家政学雑誌
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36 巻, 7 号
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  • 中野 典子, 森奥 登志江, 小川 安子
    1985 年 36 巻 7 号 p. 463-474
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    女子大学生と軽労作主婦各 11 名について, 連続的に心拍数の測定可能な携帯用心拍数記録装置を用いて心拍数を測定し, 酸素摂取量との関係から求めた消費エネルギー量と, 同時に行った生活時間調査に基づく RMRから計算した消費エネルギーと食物摂取から求めた摂取エネルギー量との比較検討を行った.
    1) 安静時の心拍数と酸素摂取量および運動時の心拍数と酸素摂取量を測定から求めた心拍数 (X) と酸素摂取量 (Y) との回帰方程式は, 女子大学生がY= 0.256X-11.763 (Y : O2摂取量 (ml/ kg/ min), X : 心拍数 (回/分)), 主婦がY= 0. 254X- 12.797 (Y : O2摂取量 (ml/kg/min), X : 心拍数 (回/分)) で, 女子大学生, 主婦とも, 心拍数と酸素摂取量間の相関係数は, r= 0.9以上であった.
    2) 1日の心拍数の分布は, 女子大学生と主婦ともに1分間あたり60~99回に集中していた.
    3) 1日の生活行動における体重 1kg あたり, 1分間の消費エネルギーは, 女子大学生は平均 0.031 kcal, 主婦は平均0.027kcalであった.
    4) 消費エネルギーは, 心拍数から求めると, 女子大学生が平均2,265kcal, 主婦が平均 2,007 kcal となるが, RMRから求めると, 女子大学生が平均1,965 kcal, 主婦が平均2,137 kcal となり, 心拍数と RMR から求めた消費エネルギーは t 検定の結果, 女子大学生に 5%の危険率で有意差が認められ, 主婦には有意差がなかった.また, 食事調査から算出した摂取エネルギーは, 女子大学生が平均1,683 kcal, 主婦が1,907 kcal で, 心拍数からの消費エネルギーにくらべると, 女子大学生は差が大きく, t検定の結果でも1%の危険率で有意差が認められたが, 主婦は有意差が認めらなかった.
    以上, 今回新たに行った心拍数測定と酸素摂取量から求めた消費エネルギーと, 従来から用いられているRMRによる生活時間調査から算出した消費エネルギーを比較すると, かなり近い数値を算出することができた.
    携帯用心拍数記録装置を用いて測定を行った結果より個人の心拍数と酸素摂取量からそれぞれの消費エネルギーを算出することは, かなり使用度の高い可能性があると判断される.しかし, 心拍数はいろいろな因子 (労作強度, 精神面, 生理面) の影響もあるので, 心拍数から消費エネルギー量を推定するためには, この点について十分な注意, 検討が必要と考えられる.
    なお, 本報の一部は, 日本家政学会中部支部第29回総会で発表した.
  • 永島 伸浩, 川端 晶子
    1985 年 36 巻 7 号 p. 475-482
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    くず湯の材料として用いた4種の澱粉の理化学的性質と, 調製したくず湯の透過率をまとめると表3のとおりである.
    アミロース含量は, 馬鈴薯が22.4%でもっとも高く, くずは19.6%, キャッサバは18.3%であり, ワキシーコーンは痕跡程度であった.澱粉の平均粒径は, 馬鈴薯が33μmでもっとも大きく, 他の種の澱粉はいずれも, 約14μmであった.ビスコグラフィによる最高粘度は, 馬鈴薯がもっとも高く, つづいて, ワキシーコーン>キャッサバ>くずの順に低く, フォトペーストグラフィによる透過率は, 馬鈴薯がもっとも高く, つづいて, キャッサバ>ワキシーコーン>くずの順に低かった.また, 可視域の透過率は, ワキシーコーン>キャッサバ>馬鈴薯>くずの順に低かった.
    官能評価によるくず湯の食味特性では, くず澱粉を用いたくず湯は, 透明感がなく, やや口あたりがよく, まろやかで, 甘味を強く感じる性質があり, 馬鈴薯澱粉を用いたくず湯は, ねばりがあり, こってりしてべたつきがあり, 口あたりは悪く, 飲みにくい性質があり, ワキシーコーン澱粉を用いたくず湯は, つやがあり, やや口あたりがよく, まろやかで, 適度な甘味を感じる性質があり, キャッサバ澱粉を用いたくず湯は, 透明感がやや低く, ねばりがあり, 4種のなかで, もっとも口あたりがよく, まろやかで, 適度な甘味を感じる性質のあることが認められた.
    以上の結果より, 新しいタイプのくず湯としてワキシーコーンやキャッサバ澱粉は, 多様化された嗜好を満足させるのにきわめて有効であることが示唆された.本実験では, いずれも, 無水物換算で3%という一定澱粉濃度に調製し, 比較検討したが, 各澱粉の特性が生かされるよう, 濃度を変えて利用することも効果的であると考えられる.
  • 赤羽 ひろ, 原田 佐和子, 中浜 信子
    1985 年 36 巻 7 号 p. 484-491
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    馬鈴薯澱粉, 小麦澱粉, とうもろこし澱粉の濃度4, 5, 6w/v%糊液のゲル化過程の力学的性状の変化について検討を行うため, 澱粉糊液の動的粘弾性率, みかけの粘性率, テクスチャー特性値の25℃における0~2時間の経時変化を測定し, 次のような結果を得た.
    1) 動的弾性率と動的損失は馬鈴薯澱粉糊液では, どの濃度においても経時変化はほとんど認められなかった.しかし, 小麦澱粉糊液, とうもろこし澱粉糊液では濃度が増すにつれ, 経時的に動的弾性率, 動的損失の著しい増加傾向がみられ, とくに, とうもろこし澱粉糊液の増加が大であった.
    2) 損失正接は馬鈴薯澱粉糊液を除いて経時的に変化し, 小麦澱粉糊液の6w/v%では1時間, とうもろこし澱粉糊液の5w/v%では30分, 6w/v%では15分において減少から停滞あるいはいくぶん増加の傾向に変化した.
    3) みかけの粘性率の経時変化は, いずれの糊液においても動的弾性率と同様の傾向を示した.
    4) テクスチャー特性値の硬さの経時変化は, いずれの澱粉糊液についても動的弾性率と同様の傾向を示した。付着性は経時的に増加の傾向がみられたが, 6w/v%小麦澱粉糊液, 5, 6w/v%とうもろこし澱粉糊液では増加ののち停滞あるいは減少した.凝集性は損失正接と同様, 経時的に減少の傾向がみられたが, 6w/v%小麦澱粉糊液, 5, 6w/v%とうもろこし澱粉糊液では減少ののち, 停滞あるいはいくぶん増加した.
    5) 動的弾性率, 損失正接, 凝集性の関係から, 動的弾性率が約1.75×102 (dyn/cm2), 損失正接が約0.45, 凝集性が約0.78 (R.U.) に澱粉糊液のゾルからゲルへの転移点の存在が示唆された.
    6) 動的弾性率と付着性の関係より, 付着性はそれぞれの澱粉糊液固有の性質であることが示された.
    なお, 本研究は昭和56年度文部省科学研究費補助金 (奨励研究 (A)) によって行われたものである.
  • 放射による伝熱量の割合および焼色のつき方
    渋川 祥子
    1985 年 36 巻 7 号 p. 492-496
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    オーブンの機構のちがいによる加熱能の特徴を知るために, 全伝熱量のうち放射による伝熱量の割合を表面の色を変えた金属ブロックを使用して測定した.さらに, それらの値と前報で明らかにした「見かけの熱伝達率」とケーキやクッキーの焼色との関係を検討した結果, 次のことが明らかとなった.
    1) 各オーブンの放射による伝熱量の割合は, 強制対流式ガスオーブンでは25~30%, 電気オーブンでは75~85%, 強制対流式電気オーブンでは40%, 自然対流式ガスオーブンでは50~60%であった.
    2) 同じ庫内温度でケーキやクッキーを焙焼した場合の焼色は「見かけの熱伝達率」と「放射による伝熱量の割合」に対して高い重相関関係があり, 焼色のつき方は, この二つの値から推定できる.
  • 過酸化系漂白剤の漂白効果 (第 1 報)
    大浦 律子, 吉川 清兵衛
    1985 年 36 巻 7 号 p. 497-502
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    過炭酸ナトリウムの分解速度は, 温度, 濃度により変化するが, pHも重要な要因である.本実験では, 過炭酸ナトリウムの分解におよぼすpHの影響を, 銅が存在する場合と比較検討した.また漂白力とpHの関係について, 染料溶液と木綿布を用いて考察した.同時に漂白浴中の金属が漂白力に与える影響についても検討した.結果を要約するとつぎのとおりである.
    1) PC浴中に金属が存在しない場合は, PCの分解は酸性側ではみられず, pH7以上で急激に分解が速くなり, pH10.5で最大となる.しかしそれ以上pHが高くなると, 逆に分解が抑制されpH12以上では, 分解は非常に遅くなる.
    2) PC浴中に金属が存在すると, 分解速度が速くなる.硫酸銅を少量加えた場合は, アルカリ側のどの pHにおいても反応後の有効酸素%の減少が銅を加えない場合より大きく, 分解触媒として作用していることがわかった.また含金属染料を加えた場合は, 硫酸銅の場合ほどではないが, やはり金属の存在しない系より, 分解が速くなる.
    3) 染料溶液の退色とpHの関係については, 浴中に金属が存在しない場合は, pH7以上でpHが高くなるに従い退色率が高くなる.また木綿布の白度増加率もpH11 までは, pHが高くなるにつれ上昇していくつまり漂白力は, かなりpHに依存ずる.
    4) PC浴中に金属が存在する場合も, 染料の退色はPHが高くなるにつれ大きくなり, 各 pH における退色率は, 金属が存在しない場合に像らべ, 高い値を示し, 染料と配位している金属の場合は, 両者の中間的な値を示す.また木綿布においても, 金属が浴中庭存在する場合は, 金属が存在しない場合より, 白度増加率はわずかに高い値を示す.
  • 川上 公代, 登倉 尋実
    1985 年 36 巻 7 号 p. 503-509
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    環境温28℃, 相対湿度50%下で安静時および歩行時の女性の核温, 皮膚温および衣服内温度におよぼす季節, 長袖シャツ着用, 衣服の湿潤の影響について研究をおこなった.おもな知見は, 1) 安静下被験者において, 同一着衣条件, 同一温度下であっても, 平均皮膚温および衣服内温度は9月中旬よりも11月下旬のほうが明白に低かった.2) 安静下被験者において, セミ・ヌードからTシャツトレーニングウェアを着用することにより被覆面積を拡大することは, 平均皮膚温および衣服内温度の上昇を惹起し, 直腸温の0.1~0.2℃の降下を随伴した.3) 湿潤したTシャツ着用下, 時速4kmで30分間歩行することは, 普通のTシャツ着用下の歩行に比較して, 平均皮膚温はすみやかに, かつ大きく低下し, また歩行後の直腸温の上昇に転じるまでの時間は短かった.これらの事実について温熱生理学の立場から考察した.
  • 住空間における対人距離 (第2報)
    菊沢 康子
    1985 年 36 巻 7 号 p. 510-517
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    快適な住空間の大きさを追究するため前報にひき続きパーソナルスペースの概念を導入して, 空間の広さ, 部屋の様式, 起居様式, テーブルの大きさといった環境要因が対人距離におよぼす影響を把握する実験を行った結果は次のように総括される.
    1) 空間の広さと対人距離の関係については, 最小距離は空間の広さの影響をうけないが, 至適距離は正面 (接近角度0度) の場合に, 広さの小さい洋室では, 広い屋上や講堂にくらべ至適距離が小さくなる.
    2) 部屋の様式と対人距離の関係については, 和室の場合のほうが洋室にくらべ対人距離を小さくとる傾向が認められる.
    3) 起居様式と対人距離との関係については椅座位, 床座位間では差がないが, 立位の場合には椅座位, 床座位よりも対人距離を小さくとる.
    4) 椅座位の特別な場合として, テーブルをはさんでソファにすわり向かい合った場合の対人距離は, テーブルが60×60cm以上になると影響をうけ, テーブルの奥行寸法が大きくなるにつれ, よりテーブルに接近し, テーブルがない場合の至適距離に近づくようにする傾向が認められる.
    5) 前報と同様, 対人距離は人と人との接近角度の影響をうけ, 空間の広さ, 起居様式, 部屋の様式にかかわらず, 被験者に対する接近者の接近方向が前方より接近する場合のほうが, 後方より接近する場合より対人距離は最小距離, 至適距離とも大きくなる.
  • 山越 成美
    1985 年 36 巻 7 号 p. 518-527
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this research is to make clear the actual conditions of houseworking of non-employed wives during their pregnancy.
    The results of this investigation were obtained by the answers from 70 non-employed wives who are pregnant. The data were collected from questionnaires and interviews that were made in Ichihara from July to November in 1983.
    The results are as follows :
    1) During pregnant term, especially at early and advanced stages of pregnancy, both hours and quantity of houseworking of non-employed wives show reduction.
    2) Houseworking that is reduced during pregnant term is often complemented by family members or left undone.
    3) Many of non-employed wives who are pregnant feel the difficulties at managing houseworking which requires their bending posture or long-time standing such as cooking, bath-clean.ing, wiping floor, and folding up and spreading beddings.
  • 森 英子
    1985 年 36 巻 7 号 p. 528-538
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 都道府県庁所在都市の最近10余年間の可処分所得額と食料費支出額をデータにして, 食料費支出額の, その平均値に対する高低率を, 所得・態度要因に分析することを試みた.
    実際の食料費支出/平均食料費支出 =所得要因 (=理論的食料費/平均食料費支出) ×態度要因 (篇実際の食料費支出/理論的食料費支出) である.
    2) 可処分所得・態度要因とエンゲルの法則との関係をパターン化し, 各都市平均消費世帯の食生活に対する姿勢がエンゲル法則適合型・積極型・消極型のいずれであるかを判定することを試みた.
    同一都市においても, 年次によって変動があったが, 京都・大阪・神戸市は食生活に生活の重点が置かれており, 一方, 水戸・宇都宮・前橋・長野・那覇市は食生活に消極的であると判断した.
    3) 動的観察も行ってみたが, 期間のとり方によって異なって判断する場合も生じた.明らかに態度要因が上昇傾向にあるのは, 青森・福岡・高知市であり, 低下傾向にあるのは, 水戸・静岡・宮崎・大分市であった.
  • 家政思想史の考察II
    小倉 志祥
    1985 年 36 巻 7 号 p. 539-543
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 田中 道一
    1985 年 36 巻 7 号 p. 544-550
    発行日: 1985/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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