寒天ゲルについ, 一定圧縮応力下におけるクリープ破断を確率的に検討し, あわせて定速圧縮破断との比較も行った. 寒天濃度は, 1g/100mlとし, 試料は相似形の円柱状, 大, 小2種に成型して用いた. クリープ破断曲線は平行板粘弾性計により, 応力-ひずみ曲線はダイナグラフによって得られ, 破断特性値を求め検討を行った. 以上の結果から次のような結論を得た.
1) クリープ破断曲線は, いわゆるクリープ曲線と変曲点をはさんでひずみの急激な増加が示される部分に分けられる. また, この曲線に対応する寒天ゲルの破断の進行の写真が示された.
2) 試料のすべてが破断しない点から破断する点までの応力範囲内で, 一定応力下における破断の確率が得られた. この確率分布は正規性があることが示され, 平均破断応力が求められた. また, 破断ひずみ, 破断時間がクリープ破断曲線の変曲点までのひずみおよび時間として求められた.
3) クリープ破断のいずれの破断特性値も, 大小2種の試料ともに変動率は大となったが, 試料間には有意差が認められた.破断応力, 破断ひずみは小の試料のほうが大きく, 破断時間は大の試料のほうが長くなった.
4) 定速圧縮破断のいずれの破断特性値も, 大小2種の試料ともに変動率はきわめて小となった. また, 破断応力, 破断時間は大小2種の試料間に有意差が認められたが, 破断ひずみには有意差が認められなかった. クリープ破断と同様に, 破断応力は小の試料のほうが大きく, 破断時間は大の試料のほうが長くなった.
5) 大小2種の寒天ゲルについて, クリープ破断と定速圧縮破断の破断特性値を比較した結果, 破断応力, 破断時間はクリープ破断のほうが大となり, 逆に破断ひずみは小となった. また, 変動率はいずれの破断特性値についてもクリープ破断のほうが大となった.
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