表面科学
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11 巻 , 2 号
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  • 岡本 康昭
    1990 年 11 巻 2 号 p. 76-82
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    Cu-ZnO系触媒は, メタノール合成反応に対しCuとZnO間に強い協働効果を示す。その原因に関してはいまだ不明な点が多い。本解説ではCu-ZnO系触媒表面に関する研究を中心に紹介し, CuとZnOの組合せにより生成する銅種とその化学的, 物理的性質について述べ, 協働効果との関連について触れた。CuO-ZnO系ではZnO に固溶したCu2+, アモルファス銅酸化物, CuOが存在することがXPSにより示された。活性化後, Cu+の触媒表面での安定化の他, 二次元金属銅種, 銅金属微粒子の生成, およびCu+/ZnOからの電子移動による金属銅種の電子密度の上昇がXPS, AESに基づいて示唆された。二次元金属銅種は酸素との反応性が高い。また, 水素気流中150℃以上では金属微粒子へと相転移する。Cu-ZnO間の相互作用は触媒調製法に強く依存する。メタノール合成活性サイトを構成する銅種がCu+かCU0かに関してはいまだ明確になっていない。CO2の添加効果を含め最近の説を簡単に紹介した。
  • 寺岡 靖剛, 山添 昇
    1990 年 11 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    ペロブスカイト型酸化物の触媒特性と表面特性との関連について解説する。ペロブスカイト型酸化物上で起こる触媒反応の機構は, 吸着種間の反応が重要な “Suprafacial” 機構と, バルク酸素が反応に関与する “Intrafacial”機構に分類される。炭化水素の水素化, 水素化分解反応や比較的低温で起こるCO酸化反応が前者の機構で進行し, 反応基質の吸着に対する表面, 特にBサイト遷移金属の電子状態が重要である。一方, 完全酸化 (燃焼) 反応, NO還元反応, NO分解反応などは後者の機構で進行する。この場合, 格子酸素の反応性や酸素欠陥の存在などのバルクの性質が重要ではあるが, ペロブスカイト型酸化物の表面状態や組成は変化しやすいために, バルク特性を十分に引き出し得るような構造や組成を持つ表面をつくり出すことが必要である。
  • 奥原 敏夫, 御園生 誠
    1990 年 11 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    アルカンを利用するプロセスとして注目されているブタン法無水マレイン酸 (MA) 合成の反応機構および触媒であるV-P系複合酸化物の特性, とくに表面相の役割について重点をおいてまとめた。Vが4価の単一結晶相であるピロリン酸ジバナジル ((VO) 2P2O7) は他のV-P酸化物にくらべ特異的に優れた性能を示し, (VO) 2P2O7に存在するV4+ (=O) -O-V4+のペアーサイトが反応活性点と推定されている。反応は, ブタン→ブテン→ブタジエン→フラン→無水マレイン酸 (MA) の逐次反応で進行し, (VO) 2P2O7は律速段階であるブタン→ブテンのステップに高選択的であるのが特徴である。酸素同位体法により反応は触媒の表面層のレドックスで進行していることがわかった。また, 表面酸素の反応性がTAP法 (Temporal Analysis of Products) で検討され, ブタン→ブテン, フラン→MAの両反応には吸着酸素, 他は格子酸素が関与していることが示唆されている。
  • 島田 広道, 西嶋 昭生
    1990 年 11 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    重質炭化水素資源の水素化精製 (脱硫, 水素化分解等) に用いられているMo系硫化物担持触媒の表面構造に関する研究を2テーマに分けて解説した。
    前半では, 脱硫反応に高活性を示す “Co-Mo” 触媒におけるCo硫化物とMo硫化物の相乗作用に関する研究に焦点を絞り, これまでに提唱された “Co-Mo” 硫化物の構造モデルを紹介した。近年では, Co8S9とMOS2との接触により高活性が発現すると仮定する “contact synergy model” とMoS2のedge部にCoが配置して高活性サイトを形成する “Co-Mo-S” 相の両モデルの間で議論が行われている。両モデルともに, 各種キャラクタリゼーションの他, 反応速度等の詳細な解析に基づいて提唱されたもので, 分子・原子レベルでの触媒構造の議論として極めて興味深い。
    後半では, 触媒設計を目指した触媒構造と触媒機能の相関についての研究を紹介した。Mo系硫化物触媒の機能は担体により大きく変化することから, 各種担体に担持された触媒の機能, 構造を明らかにし, ついで触媒の構造と触媒機能との相関について討論を行った。さらに, Moの担持量によりMoS2の集合状態が変化することから, 集合状態と触媒機能の相関についても検討が行われた。これらの結果に基づいて, MoS2の活性点についてもモデルが提出されている。
    以上, 従来経験に基づいて調製されていたMo硫化物触媒が, 最近, より高性能の触媒開発を目的として学問的にも解明されつつあり, 学問体系に基づいた “触媒探索”, “触媒設計” へと進みつつある。
  • 丹羽 幹
    1990 年 11 巻 2 号 p. 104-109
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    CVD (化学蒸着) 法による触媒の調製における特徴と得られた触媒の機能について述べる。はじめに, 従来の触媒調製法に比較して, CVD法が単純で直接的な調製法であることを紹介する。つぎに, CVD法により固体表面に成長させた酸化物に見られる特徴-エピタキシー成長-について, 同質, 異質の二つの場合を考察する。これらの実例として, 著者らの研究例である, ゼオライトの細孔入口径制御のためのケイ酸アルコキシドの化学蒸着および固体酸点の生成に関するアルミナ上のシリカ膜生成について述べる。
  • 岩本 正和, 八尋 秀典
    1990 年 11 巻 2 号 p. 110-116
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    ゼオライトは結晶性アルミノケイ酸塩で, 通常の無機化合物とはかなり異なる特性を示す。本稿では, イオン交換によって発現する新しい機能について解説した。
    ゼオライトの分子ふるい作用は, ゼオライト中のNa+を種々の金属イオンで交換することにより, さらに精密に制御ができる。例えば, K+を一部Zn2+で交換したA型ゼオライトは分子径の非常に近い窒素と酸素を分離できる。
    ゼオライト中にプロトンあるいは多価カオチンを導入すると, 固体酸性が発現する。このゼオライトはクラッキング等ばかりでなく, 低級オレフィンの直接水和に高い活性を示す。特に, 混合ブテンの水和ではイソブテンのみが高転化率, 高選択率で水和されることが明らかとなっている。一方, これとは逆にアルカリ金属イオン交換型は塩基性触媒として作用することが報告されている。
    ゼオライト中に交換された金属イオンの特異的酸化還元特性を利用した新しい触媒反応系が最近開発された。それは銅イオン交換ゼオライトによる一酸化窒素の接触分解である。この触媒の活性はイオン交換率とともに増加し, さらにY<モルデナイト<ZSM-5の順で変化する。分光学的検討から, Cu2+ Cu+のサイクルで分解が進行すると結論されている。
  • ルイス ロバート
    1990 年 11 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    The area of catalysis has advanced to the point where the subtle relationships between structure and activity are being investigated in ever increasing detail. As this new age of “Designer Catalysts” advances to higher levels, the need for well defined foundations on which to build catalysts becomes stronger. Clay minerals possess great potential as “Molecular Building Blocks” in the design and synthesis of new catalytic systems. Covered here are various aspects of clay structure, interlayer space, ion exchange, surface modification and delamination that have already found use in the design of catalysts or material that can be used in the area of catalysis. Based on this overview of clay minerals, it is clear that they will play an increasingly important role in the design of new catalysts in the future.
  • 小川 治雄
    1990 年 11 巻 2 号 p. 124-130
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    シリカゲル, アルミナ, ゼオライトなどの吸着剤がファインケミカルズ合成を指向して利用される。利用のされ方を吸着剤と反応分子のかかわりから観ると, 反応分子が弱い相互作用で吸着するものから強い相互作用で吸着するものまであり, その強さにより吸着剤は, (1) 弱い相互作用による吸着を伴う反応の場として, (2) 酸塩基触媒として, (3) 強い相互作用による吸着 (新たな化学種の生成) を伴う反応場として, あるいは (4) 分子固定の担体として用いられる。吸着剤上に吸着する反応分子の濃度や吸着姿勢, 化学的性質, 集合状態などが制御されることから, 反応が分子面の一方からのみ起こる効果や, 溶液反応における溶媒の “かご効果”, 吸着分子の化学種の変化により新たな反応性が発現する効果が生じ, 高選択的合成が行われる。
  • 野副 尚一
    1990 年 11 巻 2 号 p. 131-137
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    ステップのある金属単結晶表面上の反応特性を金属担持触媒のモデルとしての側面を念頭に置いて論じた。
    金属担持触媒で, 金属の粒径を変えたときに見られる反応性の変化が, 金属微粒子上のステップやキンクサイトの密度に密接に関連すること, 更に, ステップのある単結晶表面自身を触媒として用いることにより, 金属触媒反応の本質的理解が得られることを説明した。次いで, ステップやキンクサイトがテラスとは異なる反応性を持つことを今迄に得られた実験結果により示した。この様なステップやキンクの存在が吸着や脱離の過程に大きな影響を与えることをステップのある白金単結晶からのCOの昇温脱離スペクトルやステップのあるニッケル単結晶上へのH2の付着確率の実験例により示した。ステップのある高指数面には, ステップとテラスの2種類のサイトが存在する。この不均一性を用いて, テラスサイト上での吸着分子の移動速度が決定出来る。又, ステップサイトを異種原子により修飾すると, 表面反応に対するステップサイトの役割を明確に示すことが出来る。
    この様なステップやキンクサイトの反応性の差異は触媒反応ばかりでなく, 薄膜合成でも重要な意味を持つ。
  • 白井 汪芳
    1990 年 11 巻 2 号 p. 138-144
    発行日: 1990/03/01
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    酸化酵素は, いわゆるヘムと巨大タンパク質からできている。これは, 血液中の活性化された酸素によって, 生体内の毒物を解毒する作用をもっている。我々は, 人工物である鉄フタロシアニン誘導体を用いて, この酸化酵素との類似性を研究してきた。このタイプの酵素は又一般に, 強い悪臭を放つ物質にも作用すると思われる。
    この人工酵素を用いた, 新しいタイプの消臭法について報告する。
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