心電図
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37 巻, 3 号
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Editorial
原著
  • 溝渕 正寛, 伊藤 雄太, 田中 真沙美, 舩津 篤史, 小林 智子, 中村 茂
    2017 年 37 巻 3 号 p. 163-171
    発行日: 2017/11/02
    公開日: 2018/04/16
    ジャーナル フリー

    心房細動アブレーションにおける直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の周術期使用法について,術前単回投与中止(minimally-interrupted DOAC : MID)のプロトコールが術中抗凝固能に及ぼす影響を検討した.各DOACの術中総ヘパリン投与量は,ワルファリン群に比べダビガトラン群では有意差なく,Xa阻害剤使用群で有意に多かった.一方,ダビガトラン群はワルファリン群と同等の術中ACT推移を呈したが,Xa阻害剤使用群は有意にtarget ACT(≧300秒)達成が遅延した.すなわち,MIDプロトコールでアブレーションを施行する場合,Xa阻害剤は,ワルファリンやダビガトランとは術中ACTの推移が異なることが示唆された.DOACはその簡便さと安全性の観点から使用症例数が急速に拡大しているが,アブレーション周術期の対応においては,その作用機序の違いに応じた適切な対応を検討する必要がある.

症例
  • 磯 一貴, 永嶋 孝一, 奧村 恭男, 渡辺 一郎, 高橋 啓子, 新井 将, 渡邉 隆大, 黒川 早矢香, 大久保 公恵, 中井 俊子, ...
    2017 年 37 巻 3 号 p. 172-179
    発行日: 2017/11/02
    公開日: 2018/04/16
    ジャーナル フリー

    症例は45歳,男性.2002年,他院で左側の副伝導路を介した房室回帰性頻拍(AVRT)に対してアブレーションを施行した.2016年にlong RP’頻拍を認めたため,当院受診.心室ペーシング下の心房最早期興奮部位は左房後壁であり,カテーテル刺激で誘発された頻拍(頻拍周期 : 344msec)中も,心房の興奮伝播様式は同様であった.頻拍中の室房(VA)伝導時間は142msecであり,右室心尖部からのエントレインメントペーシングでは,VAVパターンを示し,PPI(Post Pacing Interval)-TCL(Tachycardia CL)=108msec,SA(Stimulus-Atrial)-VA=82msecであったが,エントレインメント中にanterograde His captureを認めたため,左房後壁副伝導路を介した正方向性AVRTと診断した.経中隔的左房アプローチを用いて心室ペーシング下に,弁上の心房最早期興奮部位を通電したところ,VA伝導時間のわずかな延長を認めたが,心房興奮伝播には変化を認めなかった.心室ペーシング下にアデノシン三リン酸(ATP)を投与したところ,VA伝導は消失し,また傍ヒス束ペーシングでも房室結節パターンであったため,副伝導路は離断されており,房室結節遅伝導路のleftward extensionによる室房伝導と判断した.本症例は,左房後壁副伝導路と房室結節のleftward extensionの位置が近接していたため,副伝導路の離断の評価に難渋した.左房後壁副伝導路へのアブレーションに難渋した際,房室結節遅伝導路のleftward extensionの存在を念頭に置く必要がある.

  • 西村 卓郎, 潮平 親哉, 吉竹 貴克, 白井 康大, 前田 真吾, 佐々木 毅, 川端 美穂子, 笹野 哲郎, 合屋 雅彦, 平尾 見三
    2017 年 37 巻 3 号 p. 180-185
    発行日: 2017/11/02
    公開日: 2018/04/16
    ジャーナル フリー

    症例は,特に既往歴のない69歳男性.胸部圧迫感を伴う薬剤抵抗性発作性心房細動に対して,肺静脈隔離,上大静脈隔離,下大静脈三尖弁輪峡部アブレーションを施行された.退院10ヵ月後に,飲酒後,胸部圧迫感に引き続き失神,転倒をきたし顔面を負傷した.その1週間前に施行されたホルター心電図では,心拍数180bpmの無症候性心房頻拍(atrial tachycardia : AT)が複数回記録されており,ATの治療目的に2回目のカテーテルアブレーションを施行した.右房起源の複数のATが誘発されたが,ATの最早期である右房低位中隔,右房側壁へ通電を行った後は,イソプロテレノールを負荷下に頻拍誘発を行っても心房不整脈は誘発されず,手技を終了した.しかし,術後3日目に施行したhead-up tilt(HUT)試験では,イソプロテレノール負荷下に血圧の低下に伴って胸部圧迫感を伴う上室期外収縮(premature atrial contraction : PAC)の散発を認め,その後,心拍数250bpmのATが発生し,同時に痙攣を伴って失神をきたした.速やかに患者を臥位にすると,頻拍は自然停止し,意識は回復した.その後,PACはまったく観察されなかった.カテーテル室では誘発不能であった非肺静脈起源ATがHUT試験で誘発され,頻脈性ATと血管抑制型迷走神経反射が合併して初めて失神をきたした稀有な症例であり,文献的考察を含めて報告する.

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