心電図
Online ISSN : 1884-2437
Print ISSN : 0285-1660
ISSN-L : 0285-1660
16 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 向井 誠時, 早野 順一郎
    1996 年 16 巻 3 号 p. 217-224
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心拍変動解析の標準化のための基礎データとして, 心拍変動解析時の種々の要因が解析結果に与える影響を調べ, 次のことを明らかにした. (1) 不整脈処理時に行うデータ欠損部の補間処理はLF成分振幅の過大評価と, HF成分振幅成分の過少評価の原因となる. (2) 自己回帰スペクトル分析の次数を変化させたところ, LF成分, HF成分の振幅はともに16次以上で一定となる. (3) 呼吸周波数の減少は心拍数の変化を伴わずにHF成分の振幅を増加させることから, HF成分振幅は心臓迷走神経活動レベルとは独立に呼吸周波数の影響を受ける. (3) 心拍数が変化する時, R-R間隔による心拍変動の増減と瞬時心拍数による心拍変動の増減と一致しないことがある. (5) complex demodulation法は心臓自律神経活動の経時的変化の分析に適する.
  • 五関 善成, 松原 哲, 大久保 豊幸, 高橋 直子, 竹内 徹, 伊吹山 千晴
    1996 年 16 巻 3 号 p. 225-231
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】日常生活における心筋虚血発生と自律神経との関係を検討.【対象・方法】対象は, 運動負荷試験およびホルター心電図検査にて虚血性ST低下を示した, 虚血1生心疾患患者19例.ホルター心電図において, 虚血発生時と同一心拍数であるが虚血1生ST変化を示さない対照点を用い, 虚血発生時およびその対照点の前後30分間の心拍変動をスペクトル解析した.LF成分 (0.04-0.15Hz) と, HF成分 (0.15-0.40Hz) とに分け, LF/HFおよびHFとにつき検討.【結果】 (1) HF値は虚血発生直前10分間で減少を示したが, 対照点前では有意な時間的変化を示さなかった. (2) 虚血発生前30分間のLF/HF値が, 対照点前に比べ高値を示す例を73%で認め, この例での虚血発生時間の日内分布は, 午前8時から10時にピークを示した.【結語】日常生活における心筋虚血発生には自律神経が関与し, その発生時間帯の日内分布にも影響していることが示唆された.
  • 斉藤 勉, 岸田 浩, 佐野 純子, 多田 祐美子, 早川 弘一
    1996 年 16 巻 3 号 p. 232-241
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    異型狭心症を対象として心臓交感神経系の賦活により―過性心筋虚血発作を誘発し, その際の体液性因子, 血行動態, 心臓自律神経活動の経時変化を解析した.異型狭心症19例と対照群5例にホルター心電図と携帯型血圧計を装着し, 早朝にインスリンを0.11U/kg静注し, 血糖, コルチゾール, カテコラミン, 血行動態, および心拍変動解析による自律神経活動を経時的に静注後2時間まで測定した.心拍変動解析はRR間隔変動を最大エントロピー法にて行い, 低周波数成分 (LF: 0.04-0.15Hz) と高周波数成分 (HF=0.15-0.40Hz) に分離定量し, HFを心臓副交感神経活動, LF/HF比を交感神経活動の指標とした.その結果, ST変化出現直前にはHFは不変, または減少し, ノルエピネフリンとLF/HF比は上昇した.
    したがって, 異型狭心症のインスリン負荷によるST変化出現には交感神経活動亢進の関与が示唆された.
  • 高瀬 凡平, 栗田 明, 上畑 昭美, 疋田 浩之, 中村 治雄
    1996 年 16 巻 3 号 p. 242-251
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患症例, 殊に無症候性心筋虚血発作を有する労作性狭心症例における各種抗狭心薬 (diltiazem 90mg/日, bepridil 150mg/日, carteolol 15mg/日, ni-pradilol6mg/日) の心拍数変動指標に及ぼす影響を比較検討した.運動負荷試験, ホルター心電図にて虚血性心電図変化と無症候性心筋虚血発作を認める安定労作性狭心症例59例 (平均年齢61±9歳) を4群に分けsingle-blind placebo control法にて4薬剤を2週間投与し各薬剤の運動負荷試験, 無症候性心筋虚血発作及び心拍数変動指標に及ぼす影響を検討した.その結果, 4薬剤ともほぼ同程度に運動負荷時の虚血性心電図変化, 無症候性心筋虚血発作回数を改善せしめたが, 心拍数変動指標に及ぼす影響には差が認められた.Diltiazem, bepridilは心拍数変動指標に有意の影響を示さなかったが, GarteololはsdNN, SDANNを有意に低下せしめた.NipradilolはmeanSD, rMSSD, pNN50, high frequenoy speotraを有意に増加させ, low/high frequenoy speotraratioを有意に低下せしめた.運動負荷誘発心筋虚血発作, 無症候性心筋虚血発作を同程度改善せしめる薬剤でも心拍数変動指標に及ぼす影響が異なる.よって, 虚血性心疾患症例, 特に不整脈を合併する症例における抗狭心症薬の選択に心拍数変動指標に及ぼす影響も考慮する必要があると考えられた.
  • 武田 寛人, 大和田 憲司, 黒澤 和彦, 上遠野 栄一, 鉄地川原 正顕, 粟野 直行, 丸山 幸夫
    1996 年 16 巻 3 号 p. 252-262
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞後の急性期, 慢性期における心拍変動指標の予後規定因子としての臨床的意義を検討するため, 急性心筋梗塞97例, 陳1日性心筋梗塞86例の予後をretrospeotiveに検索し, 心拍変動 (HRV) の各指標によりCox比例八ザード解析にて生存分析を行った.相対危険率の高いものは急性期では洞性RR間隔の24時間の標準偏差: sdNN≦60ms (8.59, p<0.01) , 5分間ことの洞性RR間隔平均値の1日の標準偏差: SDANN≦60ms (7.42, p<0.01) , 慢性期では, 10分間の洞性RR間隔変動の高速フーリエ変換によるスペクトラムより得られた呼吸性心拍変動の24時間での最大値: max.RHRV≦10ms (3.39, p<0.01) , 洞性RR間隔の24時間平均値: mean NN≦750ms (3.32, p<0.01) で, SDANNは急性期の独立した予後の危険因子であった.慢性期の突然死の予測にはmax.RHRV≦10msが重要な指標であった.両時期での重要な心拍変動指標の差異には死因, 心拍変動の経時的な回復が関与していると考えられた.
  • 四倉 正之, 佐々木 一哉, 山口 貴子, 小出 靖, 鈴木 淳, 吉野 秀朗, 石川 恭三
    1996 年 16 巻 3 号 p. 263-271
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞発症直後および1ケ月後にHolter心電図を記録した124例について心拍変動を計測し, 臨床所見との関連性を検討した.発症直後は1ケ月後と比較しすべての計測値が有意に低下していた.入院中死亡群は生存群と比較し, 発症直後はHF, meanRR, SDANN, SD, pNN50, rMSSDが有意に低値であった.入院時のKillip分類II以上の群はIの群と比較し, 発症直後はLF, HF, sdRR, SDANN, SD, pNN50, rMSSDが有意に低値であり, 1ケ月後も同様であった.LVEFが40%未満の群は40%以上の群と比較し, 発症直後はHF, LF, meanRR, sdRR, SD, pNN50, rMSSDが有意に低値であり, 1ケ月後はmeanRR, sdRR, SDANN, SDが有意に低値であった.前壁中隔梗塞は下壁梗塞より発症直後にpNN50とrMSSDのみが有意に低値であった.再灌流療法の有無による心拍変動の差異は発症直後, 1ケ月後ともに認めなかった.以上の結果より発症直後の心拍変動から短期予後, 心機能などの推定が可能と思われた.
  • 関口 昭子, 飯沼 宏之, 相良 耕一, 加藤 和三
    1996 年 16 巻 3 号 p. 272-277
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    電気的除細動を行なう際の除細動閾値 (DFT) に対する抗不整脈薬の影響はまだ十分には分かっていない.我々は麻酔開胸犬23頭を用い, I群薬 (flecainide (F) ) 及びIII群薬 (dofetilide (D) ) のDFTに及ぼす効果について検討した.チタニウム製プレート電極を左右心室上の心膜 (心のう膜) に縫着し, 交流通電で心室細動を誘発, 10秒後にショックパルスを与えることをくり返しつつ, Jones法にならいDFTを決定した.F (n=7) は総エネルギー (DFTe) を5.3±1.8Jから7.8±2.7Jへ, ピーク電流 (DFTc) を3.5±0.8Aから4.6±1.5Aへ上昇させた.一方D (n=12) はDFTeを7.4±1.8Jから4.1±1.8Jへ, DFTcを4.2±0.9Aから3.0±0.9Aへ低下させた.即ちI群薬にはDFT上昇作用, III群薬には下降作用が認められた.従ってICDと併用して抗不整脈薬を使用する場合には, その不整脈抑制作用だけでなく, このようなDFTに対する作用も勘案して薬剤選択を行なう必要があると思われた.
  • 太田 隆之, 岩 亨, 芳賀 勝, 加藤 勲, 上杉 道伯, 水谷 登, 水谷 浩也, 小林 正
    1996 年 16 巻 3 号 p. 278-288
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ウェーブレット変換 (wavelet transform: WT) は近年周波数解析の一手法として注目されている方法であり, フーリエ変換より時間分解能が高く, 局所振動の位置情報の解析に適している.著者らは加算平均心電図 (signal averaged ECG: SAECG) の解析に同手法を用い, 本解析法による時間一周波数解析の有用性について検討した.モデル波形を使用した検討ではQRS complexの中に埋没した局所振動を時間情報も含め明瞭に検出することが可能であった.健常者150名とARVD患者17名との比較検討では, WT波形下部の面積, WT波形の局所ピークの数, QRSのon-setからWT波形の最後のピークまでの時間の3つのパラメータにおいて差が認められた.WTはSAECG信号に含まれる微少信号の検出に有用であると思われた.
  • 戸叶 隆司, 中田 八洲郎, 住吉 正孝, 久岡 英彦, 小倉 俊介, 中里 祐二, 山口 洋, 羽鳥 浩, 羽里 信種
    1996 年 16 巻 3 号 p. 289-296
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は, 80歳, 男性で, 既往歴に高血圧がある.
    うっ血性心不全にて当院入院, 利尿剤などにより軽快したが, 心室性期外収縮の頻発を認めた.Disopyramideを200mg/日経口投与したが無効であったため, Pilsicainideに変更し, 50mgを単回で経口投与した.約6時間後よりQRS幅が0.10秒から最大0.16秒まで延長, 約12時間後には著明な洞徐脈が出現, 心室内伝導障害を伴った接合部性補充調律となり, QT間隔も0.54secと延長した.Pilsicainideの投与は1回のみで中止したが, これらの完全な回復には約30時間を要した.
    Pilsicainideの単回投与で洞機能抑制および心室内伝導障害を同時に認めた報告はない.本例では, 力口齢による腎機能低下のためPilsicainideの血中濃度が上昇, 潜在性洞機能障害と心室内伝導障害が顕在化したと考えられた.高齢者や基礎心疾患を有する症例では, 本剤の投与にあたり充分な注意を要すると考えられた.
  • 心電計はどこまで小さく, かつ, 軽く成り得るか?―重機械からミリ・マシーンへの100年―
    岡島 光治
    1996 年 16 巻 3 号 p. 297-300
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top