家政学雑誌
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31 巻, 9 号
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  • 川嶋 かほる, 桐渕 壽子
    1980 年 31 巻 9 号 p. 625-628
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ウルチ米, モチ米から, それぞれデンプンを精製し, その脂質を分析した. また, 米粉, 米デンプンおよびそれぞれを脱脂したものにつき, アミログラフにより加熱のさいの粘度変化を測定し, それぞれを比較検討することにより, ウルチ米, モチ米の加熱調理のさいの物性の違いと脂質成分との関係を考察した.
    結果は以下のとおりである.
    1) デンプン精製中に, 粗脂肪はそのほとんどを失い, 結合脂質もウルチで60%, モチで約90%約失われた.
    結合脂質のうち, 極性のリン脂質はとくに失われやすかった. また, ウルチとモチとでは, 各成分の損失にはっきりとした相違があり, その存在形態の違いが示唆された.
    2) 米デンプンのアミログラムは, 結合脂質まで脱脂した米粉のアミログラムと類似していた.
    3) 米粉および米デンプンの, ウルチまたはモチ同士の間では, 脱脂によるアミログラム特性の変化は同じ傾向を示したが, ウルチとモチの間では異なっていた.
    4) 米粉と米デンプンでは, アミログラム特性はまったく異なっており, 米の調理時の物性を考えるさいに, 米デンプンとして研究することは危険である.
  • 中浜 信子, 大沢 はま子, 赤羽 ひろ, 品川 弘子
    1980 年 31 巻 9 号 p. 629-636
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    マヨネーズの材料配合比による性状変化を検討するため, Scheffeの3成分系の単純格子計画を用い実験を行った. 油68~86%, 酢5.5~23.5%, 卵黄8.5~26.5%の範囲の配合比をもつ9試料を用いた. 客観測定としては粒度, pH, テクスチャー特性値, 色度を得, 主観測定としては官能検査により, 色, かたさ, 酸味, 油味, 総合評価を得た.
    以上の測定から次の結果を得た.
    1) 客観測定値および主観測定値と配合比との間にそれぞれ2次および3次の推定式が得られ, 推定曲線が示された.
    2) 客観測定値と主観測定値の間に相関行列が示され, 平均粒径, pH, 明度について主観測定値と高い相関が得られた.
    3) 総合評価と嗜好特性値の間に重回帰方程式が得られ, 寄与率92%であることが示された.
    4) 最も好まれた配合比のマヨネーズは正三角形の中心にある試料No. (7) 付近であることがわかり, この試料はポテトサラダをあえるのにむくことが認められた.
    5) 試料として用いたマヨネーズをあえる, 飾る, かけるの3種の調理適性をもつものとして大別された.
  • 赤羽 ひろ, 佐藤 洋子, 品川 弘子, 中浜 信子
    1980 年 31 巻 9 号 p. 637-642
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    マヨネーズおよび分散媒, 分散相の流動特性について, 温度の影響を検討した. 静的方法としてE型粘度計, 動的方法としてレオログラフを用いて実験を行った結果,
    1) マヨネーズおよび分散媒は8~35℃の範囲内で, 温度上昇に伴い, みかけの粘性率, 降伏応力, 動的弾性率, 動的損失が減少し, 45℃で増加あるいは停滞した.
    2) 分散相はニュートン流動を示し, 粘性率は8~45℃の範囲内では温度上昇に伴い, 単調に減少した.
    3) マヨネーズおよび分散媒のみかけの粘性率より, みかけの体積分率を求めたところ, 実際の体積分率71.3%よりも35~39%の増加が認められた.
    4) マヨネーズおよび分散媒について, 流動方程式の定数である粘稠性係数Kおよび流動性指数nが得られた.
    5) マヨネーズ, 分散媒および分散相の流動のみかけの活性化エネルギーを求めたところ, マヨネーズで3~4kcal/mol, 分散媒で7~11kcal/mol, 分散相で8kcal/molであった.
  • 上市 康子, 大村 公仁子, 赤羽 ひろ, 中浜 信子
    1980 年 31 巻 9 号 p. 643-647
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    寒天ゲルについ, 一定圧縮応力下におけるクリープ破断を確率的に検討し, あわせて定速圧縮破断との比較も行った. 寒天濃度は, 1g/100mlとし, 試料は相似形の円柱状, 大, 小2種に成型して用いた. クリープ破断曲線は平行板粘弾性計により, 応力-ひずみ曲線はダイナグラフによって得られ, 破断特性値を求め検討を行った. 以上の結果から次のような結論を得た.
    1) クリープ破断曲線は, いわゆるクリープ曲線と変曲点をはさんでひずみの急激な増加が示される部分に分けられる. また, この曲線に対応する寒天ゲルの破断の進行の写真が示された.
    2) 試料のすべてが破断しない点から破断する点までの応力範囲内で, 一定応力下における破断の確率が得られた. この確率分布は正規性があることが示され, 平均破断応力が求められた. また, 破断ひずみ, 破断時間がクリープ破断曲線の変曲点までのひずみおよび時間として求められた.
    3) クリープ破断のいずれの破断特性値も, 大小2種の試料ともに変動率は大となったが, 試料間には有意差が認められた.破断応力, 破断ひずみは小の試料のほうが大きく, 破断時間は大の試料のほうが長くなった.
    4) 定速圧縮破断のいずれの破断特性値も, 大小2種の試料ともに変動率はきわめて小となった. また, 破断応力, 破断時間は大小2種の試料間に有意差が認められたが, 破断ひずみには有意差が認められなかった. クリープ破断と同様に, 破断応力は小の試料のほうが大きく, 破断時間は大の試料のほうが長くなった.
    5) 大小2種の寒天ゲルについて, クリープ破断と定速圧縮破断の破断特性値を比較した結果, 破断応力, 破断時間はクリープ破断のほうが大となり, 逆に破断ひずみは小となった. また, 変動率はいずれの破断特性値についてもクリープ破断のほうが大となった.
  • 生地の熟成過程
    峯木 真知子, 庄司 善哉
    1980 年 31 巻 9 号 p. 648-652
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) バターロールの生地における各製造過程の組織を観察した.
    2) バターロールにおいては, グルテンは層状化していき, デンプン粒子はグルテンといりまじりながら, グルテンの層状化を補助しつつ, ともに構成した. しかも脂肪もグルテンと関連をもち, 層状化に加わって, 第二発酵後には, 整ったnetworkを形成した.
  • 渡辺 紀子, 矢部 章彦
    1980 年 31 巻 9 号 p. 653-658
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    粒子径のことなる水和酸化鉄球形粒子を界面反応法により調製し, ポリエステル布への付着性におよぼす, 粒子径, 分散媒の影響について検討した.
    平均粒子径が, 5, 3, 2μmの球形粒子において, 水および四塩化炭素分散液中での, ポリエステルへの付着量は大粒子ほど多かった.
    4種の分散媒を用いた付着傾向は, 四塩化炭素>n-ヘキサン>エタノール>水の順であり, 非極性分散媒のほうが極性分散媒より付着量が多かった.
    粒子径別の付着量を付着粒子数で比較すると, 付着量の少ない小粒子ほど, 付着粒子数は多い. また, 希薄粒子濃度では粒子数がふえると粒子径に無関係に付着粒子数が増加し, 大粒子ほど早く飽和値に到達することがわかった.
    走査型電子顕微鏡により水和酸化鉄粒子の繊維への付着状態を観察した.
  • 編布の特性とギャザー効果
    辻 啓子, 伊藤 きよ子, 加藤 典子, 西條 セツ
    1980 年 31 巻 9 号 p. 659-665
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    背にヨークをつけギャザリングする場合をとりあげ, 編布の特性とギャザー効果の関係を検討した結果, 次のように要約することができる.
    1) ギャザリングによるヘム曲線の形伏には曲げ剛性B, 曲げヒステリシス2HB, ドレープ係数, 伸長回復率, 厚さなどの物性が関与する. 曲げ剛性Bおよびドレープ係数の小さい素材のヘム曲線はノード数の多い, ノード形状の均一な美しいたれ下がりを生ずる. また曲げヒステリシス2HBが大で, 伸長回復率の小さい素材はライブリィさに欠けるたれ下がりである.
    2) ギャザー分量が増加するとノード数およびノードの振幅は大になる傾向にあるが, 裾のひがろり寸法は垂下性が大きいために必ずしも大になるとはいえない. また厚さの大きい素材はギャザー分量が増加すると振幅の大きいノード形状をもつヘム曲線を形成し, ギャザー効果は小さい.
  • 二軸方向にストレスされたストッキングを横切って伝播されるラン距離と速度の測定
    豊間 和子, 加藤 素子, 田中 道一
    1980 年 31 巻 9 号 p. 666-671
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    In the previous papers, the physical properties of stocking fabric were measured in order to find out the stress and strain of enlarged stocking caused wearing it on the body leg.
    In the present paper, the snagging force leading to the run of stocking, the run distance and velocity propagated across stocking fabric stressed in two axial directions were investigated.
    The results are as follows :
    1. The run distance and velocity propagated across stocking were smallest in non-run, largest in stretch seamless and medium in non-stretch seamless stocking.
    2. The large snagging force leading to run brought about large resisting force to run propagation.
  • 堤 江美子
    1980 年 31 巻 9 号 p. 672-676
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    人体-衣服系の計測システム化への手始めとして, 頸部を対象に鏡を採用して前・後面のモアレ同時撮影を試みた. また, 体表展開図および3面図の図化作業に電算機およびX-Yプロッタを導入して図形処理の自動化を図った.
    以下にその結果を述べる.
    1) 表面鏡を用いることによって, 1台のモアレカメラで対象の前・後面を同時に鮮明に撮影することができた.
    2) 頸部周囲における, 底辺およそ10mmで高さおよそ30mmの3角形状小平面群で体表を近似させることにより, 十分な再現性をもつ近似展開図を得ることができた.
    3) 図形処理に電算機およびX-Yプロッタを導入することにより短時間に大量の図形を統一的に処理することが可能になり, 人体一衣服系の計測・解析への手掛りが得られた.
  • 全国における病児保育所の概要
    上野 勝代, 町田 玲子, 山田 優子
    1980 年 31 巻 9 号 p. 677-683
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this report is to survey the situations and the problems related to nursery facilities for sick children in the whole country which have been started since 1966.
    The results are as follows :
    1. Many employees and supervisors of the facilities highly valued the establishment of such facilities.
    2. In general, the sick children which such facilities could take care of were those in the recuperation stage of their illness.
    3. The operation in such facilities that did not receive any form of public financial support was serious financially.
  • 阿部 久美子, 加藤 三千夫
    1980 年 31 巻 9 号 p. 684-688
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 山形県上山市楢下地区の場合
    金子 幸子
    1980 年 31 巻 9 号 p. 689-694
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 中西 茂子, 増子 富美
    1980 年 31 巻 9 号 p. 695-701
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    昭和50年10月施行のHCHO規制前後におけるHCHO遊離量の動向に引き続き, 樹脂加工による付加的商品価値のなかで最も注目される防しわ効果の推移について検討し, 同時にそのような結果をもたらした要因について考察して次のような結論を得た.
    1) 綿, 再生セルロースともにとくに乾防しわ度において規制後頻度のピークが低いほうへ移動しており, 規制前にみられていた非常に高いものが姿を消して反対に規制後は低いほうに分散している現象がみられた. 年次ごとの平均値をみても50年を境に平均防しわ度が低下している.
    2) HCHO遊離量と防しわ性との関連性をみると, 規制前では, 防しわ度はある程度高いがHCHO 遊離量もかなり高い傾向をもつものが最多数を占めていたが, 規制後はHCHO遊離量は低いが防しわ度も低いもの, 防しわ度は低いがHCHO遊離量は相変わらずかなり高いものが増加し, とくに再生セルロースで後者の傾向が強い.
    3) 防しわ性の耐洗たく性も規制前に比べ規制後は頻度のピーク位置が低いほうへずれており, ほとんど防しわ効果のみられなくなるものがかなり出現した. 樹脂の量的変化からみた耐洗たく性も規制後は樹脂残留率が低く, 防しわ性の推移傾向と似ている現象がみられた.
    以上のような防しわ効果の低下は, HCHOの厳しい規制の結果, 満足な防しわ性を付与するに足るだけの十分な樹脂量が付着されていない可能性のあること, 使用される樹脂自体がHCHO遊離量が少ない反面, そこに用いられている加工布に対して適合性の問題もあって防しわ性付与能力が低いものであるなどがおもな原因となってもたらされたものと考えられる.
  • 加藤 昌子, 緒方 順子, 野口 駿
    1980 年 31 巻 9 号 p. 702-704
    発行日: 1980/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ドウ形成前後における小麦粉脂質の量と脂肪酸組成とを比較した. その結果ドウ形成により抽出脂質量に10~20%の減少がみられた.
    また, 抽出脂質をメチル化しガスクロマトグラフィで分析したところ, ドウ形成によってリノール酸, リノレン酸の量が大幅に減少し, 他の成分の減少は比較的少なく, 国内産の小麦についても外国産のものと同様の結果を得た.
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