心電図
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42 巻, 1 号
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Editorial
総説
  • 岡 英一郎, 岩﨑 雄樹, 清水 渉
    2022 年 42 巻 1 号 p. 5-13
    発行日: 2022/03/04
    公開日: 2022/03/17
    ジャーナル フリー

    早期再分極パターン(ER-ECG pattern)はJ波とも呼ばれ,日常診療でよくみられる心電図所見である.従来予後良好とされてきたが,近年,種々の基礎心疾患を有する症例で致死性不整脈との高い関連性が報告されている.しかし,急性心筋炎におけるER-ECG patternと致死性不整脈との関連は不明であり,今回その関連を検討し,心臓磁気共鳴画像(CMR)所見に基づいた機序の洞察を行った.急性心筋炎患者30症例(平均年齢39.2歳,男性23例)において,9症例で心筋炎急性期のみ一過性に限局したER-ECG patternを呈し(ER群),これらの心筋傷害は軽度であった.CMRのT2強調画像ではER-ECG patternの誘導に近接する左室心外膜側に限局した高信号を認めた.一方,ER-ECG patternを伴わないST上昇や異常Q波を呈する残りの21例(non-ER群)では心筋傷害は高度で,T2高信号域は左室全周性に及んだ.劇症化例では致死性不整脈が発生したが,ER-ECG patternを呈した例では1例もなかった.急性心筋炎では,心外膜側に限局した炎症や浮腫が心内膜−心外膜間の電気的勾配を形成し,ER-ECG patternをきたす成因の一つと考えられた.急性心筋炎におけるER-ECG patternは一過性かつ可逆性であり,心筋傷害も心外膜側に限局しているため劇症化することなく経過し,致死性不整脈との関連はなかった.

症例
  • 清水 祥子, 加藤 孝和, 飯田 みゆき, 芦原 貴司
    2022 年 42 巻 1 号 p. 14-25
    発行日: 2022/03/04
    公開日: 2022/03/17
    ジャーナル フリー

    症例は83歳男性,高血圧症,脂肪肝で通院.初診時は53歳.30年間にわたる心電図経過の中で,5種類のQRS波形を呈した間欠性完全右脚ブロック,間欠性軸右方シフトを呈した.71歳時には洞調律で完全右脚ブロック型,QRS軸は+15°〔C15〕であったが,74歳時には洞調律で完全右脚ブロック型のまま,QRS軸が+60°と右方にシフトした〔C60〕.76歳時に心房細動が初発したが,〔C60〕は不変であった.78歳時,先行RR間隔が1.01秒以上では間欠性ながら〔C15〕に戻った.79歳時には,先行RR間隔が0.98秒以上では間欠性に不完全右脚ブロック型を呈したが,QRS軸は+60°〔I60〕のまま不変であった.80歳時には,〔C60〕,〔C15〕,不完全右脚ブロック型でQRS軸+15°〔I15〕の3種類のQRS波形を認め,83歳時には〔I60〕に加え,さらに先行RR 間隔が0.44~0.48秒と極端に短い状況では,QRS幅0.08秒でQRS軸+70°の過常期伝導と考えられる正常QRS波形〔N70〕を認めた.このように,QRS波形が右脚ブロック型のままでQRS幅とQRS軸のそれぞれが異なる臨界先行RR間隔で変化する現象は,右脚の伝導障害のみでは説明困難であり,ヒス束内縦解離によるtriple pathwayを想定することにより,はじめて説明可能と考えられた.

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