overcome by applying organic solvent in the extraction process and mixing it with water in dyeing. The best composition of dyeing was found through experiments at 4/6 of ethanol in water by volume ratio.
    Regarding the color fastness on dyed cloth, we have also shown that the ruling factor is temperature. Color on dyed cloth changes markedly if the extraction temperature exceeds over 60°C. Although the structual changes due to heating may be attributable to a reaction at the double bond of side chain, enough proof has not been given at this stage.
    Moreover mordant dyeing with various metal ions and the effect of pH in dye bath are experimentally examined.
  • 高橋 雅江, 竹中 はる子
    1974 年 25 巻 8 号 p. 615-620
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to investigate the physical properties of down and feather assemblage wihch are usually used filled up in a feather quilt.
    Experiments were carried out on heat transfer under various density, strain which emerges by adding pressure and diffusion of humidity in case of down and feather assemblage respectively, and the results obtained were compared with those of cotton assemblage.
    The results obtained were as follows.
    1) The coefficient of heat transfer and diffusion coefficient of humidity of feather showed the smallest value among tested three kinds of materials, therefore, it is clear that feather assemblage is most suitable for stuffing material in a quilt.
    2) Compressibility of feather and down is bigger than that of cotton assemblage.
    From this result, down and feather are both to be wadded in coverlet, not in mattress.
  • 渡辺 紀子, 矢部 章彦
    1974 年 25 巻 8 号 p. 621-625
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Adsorption of ferric oxinate in some surfactant solutions on textile fibers revealed a maximum and a minimum value in previous paper.
    The authors supposed that adsorption of surfactant on the fabrics may play an important roll to interprete this phenomenon. Under this consideration, adsorption equilibriums of four non-ionic surfactants of polyoxyethylene-nonyl-phenol ether type (n=8, 9, 11, and 15) at different temperatures (30°, 40°, and 50°C) on cellulosic fiber have been studied.
    The results were plotted by Langmuir and Freundlich's adsorption isotherms and thermodynamic parameters (Δμ°, ΔH°, ΔS°) were calculated to interprete the phenomena in comparison with those about wool.
    1) N. Watanabe & A. Yabe : Kaseigaku Zassi, 22, 263 (1971).
    2) Y. Nemoto et al. : J. Chem. Soc. Japan (Ind. Chem. Edition), 68, 2173 (1965).
  • 被服製作学習における縫い方の研究
    清水 房, 石渡 すみ江, 大山 サカエ
    1974 年 25 巻 8 号 p. 626-632
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    小学校5・6年の児童を対象として「なみぬい」技能の実験的研究を行い.練習による効果や, 技能の把持状態, 切り方技能との関係等について検討した.その結果を要約するとつぎのようである.
    1) 「なみぬい」技能成績は個人差が著しく, それが7日間隔の5回にわたる練習によっても短縮されないという結果から, この種の技能指導にはいっせい指導のほかに段階を設けた個別指導が必要であると思われる.
    2) 5回の平均針目数に表われた練習効果の傾向には, 男女による相異がみとめられる.練習効果の著しいのは, 5・6年とも男児の方である.このことは, 家庭における経験のちがいや巧緻性の発達の相異等によるものと思われる.
    3) 男女間の技能の差は, 5年と6年では5年の方が開きが大きく, 6年では短縮されていることがわかる.
    4) 教師の評価 (おもに質的な面の評価) と, 針目数との関係は, 6年児より5年児の方が比較的相関が強いという結果である.このことから, なみぬいの初歩的段階における指導は, 単位時間により多く針を動かすことすなわち, 針を押しながら親指と人さし指を動かすことに目標をおいて行なうと効果があり, つぎの段階で長さや針目の質的向上に目標をおいて行うとよいようである.
    5) 1年を経過しての把持テスト結果について, 1針の平均長を, こどもの発達段階や実用上の面から0.6cmとしてみた通過率の進歩はめざましく, 小学校5年の6月頃にはこの種の技能に対するレディネスは充分備わっていると思われる.
    6) 縫い方 (なみぬい) と切り方 (きゅうりのうす切り) の技能の順位間には同じ方向に強い関連がみとめられる.このことから児童後期における両者の技能は相互に作用しあって発達を遂げるものと思われる.
  • ユネスコ調査との関連研究-家庭科教育関係教官の教科内容・指導法について
    村山 淑子
    1974 年 25 巻 8 号 p. 633-638
    発行日: 1974/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    第1報に引続き, 家庭教育関係教官の家庭科の内容, 指導過程, 指導方法, 指導資料についての結果を要約すると次のようになる.
    1) 履修が望まれる家庭科の内容領域については, 家庭科の履修についてと同様に, 現行学習指導要領に無い男子に対する履修内容が, 中学校・高等学校段階にも示された.しかし示された割合は女子より低い.男女ともに高等学校では家庭の形成や家庭生活運営に関する項目が高い.衣食住の各領域の項目は中・小学校段階で高く, 特に製作に関する項目は高等学校では減じている.
    2) 将来家庭科に取り入れる必要のある内容として記述されたのは, 人間尊重, 生活優先, 家庭運営に関する内容が多く, 家庭科の本質や目標からみて, 内容領域としても家族関係や家庭運営に関する領域の無い現行中学校技術・家庭科に問題のあることが示された.
    3) 家庭科学習の取上げ方と指導方法については, 今回は児童生徒が課題意識や興味をもって主体的に学習するよう指導する弾力的な取上げ方や指導方法が支持された.ユネスコ調査結果とは対照的であった.
    4) 用いられいる指導資料は従来のソフトウェアに属するものが多いのは世界の傾向と同じであるが, 教育機器やその資料の導入については, 現在もまた将来の傾向についても, 世界の傾向より進んでいる.
    5) 必要とする指導方法や資料を取入れる際の困難点については, 世界の傾向と同じく財政や新しい方法や資料への不馴れが問題といえる.ユネスコ調査報告についても述べられているように, 政府が財政の援助を拡大することが緊急に必要である.
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