家政学雑誌
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37 巻, 7 号
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  • とくにカルシウム, タンパク質および脂質について
    滝田 聖親, 中村 カホル, 西郷 光彦
    1986 年 37 巻 7 号 p. 527-532
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本実験では, ろ紙粉末の添加投与がカルシウム, タンパク質および脂質の消化吸収にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的とした.5%のろ紙粉末を添加した飼料をウィスター系雄ラットに投与し, カルシウム, タンパク質および脂質の消化吸収率を比較検討し, 以下の結果を得た.なお, カルシウム源としてはとくにCaCO3, イワシ粉および煮干粉を用いた.
    1) 糞量はろ紙粉末の添加により, 幼若ラットおよび成熟ラットのいずれも著しく増加した.成熱ラットにろ紙粉末を添加投与すると飼料摂取量と体重が減少した.
    2) カルシウムの吸収率は幼若ラットにおいてはろ紙粉末の添加による影響は認められなかったが, 成熟ラットにおいてはろ紙粉末を添加すると有意に低下し, カルシウムの吸収が阻害されるごとが認められ, その影響は成熟ラットにおいて大であった.
    3) タンパク質と脂質の消化吸収率は幼若ラットおよび成熟ラットともにろ紙粉末の添加により低下し, ろ紙粉末添加投与によりタンパク質と脂質の消化吸収が阻害されていることが認められた.
  • 香西 みどり, 長尾 慶子, 松裏 容子, 平野 悦子, 島田 淳子
    1986 年 37 巻 7 号 p. 533-539
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    食品を用いて一般の調理に応用できる省エネルギー的調理条件を明らかにすることを目的とし, 一定環境の調理庫内で調理ができ, 熱収支の測定ができる熱量測定装置を製作した.じゃがいもを, 試料の内部温度から予測される最適加熱時間でゆで, 種々の調理条件で同一煮熟度になるまでに要した熱量と加熱時間を相対的に比較検討した.
    1) 試料が小さいほど, 加熱時間, 使用熱量ともに少なかった.1cm角試料は丸ごと試料にくらべて加熱時間が約1/3, 使用熱量は70%となった.
    2) 水量が少ないほうが煮熟に要する加熱時間は長くなったが使用熱量は少なかった.200m1の場合, 1,000m1にくらべて加熱時間は1.5倍となり, 使用熱量は2/3量であった.
    3) 沸騰後の火力が強いほど, 使用熱量は多くなるが, 加熱時間は短くなる傾向にあった.使用熱量を抑えるためには湯温を100~95℃程度で加熱を継続すれば蒸発量を抑えつつ加熱時間も短縮できる.
    4) 内蓋は蒸発量を抑え, 沸騰を早め, 加熱時間を短縮させる効果があり, とくに少量の水で煮た場合に顕著であった.内蓋の中でラップ (塩化ビニリデン) が最も安定した効果があり, 水量200ml中での加熱時間はラップなしの場合の90%であり, 使用熱量は85%であった.
    5) 余熱利用による加熱時間節約効果は, 水量に大きく依存し, 水量の多いほど大きかった.水量1,000mlでは, 加熱時間が44%短縮された.
    一方使用熱量は余熱を利用することにより, いずれの水量においても10%以上の節約となり, 水量による差はあまりみられなかった.
    6) 内蓋 (ラップ) と余熱の併用で, 水量の多い600および1,000mlで余熱効果が増大し, 約50%の加熱時間の短縮となった.使用熱量では水量の少ないほうが省エネルギー効果が大であり, 200m1で30%の節約となった.
  • 山田 泉, 黒岩 茂隆
    1986 年 37 巻 7 号 p. 541-544
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The so-called penetration temperature, Tpen, at which the surfactant solution penetrates into a fatty soil to form the liquid crystalline phase, has been measured under a microscope using polarized light. Tpen, for the system of a model soil (the mixture of palmitic and stearic acids, 4 : 1) and sodium dodecyl sulfate (SDS) 20% aqueous solution system, agreed very closely with the temperature, above which the tie line of SDS 20% passes through the ternary liquid crystalline region in the triangle phase diagram of model soil-water-SDS ternaly system. A remarkable elevation in the washing efficiency of SDS for a model soil was recognized at a temperature in the vicinity of Tpen, which is much lower than the melting point of the soil. These facts suggest that the formation of the ternary liquid crystalline phase plays an important role in the detergent action.
  • 袖原型のいせこみについて
    大川 由子, 佐野 恂子
    1986 年 37 巻 7 号 p. 545-553
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    An attempt has been made to elucidate quantitatively the relation between the basic sleeve patterns and the development of body surface.
    The results are summarized as follows :
    1) Replacing the easing amount reserved at the sleeve cap of several basic sleeve patterns by the corresponding darts amount, we have constructed the shape of sleeves using paper instead of cloth by two methods. Thus, the contracted amount has been shown to be the dart amount required to develop the shape of the sleeve.
    2) In the case of the method to use the easing amount as the darts amount in the direction of the normal lines of the several parts of the sleeve cap curve in proportion to the radius of the curvature, various basic sleeve patterns hitherto collected by the authors can be classified into two groups according to the contracting method.
    3) The average value of the easing amounts along the girth of armhole has been calculated to be 6.2 cm (S.D. 2.1 cm) for the collection of the patterns examined above.
  • 二, 三の要因による縫い目構造の違いについて
    福澤 素子
    1986 年 37 巻 7 号 p. 555-562
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    織糸密度がたて方向とよこ方向で異なる布地の本縫いミシン縫製においては, 縫う方向によって消費糸量に差があるという結果を得ていたが, その理由については不明確であったので, 今回たて方向の織糸密度が大きい布地を用いてたて方向とよこ方向に縫製し, 消費糸量を測定するとともに, 縫い目での布地の厚さを測定した.そして消費糸量と縫い目構造との関係を調べて, たて布とよこ布での縫い目構造の違いや糸張力および縫い目密度の大小と縫い目構造の違いについて検討した.その結果得られた知見のおもなものは次のとおりである.
    1) 織糸密度が大きい方向と直角方向に縫製したほうが縫い目での布地の厚さは厚く縫い糸の消費も多い.
    2) 本研究で用いた布地の場合, たて布を縫製したほうがよこ布を縫製した場合より消費糸量が少ないが, その原因は縫絡点部分を含めた縫い目構造の違いにあり, たて布のほうがより細長い縫絡点を有する細長い縫い目が形成されていると推測される.
    3) 縫い目密度が大きいほうが, また糸張力が大きいほうが, より細長い縫絡点を有する細長い縫い目が形成されていると推測される.
    本研究では縫製方向や縫製条件の違いによる縫い目構造の違いを確かめるのが第一と考えて, 比較的伸びにくくて太い縫い糸である50番綿ミシン糸を用い, また同一素材から成り同一組織を有し, しかも織糸密度がたて方向とよこ方向で大きな差がある布地を3種類選んで検討し, それなりの成果が得られたと考えられるが, 引き続きミシン糸の種類や布地の素材および組織の違いと縫い目構造との関係について検討していきたい.
  • へらじるしの強さと和服地との関連 (第3報)
    永井 房子, 平山 順之
    1986 年 37 巻 7 号 p. 563-571
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    こてべら法によるこて圧やこて温度と布地との関係を調べるたあつぎの実験を行った.すなわち, まず時間経過とへこみ率の関係, およびしるし部分の布地の表面状態について検討し, ついで織糸の強度低下について検討した.その結果つぎの事項が判明した.
    1) 時間経過とへこみ率の関係および布地の表面の状態
    (1) 経過日数, こて圧, こて温度を主因としてへこみ率について有意差検定を行った結果, 3主因とも危険率1%水準にて有意性が認められた.寄与率の最も高いのは絹試料布ではこて圧, 化繊試料布ではこて温度であった.
    (2) いずれの試料布, こて圧, こて温度においてもこてべらじるし後の日数が経過するとへこみ率は減少してくる.この減少の度合いは時間経過につれ小さくなる.
    (3) 絹試料布と化繊試料布の減少の様相は, 前者においてはしるし後30日においてもなお減少の傾向を示しているが, 後者では7日後ないし10日後のへこみ率は30日後においてもほとんど変化していない.
    (4) こてべらじるし直後から30日経過までのへこみ率について, 好適へこみ率範囲の観点から検討するとつぎのようであった.絹試料布では, こて圧5.0kg, こて温度100から150℃の場合, 直後から30日経過に至るまでへこみ率はおおむね好適範囲であった。化繊試料布では, こて圧5.0kg, こて温度150℃の場合, No.6, 7は好適範囲であったが, No.8, 9は直後をのぞいて好適範囲を下まわった。なお化繊試料布においては, こて圧5.0kg, こて温度150℃の場合, しるし部分に繊維の融着がみられた.
    2) 織糸の強度
    (1) 試料糸, こて圧, こて温度を主因として織糸の強度低下率について有意差検定を行った結果, 主因および交互作用に危険率1%ないし5%水準にて有意性が認められた.寄与率の最も高いのは試料糸, つぎにこて温度であった.
    (2) いずれの試料糸においてもこて圧が大きく, こて温度が高くなると織糸の強度低下率は大きくなる.化繊試料布の中でへこみ率が最大であったNo7は織糸の強度低下率においても最大であった.
    これらの結果, こてべら法によるへこみ率の大小は絹試料布ではこて圧, 化繊試料布ではこて温度が大きく関与することがわかった.また, 好ましいこて圧やこて温度の程度は, 好適へこみ率範囲の観点から, 絹試料布, 化繊試料布ともにこて圧を5.0kgとしこて温度を100から150℃でしるしをつけるのがおおむねよいと思われる.しかし化繊試料布ではこて温度150℃の場合繊維の融着がみられるものがあり, またしるしが消えないで残る傾向があるので100℃を限度とする必要がある.
    本研究の一部は昭和58年度日本家政学会年次大会 (第35回) において発表した.
  • 森永 泰子
    1986 年 37 巻 7 号 p. 573-577
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    黒緑豆 (Phaseolus mungo L.) 種子発芽時の糖代謝酵素活性, 炭水化物量およびL-アスコルビン酸量の変動を, 比較検討した.
    L-アスコルビン酸は, 生育日数1日目で急激に生成され3日目で最大値を示した.
    可溶性糖のうち, グルコースとフルクトースは, 2日目から生成され次第に増加した.ショ糖, グルコース, フルクトース以外の可溶性糖は, L-アスコルビン酸の合成が盛んな1~3日目に盛んに利用されていた.
    解糖系酵素のPKとPFKの活性は, レアスコルビン酸やペソトースサイクルのG6PDHの場合より早く最大値に達した.
    G6PDHとICDHの活性変動は類似していた。
  • 島田 和子
    1986 年 37 巻 7 号 p. 579-583
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    異なる相対湿度下 (7%, 33%, 75%, 97%) で, 37℃, 30日間貯蔵した米の物理化学的変化について検討した.
    1) 高湿度貯蔵した米ほどその米飯は硬くなり, とくに相対湿度97%貯蔵米はその程度が著しかった.
    2) 相対湿度97%貯蔵米の還元糖量, 脂肪酸度, 遊離脂肪酸量, 膨潤度, 溶解度値は, 他の相対湿度貯蔵米や新米とくらべると, 古米化が進行していることを示した.
    3) ブラベンダー・アミログラム特性値と他の分析値 (還元糖量, 酸度, 遊離脂肪酸量, 膨潤度, 溶解度) とは相関がなかった.相対湿度7%貯蔵米で最高粘度の上昇やブレークダウンの増加がみられ, これは極端な低湿度下におかれたための影響がアミログラム特性値に及んだものと推察した.一方, 相対湿度33, 75, 97%の各貯蔵米は新米とほぼ同じ値を示した.
  • 中国野菜に関する研究 (第3報)
    岩井 道夫, 花木 佐知子, 山本 義彦, 大鹿 淳子
    1986 年 37 巻 7 号 p. 585-587
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    13種類の生鮮中国野菜について, その可食部の無機成分含量を原子吸光分析法およびICP法により定量した.ミネラル含有量は灰分量が多く, 少量で独特の香り, 味を呈する〓菜と香菜が他の中国野菜にくらべ著しく高値を示した.
  • 『本朝食鑑』収録の食養生記事に関する分析調査 (第2報)
    石川 松太郎, 松田 久子, 石川 尚子, 高野 俊, 島崎 とみ子
    1986 年 37 巻 7 号 p. 589-601
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 田口 秀子, 河本 美智子
    1986 年 37 巻 7 号 p. 603-613
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    乳児の適切な衣服着装を考えるための資料とすることを望み, 乳児を対象として, その衣服着装状態を母親に対するアンケート方法により回答を得て, 母親からみた乳児の衣服着装状態を検討した.
    乳児における衣服着装状態は, 各季節を通じて「ちょうどよさそうである」と思っている母親が室内では82~100%あり, 戸外では46~70%であった.しかし, 快適感では春, 冬に室内で11~12%の母親が「不快」ではないかと感じており, 戸外では20~49%の高い割合を示した.秋には室内, 戸外とも「快適である」と思っている母親は100%であり, 秋の戸外で14%の母親が「涼しそうである」とする傾向は快適感としてとらえているようである.また, 季節別にみて夏では蒸暑感を, 春と冬には冷感を感じていると回答した母親の割合が高い.しかし, 母親からみた乳児の厚着および薄着感は, 室内と戸外での傾向が似ており, 春, 夏, 冬においては「普通である」と思っている母親が, 室内で50~89%, 戸外は64~83%と多く, 秋では室内で41%, 戸外で36%の母親が「やや厚着である」と思っており, 全体的に春, 夏は薄着, 秋, 冬はやや厚着の傾向であった.
    母親からみた乳児の身体局部における冷感は, 春, 秋, 冬にあり, 室内, 戸外とも衣服で被覆されていない, 手, 足, 首, 顔, 頭にあると思う母親が多い.
    乳児の衣服着装の特徴としては, おむつカバーを除くすべての衣服が, 月齢よりも大きく, おむつカバーのように, その衣服の機能上フィット性をより望むもの以外は, 乳児の成長度を加味して大きなサイズの衣服を選択しているようである.それらの材質は, 肌着, ブラウス, Tシャツ, ベビードレス, カバーオール, ショートパンツ, おむつ, よだれかけ等, 直接肌に触れる割合の多い衣服がほとんどであるために, 取り扱いやすい綿が選ばれている.しかし, 乳児の月齢が増すにしたがって, 耐久性や耐洗濯性のある材質を着装させている.
    乳児の衣服着装パターンの特徴は, 各季節ともロンパース, カバーオールが主体で, ベビードレスは春に着装させる割合が比較的多く, 他の季節での着装は少ない.夏には肌着を着装させないで, Tシャツ+ズボンまたはロンパースのみという薄着の着装もあるが, 春, 秋, 冬では, おむつ+おむつカバー+肌着+カバー・オールまたはロンパース・ブラウス+ズボン+よだれかけが代表的なパターンである.なお, くつ下は夏, 秋に用いることは少ない.また, 家族構成別に乳児の着装パターンの特徴をみると, 祖母同居の家庭では父母のみの家庭にくらべ, 春, 冬に乳児の衣服着装枚数が多く厚着であり, 夏は薄着の傾向である.また, 授乳の方法別にみた乳児の着装パターンは, 秋, 冬の母乳児では薄着, 混合乳児ではやや厚着の傾向がみられた.
  • 福場 博保
    1986 年 37 巻 7 号 p. 615-618
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 第2回子供から大人へ
    田邊 穰
    1986 年 37 巻 7 号 p. 619-622
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 青少年の発達的危機の考察
    深谷 和子
    1986 年 37 巻 7 号 p. 623-627
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 37 巻 7 号 p. 647
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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