心電図
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12 巻, 4 号
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  • 立石 修, 西牟田 いづみ, 荻原 京子, 小幡 進一郎, 橋爪 誠, 八木 秀憲, 中田 晃孝, 山崎 さやか, 峰岸 栄子, 永森 哲也 ...
    1992 年12 巻4 号 p. 389-398
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ホルター心電計を用いた心拍変動パワースベクトラム解析 (HV-PSA) の信頼性について基礎的検討を行った.
    【方法】 (1) パルス波形を用いボルター記録, 再生により生ずる不要スペクトルを測定した. (2) 臨床例を対象にHV-PSAを行い高周波数帯域 (HF: 0.25~0.4Hz) および低周波数帯域 (LF: 0.04~0.25Hz) パワー値を求め, (a) FFT解析条件による差異, (b) ホルター記録と直接記録との比較, (C) 短時間内再現性について検討した.
    【結果】 (1) 不要スペクトル成分は記録器により異なり, 最大不要HF値27msec2, 最大不要LF値16msec2であった.臨床計測値との比較では大部分の症例 (HF94%, LF97%) の解析値は不要パワー値以上であった. (2) ホルター記録と直接記録によるHF値の相関は高かった (r=0.987) が, LF値はHF値と比べて低かった (r=0.714) . (3) 解析条件によりHF値, LF値は平均5~15%変化した. (4) 1分以内における解析値の再現性はHF値, r=0.999, LF値, r=0.974といずれも高い再現性を認めた.
  • 高木 洋, 佐藤 磐男, 笠松 謙, 栗田 隆志, 相原 直彦, 鎌倉 史郎, 大江 透, 松久 茂久雄, 土師 一夫, 下村 克朗
    1992 年12 巻4 号 p. 399-408
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    運動負荷による前胸部誘導の陽性U波高変化を梗塞のない冠動脈一枝病変92例と正常冠動脈47例 (NCA群) で運動後回復期に測定し, それによる虚血局在性診断の可能性とその意義を検討した.21例が右冠動脈 (RCA群) , 22例が左回旋枝 (LCX群) , 49例が左前下行枝 (LAD群) 狭窄例であった.測定可能57例のU波高は, 回復期1分にROA群とLCX群ではV2~5で増高したが, LAD群ではV2, 3で減高した.そこで, 全139例で病変冠動脈枝の推定を行うと, U波高1mm以上の増高の診断基準よりRCA群とLCX群の30%が, 0.5mm以上の減高によりLAD群の16%が診断可能で, 特異性はそれぞれ99, 100%であった.RCA群, LCX群のU波増高例では, ST低下や狭心痛による虚血陽1生率が高く, その後の冠血行再建術の施行率も高率で, 高度狭窄例 (≧90%) も多い傾向がみられた.運動後早期の陽性U波増高は右冠動脈または左回施枝病変の診断に有用な指標であり, また, 高度冠狭窄例の予測にも重要な所見と思われた.
  • 寺脇 一江, 長澤 進, 三好 彩, 新山 晶子, 高橋 敬子, 渓 浩司, 杉澤 一彦, 藤谷 和大, 岩崎 忠昭
    1992 年12 巻4 号 p. 409-417
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ホルター心電図記録を用いた加算平均心電図 (SAE) の信頼性について, Late Potential (LP) に関連したパラメーターを中心にリアルタイム記録法と比較検討した.対象は45例, 記録法は3チャンネルポルター心電図計にてX, Y, Z誘導を記録, simsonらの方法に準じてQRS vector magnitudeを求め, リアルタイム記録も同様に行い, 各々RMS40, QRSD, LAS40を測定した.
    結果: (1) 三つのパラメーターすべてでホルター記録とリアルタイム記録間での相関を認めた. (2) リアルタイム記録でのLP (+) 群においては, 両記録間でRMS40に有意な相関を得た. (3) VT (+) 群においても, 両記録間で, RMS40に有意な相関を認めた. (4) RMS40のVTに対するnegative predictive valueは両記録ともに高値であった.
    以上よりホルター記録を用いたSAEは信頼性があり, LPの検出を中心に今後臨床的有用性が高いと考えられた.
  • 円城寺 由久, 杉 薫, 池田 隆徳, 山下 一弘, 箕輪 久, 西脇 博一, 松井 満治, 安部 良治, 吉川 昌男, 二宮 健次, 矢吹 ...
    1992 年12 巻4 号 p. 418-424
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    WPW症候群症例で, 副伝導路 (AP) の部位別にみた房室回帰性頻拍 (AVRT) 誘発率の相違を比較検討した.対象は心臓電気生理学的検査を受けたWPW症候群100例で, 内訳はAPが心中隔にある17例と, その他の部位にある83例 (左室69例, 右室14例) であった.心中隔にAPがある例では17例中9例52%にAVRTが誘発されたのみで, 左室にAPがある69例中59例B5%にAVRTが誘発されたのと比べ有意に低値であった (p<0.01) .また右室にAPがある14例中11例78%でAVRTが誘発されたことと比べても, 有意差はみられないものの低値を示した.室房伝導の有無に関しては, 心中隔例では11例中6例55%に認められたのみで, 左室例の43例中39例91%, 右室例の13例中全例100%に室房伝導を認めたのに比べ有意差がみられた (p<0.05) .WPW症候群のAVRT誘発率に関する条件として, 良好な室房伝導の存在や, APと房室結節の不応期の相対的関係の重要性が指摘されているが, APの部位も影響することが示唆された.
  • 村松 俊哉, 矢部 喜正, 中野 元, 塚原 玲子, 池田 基昭, 我妻 賢司
    1992 年12 巻4 号 p. 425-435
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ホルター心電図を用いてPTOA直後のSMIを同定し臨床的予後に及ぼす影響につき検討した.対象は初回待機的PTOA成功例直後のホルター心電図上SMIを認めなかった62例 (A群) とSMIを認めた10例 (B群) とした.ホルター心電図はPTOA前, 直後, 1週間後, 4ヵ月後の4回記録しSMI出現頻度の推移も検討した.その結果, トレッドミル運動負荷試験におけるPTOA前後の運動耐容能の推移はA群においては有意に改善するのに比し, B群のそれは改善は示すも有意ではなかった.患者再狭窄率はA群26.6%, B群50%, 病変別再狭窄率はA群20.7%, B群35.3%を示しB群はA群に比し有意に高率であった.SMI出現頻度の推移を検討すると, B群は高率であったがA群は漸次減少した.PTOA直後のSMIは残存虚血, electrical hibernationを示唆する一つの所見であり, PTOA後再狭窄に関連し得る.
  • 三谷 和彦, 小川 聡, 定永 恒明, 古野 泉
    1992 年12 巻4 号 p. 436-445
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    7日目心筋梗塞犬モデルの残存心外膜心筋層の異方向性伝導特性とそれに及ぼす交感神経刺激の影響を検討した.左前下行枝結紮後7日後の梗塞犬12頭に心外膜マッピング電極 (47電極, 電極間距離3.5mm) を装着した.心筋線維走行に垂直と平行方向に周期300mseoで刺激し, 両側鎖骨下係蹄電気刺激前後での興奮伝播様式を検討した.
    梗塞性変化の少ない領域では, L伝導はT伝導より有意に速く異方向性伝導特性が認められた.梗塞性変化の強い領域においては均一な異方向性伝導特性は失われ, L伝導は途絶しT伝導による興奮伝播が主体となった.交感神経刺激によって梗塞性変化の少ない領域では, 伝導速度の平均値には有意な変化はみられなかったが, 数例では伝導速度の軽度の増加が認められた.梗塞性変化の強い領域では非興奮領域の一部にきわめて緩徐な興奮伝導が生じた.また解剖学的障壁の周囲ではL伝導時に伝導遅延を助長させた.
  • 池主 雅臣, 相沢 義房, 北沢 仁, 草野 頼子, 内藤 直木, 宮島 武文, 田村 真, 柴田 昭, 小田 栄司
    1992 年12 巻4 号 p. 446-454
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    頻回刺激による持続型心室頻拍 (VT) の停止の機序が, リエントリー回路での川頁行伝導途絶による可能性が示唆された2症例を提示する.2例とも自然発作と同一波形のVTが誘発され, 頻拍周期より短い周期のペーシングで, constant fusionとProgressive fusionが確認され, さらに短い周期でVTは停止した.VT停止時には以下の所見が観察された. (1) リエントリー回路の出口において, 各々の刺激に対応する局所電位が欠如し, 電位出現間隔が延長した. (2) その後の刺激で同部位の局所電位の形態が変化し, (3) 体表面QRS波形もoonstant fusionの波形から洞調律時のペーシング波形に変化した.これらの所見はVTを停止させる周期のペーシング中に, リエントリー回路を経て回路外で融合波を形成していた興奮が途絶し, そこにペーシング部位からの逆行性興奮が伝導したための現象と考えられた.これらの所見が確認された症例の頻拍停止は, リエントリー回路内緩徐伝導路での順行伝導途絶が一次的な原因と考えられた.
  • 清水 渉, 唐川 真二, 永田 健二, 向井 順子, 本藤 達也, 渡辺 光政, 重本 英司, 山形 東吾, 土岡 由紀子, 松浦 秀夫, ...
    1992 年12 巻4 号 p. 455-461
    発行日: 1992/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    A型顕性WPW症候群に合併したリエントリー性心房頻拍 (AT) で, 頻拍中および頻拍時に行った右房ペーシング中にdouble potential (DP) が記録された症例を経験した, 症例は頻拍発作を主訴とした42歳女性で, 電気生理学的検査により洞調律時とほぼ同じQRS波形の頻拍はAT (CL 490mseG) によるものと診断した.洞調律時の心房マッピングでは, 高位右房側壁 (HRAlat) で心房波の持続時間の延長を認めた.ATはHRAlatからの早期刺激法で誘発, 停止が可能であり, 早期刺激間隔とAT誘発時のエコー間隔との関係は逆相関であった.AT中の心房マツピングでは, 高中位右房側壁の興奮が最早期で, 中位右房側壁にDPを認めた.DPはAT時にHFAlatから行ったペーシング中 (entrainment, CL 470, 450msec) にも記録されたが, 洞調律時および洞調律時の心房ペーシング中には記録されず, 機能性のDPと考えられた.
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