心電図
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28 巻, 2 号
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  • 佐久間 一郎
    2008 年 28 巻 2 号 p. 107-108
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 大川 眞一郎
    2008 年 28 巻 2 号 p. 109-118
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    不整脈の頻度は加齢とともに増加する.老年者の不整脈で高頻度なものは期外収縮と心房細動である.一方, 不整脈の基盤となる刺激伝導系の組織学的変化をみると, 高齢者における洞房結節では膠原線維, 細網線維および弾性線維の増加があり, 結節内とその周囲に脂肪の浸潤がみられる.著明な結節細胞の減少や結節周囲の線維症, 脂肪化は洞不全症候群 (SSS) をきたす.老年者の洞不全症候群22例 (男性8例, 女性14例; 平均78歳) の検討では半数は著明な洞結節細胞の減数を示し, 残りの半数は結節周囲の線維症や脂肪浸潤が関与していた.また房室伝導系では, 房室結節やヒス東貫通部は軽度の線維症を時にみるが, ヒス束分岐部, 左脚後枝は中等度の線維症を示すことが多く, 右脚にも線維症をみる.老年者の高度ないし完全房室ブロック35例 (男性17例, 女性18例; 平均79歳) の検討では, 障害部位としては補充調律QRS幅の正常群ではヒス束貫通部や分岐部内の障害が目立ち, 補充調律QRS幅の広い群ではヒス束分岐部や左右脚の線維症によるものが多かった.最もよく心臓の加齢変化と性差を示している僧帽弁輪石灰化 (MAC) は高齢女性に有意に高頻度で, これが心室中隔頂上部や中心線維体に及ぶと房室結節やヒス束を圧迫して高度の房室ブロックをきたすことがある.MACを合併した高度ないし完全房室ブロック12例 (男性4例, 女性8例; 平均86歳) につき刺激伝導系の組織学的検討を行った.その半数がMACによる房室プロックで, それらの伝導系障害部位はヒス束貫通部であった.またMACによる伝導障害と対比するために石灰化大動脈弁狭窄症 (Calc AS) 10例 (男性5例, 女性5例; 平均80歳) で刺激伝導系所見を検討した.このうち4例に高度ないし完全房室プロックがみられたが, 2例はヒス束 (貫通部と分岐部とも) と両脚の高度線維症, ほかの2例はヒス束分岐部と両脚の高度線維化を示した.なお4例中3例は, 大動脈弁バルサルバ洞底部から心室中隔頂上部にまで伸びた巨大石灰化による伝導系組織への圧排が原因であった.
  • 古川 哲史, 黒川 洵子, 中村 浩章, 白 長喜, 浅田 健, 玉川 正次, 中谷 晴昭, Ronit Vaknin, Jun Xu, C ...
    2008 年 28 巻 2 号 p. 119-128
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    QT延長症候群に伴うtorsade de pointed (TdP) 型不整脈リスクは男性に比べて女性で高く, 女性に限定しても性周期などにより変動することがしられている.多くの臨床データから性ホルモンであるテストステロンおよびプロゲステロンが保護的に働くことが示唆されている.複数の研究グループがテストステロン, プロゲステロンの心筋イオンチャネルに対する慢性作用を検討しているが, 現時点では保護作用を支持するデータは得られていない, そこでわれわれは, モルモット心筋細胞を用いてテストステロン, プロゲステロンの非ゲノム作用を検討した.いずれも活動電位幅を急性作用として短縮させ, 基底状態ではIKs活性化, 交感神経刺激状態ではICa, L抑制がイオン機序であった.この作用をコンピュータシミュレーションFaber-Rudyモデルに導入すると, 活動電位幅ならびに先天性・薬物誘発性不整脈リスクが性周期により変動することが予測された.生命科学的実験と計算科学的アブローチを用いることにより, QT延長症候群の不整脈のリスク予測と患者管理を向上させる可能性が示唆される.
  • 久留 一郎, 井川 修
    2008 年 28 巻 2 号 p. 129-139
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ミトコンドリア (mt) DNAの欠失が加齢に伴いヒト心房筋に発生し, エネルギー代謝異常からAMP分解酵素の活性亢進が起こり心房筋アデニンヌクレオチドが枯渇する.この病態が心房細動 (AF) に関連することを報告する. [方法と結果] 開心術時に得られた右心耳ならびにラット心房筋およびAMP deaminase 3ノックアウトマウスを用いて分子生物学的手法により検討した.1) 心房筋mtDNAの欠失を伴う患者の特徴, (1) 心房筋mtDNAの欠失の頻度は加齢とともに増加する, (2) 欠失mtDNAは全mtDNAの0.3~2.0%であり, 欠失mtDNAを有する群の心房筋はATPとADPが低下し, 比較的AMPは増加するものの総アデニンヌクレオチド量は低下している, (3) 細胞内AMPはPKA活性を抑制し, イソプロテレノールにより増加したCa電流や活動電位持続時間の抑制を示す, (4) 欠失mtDNAを有する患者はAFの頻度が有意に高い.2) AF合併mtDNAの欠失に伴う心筋のAMP分解亢進, (1) 欠失mtDNAを有するAF群ではecto5'-ND蛋白量とAMP deaminase活性が有意に増加する, (2) 心房筋ミエロペルオキシダーゼ (MPO) 活性は欠失mtDNAを有するAF群で有意に高値である, (3) IMPはAMP deaminase 3ノックアウトマウス下肢虚血再灌流時の炎症を抑制した. [結語] 加齢に伴う心房筋mtDNAの欠失は, アデニンヌクレオチドを減少させATPに依存する電気的機械的不全やIMPに依存する抗炎症作用の異常を引き起こす.その結果, 心房筋のメタボリックリモデリングともよばれる複合病態が生じAFに関与する.
  • 中川 幹子
    2008 年 28 巻 2 号 p. 140-146
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    不整脈には明らかな性差が存在する.例えば, Brugada症候群は男性優位, QT延長症候群によるtorsades de pointesは女性優位の不整脈であるが, それぞれ好発年齢が存在する.男性は思春期以降にQT時間は短くなるが, この現象はテストステロンのQT短縮作用に寄るところが大きいと考えられる.また, QT時間のダイナミックな変化にも明らかな性差が存在する.女性は徐脈になるほどQT時間が延長し, 急激な交感神経興奮時に再分極異常を呈しやすい性質を有する.女性においては, 性周期や妊娠・出産, 更年期などライフサイクルにより性ホルモン環境や自律神経機能が大きく変化し, これらが不整脈の発生に重要な役割を果たしていると考えられる.さらに, 健常人におけるV5誘導のJ波高にも性差が存在し男性が女性に比し有意に高く, 加齢とともに低下する.早期再分極症候群の男性優位性とテストステロンとの関連が示唆される.このように健常成人における心室再分極過程の性差と加齢の影響を明らかにすることは, 不整脈の発生機序の解明や予防・治療法の開発に寄与するものと思われる.
  • 清水 渉, 相庭 武司, 栗田 隆志, 里見 和浩, 横川 美樹, 岡村 英夫, 野田 崇, 須山 和弘, 相原 直彦, 鎌倉 史郎
    2008 年 28 巻 2 号 p. 147-157
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Brugada症候群には一部の患者ではSCN5Aなどの遺伝子変異が同定され, 遺伝性不整脈疾患にもかかわらず, 若年発症はまれで40~50歳にかけて初発することや, 常染色体優性遺伝形式をとるにもかかわらず男性に圧倒的に頻度が高いという性差など, 未解決な点も多い.動脈灌流右室心筋切片に高感度光マツピング法を応用したBrugadaモデルにより, ST上昇や心室細動 (VF) 第1拍目の心室期外収縮には, 心外膜-心内膜細胞間の電位勾配と心外膜細胞間のphase 2 reentryが関与するが, VFが持続するためには, 軽度の伝導 (脱分極) 異常が必要であるとされている, SCN5A陽1生Brugada症候群患者ではSCN5A陰性患者に比べ, 心電図の脱分極指標 (PR, QRS時間) が長く, 平均10年間の経過観察でこれらの延長度も大きいことが報告され, 特にSCN5A陽性例で, 加齢による脱分極異常がVFの晩期発症に関与する可能性が示唆されている.男性優位の性差には, 右室心外膜細胞の第1相notchが雌に比べ雄で大きいことが関与していると動物実験で報告されている, また, Brugada症候群男性患者では, 年齢を一致させた対照男性に比べて, 外向き電流を増加させる男性ホルモン (テストステロン) レベルが有意に高く, 体脂肪率が低いことが報告されており, テストステロンの関与も示唆されている.
  • ―虚血性および非虚血性心疾患との比較―
    里見 和浩, Feifan Ouyang, Roland Tiltz, 高月 誠司, Dietmar Bänsch, 鎌倉 史郎, ...
    2008 年 28 巻 2 号 p. 158-166
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    器質的心疾患患者に伴う単形性持続性心室頻拍 (VT) 症例23例 (陳旧性心筋梗塞8例, 心筋症15例; 拡張型心筋症6例, 催不整脈性右室異形成4例, 特発性心室瘤3例, 心サルコイドーシス2例) において, 心内膜, 心外膜マッピングによる異常電位の同定を試み, また同定された異常電位領域にてペースマツピングに基づくアブレーションを行った, 陳旧性心筋梗塞例では8例中7例で, 主に心内膜側に瘢痕を認め, 心内膜側の通電でVTは誘発不能となったが, 心筋症例では, 15例中13例で心外膜マッピングが必要で, 15例中12例で心外膜からの通電によりVTは消失した.特に拡張型心筋症では2例で心内膜, 心外膜とも明らかな異常電位を認めず, このVTは心筋深部起源と考えられた.心筋症では心外膜にVTの不整脈基質をもつ例が多く, カテーテルアブレーションが困難になる例が存在すると考えられた.
  • 中里 祐二
    2008 年 28 巻 2 号 p. 167-168
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 杉山 裕章, 相良 耕一, 山下 武志, 大塚 崇之, 鈴木 信也, 平野 景子, 澤田 準, 傅 隆泰, 相澤 忠範
    2008 年 28 巻 2 号 p. 169-175
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は63歳, 男性.1999年, 広範囲前壁中隔梗塞発症し, 2001年頃より虚血性心筋症による心不全増悪入退院を繰り返したため, 2006年8月に左室形成術を含めた外科手術が施行された, 術後, 持続性心房粗動に対し頻回の電気的除細動を要したためカテーテルアブレーションを試みたが根治困難であり, 房室接合部アブレーションに引き続き両室ペーシング機能付き植込み型除細動器植込みが施行された, 退院2週間後, ふらつき自覚直後に除細動 (ICD) 機能が作動し緊急入院となった, テレメトリーでは心房, 心室とも同周期 (190msec) の頻拍が記録されていた.胸部X線所見も参照し, 右室リードが右房内に脱落した結果, 心房粗動を心室細動と誤認しICD機能が誤作動していた, ICD機能作動後には洞調律による心房興奮を心室興奮と感知, 自脈検知に同期した両室ペーシング機能が作動し左室ペーシングのみで心室捕捉がなされて存命しえた症例であった.
  • 沖重 薫
    2008 年 28 巻 2 号 p. 176-177
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 平井 真理
    2008 年 28 巻 2 号 p. 178
    発行日: 2008/03/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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