表面科学
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18 巻 , 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 大柳 宏之, Douglas TWEET
    1997 年 18 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 1997/01/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    Surface-sensitive XAFSおよびDAFSを用いた半導体表面研究の現状と将来の展望について報告する。XAFSによる硬X線領域の実用的な半導体表面の局所構造研究は挿入光源の利用による高輝度ビームと表面の選択励起により可能になった。Si(001)-(2×1)上のGe原子層への適用を例としSurface-sensitive XAFSの原理を説明し得られた結果を報告する。Ge原子をプローブとすることによってダイマー結合異常や表面置換(界面の異種原子がおきかわること)など表面の歪みによって生じる特徴的な構造変化をみいだした。X線回折強度にあらわれる微細構造(DAFS)はサイト選択性という特徴をもつ新しい構造解析法である。その原理を簡単に説明し,半導体表面・界面を中心に具体的な応用例をあげる。第3世代蓄積リングとチューナブルX線アンジュレーターの利用による将来展望についてもふれる。
  • 横山 利彦
    1997 年 18 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1997/01/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    固体表面上の分子の吸着は,長距離秩序を伴わないことが多くその構造解析は通常困難であるが,シンクロトロン放射光を用いたX線吸収微細構造(XAFS)分光法を用いればその局所:構造が精度よく決定できる。ここでは軟x線XAFS法によりSO2のNi, Pd, Cu単結晶表面上での吸着を調べた結果について述べる。これらの3種類の金属上での低温分子状吸着における挙動はいずれも著しく異なることが明らかとなった。Ni上ではSO2は低温で分子平面を表面平行に寝て吸着するのに対し,Pd上では低温で分子面は表面垂直である。Ni, PdいずれもSO2中のSが表面金属原子と直接化学結合を形成するのに対し,Cu上では,詳細な構造は未だ明らかではないが,SO2のO原子が主として金属との結合に関与していると考えられる。これらの違いは,SO2がσドナー性とπアクセプター性の双方を有し,金属の違いによって異なる相互作用形態をとることに起因している。一方,室温程度の吸着温度でSO2は表面上で反応しS, SO3, SO4等を生じる。Cu(100)上では定量的に不均化反応3SO2→S+2SO3が進行することがわかった。この系では走査トンネル顕微鏡測定を加えることで表面の全体像を観測することができた。
  • 野村 昌治
    1997 年 18 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 1997/01/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    表面の研究に放射光を光源とするXAFS法を利用することが多くなってきている。通常の蛍光XAFSは数百Aの薄膜や希薄試料に,全反射蛍光XAFSは数百A以下の薄膜や吸着層に,転換電子収量法は数十A以上の薄膜を簡便に測定するのに適している。最近のX線の偏光作成,利用技術,界面研究に期待できるDAFSについて簡単に紹介し,新しい放射光源の表面XAFS研究への活用について考える。
  • 吉田 郷弘
    1997 年 18 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1997/01/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    通常の熱触媒反応において,炭化水素類の部分酸化に有効な触媒成分である酸化バナジウム,酸化ニオブ,酸化チタンを広表面積(約600m2g-1)のシリカに高分散担持させた触媒は特異な光触媒作用を示す。この光触媒作用は遷移金属の酸化物種がシリカ上でバルク結晶では実現されない局所構造を採ることと密接な関連があるが,この局所構造はX線吸収法で最も的確に解析することができる。高分散担持触媒の調製法も含め,これらの光触媒作用の特徴と,X線吸収法によって明らかとなった活性種の構造について筆者の研究室で得られた結果を紹介する。
  • 西萩 一夫
    1997 年 18 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1997/01/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     Laboratory XAFS装置も改良が進み, 通常のXAFS測定ではSRと比肩できるデータが出てきている。Laboratory XAFS装置はフォトン数や分解能あるいは不純線の存在等の固有の問題点を抱えていた。フォトン数については, X線源として回転対陰極の採用や集中光学系の採用により, 当初より3桁も改善された。分解能については, EXAFS測定はSi, Geなどの完全結晶の使用,XANES測定には高次線の使用により実用レベルに達した。不純線については, カソードに従来のWフィラメントからLaB6に変更することにより, ほぼ解決された。また, 蛍光XAFS手法の確立で, 基板付き薄膜や希薄な系あるいは溶液試料が容易に測定できるようになった。軽元素分析についても, パスを真空にすることによりAl以上の元素の分析が可能になった。In-situセルや低温セルの採用により, 試料環境を自由に設定できるようにもなった。また, ICSDやCRYSTMETのようなデータベースの採用により, 標準試料無しでの解析も可能となってきた。Laboratory XAFSの応用例として, 非晶質シリコン, Fe薄膜, Cuスパッタ膜, 強磁性体 (Sm2Fe17N2), a-Si3N4, 超電導材料, キャパシタ絶縁膜 (Ta2O5), およびリチウム2次電池材料を取り上げた。
  • 杉山 宗弘
    1997 年 18 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1997/01/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    完全性が高い単結晶に単色平行なX線がブラッグ角近傍の角度で入射しているときに,入射波と回折波の干渉効果によってX線の定在波が結晶内外に形成される。X線定在波法は,このX線定在波によって励起された注目原子の二次放射線の強度プロファイルを解析して基板結晶表面に吸着した異種原子の位置を解析する手法である。本稿では,特に軟X線を入射線として用いる軟X線定在波法の特徴を解説し,半導体表面構造解析への適用例を示した。軟X線定在波法は,第三周期以下の軽元素の吸着構造を調べるのに適しているばかりではなく,測定が比較的容易であること,真空中における吸着構造解析に適用しやすいことなどの利点がある。半導体表面構造解析への適用例として,過硫化アンモニウム処理GaAs(001),(111)A,(111)B表面における硫黄原子吸着サイトの決定,GaAs(001)-(2×4)清浄表面に対するSi原子の吸着挙動の解析,Sb吸着GaAs(001)-(2×4)表面におけるSbダイマー構造の解析を紹介した。最後に,分光法による状態分析と回折法による構造解析を融合させた吸収端X線定在波法,および,光電子分光X線定在波法の試行例を示し,軟X線定在波法がもつ新たな可能性についても言及した。
  • 三浦 浩治, 前田 啓介, 山田 哲生
    1997 年 18 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 1997/01/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    We have investigated the behavior of water adsorption on alkali halide surfaces in air at room temperature using the noncontact monitoring mode of a scanning force microscope (SFM). We have found a formation of water droplet pattern on LiF (001) surface and subsequent formation of a uniform film, as reported on BaF2(111) surface. However, no water droplet pattern was observed on NaCl (001) surface. The SFM image from NaF (001) surface has revealed complicated features with water droplet pattern. The different H2O adsorption patterns for LiF, NaF and NaCl seem to be induced by the competition between water-water and water-substrate interactions.
  • 中西 洋一郎
    1997 年 18 巻 1 号 p. 48-54
    発行日: 1997/01/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    薄膜EL素子は多層薄膜であることから,各層の膜質,各層間の界面状態にきわめて密接に関係している。ZnS:Mn薄膜EL素子では,ZnS:Mn薄膜の結晶性および配向性は蒸着時の基板温度に強く依存し,200℃付近の基板温度でZnS:Mnは[111]配向を示し,EL強度も最大を示した。基板温度の低下と共に配向性は低下し,EL強度も低下した。更に,絶縁層としてY2O3を用いた場合,[111]配向ZnS薄膜の結晶性は基板となるY2O3薄膜が[111]配向でその結晶性が最も良いとき,ZnS薄膜の結晶性も最も良く,EL素子は最も優れた発光特性を示した。次に,界面の問題について紹介した。500℃前後の基板温度で発光層をY2O3/ITO上に蒸着し,アニールするとY2O3とITOの界面で完全に剥離する。これはITOのlnがY2O3層へ拡散するためであり,ITO上に一旦SiO2を蒸着することによってInの拡散が抑制され,剥離の発生が防止されることを示した。SrSは不安定な化合物であるため,薄膜では化学量論組成のずれや汚染不純物による欠陥が生じ易い。そのため,非放射再結合の割合が大きくなったり,Ce発光中心濃度の上限を低く押さえたりする。SrS:Ceを作製する際にZnSまたはMn2+を添加することにより,SrSの膜質が向上し,EL特性が大幅に改善されることが示された。
  • 大津 元一
    1997 年 18 巻 1 号 p. 55-57
    発行日: 1997/01/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    前回は近接場光学顕微鏡の原理と構成を中心に述べた。今回は具体的な画像計測の例を提示する。システム関数推定結果より,0.8nmの分解能が得られたこと,さらに原理的には原子レベルの分解能が期待できることを示す。特に生体試料,フォトニクス用材料,素子の測定評価を中心に記し,空気中,水中,極低温中など,特殊環境下での測定が可能であることを示す。さらに形状計測のみでなく,分光計測が可能であることを示す。
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