心電図
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42 巻, 3 号
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Editorial
総説
  • 三好 美帆, 近藤 秀和, 髙橋 尚彦
    2021 年 42 巻 3 号 p. 131-139
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/10/09
    ジャーナル フリー

    【目的】心房細動の持続は,心臓自律神経の指標と考えられている圧受容体反射感受性(Baroreflex Sensitivity:BRS)を低下させる.さらに,心房細動アブレーションもBRSを修飾する(低下させる)ことが判明している.われわれは発作性心房細動(PAF)患者と持続性心房細動(PeAF)患者のベースラインのBRSを比較検討すると同時に,アブレーションによるBRS修飾効果も検討した.【方法】対象は心房細動アブレーションを受けた67名の心房細動患者(PAF 46名)で,術前後にBRSを測定し,心房細動再発の有無を評価した.【結果】術前のBRSは,PAF患者と比較してPeAF患者で有意に低下していた.全患者で術後にBRSは有意に低下し,特にPAF患者ではBRS低下の程度が大きかった.再発を認めたPAF患者では,アブレーションによるBRS低下の程度が小さかった.【結論】ベースラインのBRSはPeAF患者でより低下していた.心房細動アブレーションはPAF,PeAFにかかわらずBRSを低下させるが,PAF患者においてより強い低下効果を発揮することが示された.

  • 川治 徹真, 静田 聡, 木村 剛
    2022 年 42 巻 3 号 p. 140-148
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/10/09
    ジャーナル フリー

    心不全も心房細動もともに高齢者に多く見られ,ともに予後を悪化させる疾患である.近年,心房細動に対するアブレーション治療が普及しており,心不全合併心房細動患者におけるアブレーション治療の予後改善効果に関する報告が増えてきている.特に,左室収縮能低下を伴う心不全合併心房細動患者における予後改善効果の報告が多いが,エビデンスが少なくガイドラインでの推奨度は比較的低い.今回われわれは,心不全合併心房細動患者において,アブレーション治療前後の心機能低下(収縮不全,拡張能障害,BNP高値,左房拡大,僧帽弁逆流)の推移を長期的に評価した.また,各心機能低下改善や,術後の心不全入院の予測因子も検討し,拡張能障害に対する治療効果に関する懸念を含めて明らかにした.本研究は様々な心機能低下を有する心不全合併心房細動患者におけるアブレーション治療介入の適応判断材料のひとつとして重要な研究と考え,ここに解説する.

原著
  • 山嵜 継敬
    2021 年 42 巻 3 号 p. 149-154
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/10/09
    ジャーナル フリー

    高周波カテーテルアブレーションは,体表面に貼付した対極板と心筋に接したアブレーションカテーテル電極間で高周波通電を行うことにより治療効果を得ることができる.高周波通電による焼灼病変形成には出力,通電時間,コンタクトフォースなどが影響を与えることが知られているが,電流のベクトル方向が通電効果に与える影響を検討した報告は少ない.そこで,今回われわれは対極板の位置による電流ベクトルの変化が焼灼病変形成に与える影響を,対外モデルを用いて検討した.食塩水を満たした実験用水槽に,牛肉切片,対極板,サーモヒーター付き水流ポンプを設置し,還流させた食塩水の温度を37℃に保持するよう設定した.コンタクトフォースアブレーションカテーテルを使用し,出力50W,コンタクトフォース10gで20秒間牛肉切片に高周波通電を行い,対極板をカテーテル先端方向もしくはカテーテル先端と逆方向に配置した場合における焼灼病変サイズを評価した.焼灼病変のサイズは対極板をカテーテル先端方向に配置した際に,有意に深い焼灼病変を得ることができた(4.3±0.5mm vs 2.9±0.4mm,p=0.01).また対極板位置の違いにより,焼灼病変の幅(5.9±0.8mm vs 5.6±0.7mm,p値=0.32)やインピーダンスドロップ(20±11Ω vs 19±9.3Ω,p値=0.40),パーセントインピーダンスドロップ(14.7±7.0% vs 15.5±7.0%,p値=0.34)には有意差を認めなかった.本研究により,対極板の貼付位置は焼灼病変形成,特に深度に影響を与える可能性が示唆された.

  • 間瀬 典弥, 間瀬 陽子, 戸谷 夏子, 藤崎 純, 前谷 容, 榎本 善成
    2021 年 42 巻 3 号 p. 155-164
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/10/09
    ジャーナル フリー

    【目的】不整脈自動検出機能付きイベントレコーダ(external loop recorder:ELR)の自動記録の有用性と問題点について,同一期間・同一対象患者に対し記録した24時間連続記録(24時間ホルター心電計に相当)や患者イベント(イベントボタン式ループレコーダに相当)と比較・検討した.【対象および方法】2018年2月~2021年3月に,当院でELRを装着した成人204例を対象とした(男性104例,対象年齢20~94歳,平均年齢62.7歳,平均装着期間約13.7日).【結果】PAC run,NSVT,VT,PSVT,Paf,Pauseのいずれの不整脈所見においても,ELRの自動記録による不整脈検出数は24時間記録や患者イベントと比べ高かった.また,不整脈所見を発見するまでにかかる日数は,患者イベントよりもELRの自動記録の方が少なかった.しかし,記録イベント数は患者イベントと比べ約43倍あり,判定精度は正しく判定されているものは約31%であった.【考察】自動記録の解析は煩雑であるが,不整脈所見の検出能は高く,不整脈診断において有用であると思われる.

連載 不整脈学研究ノススメ
連載 今さら聞けない心電図波形塾
研究会レポート
臨床心電図解析の実際―どこをどうみるか―
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