家政学雑誌
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35 巻, 6 号
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  • 魚の種類による相違
    上柳 富美子
    1984 年 35 巻 6 号 p. 371-378
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    魚肉への食塩の浸透について, 魚の種類による相違と, 食塩浸透に影響を与える要因について検討した。タラ, タイ, カツオ, アジ, サバ, タチウオの6種類について, ふり塩を身側と皮側の2とおりに散布し, それぞれの食塩浸透量を測定し, その結果を魚の水分, 脂肪含量と組織構造との関係において考察し, 以下の知見が得られた.
    1) 身側からのふり塩では, タラが最も浸透しやすく, ついでタイであり, カツオ, アジ, タチウオはあまり差がなく, サバは最も浸透しにくい.
    2) 皮側からのふり塩では, 身側からの場合よりも魚種間の差が大きい.タラが最も吸塩しやすく, ついでタイ, カツオ, アジの順であり, これは身側からの場合の浸透順位と同じ傾向であるが, タチウオがサバよりさらに吸塩しにくいことが, 身側の場合と異なっている.吸塩量は全試料魚ともに身側からの場合よりも少ない.身側と皮側との吸塩量の差はタラが最も小さく, タチウオが最も大きい.
    3) 魚肉中に食塩が拡散する速度は, タラが最も速く, ついでタイ, カツオ, アジ, サバ, タチウオの順で, タチウオを除き, 身側からの浸透度合いの順位に対応している.
    4) 水分含量は, 身側, 皮側ともにタラが最も多く, ついでタイであり, アジ, カツオ, タチウオがそれにつづき, サバは最も少ない.これは食塩の浸透量とかなり対応しており, 魚肉の水分含量の多いものほど食塩が浸透しやすい.
    5) 脂肪含量は, 身側, 皮側ともにサバが最も多く, ついでタチウオであり, アジ, カツオ, タイ, タラの順である.これは食塩の浸透量の順位と逆の関係でよく対応しており, 魚肉の脂肪含量の多いものほど食塩が浸透しにくい.
    6) 筋繊維の太さはタラが最も大きく, タイがそれにつづき, アジとサバがやや小さいが, タチウオ, カツオとは大差がない.これは食塩の浸透量とかなり対応しており, 筋繊維の太いものほど食塩が浸透しやすいと推定される.
    7) 皮下脂肪の厚さは脂肪含量とかなり似ており, 皮下脂肪層の厚いものほど食塩が浸透しにくいことが認められたが, タチウオだけは例外である.
    8) タチウオの皮部は, サバよりも水分が多く脂肪が少なく, 皮下脂肪層もきわめて薄いのに, 食塩の浸透量はサバより少ない.タチウオの皮の組織構造は他の試料魚と異なり, 皮に多くの脂肪があり, さらに皮に結合している筋隔膜が多いため, それが食塩の浸透を著しく阻害しているものと思われる.
  • 汚染における計測等級値についての研究
    中村 妙子, 吉川 清兵衛, 寺主 一成
    1984 年 35 巻 6 号 p. 379-384
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The objective evaluations for staining using colour depth value difference ΔC* and colour difference ΔE (Adams-Nickerson, Hunter, CIE-L*a*b*, CIE-L*u*v*) were investigated as compared with the visual evaluations by 25 panelers.
    In these results, it was found that the Ns value led by ΔC* was closer to the visual evaluation than the ΔE by colour difference.
    Ns = 5.5-log (ΔC*/0.125+1) /log2
    Ns value coincided closely with the mean value of visual evaluations for achromatic colour, but the variance in visual evaluations was not avoidable in the same way as colour change. Though the only one third of visual evaluations coincided with Ns value, the others were different from this evaluations. The evaluations were severer for the chromatic colour than for the achromatic colour, but the mode of distribution coincided with Ns value.
  • 阿部 幸子, 小林 泰子, 片山 倫子
    1984 年 35 巻 6 号 p. 385-390
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    多摩川, 野川の河川水を用い, リバーダイ・アウェイ法によるLAS, SDS, 石けんの生分解試験を行った.生分解指標としてFRAS(SDS, LASのみ), TOCを測定し, 同時に試験期間中のDOの消長を調べた.
    いずれの界面活性剤も約30日のダイ・アウェイテスト期間中にほぼ完全に無機化して消失した.しかし, 消失速度は濃度・界面活性剤の種類によって異なり, 濃度が高くなると消失に長期間を必要とし, 1-AS 20mg/lでは30日後にもなお数mg/lのTOC残存が認められた.界面活性荊の種類では, SDS≈石けん≫LASの生分解性を示し, LAS 20mg/lでは分解がおこるまでに資化性細菌集積のための誘導期間を必要とした.
    また, DOの消長はFRASおよびTOCの消失とほぼ対応しており, ダイ・アウェイテストにおけるDOの消長から生分解の難易, 水中での浄化現象を明らかにすることができる.
    今回用いた試水は, いずれも汚濁度はそれほど大きくはなく, 水質の差による生分解性の差異は現れなかったが, 汚濁度の大きな野州のほうがSDSの消失にやや長期間を要し, また野川のほうがLAS分解菌集積のための誘導期間がやや短かかった.
  • 東京都における男子の制服の実態および教員の意見
    三井 紀子, 酒井 豊子
    1984 年 35 巻 6 号 p. 391-398
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Through the questionnaire survey reported in Part 1, followings have become clear about boys' uniforms.
    1. School uniforms of close buttoned jacket type are very popular for boys, and blazer or business suit type come second.
    2. Most of the close buttoned jackets are black, and blazers or business suits are dark blue.
    3. The proportion of blazers or business suits to close buttoned jackets has increased with the years.
    4. Various wool/polyester blended fabrics are used for boys' uniforms more than for girls' uniforms, especially in summer.
    5. Regulations of private and national boys' schools are less rigid than those of private and national girls' schools.
    For 83 % of the schools which prescribe their uniforms, teachers affirm the prescription of uniforms. For 30 % of the schools which have no uniform, teachers feel the necessity of uniforms. These suggest that most teachers expect some educational effects of school uniforms.
  • スラックスのゆとりならびに部位について
    大地 昭子
    1984 年 35 巻 6 号 p. 399-405
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    スラックスは, スカートに比べてかなり帯電電位が低いが, 材質によっては歩行中に帯電のために足にまつわりついて着用感や外観を損なうことがある.
    また, 作業着としてはスラックスが用いられることが多いので, 衣服の帯電が原因となる種々の障害を回避するためにも, その帯電を防止することは大切である.
    そこで, 被服製作や着用の面からスラックスの帯電を防止するために配慮しうる点を検討する目的で, 脚部の形態の異なるスラックスを製作し, 歩行中の帯電電位を測定して次の結論を得た.
    1) スラッスの形態の影響
    歩行中のスラックスの帯電電位は, 裾や膝の幅が広い形態のもののほうが, 狭い形態のものに比べて全体的に平衡帯電電位が高くなる.
    2) スラックスの部位による傾向
    i) 同じスラックスでは, 裾付近がもっとも平衡帯電電位が高くなり, ついで, 膝付近であるが, 裾や膝の幅が非常に狭い形態のものは, 裾よりも膝付近のほうがやや高くなる傾向がある.
    ii) 同じスラックスでは, 内側のほうが外側よりも高くなる.
    3) ナイロンストッキング着用の影響
    ポリエステルのスラックスは, ナイロンストッキング着用時には, 素足の場合に比べて帯電電位の増え方がやや速く, 平衡帯電電位も高くなる.
    ウールのスラックスは, ポリエステルのスラックスに比べて, 素足の場合の帯電電位が低いが, ナイロンストッキング着用による影響もあまり見られない.
    4) まつわりつきの傾向
    まつわりつきが生ずる場合には次の傾向がある.
    まつわりつきは, 素足の場合には少なく, ナイロンストッキング着用時に多い.また, 帯電電位が高くなる形態のもの, すなわち, 裾や膝の幅が広い形態のものは, まつわりつきが多い.
    以上まとめると, スラックスの帯電を少なくするためには, 運動機能を妨げない限度内で裾や膝の幅を狭くして, 足と布との摩擦や布同士の摩擦を避けることが必要である.
    また, スラックスの下には, ナイロンストッキングをはくことを避け, 素足, または, もめん等の帯電性の小さい材質のものを着用することが望ましいと考える.
    なお, 著者は別報で, スラックスに, 摩擦係数の小さい布地で膝当て布をつけることによって, 動作時のスラックスの運動機能性が増加する実験結果を報告した.また, 前報では, スカートにキュプラやポリエステルの裏地をつけることが帯電やまつわりつきの防止に効果があることが明らかになったので, スラックスに, これらの裏地で膝当て布をつげると, 動作時のすべりがよくなり, 帯電防止効果が加わるものと考える.
  • 頸付根線の平面製図
    平沢 和子
    1984 年 35 巻 6 号 p. 406-413
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    衿設計に必要な頸の形の特徴を知るため, 人体因子を求めて身頃頸付根線を平面に展開する方法を検討した.この方法は原型に対応できるまでに単純化した胴部の体表面展開図形を平面製図法によって求めた.被験者は青年女子(19~21歳)前胴部52名, 後胴部50名, 老年女子(65~75歳)前, 後胴部各50名である.結果は次のとおりである.
    1) 頸付根線の平面展開に必要な人体因子は, 前頸幅・前頸丈・前頸案内値・後頸幅.後頸丈・後頸案内値であり, この計測値は身体の基礎計測項目にくらべ分散は大であり, 胸囲・頸付根囲およびこれらの6項日間の相関は低い.
    2) 前頸幅に対する後頸幅の比は1%水準の有意差で後頸幅が広く, この特徴は青年女子に顕著である.その比は青年女子 : x=113, 老年女子 : x=104.
    3) 後頸幅に対する後頸丈の割合は青年女子37, 老年女子43となり従来用いられている経験期にくらべ大きく, 老年女子は「前頸」となる傾向が認められた.
    4) 前頸輻に対する前頸丈の比は1%水準の有意差で前頸丈が長く, この特徴は老年に著しい.その比は青年女子 : x=105, 老年女子 : x=125.
    5) 衿ぐり曲線の特徴は円・楕円の曲線のくりが41%に対し後頸部くりは35%と浅く, 前頸部くりは44%と円・楕円のくりにくらべやや深いくりであった.
    製図に必要な後頸案内値は後頸丈/後頸幅に対し高い相関を示した (r=0.74).そこでこれをxとして後頸案内値を推定する直線式を求めればy=0.029x+0.944である.前頸案内値は各項目との相関は低く, 前頸幅・前頸丈を長径・短径とする1/4楕円の適合性は72%である.
  • 橋本 令子, 加藤 雪枝, 椙山 藤子
    1984 年 35 巻 6 号 p. 414-423
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this paper is to investigate the clothes color suitable for the skin color of wearer.
    Skin colors and clothes colors were first determined. Then an experiment of image effects was performed using the color simulation system. Secondly, the experimental data were analyzed according to the quantification theory type III to classify the patterns of the relation between the skin colors and clothes colors.
    The results are as follows :
    The skin colors are classified into natural, brown, yellow and pink system. The clothes colors are distributed in wide range of both hues and tones, especially many of those in achromatic color, blue and red system.
    Image of the clothes color in relation to the skin color can be represented by four factors; evaluation, activity, potentiality and clearness.
    It becomes clear that there are the clothes colors in harmony with each of the skin colors in the pattern classification of the relation between the skin colors and clothes colors.
    A correlation is observed between psychological values and physical determination.
  • 住宅における客用品の保有実態と保有構造 (女子大生の家庭の場合)
    一棟 宏子, 上林 博雄
    1984 年 35 巻 6 号 p. 424-433
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    purpose of this study is to establish the desirable standard of house planning in respect to the storage space in our houses. In the first part of the study, we made inquiries about the household goods possessed and the evaluation of the necessity for them by the housewife, the subjects.
    Then we analyzed the mutual relation between those two factors. This paper, which is Part 1 of the study, is offering the result of the analysis of goods for guests' use covering 71 items.
    1. In the households investigated, the number of goods for guests' use is 41 items per house. Twenty-two items among them are possessed in more than 80 % of the households, and most of them are bedding and table wares. The housewives generally tend to possess more goods for guests than they think they really need.
    2. Using the method of the Regression analysis, we investigated the cause of the variance of household goods possessed. There are significant differences in the condition of a family and the size of their house, but most influential factor is the necessity evaluation of goods for guests' use by the housewives.
    3. At the Cluster analysis, the subjects are classified into 4 patterns. The differences are estimated to result mainly from the quantity of household goods for guest room.
  • 正月の行事
    猪俣 節子, 小川 安子
    1984 年 35 巻 6 号 p. 434-441
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 金田 尚志
    1984 年 35 巻 6 号 p. 442-446
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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