本研究の目的は, 筋肉量と比例関係にあるといわれる尿中クレアチニン排他量(クレアチニン)が, 体重, 除脂肪体重(LBM), 握力, 背筋力のどの変数と純粋に相関関係にあるかを明らかにすることである. 32名の健康な男子大学生が被験者となり, クレアチニンと有意な相関関係が予測できる上記, 体重, LBM, 握力, 背筋力とクレアチニンを測定した. クレアチニンについては, Moni-Trol I Chemistry Control を用い, 定量の妥当性, 信頼性を確認した上で, Folin-Wu 法により定量した. 本研究の結果, クレアチニンは, 体重, LBM, 握力, 背筋力のどの変数とも有意な相関関係を示し, 体重, LBM, 握力, 背筋力の間では, どの2変数間でも有意な相関が認められた. 従って, 体重, LBM, 握力, 背筋力の中で各々3変数の影響力を消去して, クレアチニンとの3次偏相関を求めた. その結果, 体重, LBM, 握力の影響力を消去した背筋力とクレアチニン間には, 有意な偏相関が認められた. その後, 実験結果を確認する目的で, 21名の健康な男子大学生を被験者とし, 再度同一の実験を行なったが, 結果は酷似していた. 従って, 筋肉量と背筋力のかなり密接な相互関係が明らかになり, 背筋力が全身の筋力を代表するという指摘からも, この実験結果は理解できる. 本研究は, 文部省科学研究費の一部により完成した.
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