心電図
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17 巻, 2 号
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  • 堀江 稔, 綿貫 正人, 土屋 邦彦, 高橋 綾子, 篠山 重威
    1997 年17 巻2 号 p. 107-112
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    虚血・再灌流不整脈の発生に際して虚血防御機構として活性化するATP感受性Kチャネル (以下KATPチャネル) は, いわば諸刃の剣として働くことが知られている.すなわち, 再分極過程を早めることによりカルシウム過負荷あるいはtriggered activityによる不整脈を抑制するのに対し, KATPチャネルの活性化による不応期の過剰な短縮は局所心筋内の不応期dispersionを促進してリエントリー発生を助長する.本報告ではKATPチャネル活性化と各細胞毎の感受性の違いの一因として, KATPチャネル活性の細胞膜直下 (fuzzy spaoe) ATPによる修飾について, 他のATP消費蛋白との関係に注目し検討した.
  • ―心室細動との関連およびK+チャネルオープナーによる修飾について―
    渡辺 一郎, 斉藤 穎, 小沢 友紀雄, 上松瀬 勝男, Leonard S. Gettes
    1997 年17 巻2 号 p. 113-120
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】急性心筋虚血時にみられるST-T波交互脈 (STTA) の発生機序を検討し, さらにIKATP開口薬pinacidil (P) がSTTAに及ぼす作用をも検討した.【方法】豚を用い頸動脈とLADにバイパスを作成.左室心筋にK+電極を挿入し細胞外K+ (K+e) を測定.同部位より双極電位, 単極電位を記録.別に多極針電極を刺入し, 貫壁性の双極, 単極電位を記録.心表面より活動電位 (AP) を記録.P25μM投与前後で8分間冠閉塞を施行.【結果】虚血時のSTTAには2つの時相が存在, 第1相は主に心内膜側でみられ, 局所伝導遅延とは関係がなかった.第2相は心外膜側で顕著で, 局所電位の2: 1伝導途絶を伴った.心室細動はSTTA (+) 群に有意に高率であった.Pは虚血中のAP短縮を著明に促進し, 伝導遅延を改善し, STTAを完全に抑制した.【総括】第1相のSTTAは再分極のalternans, 第2相のSTTAは伝導のalternansに由来するものと考えられる.PによるSTTA抑制は電気的拡張期の増加, 伝導遅延の改善に基づくと考えられる.
  • 宮崎 利久, 伊藤 清治, 古川 佳子, 高木 俊介, 三好 俊一郎, 森谷 和徳, 三田村 秀雄, 小川 聡
    1997 年17 巻2 号 p. 121-132
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    冠閉塞-再灌流時の不整脈発生に及ぼす自律神経系の影響とそのメカニズムを遠心性交感神経刺激 (SS) ・自律神経作動薬を用いて検討した.pentobarbital麻酔開胸犬において左冠動脈前下行枝の5分間閉塞-再灌流操作を30分間隔で反復, 2回目を対照としてそれ以降に行った操作の影響を評価した.冠閉塞-再灌流時の心室頻拍・心室細動 (VT・VF) の発生率はいすれもSSにより増加した.MAPにおける後脱分極の記録頻度もSSにより増加した.一方, 虚血心筋の拡張期興奮閾値の上昇はSSにより抑制された.虚血領域心表面47点の再分極時間 (QTI) は冠閉塞後短縮し, 興奮到達は遅延した.β遮断後にはこれらの変化が抑制され, 不均一性 (47点の標準偏差) の増加およびVT・VFが抑制される場合を認めた.α刺激時には再びQTIが短縮し, 不整脈の発生率が増加した.phentolamineは逆にMAPの短縮を抑制した.
    交感神経系は虚血性不整脈および再灌流不整脈の発生率を増加させた.そのメ力ニズムとして, 虚血心筋の再分極時間の短縮の促進と不均一性の増大, 後脱分極発生の増加が推測された.
  • 小森 貞嘉, 李 兵紅, 河埜 功, 佐野 壮一, 武田 聡, 長田 満, 澤登 貴雄, 石原 司, 渡辺 明規, 梅谷 健, 井尻 裕, ...
    1997 年17 巻2 号 p. 133-140
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    雄Sprague-Dawley ratの左冠動脈の結紮再灌流不整脈モデルを用いてischemic preconditioning (IP) の抗不整脈効果, 機序について検討した.3分間, 1回の心筋虚血によるIPによりその後の冠結紮不整脈および再灌流不整脈は抑制された.また, 冠結紮不整脈と再灌流不整脈に対するIPの抑制効果の態度は異なっていた.冠結紮不整脈に対するIPの抗不整脈作用は再灌流時間が1分で認められ, 再灌流時間を20分, 30分と延長するにしたがい減弱した.再灌流不整脈に対するIPの抗不整脈作用は1分の再灌流後にも認められたが, 再灌流時間を10分に延長するとさらに増強して, 再灌流時間30分後にも効果は減弱しなかった.さらに, 冠結紮不整脈に対するIPの抗不整脈作用はaspirinの投与により消失し, その作用機序にprostaglandinsの関与が考えられたが, 再灌流不整脈に対するIPの抗不整脈作用機序にprostaglandinsは関与していないと考えられた.
  • 安武 正弘, 岸田 浩, Metin Avkiran
    1997 年17 巻2 号 p. 141-147
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    虚血・再灌流障害の発生機序の一つとして重要な役割を果たしているNa/H交換系 (NHE) はプロテインキナーゼC (PKC) を介してカテコラミン, アンギオテンシン, エンドセリンなど種々の体液性因子の影響を受けることが示唆されている.本研究では, ラット摘出心を用いてPKC賦活剤phorbol 12-myristate 13-aoetate (PMA) の再灌流不整脈に及ぼす影響におけるNHEの役割を検討し, さらにラット単離心室筋細胞においてα1アドレナリン受容体刺激およびPMAのNHE活性に対する影響をPKO阻害剤の有無で検討した.PMAは再灌流不整脈を増悪させ, この作用はNHE阻害剤によりブロックされた.また, α1アドレナリン受容体刺激によるNHE活性亢進がPKC阻害剤によりブロックされたことから, 再灌流不整脈増悪機序の一つとしてPKCを介するNHE活性亢進が重要であると考えられた.
  • 沖重 薫, 山下 勝弘, 吉永 治彦, 畔上 幸司, 笹野 哲郎, 大平 洋司, 佐竹 修太郎
    1997 年17 巻2 号 p. 148-156
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Ischemic preconditioning (IP) は虚血による心筋障害に対する防御機構のひとつと考えられる現象であるが, IPの電気生理的作用について検討するため, 心室筋の再分極過程のばらつきを反映し, 電気的不安定性を表わすとされているQT間隔dispersion (QTd) の経皮的冠動脈形成術 (PTCA) 中の変化を解析した.結果はballoon inflation (BI) , deflation (BD) を繰り返す度にQTdは有意に縮小した (P<0.01) .陳旧性心筋梗塞症群 (OMI) と狭心症群 (AP) との比較ではAP群のみ有意なQTd縮小傾向がみられた (P<0.01) .また, 左冠動脈PTOA施行群と右冠動脈群とでは前者においてのみQTdの有意な縮小傾向がみられ (P<0.01) , 以上よりIPの電気生理作用は生存心筋の体積が大きい程, また冠動脈支配領域が広いほど強く現れると考えられた.次に, ATP sensitive K+ ohannel (K・ATP) 開口薬のnicorandil (ND) を投与中に同様の検討を行い, 非投与群とQTd変化を比較したところ有意差はみられなかったが, ND投与群にてQTdの縮小が大きい傾向がみられ, IPの電気生理作用におけるK・ATPの関与も示唆された.
  • 西崎 光弘, 鈴木 誠, 足利 貴志, 山分 規義, 有田 匡孝, 桜田 春水, 沼野 藤夫, 平岡 昌和
    1997 年17 巻2 号 p. 157-164
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    冠攣縮性狭心症 (VSA) の無症候状態における心室筋の受攻性と再分極過程の不均一性を検討した.研究IではVSA14例に対し, 電気生理学的検査 (EPS) での右室2発早期刺激による心室性不整脈 (VA) の誘発を, 無症候時 (baseline) と冠攣縮誘発・ISDN投与による解除後とで比較した.対照群はEPSを施行し得た器質的心疾患のない20例とした.VSA群ではbaseline時, 対照群に比べ高頻度にVAが誘発され, lSDN投与によりVAの頻度・重症度とも有意に改善した.baselineのVT・VF誘発例では非誘発例に比し, 高率に冠攣縮誘発時VAを認めた.研究IIではVSA50例に対し, 再分極過程の不均一性の指標として12誘導心電図上のQTc dispersion (QTcd) を検討した.対照群は健常人30例とした.VSA群ではbaselineでISDNN後に比し平均QTG時間は有意に短縮, QTcdは有意に増大していた.冠攣縮誘発時VA (+) 24例はVA (-) 26例に比し, QTcdは有意に高値であった.対照群のQTodはVSA群に比し有意に低値を示した.以上, VSAでは既に無症候状態にて電気生理学的不安定が存在し, VAの成因につながっており, その機序の一つとして潜在する心筋虚血が考えられた.
  • 渡邊 靖之, 安井 直, 森 秀雄, 野場 万司, 山口 珠緒, 嶋地 健, 可児 篤, 加藤 千雄, 近松 均, 渡辺 佳彦, 菱田 仁
    1997 年17 巻2 号 p. 165-173
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    致死的な心室性不整脈を来した虚血性心疾患患者のホルター心電図記録から, 心拍変動スペクトル解析を用いてその直前の自律神経活動の変化につき検討した.対象は冠攣縮性狭心症2例, 急性心筋梗塞1例, 不安定狭心症1例 (記録中に心臓死) である.心拍変動の低周波成分 (LF) のパワー値の平方根値, 高周波成分 (HF) のパワー値の平方根値, および両者の比 (LF/HF) を128心拍毎に求めた.また不整脈直前のNASA誘導およびCC5誘導の心電図波形, 特にST-T変化に注目した.その結果, 出現10分前までは自律神経活動はあまり変動せず, 出現約4~6分前より, HF値は3例で増加傾向を示した.この3例のLF/HFは症例により増加, 不変, 減少と一定しなかったが, HF値の増加とほぼ同時に虚血性のST-T変化が心電図で確認された.残りの1例では, HF値は低下傾向を, LF/HFは増加傾向を示し, ST-T変化は示さなかった.以上より, 虚血性心疾患患者の致死的心室性不整脈の直前の自律神経活動は一様ではなく, 虚血に伴う副交感神経活動の亢進を示す症例と新たな虚血を伴わない交感神経活動の亢進する症例とが認められた.
  • 戸山 靖一, 鈴木 惠子
    1997 年17 巻2 号 p. 174-180
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心尖部肥大型心筋症では左側胸部誘導で深い陰性T波 (冠性T波) をみるが, また高いR波を認めることが多い.今回は心尖部の高度の肥厚を心電図, ベクトル心電図で何処まで診断できるかを試み, 心臓MRIの所見と対比し, 心電図で10mm以上の冠性T波をみるか, 或るいは, ベクトル心電図で異常T環を伴って水平面最大QRSベクトルが+10°以上の左前方型を示す場合, 20mmを越える心尖部肥厚があると診断すると, 80%以上の感度, 特異度が得られた.また心尖部肥大型心筋症に多いベクトル心電図での左前方型では心尖部肥厚度とRV5の波高との間には高い相関関係, 寄与率があることから, この場合は心尖部肥厚が他の壁よりRV5に強く反映するため, 心尖部肥大型心筋症ではRV5の波高が高くなると考えられた.
  • 古川 佳子, 宮崎 利久, 三好 俊一郎, 森谷 和徳, 三田村 秀雄, 小川 聡
    1997 年17 巻2 号 p. 181-189
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    異方性伝導時の局所QT間隔の変化を心表面マッピング法を用いて検討した.麻酔開胸犬の左室心表面47点から単極および双極電位を記録した.前者からQT, 後者から局所興奮到達時間 (AT) を計測し, QTからATを引いたものを局所QT間隔 (QTI) と定義し, 再分極時間の指標とした.6点同時刺激により心筋線維走行に平行 (L) および垂直 (T) 方向の興奮波を作成した.興奮の等時線図から異方性伝導が確認された領域でのQTIは, 心房刺激時 (161.0±14msec) に比しL, T伝導時 (217.2±15, 203.4±18msec) とも有意に延長し, L伝導時に最長であった (n=9, p<0.001) .この延長効果は刺激部位から遠ざかるにつれ減弱し, 刺激部位から19mm以内での空間的勾配はL伝導時に比しT伝導時により急峻であった.以上, 生体位心の心室筋局所再分極時間は生理的伝導時に比して異方性伝導時に延長し, 空間的不均一性が増大することが示され, その機序として‘下流’からの電気緊張的影響が示唆された.
  • 1997 年17 巻2 号 p. 191-197
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 単極誘導心電図と0電位
    真島 三郎
    1997 年17 巻2 号 p. 198-202
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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